HOME > 書籍詳細

書籍詳細

スポーツ精神医学診断と治療社 | 書籍詳細:スポーツ精神医学

日本スポーツ精神医学会(にっぽんすぽーつせいしんいがくかい) 編集

初版 B5判 並製ソフトカバー 184頁 2009年07月25日発行

ISBN9784787816887

正誤表はPDFファイルです.PDFファイルをご覧になるためにはAdobe Reader® が必要です  
定価:本体5,000円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


身体運動(スポーツ)とメンタルヘルスの関係を,①精神医学のスポーツへの応用,②スポーツの精神医学への応用,③スポーツと脳機能の研究,④精神障害者スポーツ,の四つの視点から捉え,最新の知見をわかりやすく詳述した,新しい分野の画期的臨床テキスト.精神科医はもちろん,メンタルトレーニング指導士,スポーツドクター,スポーツ心理士,スポーツ指導者,アスリート,体育大学・学部学生,等を主対象とする教科書

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

スポーツ精神医学

Contents

 執筆者一覧 
 はじめに―スポーツ精神医学の目指すもの
……………………………………内田 直 
 日本スポーツ精神医学会の設立の経緯と本書の出版について
……………………………………内田 直 

第 1 章 スポーツ精神医学とは
 1 スポーツ精神医学の歴史と定義
……………………………………保坂 隆  
 2 スポーツ医学における精神医学の意義
……………………………………内田 直  

第 2 章 スポーツにおける精神医学の役割
 1 アスリートのオーバートレーニング症候群とうつ状態
……………………………………内田 直  
 2 アスリートのストレス関連障害
……………………………………堀 正士  
 3 スポーツによる頭部外傷と精神障害
……………………………………鳥居 俊 
 4 アスリートの睡眠管理
……………………………………内田淳子/内田 直 
 5 アスリートにみられる物質乱用と精神障害
……………………………………山本宏明 
 6 ドーピングと精神医学
……………………………………橋口 知 
 7 アスリートと性同一性障害
……………………………………正岡美麻/内田 直 
 8 アスリートにみられる摂食障害
……………………………………上原 徹 
 9 トップアスリートの精神医学的治療
……………………………………待鳥浩司 
 Column 外国籍アスリートの異文化体験とメンタルケア
……………………………………李 創鎬 
 10 青少年スポーツにみられる諸問題
……………………………………金 恵英 
 11 大学生アスリートにみられる諸問題
……………………………………堀 正士 
 12 アスリートのキャリアトランジションに伴う諸問題
……………………………………田中ウルヴェ京 
 13 アスリートに対する心理的対応の現状と課題
……………………………………大西祥平/布施 努 

第 3 章 精神医学におけるスポーツの役割
 1 精神科運動療法の目指すもの 
……………………………………永井 宏/横山浩之 
 2 うつ病の運動療法 
……………………………………岸 泰宏/金 禹瓉
 Column うつ病への運動療法の試み 
……………………………………山口聖子 
 3 統合失調症と運動療法
……………………………………佐々 毅 
 4 統合失調症患者への運動療法の実際
……………………………………横山浩之 
 5 認知症とスポーツ
……………………………………佐々木恵美 
 6 睡眠障害とスポーツ
……………………………………杉田義郎
 7 てんかんとスポーツ
……………………………………松浦雅人
 8 小児にみられる精神障害とスポーツ 
……………………………………湯原 徹/諸江健二 
 9 月経関連障害とスポーツ
……………………………………中山和彦 
 10 服薬中の統合失調症患者の運動療法における注意点
……………………………………岡村武彦 
 11 抗精神病薬による肥満と運動療法
……………………………………秀野武彦 

第 4 章 精神障害者スポーツ
 1 精神障害者スポーツの歴史と今後の課題
……………………………………大西 守 
 2 精神障害者スポーツと他障害との協働
……………………………………高畑 隆 
 3 精神障害者スポーツ指導者の育成
……………………………………田所淳子 
 4 精神障害者バレーボールの動向
……………………………………田所淳子 
 5 精神障害者フットサルの動向
……………………………………岡村武彦
 6 その他の精神障害者スポーツの現状
……………………………………高畑 隆
 7 精神科入院施設におけるスポーツの現状
……………………………………菅野 庸 
 8 海外における精神障害者スポーツの動向
……………………………………阿部 裕 
 9 知的障害者スポーツへの支援
……………………………………宮崎伸一 

