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論文を正しく読み書くためのやさしい統計学改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:論文を正しく読み書くためのやさしい統計学改訂第2版

自治医科大学公衆衛生学教室

中村 好一(なかむら よしかず) 編著

改訂第2版 AB判 並製 208頁 2010年09月30日発行

ISBN9784787817945

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定価:本体3,900円+税
  

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医学論文をきちんと理解し、さらに自分で書けるようになることを目指した、初学者のための統計学テキスト。論文を例にとり、あるいは仮想データを用い、統計手法の的確な選び方、Excel、SAS、SPSSによるデータの解析法、解析結果の解釈の仕方などを解説しています。改訂版では、章によっては一から書き直し、コラム、サイドコラムを増やし、図表と本文の配置に気を配るなど、読みやすさをアップさせました。

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目次

第 1 章 「統計」とは………………………………………………笠置文善 

1.統計とは
2.母集団と標本
3.統計手法
4.データの種類と分布 
5.散らばりを考慮した比較 
6.統計手法の選択
7.統計の役割
重要ポイント
FAQ 仮説検証的研究と仮説探索的研究との違いは何ですか? 
 
コラム
モデル 
ノンパラメトリック法 
統計の守備範囲 
データの正規性の確認
データが正規分布にしたがわない場合の記述統計
箱ひげ図 
 
サイドコラム
統計学と統計量 
標本抽出 
疫学での仮説の検証 
ワークファイル 
正規分布と2項分布 
セルの絶対番地
四分位数とパーセンタイル値
率と割合 
モデルにもとづく解析はオールマイティか 


第 2 章 基本的な統計量………………………………………………尾島俊之 

1.統計量の基本
2.統計量の読み方
3.統計量の求め方
重要ポイント
FAQ 正規分布かどうかを判断するにはどうすればよいのですか?

 
コラム
いろいろな標準偏差 
 
サイドコラム
数量化理論 
「質」について 
度数分布と統計量の関係 
範囲 
率ではない「率」 


第 3 章 検定と推定(95%信頼区間)………………………………………………山縣然太朗 

1.検定と推定
2.検定
3.検定の実際
4.推定
5.推定の実際
6.片側検定,両側検定
7.第一種の過誤,第二種の過誤
重要ポイント
FAQ 検定と推定はどちらを使えばよいのですか?

 
コラム
検定法によって結果が違う場合 
自由度 
 
サイドコラム
研究デザインの重要性 
検定結果と推定の併記 
P値は何桁まで記載するか 
検定の帰無仮説の基準とは?
標本の平均値やオッズ比は確率変数 


第 4 章 平均の検定………………………………………………渡邉至 

1.平均の検定と正規分布
2.対応のある検定と対応のない検定
3.分散分析の考え方
4.平均の検定(対応のある場合とない場合)の方法と解釈
重要ポイント
FAQ 正規分布しない場合,どうすればよいのですか?
 
コラム
等分散でない場合の対応のないt検定 
 
サイドコラム
帰無仮説を棄却できなかった場合 
[分析ツール]の利用 
自由度 


第 5 章 割合の検定………………………………………………西信雄 

1.割合の検定の基本
2.割合の検定の読み方
3.割合の検定の方法
4.これだけはやってはいけない
重要ポイント
FAQ どうしてカイ2乗分布というのですか?

 
コラム
本質的に同じ2つの検定 
 
サイドコラム
確率密度関数への近似 
老人保健事業の評価 
マッチド・ペア 
フィッシャーの直接確率検定
階乗とコンピュータ 


第 6 章 相関係数………………………………………………三浦克之,上原里程

1.相関係数の基本
2.相関係数の読み方
3.相関係数の求め方
4.相関係数の落とし穴
重要ポイント
FAQ 相関係数と回帰係数とは,どのように異なるのですか? 

