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書籍詳細

シリーズ ボツリヌス治療の実際

ボツリヌス治療実践マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:ボツリヌス治療実践マニュアル

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座臨床神経科学分野(神経内科) 教授

梶 龍兒(かじ りゅうじ) 総監修

寺本神経内科クリニック 院長

寺本 純(てらもと じゅん) 監修

榊原白鳳病院 診療顧問

目崎 高広(めざき たかひろ) 監修・編集

初版 B5判 並製 196頁 2012年01月10日発行

ISBN9784787819161

定価:本体4,900円+税
  

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多様な有用性をもつボツリヌス治療を解説したシリーズ第七弾.眼瞼痙攣・片側顔面痙攣,痙性斜頸,成人の上肢・下肢痙縮,小児脳性麻痺など,わが国における適応症の治療手技の実際を,斯界の第一人者がイラスト・写真と共にわかりやすく解説した,シリーズ初のボツリヌス治療実践マニュアル編.

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目次

目  次
総監修の言葉  /梶 龍兒
編集にあたって  /目崎高広
執筆者一覧


第1章 ボツリヌス治療総論
/目崎高広

第1章 治療前準備  /目崎高広

第2章 眼瞼痙攣,片側顔面痙攣

A 眼周囲の筋の解剖  /柿﨑裕彦
B 疾患概論と治療方針  /大澤美貴雄
C 治療手技  /大澤美貴雄
 ①眼輪筋   ⑦笑筋      
 ②皺眉筋   ⑧オトガイ筋 
 ③鼻根筋   ⑨広頸筋 
 ④大頬骨筋  ⑩前頭筋 
 ⑤小頬骨筋  ⑪鼻筋横部 
 ⑥口輪筋 

第3章 痙性斜頸
/目崎高広
A 疾患概論と治療方針 
B 頸部筋のCT図譜 
C 治療手技 
 ①肩甲挙筋  ④斜角筋群 
 ②下頭斜筋  ⑤頭半棘筋 
 ③傍脊柱筋  ⑥頸半棘筋 
 ⑦頭板状筋  ⑨オトガイ下筋群 
 ⑧胸鎖乳突筋 ⑩僧帽筋 

第4章 痙縮
1 痙縮の病態と治療総論
/宮城 愛,梶 龍兒

2 成人の上肢痙縮
/角田 亘,安保雅博
A 疾患概論と治療方針 
B 治療手技 
 ①大胸筋    ⑦橈側手根屈筋 
 ②大円筋    ⑧尺側手根屈筋 
 ③上腕二頭筋  ⑨浅指屈筋 
 ④上腕筋    ⑩深指屈筋 
 ⑤腕橈骨筋   ⑪長母指屈筋 
 ⑥円回内筋   ⑫母指内転筋 

 3 成人の下肢痙縮
/大田哲生
A 疾患概論と治療方針
B 治療手技
 ①腓腹筋内側頭  ⑧長内転筋 
 ②腓腹筋外側頭  ⑨大内転筋 
 ③ヒラメ筋    ⑩大腿二頭筋長頭 
 ④後脛骨筋    ⑪大腿二頭筋短頭 
 ⑤長母趾屈筋   ⑫薄筋 
 ⑥長趾屈筋    ⑬半膜様筋 
 ⑦短内転筋    ⑭半腱様筋 
4 小児脳性麻痺
/落合達宏
A 疾患概論と治療方針 
B 治療手技 
 ①腓腹筋       ②ヒラメ筋 
 ③後脛骨筋      ⑥半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋  
     ④長腓骨筋・短腓骨筋 ⑦長内転筋・短内転筋・薄筋 
 ⑤前脛骨筋

5 上下肢筋の超音波図譜
/武田朋美,目崎高広

索引

・治療後の注意  /目崎高広 
・前頭筋へのボツリヌス毒素の施注  大澤美貴雄 
・心因性斜頸を治療すべきか  目崎高広 
・上肢痙縮の治療は,近位筋・遠位筋のいずれに重点をおくべきか
    /角田 亘,安保雅博 
・用量配分に注意  /大田哲生
・下肢装具と下肢筋力の確認を  /大田哲生
・より確実な治療のために  /大田哲生
・足部の筋群  /落合達宏
・下肢変形からみた痙縮筋パターン  /落合達宏
・Silverskifold test:尖足(足関節背屈制限)における腓腹筋とヒラメ筋の関与   /落合達宏
・ハムストリングの評価   /落合達宏 

