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睡眠呼吸障害(SDB)を見逃さないために診断と治療社 | 書籍詳細:睡眠呼吸障害(SDB)を見逃さないために

筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻睡眠医学 教授

佐藤 誠(さとう まこと) 編集

初版  並製 264頁 2010年06月10日発行

ISBN9784787816290

定価:本体6,200円+税
  

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SDBは,患者も医師も症状の原因がSDBにあることに気づかぬまま受診・診療を行っていることが多い疾患である.本書は,すべての医師がSDBを理解し,早期の診療を行えるよう企画された

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目次

Contents
『睡眠呼吸障害(SDB)を見逃さないために』

序  文 
執筆者一覧 

I 総  論  SDB診療のススメ
 1 疾患概念 SDBとは
  a SDB診療とは   
    ………………………………佐藤 誠
  b SDBの疫学   
    ………………………………谷川 武/村木 功/櫻井 進
  c SDB発症の病態生理   
    ………………………………磯野史朗
  d SDBによって出現する病態生理   
    ………………………………陳 和夫
  e SDBによる社会的損失   
    ………………………………向井真弓/有田亜紀/塩見利明
  f SDBの予後,自然経過   
    ………………………………池上晴彦/成井浩司
 2 診断総論
  a 問診と簡易検査   
    ………………………………櫻井 進/淡野桜子/谷川 武
  b PSG検査 
    ………………………………八木朝子
  c 画像診断,内視鏡検査,その他   
    ………………………………鈴木雅明
 3 鑑別診断総論
  a 過眠とSDB   
    ………………………………當山和代/岡田達夫/名嘉村 博
  b 不眠とSDB   
    ………………………………井上雄一
  c ナルコレプシー   
    ………………………………井上雄一
 4 治療総論
  a CPAP治療   
    ………………………………櫻井 滋
  b 口腔内装置    
    ………………………………河野正己
  c アデノイド,扁桃摘出術   
    ………………………………新谷朋子/宮崎総一郎
  d 軟口蓋,舌根に対する外科治療   
    ………………………………鈴木賢二
  e 鼻疾患に対する治療   
    ………………………………安田 京
  f craniofacial surgery   
    ………………………………外木守雄
  g 肥満に対する治療   
    ………………………………佐藤 誠
  h SDB治療の展望   
    ………………………………飛田 渉

II 各  論 各科関連疾患とSDB 〜 症例から学ぶSDB 〜
 1 クリニックで診るSDB   
    ………………………………岡部慎一
 2 神経内科で診るSDB
  a 脳血管疾患とSDB    
    ………………………………大嶋康義/下畑享良/大平徹郎
  b 多系統萎縮症,Parkinson病とSDB   
    ………………………………大嶋康義/下畑享良/大平徹郎
 3 呼吸器内科で診るSDB
  a 呼吸不全とSDB   
    ………………………………中山秀章
 4 循環器内科で診るSDB
  a 高血圧とSDB 早朝高血圧,治療抵抗性高血圧の原因がSDBであった症例
    ………………………………植松昭仁/赤星俊樹
  b 心不全とSDB Cheyne-Stokes呼吸を主とした中枢性睡眠時無呼吸症候群の症例
    ………………………………森 由弘/松元一郎/荒川裕佳子
  c 不整脈  心房細動など,不整脈の原因,誘引がSDBで,治療によって改善した症例
    ………………………………佐藤 誠
  d 冠動脈疾患とSDB   
    ………………………………葛西隆敏
 5 代謝内科で診るSDB SDBの治療によって糖尿病が改善した症例 
    ………………………………安田 京
 6 内分泌内科で診るSDB 先端巨大症によるSDBが治療によって改善した症例
    ………………………………上野陽子/葛西隆敏/成井浩司
 7 腎内科で診るSDB 腎不全,蛋白尿とSDBの症例   
    ………………………………小池茂文
 8 膠原病内科で診るSDB 関節リウマチまたはステロイド誘発SDBの症例   
    ………………………………伊藤 聡
 9 消化器内科で診るSDB SDBによる胃食道逆流症の症例   
    ………………………………岡部慎一
 10 その他の診療科で診るSDB
  a 救急室で診るSDB   
    ………………………………内藤 亮/葛西隆敏
  b 小児科で診るSDB   
    ………………………………篠田秀夫
  c 耳鼻咽喉科で診るSDB 咽喉頭逆流症に合併するSDB   
    ………………………………鈴木雅明
  d 歯科で診るSDB   
    ………………………………菊池 哲
  e 手術室で診るSDB   
    ………………………………磯野史朗
  f 眼科で診るSDB   
    ………………………………佐藤正樹
  g 精神科で診るSDB   
    ………………………………井上雄一
  h 産科で診るSDB   
    ………………………………塩見利明/篠邉龍二郎/向井真弓