 
コラム
「決定係数」とは何か
 
サイドコラム
相関係数と回帰式 


第 7 章 線形回帰………………………………………………黒沢洋一

1.回帰の種類
2.単回帰の回帰直線の求め方
3.重回帰
重要ポイント
FAQ 重回帰分析において,たくさんの変数の中から変数を選び,よいモデルを得るには,どのようにすればよいのですか? 76

 
コラム
平均への回帰 
回帰係数/偏相関係数/重相関係数 
 
サイドコラム
年齢による最大心拍数の予測式 
一般化線形モデル
最尤推定法 
回帰における測定誤差の問題 


第 8 章 共分散分析………………………………………………三浦宜彦 

1.共分散分析の基本
2.共分散分析の方法
3.共分散分析の読み方
重要ポイント
FAQ 平行性の検定が有意であった場合や,有意性の検定が有意でない場合は,どうすればよいのですか?

 
サイドコラム
共変量


第 9 章 オッズ比………………………………………………中村好一 

1.オッズ比の基本
2.オッズ比の読み方
3.オッズ比の求め方
4.これだけはやってはいけない
重要ポイント
FAQ 相対危険とオッズ比はどのように異なるのですか?

 
コラム
SPSSの裏技
 
サイドコラム
種々の多変量解析 
ガンマグロブリンが巨大冠動脈瘤のリスク?
対応がある2×2表は併合できるか?
交互作用が存在するか? 
コンディショナル・ロジスティック回帰分析とアンコンディショナル・ロジスティック回帰分析という名前について
多変量解析(数学的モデリング)の限界 


第 10 章 ロジスティック回帰………………………………………………笠置文善,杉山裕美 

1.ロジスティック回帰モデル
2.ロジスティック回帰モデル解析の例
3.オッズ比
4.文献にみるロジスティック回帰モデル
(有病率解析)
5.文献にみるロジスティック回帰モデル
(症例対照研究)
6.SASによるロジスティック回帰分析
7.3値変数のロジスティック回帰モデル
重要ポイント
FAQ コホート研究における生存率解析でロジスティック回帰
分析は使えないのですか?

 
コラム
ロジスティック関数 
ロジスティック回帰モデルの限界 
コホート研究における発症相対危険と発症オッズ比 
 
サイドコラム
対数の表記 
分析結果の表示 
回帰係数とオッズ比
相対危険と有病率比 

第 11 章 コックスの比例ハザードモデル………………………………………………三浦宜彦 

1.ハザードとは
2.コックスの比例ハザードモデル
3.コックスの比例ハザードモデルの特徴
4.解析手順
5.変数について
6.コックスの比例ハザードモデルの読み方
重要ポイント
FAQ コックスの比例ハザードモデルとロジスティック回帰
モデルとの違いは何ですか?

 
サイドコラム
コックスの比例ハザードモデルと重回帰分析 
率比 
時間依存性共変量 

第 12 章 その他の多変量解析………………………………………………山縣然太朗 

1.多変量解析の意義
2.多変量解析の種類
3.ポアソン回帰分析
4.因子分析
5.共分散構造分析
6.研究デザインの重要性
重要ポイント
FAQ 解析する変数が多い場合にはどうすればよいですか? 

 
コラム
マルチレベル解析 
複雑な統計解析より研究デザイン 

サイドコラム
統計ソフトによる結果の違い 
ln(λ)とは 
因子分解する際の因子数の決定法 
Varimax回転とは
矢印の向き
共分散構造分析のための統計ソフト 


第 13 章 生存分析(カプラン・マイヤー法)………………………………………………尾島俊之 

1.カプラン・マイヤー法の基本
2.カプラン・マイヤー法の読み方
3.カプラン・マイヤー法の計算方法
重要ポイント
FAQ 研究期間の終了まで追跡できた症例についても,なぜ「脱落」というのですか?

 
コラム
生命表と健康寿命 
 
サイドコラム
生存率
脱落例の表示 


第 14 章 標準化………………………………………………西信雄 

1.標準化の基本
2.標準化の読み方
3.標準化の方法
4.これだけはやってはいけない
重要ポイント
FAQ 「標準化」には別の意味もあるのではないでしょうか?

