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言語発達遅滞の言語治療改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:言語発達遅滞の言語治療改訂第2版

帝京平成大学健康メディカル学部言語聴覚学科教授

小寺 富子(こでら とみこ) 著

第2版 B5判 並製 232頁 2009年10月20日発行

ISBN9784787817327

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定価:本体3,500円+税
  

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〈S-S法〉の創始者の一人である著者が言語発達遅滞児の評価,訓練指導,療育のために豊富な実践をまとめたオリジナルテキスト.増刷を繰り返してきた好評書が,初版より11年を経てついに改訂!改訂にあたって,初診評価の作業・思考過程や家族との連携などを新たに書き加えたほか,症例数も増えて充実.初版の内容もより明確に理解できるように再構成した.臨床家はもちろん,その家族にも手にとっていただきたい待望の1冊.

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目次

目 次

序文 改訂にあたって 
推薦のことば(初版) 
謝辞(初版) 
本書で使われる略号および用語 

第1章 言語発達遅滞の臨床の基礎
■1 言語発達遅滞とは 
1)経 緯 
2)定 義 
3)本書の対象 
4)臨床的対応 
■2 健常な言語発達 
1)言語発達の内容 
2)言語発達の目安 
3)健常な言語発達と臨床 
■3 言語・コミュニケーションの発達に影響する要因と問題 
1)言語発達の阻害要因 
2)言語発達遅滞児のもつ問題 
■4 小児の言語聴覚障害の種類 
1)種類と症状(4~5歳頃) 
2)1歳6ヶ月頃の様子(家族の報告) 
■5 臨床現場におけることばのとらえ方 
1)3側面アプローチ 
2)言語記号と対人・対物 
3)記号形式-指示内容関係 
4)様式とその変換 
5)言語発達遅滞の症状分類モデル 
■6 言語発達遅滞児への筆者らの取り組み 
1)経 過 
2)言語未習得のプログラム 
3)その他のプログラム 

第2章 言語発達遅滞の評価
■1 評価の目的 
1)評価の目的と情報 
2)評価と訓練 
■2 評価に必要な情報 
1)生育歴 
2)現 症 
3)関連領域の専門的情報 
■3 評価・検査法 
1)言語評価 
2)全般的な発達の評価 
3)知能検査 
4)国リハ式〈S-S法〉言語発達遅滞検査(略称:〈S-S法〉言発検査) 
■4 情報の整理 
1)標準との比較 
2)個体内プロフィール 
3)要因との対応 
■5 評価のまとめ 
1)臨床像の把握 
2)予後の推測 
3)訓練適応 
4)訓練指導の方針 
■6 評価の実際 
1)検査の実施と記録 
2)評価実施上の留意点 
3)評価の思考・作業過程 
4)症 例 


第3章 言語発達遅滞の訓練指導・療育
■1 訓練指導(働きかけ)の目的 
1)ASHAの臨床モデル 
2)言語発達遅滞の訓練指導(働きかけ)の目的 
■2 訓練指導(働きかけ)の一般的原則 
1)言語環境の整備 
2)関連要因の除去,軽減,補償 
3)直接的な働きかけ 
■3 言語・コミュニケーションを発達促進させるアプローチ 
1)総合的な発達・自立生活援助 
2)言語・コミュニケーションに焦点を当てたもの 
■4 訓練プログラム・働きかけ 
1)症状(状態)に応じた働きかけ 
2)訓練プログラム 
3)記号形式-指示内容関係(理解)の成立・発展のための働きかけ
4)基礎的プロセス 
5)コミュニケーションの成立・発展のための働きかけ 
6)文字言語学習 
7)発信・表現 
8)数 
■5 プログラムの立案・実行 
■6 訓練室・家庭・集団場面の連携  言語環境の調整 
1)子どもとの一般的な接し方 
2)家庭生活場面での活動 
3)通園施設での活動 
4)家族とSTとの連携の実際 
 

