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頭痛クリニック4診断と治療社 | 書籍詳細:頭痛クリニック4
一歩リードできる片頭痛治療

寺本神経内科クリニック院長 

寺本 純(てらもと じゅん) 著

初版 B5判 並製ソフトカバー 2色刷り 108頁 2010年10月25日発行

ISBN9784787818096

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定価:本体3,000円+税
  

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トリプタン一辺倒の治療に陥ることなく,実践上の対応を踏まえるために,従来からある断面的な記載を廃し,病像の広がりや膨らみ,治療の経時的変化に対するしなやかな対応ができるように懇切丁寧な解説を満載.片頭痛特有の問題点を洗い出し,それに対するクリニカルな記載により,通常のマニュアルからは得られない,現場での的確かつ実践的な対応策をクリアカットに詳述した頭痛診療における類書のない必携書.

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目次

はじめに
著者紹介

評  論
 A 頭痛外来は確立することができるのか?
片頭痛の診断
 A 片頭痛の診療を前にして
 B 診断①――診断上必須な確認事項
 C 診断②――診断上重要な確認事項
 D 診断③――しばしば参考になる所見
 E 診断④――非定型あるいは特定条件で変化した病態の診断
 F 診断⑤――まれにみられる片頭痛の関連合併症
片頭痛の治療
 A 治療に先立って
 B 抑制治療①――前兆や前駆症状の発現前の時点で頭痛発現を抑制する方法
 C 抑制治療②――頭痛発作抑制治療
 D 予防治療①――予防治療の目的
 E 予防治療②――片頭痛予防薬
臨床統計
 A 臨床統計

文  献
付録―読者への呼びかけのページ
索  引
和文索引
欧文索引

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序文

はじめに 




 『頭痛クリニック』シリーズもこれで4巻目となった.第1巻では広く頭痛の治療について紹介したが,第2巻以降は,個々の頭痛について,より詳細な情報を提供する目的で,第2巻では緊張型頭痛を,第3巻では群発頭痛を取り上げ,今回は片頭痛を取り上げることにした.片頭痛を最初に上梓しなかったのには,実はわけがある.
 片頭痛については,欧米では最も研究成果の多い頭痛であり,“中心的”な頭痛と考えられている.トリプタンの発売に伴って,この10年間は片頭痛に関する啓蒙活動が華やかであった.“片頭痛に非ずんば頭痛に非ず”,“そこのけそこのけトリプタンが通る”といった姿勢が頭痛学を少なからず席捲してきたようにみえてならない.
 トリプタンは何も悪い薬ではない.使用のタイミングのむずかしさなどはあるが,片頭痛治療に大きく貢献したことは間違いない.
 しかしトリプタンメーカーからの物心両面からの援助という形で頭痛診療をリードすることは,もはやできなくなるだろう.トリプタンの特許切れも近づきつつあるし,トリプタンのOTC(over the counter)化などの側面があるからである.
 従来の啓蒙活動の影響で,片頭痛のみを対象とした頭痛外来が国内随所で実施されたが,現実的にはそれをうまく継続できている施設はごくわずかである.片頭痛のみに限定することも問題であるが,わが国の実情のなかで,純粋に頭痛診療を継続していくのには,単に担当医の資質だけでなく,いくつかの困難な点があるからである.
 まずあげられるのは,採算の問題である.以前から頭痛診療を実施している施設でも,診断に必須とされるわけではない画像診断を加えたり,心理検査,血液検査なども併せて実施したり,特定疾患療養管理料を取れる病名をこじつけたりするなど,無理をしないことには採算が合わないのである.頭痛診療の普及にとって,これが最大の問題点になっているかもしれない.
 診療を継続している施設でも,いずれ突き当たりを感じるようになるだろう.現在の保険規則,保険適用,診療報酬などの背景要因を考えると,治療選択域の狭さのために,ある意味で頭痛を早めに難渋化させてしまう可能性がある.“予防線的診断名”にすぎない薬物乱用頭痛に戦々恐々とせざるをえない状況が迫ってきているのである.
 この難局をクリアするには,トリプタンの処方ばかりに目を向けることをやめ,いったん原点に帰って,冷静に目の前の患者を観察して見直してみることが重要と考えられる.
 片頭痛は,わが国では欧米の文献に記されている所見とはいささか異なる部分も少なくない.そういった点を心得ていなければ,患者からみたとき質的に良好な診断が下されたと感じられないことがあるのは事実である.このことは治療の選択や成果にもてきめんに反映される.また治療に用いられる薬剤に関していえば,経験ある医師ならごく自然に処方するようなものでも,文献にはまだほとんど記載されていない薬物が数多く存在するのだが,“トリプタン頭痛学”以来,トリプタン一辺倒となってしまって,それらの十分な知識が広められていないと思われる情勢になっている.
 また片頭痛は20歳くらいまでに発症し,60歳くらいから自然に軽減・消失していく慢性疾患であることを考えると,あらゆる年齢層でいつも同様の症状を示すわけではなく,その病像などを観察したうえで,変化に対応した治療が必要となるのはいうまでもない.
 本書では,実践上の対応を踏まえるために,従来からある断面的な記載に陥ることなく,病像の広がりや膨らみ,治療の経時的変化に対するしなやかな対応などについて,なるべく言及するようにした.
 本書の記載内容を先入観などをもたずに理解してもらえるならば,従来,全く頭痛患者に対する経験がなかった医師であっても,平均的病像の片頭痛患者はもちろんのこと,ある程度複雑化した病状の片頭痛患者を含めて,90%くらいの片頭痛患者に対して患者が納得する程度には対応できるようになると自負している.
 品性のよい片頭痛治療の拡充を望んでやまない筆者としては,本書がその一翼を担うことができれば,望外の喜びである.
2010年9月
寺本神経内科クリニク院長
寺本 純 識