第 5 章 スポーツ精神医学の研究
 1 運動の抗うつ効果と脳機能 
……………………………………山村侑平/征矢英昭 
 2 睡眠薬の運動能力に対する影響 
……………………………………上村佐知子/伊東若子/神林 崇 
 3 fMRI(機能的磁気共鳴画像法)でみる統合失調症の運動認知・遂行障害 
……………………………………高橋英彦/佐々 毅/大久保善朗 
 4 スポーツ心理学との関わり
……………………………………黒川淳一 
 5 運動・スポーツ活動とメンタルヘルス
……………………………………澁谷智久/今野 亮/山村 伸 
 6 運動習慣定着へのアプローチ
……………………………………武田典子 

索  引
 和文索引 
 欧文索引

ページの先頭へ戻る

序文

はじめに―スポーツ精神医学の目指すもの

 スポーツと健康には強い結びつきがあるが,スポーツが関わる健康はこれまで主として身体的な健康であった.一方で,医学一般の世界では,クロルプロマジンの発見以降 50 年余の間に,精神医学は“身体医学の仲間入り”をした.すなわち,精神疾患の身体的基盤(主として脳を座とする病態の解明)が次第に明らかになり,身体医学と同様の治療的アプローチが可能になった.同時にそれまで培われた精神医学の古くからの得意分野である“心”の問題への取り組みが,ターミナルケアなど,身体医学の多くの分野にも生かされるようになった.
 スポーツ医学の世界でも,精神医学が多くの役割を担っていることを,精神医学,身体医学の双方の関係者がもっと気づいてもよいはずである.しかし残念ながら現状では,この重要性についての認知は十分ではない.スポーツ精神医学は,このような広い意味でのスポーツ医学における精神医学の問題を取り扱う分野として誕生した.日本スポーツ精神医学会が設立されたのは 2003 年のことであり,まだ若い分野である.設立の際に学会の目指すものとして,1精神医学のスポーツへの応用,2スポーツの精神医学への応用,3スポーツと脳機能の研究という三つの分野があげられている.
 これら三つの分野は,日本スポーツ精神医学会初代理事長 永島正紀先生が提案されたものであるが,永島先生が本書の完成をみずに他界されたことは残念でならない.永島先生の情熱なしに本書の完成はなかった.本書により,スポーツ精神医学への理解が深まり,より多くの方々がこの分野に興味をもっていただけることを切に願っている.
2009 年 7 月
日本スポーツ精神医学会理事長/早稲田大学スポーツ科学学術院教授
内田 直


日本スポーツ精神医学会の設立の経緯と本書の出版について

 日本スポーツ精神医学会の設立の経緯は,日本スポーツ医学会の初代理事長である故永島正紀が,学会誌「スポーツ精神医学」の創刊号に寄稿した文章1)に非常に詳しい.

 “さて,わが国にはスポーツ精神医学について論じた論文はわずかしかない.筆者(永島)は 1993 年に『スポーツ精神医学』の総説2)を書いたが,興味を示した臨床医は数少なかった.2002 年に筆者の臨床経験から『スポーツ少年のメンタルサポート―精神科医のカウンセリングノートから』3)を出版した後,スポーツ精神医学の存在を知る精神科医が現れた.臨床精神医学誌が座談会『スポーツとメンタルヘルス』を企画,スポーツと精神医学に関する論文を公募した.これらを契機に,2002 年 11 月に『日本スポーツ精神医学会』設立発起人会が開かれ,2003 年 9 月 20 日に学会が誕生し,第 1 回総会・学術集会の開催の運びになった.ようやくわが国にもスポーツと精神医学に関する専門的な研究を行い,成果を世に発表する方向が進展することになった.(p.3)”

 永島を中心として現在の理事が集まり,2002 年 11 月 30 日に日本スポーツ精神医学会設立発起人会が開催され,2003 年 9 月 20 日に日本スポーツ精神医学会(Japanese Association of Sports Psychiatry;JASP)が発足した.永島は 2007 年に他界したが,学会は,上記の目的を達成すべく活動を続けている.しかしながら現状では,一般の医学界やスポーツ周辺領域からの認知度はまだ十分ではないと考えている.本書の出版は,そのようななかで,“スポーツ精神医学”が,どのような事柄を扱う学問であるのかを示し,知識を普及し,共通の興味をもつ仲間を集め,学会活動を盛んにすることによって,このような分野で治療を求めている人たちに,適切な治療が行われることが本書の出版の第一の目的である.

文  献
1)永島正紀:スポーツ精神医学の現状と課題.スポーツ精神医学 2004;1:2-5
2)永島正紀:スポーツ精神医学.日大医学雑誌 1993;52:183-186
3)永島正紀:スポーツ少年のメンタルサポート―精神科医のカウンセリングノートから.講談社,2002
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 内田 直