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臨床医必携―全身とかゆみ診断と治療社 | 書籍詳細:臨床医必携―全身とかゆみ

京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授

宮地 良樹(みやち よしき) 編集

初版 A5判 並製 200頁 2011年07月05日発行

ISBN9784787818355

定価:本体3,800円+税
  

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長らく痛み研究に遅れをとっていたかゆみ研究の,神経生理学,皮膚生理学における近年の目覚しい進展の知見をわかりやすく,臨床に資するように,当該分野のエキスパートが懇切に配慮してまとめ,全診療科の医師がわきまえておくべき適切な臨床決断と治療の種々相を詳述した.全ページカラー印刷.

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目次

臨床医必携─全身とかゆみ
Contents

序  文  宮地良樹 
執筆者一覧 
A かゆみとは何か
1 かゆみのメカニズム─最新の知見  生駒晃彦
Column 1 発汗とかゆみ  横関博雄 
Column 2 脳機能画像とかゆみ  望月秀紀 
Column 3 抗ヒスタミン薬が効かないかゆみ 外川八英/神戸直智 
Column 4 小児とかゆみ  末廣 豊 
Column 5 高齢者とかゆみ  椛島健治 
2 かゆみの評価法  江畑俊哉 
Column 6 痛みとかゆみ  國本雅也 
Column 7 ドライスキンとかゆみ  加藤則人 
Column 8 かゆみ過敏とは  生駒晃彦 
Column 9  破の功罪  宮地良樹
Column 10 かゆみとうつ  山本洋介 
3 かゆみの治療法 
a 薬物療法  森田栄伸 
Column 11 セマフォリンとかゆみ  冨永光俊/高森建二 
Column 12 抗ヒスタミン薬の止痒以外の効能   佐藤伸一 
Column 13 抗ヒスタミン薬のインペアード・パーフォーマンス 幸野 健 
Column 14 タクロリムスの止痒効果  豊田雅彦 
b 理学療法  室田浩之 
B 全身とかゆみ
1 腎疾患のかゆみ   
a 慢性腎不全・透析のかゆみ  段野貴一郎 
b 慢性腎不全・透析のかゆみの治療  熊谷裕生 
Column 15 透析でみられる皮膚変化  衛藤 光
Column 16 オピオイドとかゆみ  安東嗣修 
2 肝疾患のかゆみ 
a 原発性胆汁性肝硬変のかゆみと治療  村田洋介 
b 肝炎のかゆみと治療  藥師神崇行/竹原徹郎
Column 17 肝疾患でみられる皮膚変化  落合豊子 
3 造血疾患のかゆみ 
a 悪性リンパ腫のかゆみと治療  戸倉新樹
b 鉄欠乏性貧血・真性赤血球増加症のかゆみと治療  狩野葉子
Column 18 分子標的薬による発疹  松村由美
4 内分泌疾患のかゆみ 
a 糖尿病のかゆみと治療  末木博彦
b 甲状腺疾患のかゆみと治療  河内繁雄
Column 19 糖尿病でみられる皮膚変化  谷岡未樹 
Column 20 甲状腺疾患でみられる皮膚変化  宇谷厚志
5 妊娠のかゆみと治療  寺木祐一 
6 膠原病のかゆみと治療  長谷川 稔 
Column 21 多発性硬化症のかゆみ  井上聖啓
7 心因性のかゆみと治療  羽白 誠 
8 薬物性のかゆみ  大谷道輝 
Column 22 かゆみを起こす食品  立花隆夫 
索  引
和文索引 
欧文索引 

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序文

序  文
 かゆみは皮膚科診療で最もよく遭遇する愁訴であるが,医師は“たかがかゆみ”と軽視しがちである.確かに痛みに比べると,重症感に乏しく,生体からの警告サインとしての緊急性や重要度も低そうである.しかし,恒常的にかゆみに悩まされる患者さんからは,“こんなにかゆいなら死んだほうがましだ”というフレーズが出るほど本人にとっては辛く耐えがたい自覚症状であることを失念すべきではない.
 私事にわたる話で恐縮であるが,腎不全で透析をしていた亡父(内科医)が晩年,“君も皮膚科医ならこのかゆみを何とかできないものか”としみじみ語ったことがあるが,私をして,かゆみ研究に興味を向けさせた一因となったのは,この一言であった.当時は,皮膚科医も内科医も透析のかゆみに関心が低く,何もしてあげられなかったことが悔やまれる.その後の研究の発展でレミッチ®が上市されたので,今であれば,多少とも父のかゆみを軽減してあげられたのかもしれない.
 かゆみ研究は長らく痛み研究の後塵を拝してきたが,この10年ほどの神経生理学,皮膚生理学からのかゆみ研究の進展はめざましく,その知見の集積には隔世の感がある.編者もこれまでに数冊の皮膚科医向けのかゆみに関する単行本を上梓してきたが,今回は満を持して,すべての臨床医を念頭に“全身のかゆみ”をキーワードに本書を編纂した.多くの臨床医が日常診療のなかで何気なく患者さんから“かゆい”という訴えを耳にしているはずである.しかし,“かゆみは自分が扱う範疇の愁訴ではない”,あるいは“加齢によるのだから仕方がない”,などと考えて無視している向きもある.そのとき,しばし立ち止まって,“もしかしたらこのかゆみは原疾患に起因しているのではないか?”,“自分が投与している薬物が原因かもしれない”と自問すべきである.本書では,そのような臨床現場において“かゆいところに手が届くように”内科的な切り口でかゆみの種々相を当該分野のエキスパートの先生方に丁寧に解説していただいた.
 多くの実地医家が,ささやかではあるが本書によって啓発・触発され,患者さんのQOLを大きく阻害するかゆみに関心をもたれ,適切な臨床決断と治療により,かゆみからの解放に貢献される一助となれば,編者としてこれに勝る喜びはない.
2011年 新緑の京都にて
京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 宮地良樹