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序文

総監修の言葉

 わが国でのボツリヌス毒素療法は,1980年代後半から臨床試験が始まり,1996年に眼瞼痙攣に対しての治療が認可されて以来,2000年に片側顔面痙攣,2001年に痙性斜頸,2009年に小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足,2010年に上肢痙縮・下肢痙縮に対して適応が拡大されてきた.使用に関してはいまだ厳しい制限が課せられているものの,海外では本治療法に関する研究は進歩を続けて治療効果をあげている.
 こういった時代背景を鑑み,近年,わが国でもボツリヌス毒素療法に対する保険適用疾患が拡大されつつあり,著効例も多く報告されるようになってきた.
 しかし,治療を受ける患者側のニーズも高まっているなかで,事故事例なども報告されており,治療を施す医師は正しい知識と手技を身に付け,安全かつ適正に実施しなければならない.さらに,ボツリヌス毒素療法は様々な診療科において実施されているため,それぞれの領域での専門知識の習得も必要不可欠である.
 そこで,ボツリヌス毒素療法を診療科ごとに取り上げ,手技・コツ・禁忌事項などを盛り込むとともに,写真・イラストを用いて多数の症例をわかりやすく解説したシリーズを企画するに至った.総監修者としては,まずシリーズ構成を決定し,各巻診療科別にその領域の第一人者の先生方に編集をお願いした.
 今回発刊された『ボツリヌス治療実践マニュアル』はその第七弾である.
 本書が有効に活用され,ボツリヌス毒素療法の発展に寄与することを心より祈願している.


2011年12月

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部感覚情報医学講座
臨床神経科学分野(神経内科)
教授 梶 龍兒




編集にあたって

 シリーズ「ボツリヌス治療の実際」は,当初全10冊の予定で企画されたと記憶する.原案に本書の企画はなかったが,実はこのような治療マニュアルが,もっとも待望されていた.編集の話をいただいたとき,「困ったことになった」と思うと同時に,「これは引き受けざるを得ない」と観念したのは,巷の需要の高さを知っていたからである.
 では「困った」のはなぜか.第一に,何でもマニュアル化する世間の風潮を私が嫌っている,ということがある.こういうときにはこうすると決めておきましょう,というのはラクである.とんでもないミスは減る.大切なことである.しかし,それは思考停止に直結する.第二に,ボツリヌス治療はマニュアル化が難しい,ということである.個々の患者で状況が異なる.公式化できる治療法ではない.原則を示しても,それが一人歩きしたらかえって危険である.
 一方,引き受けた理由は大変僭越な思いからである.自分が引き受けなくても誰かが代わりを務めるだろう.世に出たものが気に入らなければ,断ったことを後悔するだろう.ならば自分の責任で作った方が,ストレスは少ないかもしれない.
 斯界の著名人に執筆をお願いした.それでも元々「公式はない」のである.記述に重複があり,不統一がある.私自身の意見と相違する記述も少なからずあった.誰かの意見を削除し改変して,矛盾なくまとめあげるなどという芸当は,すべてを単独で書くことよりも難しい.最初途方に暮れたのであるが,すべての執筆者にかなりの追加・修正をお願いしてご尽力いただいた結果,また,手練の編集者・内田文様のご努力のお蔭もあって,どうやらわが国の現状で望みうる最上のマニュアルに近づけたのではないか,と思う.ただ感謝,である.
 それでも,記述の重複や不統一が十分に解消したわけではない.そしてその点については,読者の皆様にご理解をいただいた上で,適宜取捨していただきたいと思う.なぜなら,本書には個々の医師の治療法を制約する意図も権限もないからである.ここに書かれたことは間違っている,あるいは,自分の信念と異なる,と思う方には,どうぞこの先,よりよい方法をご提案いただき,わが国のボツリヌス治療の水準向上に寄与していただきたい.治療手技は現在も発展途上である.本書が真の意味での完成型でないことは,編集した私自身がひしひしと感じているのである.
 なお,現在わが国ではA型製剤ボトックス®のほか,B型製剤ナーブロック®が承認されている.しかし,ナーブロック®は適応症が痙性斜頸のみであり,また,さらに重要なことには,執筆時点で未発売である.そのため本書のすべての記述は,ボトックス®の使用を前提としていることを銘記されたい.ボツリヌス毒素製剤は互換できない.すべてが別製剤である.ナーブロック®が発売されたら,あらゆる点で再評価が必要となる.
 ともあれご一読下さい.「治療に役立つ」と喜んで下さるか,「まだまだこんなものか」とファイトを燃やして下さるか,それは読者の皆様の自由です.

2011年12月

榊原白鳳病院 診療顧問 目崎 高広