第4章 言語発達遅滞の経過・予後
■1 言語理解(受信)を中心とした症例報告 
1)言語未習得のダウン症候群(A群→C群,コミュニケーション態度良好)
 :理解語~3語連鎖のプログラム,文字,数,質問-応答のプログラム 
2)言語未習得の自閉的な軽度言語発達遅滞(A群→C群,コミュニケーション態度非良好)
 :理解語~2語連鎖のプログラム,文字学習プログラム 
3)言語未習得の軽度言語発達遅滞(A群→C群,コミュニケーション態度良好)
 :理解語~3語連鎖のプログラム,質問-応答関係のプログラム 
4)言語未習得の重度発達遅滞(A群→T群,コミュニケーション態度良好)
 :理解語のプログラム 

5)言語未習得の自閉的な重度言語発達遅滞(A群→T群,コミュニケーション態度非良好)
 :理解語のプログラム 
6)視覚系が聴覚系より優位な言語未習得児(A群→C群,コミュニケーション態度非良好)
 :理解語のプログラム,文字学習プログラム,発語訓練プログラム 
7)助詞の学習を行った小学生(C群,自閉症)
 :語連鎖のプログラム,質問-応答関係のプログラム 
■2 音声表現を中心とした症例報告 
1)特異な経過をたどった知的境界域の症例(T群→B群→C群,コミュニケーション態度良好)
 :語連鎖のプログラム,文字学習プログラム,文字を媒介とする発語訓練プログラム 
2)音声発信困難:文字を媒介とする発語訓練が有効な症例(B群→C群,コミュニケーション態度良好)
 :文字を媒介とする発語訓練プログラム 
3)音声発信困難:代替的手段(AAC)を必要とした自閉症児(B群→B群,コミュニケーション態度非良好)
 :文字を媒介とする発語訓練プログラム,文字学習プログラム 
■3 その他の症例報告
1)音の分化が困難な小学生(T群あるいはB群からの移行,自閉症)
 :発語・構音プログラム 
2)文字言語学習を行った小学生(C群,コミュニケーション態度良好,ダウン症候群)
 :文字学習プログラム 
3)質問-応答関係の学習を行った自閉的な言語発達遅滞(A群→C群,コミュニケーション態度非良好)
 :理解語のプログラム,語連鎖のプログラム,文字学習プログラム,質問-応答関係のプログラム 
4)自閉的な言語発達遅滞のコミュニケーション行動の発達(A群→C群,コミュニケーション態度非良好)
 :初期の探索的な働きかけ 
5)知的障害に伴う言語発達遅滞のコミュニケーション機能の発達(A群→C群,コミュニケーション態度良好,ダウン症候群)
 :育児記録を中心に 
6)9歳時言語未習得から発語の可能となった症例(A群→C群,コミュニケーション態度非良好,自閉症)
 :理解語~3語連鎖のプログラム,文字学習プログラム 
7)遅滞の要因が重複して重度な言語発達の遅れをきたした症例(A群→C群,コミュニケーション態度良好)
 :身ぶり~語連鎖プログラム,発信プログラム,文字学習プログラム 
■4 予後に関連する要因 
1)言語発達の予測 
2)予後に関連する要因 
■5 言語理解(受信)の予後
1)事物の記号の獲得のされ方(理解面)
2)事物の記号から語連鎖の獲得(理解面)
3)言語理解の縦断的変化の一般的傾向 
■6 音声表現(発信)の予後 
1)言語理解と発語の関係(4,7,10歳時)
2)言語理解と年齢と発語の関係 


第5章 臨床研究について
■1 臨床と研究 
■2 研究方法と特徴 
■3 今後の研究の必要な領域 
■4 臨床・研究の発想 
1)上昇法と下降法 
2)臨床的な観察や家族の報告 
■5 臨床・研究を行う際の留意点 
1)情報の識別 
2)進め方 