索  引 

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序文

序  文
動物の基本生活は,活動(運動)によって食(栄養)を獲得し,次の行動に備えて休息(休養)することである.休養の最たるものである睡眠は,脳を「休養」させるために欠くことのできない行動である一方,意識レベルが低下して筋肉も弛緩するので,生存競争に明け暮れる動物にとっては危険を伴う行為である.野生動物は,命がけで睡眠の量と質を確保しており,草食動物などの被捕食動物が“いびき”をかくことは,死を意味する.
一方,人間社会では「“いびき”をかく人は,豪傑」とか「よく寝ている証拠」と考えている人は,医療従事者の中にも少なくない.“いびき”は,睡眠中に上気道の一部または複数部が狭窄して生じる呼吸運動に伴う振動音である.“いびき”は,人間社会だけで許される特異な病態で,「寝ている証拠」ではあっても,眠りの質は悪いのである.“いびき”を含めて覚醒時には生じない異常呼吸が,睡眠という生理現象によって惹起される現象すべてが睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing;SDB)であると,私は考えている.
SDBは全身疾患と捉えることが重要である.Guilleminaultらが睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndromes;SAS)を報告した当初(1976年)は,日中の過眠を主症状とする著しく太った中年男性がSDB患者の特徴としてとして注目されたが,現在では老若男女,肥満の有無を問わず発症しうることが明らかになった.そして毎晩,睡眠中に繰り返される短時間の覚醒反応(睡眠の質の悪化)と間欠的な低酸素血症が,自覚症状のないままに循環器疾患や代謝疾患をはじめとした様々な病態を引き起こして,患者の予後を悪化させる.
このような背景のもと,高血圧症の治療指針のなかで,SDBは鑑別すべき二次性高血圧症(SDB治療によって血圧が下がる)として取り上げられた(米国では2003年,わが国では2009年).また米国心臓協会(American Heart Association;AHA)は『Circulation』に,米国心臓病学会(American College of Cardiology;ACC)は『J Am Coll Cardio』に「睡眠時無呼吸と心臓血管疾患」という共同Scientific Statementを同時発表した(2008年).国際糖尿病連合(International Diabetes Federation;IDF)もWeb上に,「2型糖尿病と睡眠時無呼吸」の関係に注意すべきことを発表した(2009年).いずれも,高血圧,心臓血管疾患,糖尿病の発症がSDBと密接に関連するので,受診する患者の背景にSDBが存在することを疑うべきであると警鐘を鳴らしている.
自分の症状の原因がSDBとは気づかないままに,様々な診療科を受診するSDB患者は少なくない.また,医療者側もSDBの存在に気づかないまま診療している可能性が高い.本書は,すべての医療関係者がSDBを理解して,患者の早期発見と早期治療を行うこと目的に企画された.
“いびき”は,決して「よく寝ている証拠」ではない.“いびき”は,助けを求めるSDB患者の叫び声である.「いびきをかいていませんか?」の一言が患者の日常や将来を変えるかもしれない.


2010年6月
筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻睡眠医学 教授 佐藤 誠