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書籍詳細

病態から学ぶ新腎臓内科学診断と治療社 | 書籍詳細:病態から学ぶ新腎臓内科学

京都大学大学院医学研究科内分泌代謝内科 教授

中尾 一和(なかお かずわ) 監修

京都大学大学院医学研究科内分泌代謝内科 准教授

向山 政志(むこうやま まさし) 編集

初版 B5判 並製 226頁 2011年07月18日発行

ISBN9784787818904

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定価:本体4,800円+税
  

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腎疾患総論および各論はもとより,腎臓の生理と病態生理,成因と病態関連因子についても幅広くかつコンパクトに解説.さらに現在の考え方を紹介するとともに,今後の臨床・研究の展望についても記載.腎臓内科学を深めようとする医師あるいは研究者はもちろん,学生・研修医・若手医師にも「腎臓内科学」の教科書として十分に活用できる必携のテキスト.

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目次

CONTENTS
病態から学ぶ新腎臓内科学
口絵カラー
巻頭言(監修者序文)
編集者序文
執筆者一覧

Part I 腎臓の生理と病態生理
1 腎臓の解剖と生理  
2 糸球体の構造・機能と糸球体過剰濾過   
3 尿細管機能と酸・塩基平衡および水・電解質調節
4 蛋白尿・血尿
5 食塩感受性と高血圧
6 腎臓と内分泌代謝
7 腎臓と臓器連関

Part II 成因と病態関連因子
1 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
2 ナトリウム利尿ペプチド系
3 NOとプロスタグランジン
4 補体と免疫複合体
5 成長因子と線維化
6 酸化ストレスと炎症
7 糖・インスリンと脂肪細胞由来因子   
8 ADHとアクアポリン   
9 アポトーシスと再生
 
Part III 疾 患  
A  総論および症候群
 1 急性腎不全・急性腎障害  
 2 慢性腎臓病   
 3 水・電解質代謝異常
 4 酸・塩基平衡異常  
 5 末期腎不全とその合併症  
B   腎疾患各論
 1 急性腎炎症候群   
 2 急速進行性糸球体腎炎  
 3 IgA腎症と慢性腎炎症候群
 4 ネフローゼ症候群
 5 糖尿病性腎症
 6 腎硬化症・腎血管性高血圧  
 7 生活習慣病に伴う腎疾患
 8 膠原病に伴う腎疾患
 9 paraproteinemiaに伴う腎疾患
 10 尿細管間質性腎炎
 11 薬剤性腎障害
 12 嚢胞腎と遺伝性腎疾患