 
サイドコラム
観察人年 
年央人口 
直接法と間接法 
がんの部位別罹患率 
自殺の標準化死亡比 


第 15 章 ウィルコクソンの符号付順位和検定………………………………………………三浦克之,上原里程 

1.ウィルコクソンの符号付順位和検定の基本
2.ウィルコクソンの符号付順位和検定の読み方
3.ウィルコクソンの符号付順位和検定の方法
重要ポイント
FAQ ある参考書に「ウィルコクソンの順位和検定(Wilcoxon rank sum test)」という表現がありました.これはウィルコクソンの符号付順位和検定と同じですか? 148


第 16 章 マン・ホイットニーのU検定………………………………………………黒沢洋一 

1.マン・ホイットニーのU検定の計算
2.統計学的検定の解釈
3.対応のある2群の差の検定
重要ポイント
FAQ 表3の例においては,FTSBP%の差に性,年齢,治療状
況などの血管の反応に関与する交絡因子が影響しているのではないですか?


第 17 章 スピアマンの順位相関係数………………………………………………渡邉至 

1.スピアマンの順位相関係数の基本
2.スピアマンの順位相関係数の解釈
3.スピアマンの順位相関係数の求め方
4.ピアソンとスピアマンの相関係数の比較
重要ポイント
FAQ 相関係数に95%信頼区間が付記されていることがありますが,どういう意味ですか?

 
コラム
ケンドールの順位相関係数 
 
サイドコラム
カテゴリー・データとスピアマンの順位相関係数 


第 18 章 感度・特異度・ROC曲線………………………………………………渡邉至 

1.感度・特異度・ROC曲線に関連する指標の定義
2.感度・特異度の基本
3.感度・特異度・ROC曲線の読み方と解釈
4.陽性反応的中度と有病率
5.感度・特異度と偽陰性率・偽陽性率
6.事前確率と事後確率
7.陽性尤度比と陰性尤度比
8.尤度比と陽性反応的中度
9.複数の検査と感度・特異度
重要ポイント
FAQ スクリーニング検査に適した疾患とはどのようなものですか?

 
コラム
指標として(a+d)/(a+b+c+d)は有用か? 
 
サイドコラム
スクリーニング検査と感度・特異度 


第 19 章 一致性の観察………………………………………………上原里程 

1.どのようなときに一致性の観察が必要か
2.カッパ統計量
3.クローンバッハのアルファ係数
重要ポイント
FAQ カッパ統計量がどれくらいなら一致度が高いといえるのでしょうか?


コラム
再現性と妥当性 
ブランド・アルトマンの方法 
一致度の評価に「相関係数」は不適である 

サイドコラム
スケールの作成 


 <付録1> 本書で用いるExcel関数一覧……………中村好一 
 <付録2> 本書で用いるSASプロシジャ一覧………渡邉 至

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序文

改訂の序

 思えば,本書の初版が上梓された前年の2005年は,初版の執筆や編集に結構時間を費やした.そもそもの本書のポリシーはその前年に株式会社 診断と治療社から提示され,これに「乗った!」とばかりに執筆者を厳選して執筆依頼し,当初のポリシーどおりの書籍ができあがった.このポリシーについては,この文章の後に掲載されている「初版の序─本書の使い方─」を参照していただきたい.

 初版は結構よい本だと自画自賛している.おかげでそれなりに売れた.しかし,編者として気になっていたのは,「章によって濃淡がある」という事実であった.初版発行当時は,分担執筆なので,ある程度はやむを得ない側面もあると考えていたが,熱心な読者からの指摘もあり,読みやすさを考慮すれば,できるだけ早く改善したいと考えていた.しかしながら,出版されてすぐに,というわけにもいかず(あまりにも節操がなく,みっともない),そうこうしているうちに,診断と治療社から「さらに初心者向けのコメディカルスタッフを対象とした本はどうでしょうか.統計学のみでなく,研究の進め方や研究結果の公表も含めて」という魅力的な提案もあり,では,そちらを仕上げてから,次は本書の改訂を,ということで,昨年,本書の姉妹書にあたる『医療系のためのやさしい統計学入門』を出版し,そしてようやく本書の改訂に取り組むことができたのである.長い道のりであった.

 本書は初版を元にして,前述の濃淡をできるだけ減らしたものとした(つもりである).加えて,サイドコラムなどの本文以外の記述を増やし,読者の理解を助けるようにした(つもりである).初版の目論見を踏襲して,(1)まず,論文が読めるようになればよい,(2)加えて,見よう見まねで統計が使えるようになればもっとよい,という根源的な部分は変更していない.引き続き本書が読者の統計学への糸口となれば幸いである.