付 録
1 初期の言語理解――通過率(%) 
2 初期の音声表現――通過率(%) 
3 構音からみた五十音 
4 正常発達にみられる音の誤り 
5 ある女児の対義語の習得 
6 3歳前後までの構文の発達過程 
7 日常的質問への応答 
8 言語理解と言語障害の種類 
9 事物の操作から音声を用いるコミュニケーションへ  あるダウン症候群児の場合 
10 訓練手続きと様式(言語未習得レベル) 
11 問診による記号の発達段階の推測 
12 評価する言語の領域 
13 言語発達遅滞児に使用している検査 
14 セッション間の流れと1セッション内の構成(言語未習得の例) 
15 セッション間の流れと1セッション内の構成(2語連鎖を学習する学童の例) 
16 訓練の過程:プリテスト-訓練-ポストテスト-転移 
17 訓練手続きの階層的な関係 
18 言語未習得の働きかけ 
19 ビー玉-容器(小球を穴に入れる)課題の多様化・拡大 
20 生活場面の単語 
21 実物の操作・事物はめ板とも困難な段階1  A群N.O.君への働きかけ 
22 子どもの応答を求める質問の種類 
23 初期の応答の訓練プログラムの材料の例(動作) 
24 幼児期の中度言語発達遅滞児の発語の変化(絵:音声,3:11~小1) 
25 中度言語発達遅滞児の発語の変化(絵:音声・身ぶり,4:8~小5) 
26 重度言語発達遅滞児の発語の変化(絵:音声・身ぶり,小6~高1) 

索 引 



コラム
1 発達の連続性――全体が地続きで絶対的な境目はない 
2 健常児も事物の名称が言えるようになる前に,機能的操作(“慣用操作”)を行う
 ――ボールを投げる→「ポン」→「ボール」 
3 初期の理解(受信)を知る方法 
4 STの初めての動作語(他動詞)の理解訓練(1970~1971) 
5 初期の3語連鎖の理解学習における“状況絵の分解・合成”(1972) 
6 機能的操作の派生;機能的操作はどこまで行くのか――類名・なぞなぞまで(0~3,4歳) 
7 自閉症ではコミュニケーション態度の評価・訓練が不可欠

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序文

序文 改訂にあたって

 本書では,発達年齢6歳までの言語・コミュニケーションの発達について,評価と訓練指導を中心に取り上げている.本書が対象とする言語発達遅滞は,言語発達障害学の大きな部分を占めている.なお,言語発達障害学の他の部分を占めるのが,脳性麻痺と軽度発達障害である.

 筆者および筆者の属する研究チームは1960年代から,言語発達遅滞児において音声と意味がどのようにしてつながるか,つながらない場合どのような他の手段があるか,どのような状況・文脈で音声や他の手段を使うかを知るために,訓練の現場で家族と症例に教わりながら試行錯誤と検討を重ねてきた.そして,様々なご指導の下に評価と訓練指導の全体が〈S-S法〉としてできあがった.本書は〈S-S法〉の内容を中心とし,さらにその他の方法の紹介で成り立っている.

 「言語治療」に関する状況は,この11年間に歴史的転換期を迎え,大きく変化した.言語聴覚士法の施行で第1回言語聴覚士国家試験が平成11年(1999)に実施され,言語治療を担当する専門職は「言語聴覚士」となった.言語聴覚士が国家資格となることで,教育,医療,福祉との連携の機会は増加し,言語聴覚士が対象とする領域は拡大している.本書は初版の刊行後11年の間,多くの読者の支持をいただき増刷を繰り返してきたが,この10年間の進歩を加える必要を感じるようになり大幅な改訂を行った.

 新しく書き加えたのは,初診評価の作業・思考過程(第2章),単語獲得期および2語連鎖の訓練の実際,家族との連携の実際(第3章),発語が可能になった初診9歳の言語未習得児(第4章),今後の研究の必要な領域(第5章),事物名称の発語の変化(付録),コラム,他である.
 また,改訂版では,各章がより明確に理解できるように,各章のテーマを「質問文」で始める形で記し,本文はそれに対応して再構成して,章末に「現時点での解答」を記した.

 分かり合って生きることに喜びを感じ,そのために努力をしている人に本書が役立つことを願いたい.特に,ことばの遅れた子どもの評価を初めて行う臨床家の方,訓練プログラムを知りたい方,成長後の達成に関心のある方,臨床研究に興味のある方,ことばの遅れた子どもと家族の奮闘を知りたい方々に本書を利用していただけると幸いである.  

 イラストを作成してくださった香川県立高松養護学校谷口公彦氏と,出版の労をとってくださった診断と治療社の海津綾様にお礼を申し上げます.

2009年9月
帝京平成大学健康メディカル学部言語聴覚学科教授
小寺富子