Part IV 検 査
1 腎機能検査  
2 尿検査  
3 画像検査   
4 腎生検

Part V 治 療
1 降圧薬
2 ステロイドと免疫抑制薬
3 抗血小板薬と抗凝固薬
4 食事療法
5 透析療法と腎移植
6 EBMと診療ガイドライン
  
索 引  

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序文

巻頭言(監修者序文)
 古来,「教えることは学ぶことである.」と言われており,それ故に教科書をつくること,特に将来性に富んだ医学生や若手医師向けの教科書をつくることは,至上の生涯学習であり,理想的学習活動である.また,全身的把握すなわち内科学の立場を基本姿勢とし,病態から学ぶことを重視して活動してきた腎臓研究室と一丸となって一日一日学習を続けてきた結果,ちょうど20年間の節目を迎えた.機が熟して,「為学には立志が肝要」すなわち学問を為すには目的を遂行する志を立てることが大切であると学び,ここに学習成果の集大成を『病態から学ぶ新腎臓内科学』として編纂する決意をした.
 腎臓内科学の教科書の監修を,内分泌代謝学を専門とする臨床医学研究者(Clinician Scientist)である私が務めるには,恥辱に耐え発憤する覚悟が必須であった.腎臓内科専門医からの適切な批判や自分自身から恥じる心をもって新腎臓内科学の教科書創刊を主導した.腎臓は,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系,エリスロポエチン系の内分泌臓器であり,ナトリウム利尿ペプチド系,抗利尿ホルモン系の標的臓器である.また腎臓にはRAA系とプロスタグランジン系のオートクリン/パラクリン系などが加わる.したがって,その視点は全身的であり,内科的である.監修にあたり,病態の理解を特に重視したのは,言うまでもなく,腎疾患の病態理解の最新状況を学習することにより,次に取り組むべき臨床医学研究課題が見つかり,新規の分子マーカーの発見,それに関連した病態の把握や診断法の開発,それらを利用した創薬へと途切れることなく進展することが期待されるからである.
 私たちがこれまでに書いた論文の数は少なくない.むしろ普通の人より多いと自覚している.論文の投稿と受諾の達成感を味わい,読者の反応を期待しながら論文を書くことは快感であり,苦痛を感じたことは少ない.かける時間と書くタイミングが大切で,それらが論文の運命を決めることも少なくない.総説は,考えがまとまれば,一気に書き上げることも可能で,どちらかといえばやさしい方の分類に入るものであり,これまで困難というべきものは,締め切り時間に間に合わせること以外に感じたことはない.一方,教科書を書くことは,責任と使命を感じ,緊張するものである.論文,総説などとは比較にならない.主観的であることは許されず,客観的なものでなければならない.何処まで解明され,どれ以後は未解決であることを正しく伝えなければならない.当然,冗談やウィットに富んだ表現を使うことは不可能である.さらに,医学書の執筆には,患者さんの生命がかかっている.関連する医学の専門分野の情報が,その教科書に記載された内容に限られることにより,読者の誤解や失望を招き,医学専門家としての人生の進路の選択を誤らせるかもしれない.著者の個人的な考えを反映させすぎることの有害性と危険性を認識して執筆すべきである.それ故に,教科書の創作はこれまであえて避けてきた.
 それでも,内科学会のベテラン会員と認識されるようになり,若いころよりも経験に基づく判断ができるようになってくると,使命感が成長し,久しぶりに教科書創刊に挑戦することになった.今回は,監修者としての教科書づくりである.読者に病態を正しく理解してもらうために,論理的でわかりやすく,新しい情報をもたらし,この教科書を選択したことを喜んでもらえるものであってほしいと考えながら監修した.教科書は最初から読む人もいるであろうし,不十分な知識を補充するために索引を利用して,辞書のように使う読者もいるであろう.表紙のデザインにも,いろいろな注文をつけて編集関係者にご苦労いただいた.腎臓病が全身的な原因で発生すること,腎臓の機能異常は全身的に大きな影響を及ぼすことを象徴的に示す図案を意図したからである.
 今,新腎臓内科学を世に出す喜びと恥辱を腎臓研究室一同と共感している.「学問の師は,天,人,経」と言われてきたように,最上の師は,「天」すなわち「人体の真理と病気の本態」であり,「患者から真摯に学ぶこと」である.次いで「人」は「学習経験豊富な師,あるいは立志の仲間」であり,そして三番目に「経典すなわち教科書を読んで学習すること」である.読者がこの教科書を手に取って,腎臓内科学の「天・人・経」に邂逅されることを祈念している.

 御所の新緑の息吹を浴びながら 

京都大学医学研究科内科学講座 内分泌代謝内科 中尾一和



編集者序文
 このたび,『病態から学ぶ新腎臓内科学』を上梓することができる喜びをかみしめながら,この序文をしたためている.この教科書は,腎臓内科を専門とする若手医師やスタッフのみならず,研修医,学生,他分野を専門とする医師,あるいは臨床系ないし基礎系医学研究者にも役に立つように,できるだけわかりやすく,かつ最新の知識を盛り込んで編集したつもりである.
 心腎連関の例を引き合いに出すまでもなく,腎臓病は単に腎臓という臓器にとどまらず他臓器や全身性の疾患を引き起こし,また多くの全身性疾患はしばしば腎障害をきたす.さらに,水・電解質代謝異常や酸塩基平衡異常,高血圧などの病態を理解するためには,腎臓の病態生理へのアプローチが必須である.しかも,最近の研究の進歩により,腎疾患の成因・進展機序への理解が急速に深まってきた.しかし,これまでの腎臓内科学の教科書の多くは,個々の腎疾患の解説が中心であり,その奥にある病態へのアプローチは必ずしも十分でなかったと思われる.この『病態から学ぶ新腎臓内科学』は,そのような要求に応えるべく,腎疾患総論および各論はもとより,腎臓の生理と病態生理,成因と病態関連因子についてもできるだけ幅広くかつコンパクトに解説を行い,現在の考え方を紹介するとともに,今後の臨床・研究の展望にも触れていただいた.これはひとえに,腎臓内科学を深めようとする医師あるいは研究者に,それぞれの考えを整理し,今後の糧として参考にしていただければと考えたからである.もちろん,学生・研修医・若手医師に対しては腎臓内科学の教科書としても十分に学習と診療に活用できるように,ほぼ必要なすべての腎疾患を網羅できたと自負している.
 腎臓内科学は多くの他の内科領域と接点をもつが,監修および編集者をはじめもともと内分泌代謝学を専門とする研究室のメンバーが中心となって,このような腎臓内科学の教科書を世に送り出すには,少しの勇気を必要とした.しかし,そのような背景であればこそ,新たな視点から眺めた教科書の編集が可能になったと考える.このようなわれわれのコンセプトを十分に理解し,協力して限られた期間内に原稿をくださったすべての執筆者に感謝するとともに,われわれの熱意に快く出版を引き受けてくださり,かつ多大な労力をものともしなかった,診断と治療社の堀江康弘様,小川原智様に心よりお礼を申し上げながら,序文の筆をおく.

 平成23年初夏 梅雨の合間の猛暑日の京都にて

京都大学医学研究科 内分泌代謝内科 腎臓研究室 向山政志