HOME > 書籍詳細

書籍詳細

シリーズ ボツリヌス治療の実際

ボツリヌス治療総論診断と治療社 | 書籍詳細:ボツリヌス治療総論
ボツリヌス毒素製剤の基礎知識

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野(神経内科)教授

梶 龍兒(かじ りゅうじ) 総監修

国立精神・神経センター病院神経内科 医長

坂本 崇(さかもと たかし) 編集

榊原白鳳病院 診療顧問

目崎 高広・他(めざき たかひろ) 著

初版 B5判 並製 88頁 2009年11月30日発行

ISBN9784787817358

正誤表はPDFファイルです.PDFファイルをご覧になるためにはAdobe Reader® が必要です  
定価:本体3,800円+税
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


多様な有用性を有し,目覚ましい進歩を続けるボツリヌス毒素療法を解説したシリーズ第二弾.シリーズのベースともなるボツリヌス毒素製剤の知識を,毒素の歴史・構造から製剤の種類,実際の治療手順,管理・定量法まで網羅.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

ボツリヌス治療総論
総監修の言葉
 ……………………………………梶 龍兒 
編集にあたって
 ……………………………………坂本 崇 
執筆者一覧

第1章 ボツリヌス毒素の歴史
 ……………………………………目崎高広
1.ボツリヌス毒素の発見前史
2.ボツリヌス治療開発史
3.ボツリヌス治療の実用化と発展

第2章 ボツリヌス毒素の基礎知識
 ……………………………………小崎俊司
1.ボツリヌス毒素の構造
2.神経毒素の作用機序
3.毒素の取り扱い

第3章 ボツリヌス中毒
 ……………………………………小熊惠二,武士甲一,門間千枝
1.ボツリヌス中毒の発生機序
2.臨床症状
3.診断法
4.治療
5.予防
6.おわりに

第4章 ボツリヌス毒素製剤
1) A型製剤
 ……………………………………目崎高広
1.A型ボツリヌス毒素製剤
2.治療実施手順
2) B型製剤
 ……………………………………松本真一
1.B型ボツリヌス毒素の薬理作用
2.B型ボツリヌス毒素の臨床
3.B型ボツリヌス毒素の副作用
4.抗毒素抗体
5.製造法
6.貯蔵
7.おわりに
コラム その他のボツリヌス毒素製剤
 ……………………………………坂本 崇
 
第5章 ボツリヌス毒素研究と将来展望
1) 品質管理とその定量法
 ……………………………………高橋元秀
1.生物学的製剤としてのボツリヌス毒素の品質管理
2.ボツリヌス毒素の定量法と動物実験の必要性
3.ボツリヌス毒素の管理に必要な規則
4.代表的なボツリヌス毒素の定量法
5.ボツリヌス抗毒素抗体の定量法と治療用ウマ抗毒素製剤
2) 将来展望
 ……………………………………坂本 崇
1.ボツリヌス治療の現況
2.低分子量ボツリヌス毒素製剤の開発

索 引

ページの先頭へ戻る

序文

総監修の言葉
 わが国でのボツリヌス毒素療法は,1980年代後半から臨床試験が始まり,1996年に眼瞼痙攣に対しての治療が認可されて以来,2000年に片側顔面痙攣,2001年に痙性斜頸,2009年に小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して適応が拡大されてきた.使用に関してはいまだ厳しい制限が課せられているものの,海外では本治療法に関する研究は進歩を続けて治療効果をあげている.
 こういった時代背景を鑑み,近年,わが国でもボツリヌス毒素療法に対する保険適用疾患が拡大されつつあり,著効例も多く報告されるようになってきた.
 しかし,治療を受ける患者側のニーズも高まっているなかで,事故事例なども報告されており,治療を施す医師は正しい知識と手技を身に付け,安全かつ適正に実施しなければならない.さらに,ボツリヌス毒素療法は様々な診療科において実施されているため,それぞれの領域での専門知識の習得も必要不可欠である.
 そこで,ボツリヌス毒素療法を診療科ごとに取り上げ,手技・コツ・禁忌事項などを盛り込むとともに,写真・イラストを用いて多数の症例をわかりやすく解説したシリーズを企画するに至った.総監修者としては,まずシリーズ構成を決定し,各巻診療科別にその領域の第一人者の先生方に編集をお願いした.
 今回発刊された『ボツリヌス治療総論─ボツリヌス毒素製剤の基礎知識─』はその第二弾である.
 本書が有効に活用され,ボツリヌス毒素療法の発展に寄与することを心より祈願している.

2009年11月
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座
臨床神経科学分野(神経内科)
教授 梶 龍兒




編集にあたって
 今から10年前,1999年のことである.現在も“Botulinum and Tetanus TOXINS”として組織されている会合がOrlandoで開催された.当時,京都大学神経内科電気生理教室に所属していた筆者は,その責任者である梶 龍兒先生の指示で,同学会に参加することになった.文字通りボツリヌス神経毒素・破傷風毒素に関する基礎研究中心の学会で,わが国から臨床医で参加されたのは目崎高広先生と鈴木俊明先生(現 関西医療大学保健医療学部臨床理学療法学教室 教授)くらいであった.もともと(この時点では)アジア人のあまり多くない集まりであったと記憶しているが,それゆえにコーヒーブレーク時たまたま同じテーブルについた同朋と話が弾んだ.これが小崎俊司先生との出会いである.私たちはボツリヌス毒素製剤精製に関する基礎研究のお話を伺い,また先生方は臨床の現場の需要や問題点などに関心をもたれ,お互いの立場から非常に興味深く議論する時間を楽しむことができた.
 基礎・臨床のcollaborationの具体化は,ヒューマンサイエンス政策創薬研究事業という形でその端緒についた.小熊惠二先生率いる「ボツリヌスA~F型神経毒素を用いたジストニア等の治療方法の確立」(平成13~15年)に始まり,以降,この班研究は「ボツリヌス神経毒素有効成分を利用したジストニア・痙縮等の治療法の確立と筋萎縮性側索硬化症に対するdrug delivery systemの開発」(平成16~18年,梶 龍兒班長),「ボツリヌス神経毒素による中枢情報伝達制御薬の開発―てんかんと難治性疼痛の克服に向けて―」(平成19~21年,銀永明弘班長)へと引き継がれていくことになる.ヒューマンサイエンス研究のユニークなところは「産」「官」「学」の立場を組み合わせた組織にあるといえよう.実際,なかなか接することの少ない基礎研究の先生方とご一緒させていただくことでボツリヌス毒素に関する知識を深めることができ,これは臨床の現場に還元されることも少なくなかった.さらに,高橋元秀先生とは,筆者が現在の職場に移ってからは,同じ「官」の立場でさらに発展させた共同作業の場をもつことができ,大いに刺激になっている.
 本書はこうした共同研究の成果の一端を紹介するものであると考えていただきたい.ボツリヌス研究の世界では唯一無二の執筆陣であり,基礎から最先端のトピックスまで,簡潔明瞭にまとめていただいた.各先生方に深謝したい.そして,本書を通じて次代を担う方々にボツリヌス研究への関心をもっていただければ幸いである.
 本書が完成するまでの間にも,世界をリードする形でボツリヌス研究は着実な歩みを続けている.何年後になるかはわからないが,版が改められる際にはさらに最新の成果がわが国から発せられることを一重に祈念している.

2009年11月
国立精神・神経センター病院神経内科
医長 坂本 崇