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書籍詳細

自閉症スペクトラム診断と治療社 | 書籍詳細:自閉症スペクトラム
脳の形態と機能で理解する

徳島赤十字ひのみね総合療育センター園長

橋本 俊顕(はしもと としあき) 編集

初版 B5判 並製 142頁 2008年04月15日発行

ISBN9784787816467

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定価:本体4,800円+税
  

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自閉症スペクトラム障害の症状,その背景にある‘心の理論’, 実行機能,中枢統合機能,感情認知などの神経心理学的な異常と 脳の器質的・機能的障害との関連性を,豊富な検査結果や画像写 真を使って具体的に紹介. 自閉症スペクトラム障害児・者の診断・治療・教育に携わる人 対象.

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目次

目次

編集者略歴

はじめに

執筆者一覧

1 自閉症スペクトラム障害 橋本俊顕
1)概念・分類
2)自閉症(スペクトラム障害)の疫学・病因
3)症状
4)自閉症の神経心理的背景
5)自閉症の情報処理
6)検査
 a血液生化学
 b染色体検査
 c脳波
 d画像検査
 e心理発達検査
Column 心の理論
7)診断 7
 a自閉性障害
 bアスペルガー障害
 c特定不能の広汎性発達障害
Column ハノイの塔課題 7
8)合併症
 a知的障害
 bてんかん
 cチック障害
 d学習障害
 e注意欠陥/多動性障害 fその他
9)鑑別診断
 a知的障害
 b聴覚障害
 c注意欠陥/多動性障害
 dランドー・クレフナ−症候群
 e場面緘黙 
 f虐待
 g学習障害
 hその他
Column チック
10)治療
 a薬物療法
 b教育的治療/訓練
11)自閉症スペクトラム障害以外の広汎性発達障害
 aレット障害
 b小児期崩壊性障害

2 自閉症の脳病理 橋本俊顕
A 脳の変化
B モデル疾患
1)遺伝性疾患に伴った自閉症スペクトラム障害
 a結節性硬化症
 b神経線維腫症
 c脆弱 X 染色体症候群
2)出生前の環境要因による自閉症スペクトラム障害
 a先天性風疹症候群
 b先天性サイトメガロウイルス症候群
 c単純ヘルペスウイルス脳炎 
 d胎児性アルコール症候群
3)出生前の環境要因による自閉症スペクトラム障害
 a鉛中毒
 bウイルス性脳炎・脳症によるクリューヴァー・
  ビューシー症候群
C モデル動物
1)遺伝子モデル動物
 aニューロリジン遺伝子変異マウス
 bMET 遺伝子異常マウス
 cオキシトシンノックアウトマウス症例 1 歳 9 か月女児;
  高熱,意識障害,けいれん頻発のために入院
2)化学物質によるモデル動物
 aバルプロ酸投与モデル動物
 bサリドマイド投与モデル動物
 cアルコール投与モデル動物
3)脳障碍モデル動物
 aクリューヴァー・ビューシー症候群
 b前頭前野皮質障害
 c小脳の障害

3 脳を理解するために 東田好弘
A 脳の仕組み
1)大脳
 a前頭葉
 b側頭葉
 c頭頂葉
 d後頭葉
2)脳幹
 a間脳
 b中脳
 c橋・延髄
3)小脳
Column 錐体路・錐体外路系
4)脊髄
5)脳神経
B 脳の構造と働き
1)大脳基底核
2)大脳辺縁系
3)前頭前野
4)心の理論
Column 陳述記憶
C 脳の働きと理解
1)大脳皮質におけるニューロンネットワークの構築
Column 髄鞘化
2)認知機能の発達
3)視覚の発達と共同注意
4)運動の発達と自閉症

4 脳の形態
A 大頭について 福本 礼,橋本俊顕
1)自閉症児の頭囲測定の歴史
2)自閉症児の頭はいつから大きくなるのか
3)頭囲は脳体積を反映しているのか
4)脳のどの部位が大きくなっているのか
5)大頭症がある自閉症児は,頭囲が正常の自閉症児とどこが違
  うか
6)なぜ頭囲が増大するのか
B MRI 所見 森 健治
1)大脳
2)小脳
3)脳幹