 最後になるが,改訂にあたり,統一をはかるために大幅な書き直しを行ってくれたり,初版のものよりもよりわかりやすい図を多くの論文の中から探し出してきてくれたりと,よりよいものを作成するために努力を惜しまない執筆者と,本書の作成をサポートしてくれた株式会社 診断と治療社編集部の土橋幸代・松本志保の両氏への感謝の意を表したい.

  2010年8月

中村好一




 初版の序 ─本書の使い方─

 本書はタイトルのとおり,論文の読み書きができることを目指した教科書である.前提条件がいくつかあり,(1)医学論文を対象とすること,(2)まず論文中の統計が理解できるようになること,(3)そして統計を正しく使った論文が書けるようになること,この3点を理解したうえで執筆するように分担執筆者にはお願いをした.各章の執筆者はそれぞれの章の課題に最もふさわしい研究者を選定したが,前提条件のもとでも各人の思想が現れており,章によって若干(相当?)体裁などが異なるが,各執筆者が「これがベスト」と信じて書いたものであるため,あえて統一はしなかった.

 「読む」ということについては,「内容を理解する」と言い換えてもよいだろう.医学論文で出てくる主な統計手法や用語について,「何をやっているのか」ということや,「この数値が意味するものは何か」ということが理解できることを目標とした.

 「書く」ことについては,その前の段階として,「統計解析できる」ということがある.コンピュータとソフトウェアの発達により,20年ほど前であれば大型コンピュータでプログラムを書いて処理しなければならないようなことが,今ではパーソナルコンピュータでもいとも簡単に(というと,言い過ぎか?)できるようになった.特に通常よく使われている表計算ソフトのExcelでは,単純な重回帰分析以外の多変量解析(ロジスティック回帰分析など)はちょっと難しくても,医学研究で通常使われるそれ以外の統計解析はちょっと工夫すれば何とかなるような状況である.そこで本書では,まずExcelで問題解決する方法を提示することを第一とした.

 Excelで対応できない統計解析においては,医学研究の分野でよく用いられているSASかSPSSを用いて解析する方法を一部で示した.これら2つのアプリケーションの性能は,優劣つけがたいものがある.ただ,SPSSはExcelのような表計算ソフト的な使用法が可能であり,SAS言語を用いてプログラムを作成しなければならないSASよりも初心者には取っつきやすい面がある.もちろん,両者をマスターする必要はなく,どちらか一方で充分である.また,Excelで提示された方法であっても,SASやSPSSを利用したほうがずっと簡単,ということもあるので,どちらかのアプリケーションを一応使いこなせるようになることをお勧めする.


 統計は,難しいようで,実は簡単で,やっぱり難しい.難しいことを考えなければ,理屈抜きで㈰使い方を誤らずに,㈪とにかく見よう見まねで使えるようになれば,何とかなるものである.
 そのために本書では,可能であれば実際に刊行された論文の中から,それが不可能な場合には仮想データを作成してまでも,例を多用した.本書で示された例の中に自分のデータを置き換えていけば,何とか結果が出るので,使い方だけは誤らないようにしてやっていただきたい.
 「私は統計学の難しい話は知らなくてもよい」と考える向きは,これで充分である.例の中には反面教師的に引用したものもあるが,医学の研究を志す人たちに同じ轍を踏んでいただきたくない,という考えに基づくものであり,その著者を非難するつもりはないことをご理解いただきたい.

 逆に統計学は奥が深く,最後は哲学のようになってしまう.本書の各章にはそれぞれの執筆者の哲学が如実に表れているが,これを議論しはじめると本書のページ数ではとても収まりきれるものではない.
 一例を挙げれば,カイ2乗検定(「χ自乗検定」など表記方法にすら,哲学が現れる)を行う際にイエーツの補正を用いるかどうかについて,どちらが正しいという正解はなく,各人が「哲学」を主張しているものである.このような難しい話は別の書籍にまかせたい.

  2006年4月

中村好一