5 脳の機能検査の実際
A 認知機能,心理検査 津田芳見
1)知能検査
2)心の理論
3)前頭葉機能検査
 aWCST
 bストループテスト
 cハノイの塔課題
症例 1 6 歳 2 か月女児;アスペルガー障害疑いで受診し,
 知能検査の結果,自閉性障害と診断
4)人格・心理検査
 aP−Fスタディ
 bロールシャッハテスト
症例 2 小学 3 年生男児;行為障害を合併した高機能広汎性発達
 障害と診断
B 顔の認知 高原光恵
1)コミュニケーションにおける顔情報
2)自閉症スペクトラム児・者の顔認知,表情認知
3)顔の認知メカニズムを探る検査法
4)顔の認知に関する研究
5)表情(感情)の認知に関する研究
6)考えられる対応
C 脳血流 SPECT,PET 藤井笑子
1)脳循環動態について
2)SPECT
 a放射性医薬品
 b神経系の SPECT の進歩
Column パトラックプロット法
3)123I−iomazenil
4)PET
 aサイクロトロン
 b自動合成装置
 cPET 装置
 dPET の臨床応用
 e小児の中枢神経 PET 検査
Column PET 検査応用
D fMRI 伊藤弘道
1)fMRI とは
2)fMRI の目的
3)fMRI の原理
4)fMRI の撮像方法
5)自閉症における fMRI
症例 12 歳男児;妊娠出産歴に問題なし.運動発達,言語発達も
 問題なし
E MRS 森 健治
1)扁桃体
2)前頭葉眼窩皮質
3)前部帯状回
4)小脳
5)その他の脳部位
6)自閉症脳における GABA ニューロンの評価
Column STEAM 法,PRESS 法,MEGA−PRESS 法,LC Model
F 神経生理学的見解 宮崎雅仁
1)脳波
 aてんかん発作波の出現頻度
 b背景脳波に関する研究
2)誘発電位
 aABR
 bSEP
 cP300
3)MEG
G 睡眠ポリグラフィー 橋本俊顕
1)睡眠の神経機構
2)睡眠ポリグラフィー
 a検査法
 b睡眠ポリグラムの分析
3)定型発達児の睡眠
 a睡眠・覚醒リズム
 b睡眠段階
 c睡眠時の諸現象
4)自閉症の睡眠
 a睡眠ポリグラフ・睡眠日誌
 b睡眠質問表
H NIRS 福本 礼,橋本俊顕
1)NIRS の原理
2)NIRS の問題点と長所
3)脳酸素代謝の多様性
4)実際の計測
5)自閉症児への応用
 a語流暢性課題
 bストループテスト
6)自閉症児への NIRS の利用方法

6 脳科学からのアプローチ 橋本俊顕
A 特別支援教育へのアプローチ
1)特別支援教育
2)特別支援教育への応用
 a肢体不自由児支援プログラムへのアプローチ
 b自閉症スペクトラム障害児支援へのアプローチ
B 医療現場へのアプローチ
1)早期診断
2)鑑別診断(てんかん,奇形含む水頭症)

索引

※一部タイトルを省略して記載しております.
詳しくは該当ページをご参照下さい.

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序文

の有効性が報告され,早期に発見され早期に対応がなされるよう
になったことから以前に比べ予後が改善されつつある.

 自閉症の原因は大部分(80〜90%)が不明であるが,遺伝性の
要因が関与していると考えられ,加えて発症には何らかの環境要
因の関与が示唆され,出生前に生じる脳の発達障害に起因すると
考えられている.脳の病理学的研究では,妊娠の比較的早期に何
らかの要因があって,脳幹,小脳,辺縁系,帯状回を含む前頭
葉,側頭葉を中心に広範に発達障害が生じていることが推測され
る.一方,近年のコンピューターの進歩により画像診断法が簡単
に臨床研究に利用されるようになり,自閉症の脳構造や機能の状
態が把握できるようになった.画像診断による研究では脳体積の
増大,前頭前野(背外側部,眼窩皮質,背内側部),上側頭回・
上側頭溝,辺縁系(扁桃体,海馬)の連携からなる社会脳
(social brain)やミラーニューロン(mirror neuron),各脳
部位間の同期性の機能異常が明らかになってきた.
 こうした状況の中で,自閉症スペクトラム障害の症状,その背
景にある‘心の理論’,実行機能,中枢統合機能,感情認知など
の神経心理学的な異常と脳の器質的・機能的障害との関連性を振
り返ることは,神経科学的に症状や行動の成り立ちを分析的に捉
え,理解を深めていくことができる.また,どのような方法がよ
り効率よく脳の可塑性を促すのか,今後の自閉症スペクトラム障
害の子ども達の教育や療育を芸術から科学へ導いていく上で欠か
すことのできないものであろうと考え,さらに,医学的治療法の
発展にも寄与するものとの思いから本書を企画した.

 本書が自閉症スペクトラム障害の診療や療育,教育に携わって
おられる方々,これから関わろうと考えておられる方々のお役に
立てば幸いである.とりもなおさず,そのことがこのような研究
にご協力頂いた内外の自閉症スペクトラム障害をもつ小児にフィ
ードバックできることであろうと考える.

2008 年 4 月 橋本俊顕