HOME > 書籍詳細

書籍詳細

消化器外科・内科医のための
食道癌診療マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:食道癌診療マニュアル

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科食道・一般外科学分野 教授

河野 辰幸(かわの たつゆき) 編集者・著者

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学分野 教授

三宅 智(みやけ さとし) 編集者・著者

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科食道・一般外科学分野

中島 康晃(なかじま やすあき) 編集協力者・著者

初版 B5判 並製 200頁 2012年06月30日発行

ISBN9784787819536

定価:本体7,000円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


消化器外科・内科医必携の食道癌診療マニュアル決定版.東京医科歯科大学附属病院食道・胃外科の治療方針をもとに,難しいと言われる食道癌の診断・治療から周術期管理までをカラー写真・イラストを交えてわかりやすく解説.本文脇のサイドメモにone pointや注意事項などを加えたほか,治療法の進歩に伴い,外科的治療(手術手技)のほか内視鏡的治療,近年注目されている放射線/化学療法,包括医療までを網羅した.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

Contents

序―遠藤光夫先生の姿を偲びつつ―
執筆者一覧

第Ⅰ章 総論
A 食道の解剖と生理
 1 食道の解剖 鈴木友宜/西蔭徹郎
  a 外科的解剖 /b 食道の動脈 /c 食道の静脈 /d 食道のリンパ系 

 2 食道の生理 宮脇 豊/東海林裕
  a 筋構造と神経支配 /b 咀嚼と嚥下 /c 食道の運動 /d 食道の運動障害 

B 食道癌の臨床病理
 1 取扱い規約に関する事項 東海林裕
  a 「食道癌取扱い規約」による病期分類 /b TNM分類によるStaging /c 「食道癌取扱い規約」とTNM分類における病期分類の比較 

 2 食道癌からみた重複癌 川田研郎
  a ハイリスク症例 /b 検査機器の進歩 /c 検査手順の実際 /d 治療成績と課題 

C 食道癌の初療(外来診療) ―初診から治療開始まで―
 1 外来検査・処置 永井 鑑
  a 問診 /b 身体診察 /c 一般検査/併存疾患診断のための検査 /d 病期診断のための検査 /e 病名・病状告知と治療の説明 /f 患者への指導,処置・処方 /g 紹介元への連絡

 2 DPCと外来診療 永井 鑑
  a DPCについて /b ICD-10による傷病名の記載 /c 外来診療の重要性 

第Ⅱ章 診断
A 食道癌の検査と診断
 1 局所診断 川田研郎
  a ルーチン表在癌の通常内視鏡診断 /b 表在癌の精密診断 /
c 進行癌の深達度診断 

 2 転移診断 中島康晃
  a CTによるリンパ節転移診断 /b FGD-PETによる転移診断 /c MRIによる転移診断 /d 超音波検査(頸部・腹部超音波検査,超音波内視鏡検査)による転移診断 

第Ⅲ章 治療
A 食道癌の治療戦略 河野辰幸
  a 胸部食道癌の標準的治療法 /b 胸部食道癌の臨床研究的治療 /c 食道癌の合理的切除再建術 

B 食道癌の内視鏡的治療 川田研郎
  a 治療適応 /b 各治療法の使い分け /c 術前準備 /d 各治療法の実際(コツとポイント) /e 内視鏡治療の合併症対策 /f 特殊な環境下の内視鏡治療 

C 食道癌の外科的治療
[1] 食道切除・リンパ節郭清術
 1 右開胸開腹食道亜全摘・3領域リンパ節郭清術 中島康晃/河野辰幸
  a 切除郭清操作 /b 食道再建操作 /c 術後管理 

 2 右胸腔鏡下食道亜全摘・3領域リンパ節郭清術 星野明弘/河野辰幸
  a 切除郭清操作 /b 食道再建操作 /c 術後管理 

 3 左開胸開腹食道切除・リンパ節郭清術 太田俊介/河野辰幸
  a 切除郭清操作 /b 食道再建操作 /c 術後管理 

 4 頸部食道切除・リンパ節郭清・遊離空腸再建術
西蔭徹郎/河野辰幸
  a 切除郭清操作 /b 食道再建操作 /c 術後管理 

 5 非開胸食道抜去術 了徳寺大郎/河野辰幸
  a 切除郭清操作 /b 食道再建操作 /c 術後管理 

[2] 食道再建術・食道バイパス術
 1 胃による食道再建術 川田研郎/河野辰幸
  a 食道再建操作 /b 術後管理 

 2 (回)結腸による食道再建術 岡田卓也/河野辰幸
  a 再建操作 /b 術後管理 

 3 有茎空腸による食道再建術 春木茂男/河野辰幸
  a 下部食道切除後の有茎空腸による食道再建 /b 胸部食道(亜)全摘後の有茎空腸による食道再建 

 4 食道バイパス術 中島康晃/河野辰幸
  a 食道再建操作 /b 術後管理 

D 食道癌の化学療法,放射線療法,化学放射線療法 中島康晃
  a 食道癌化学療法の主なレジメン  /b 食道癌に対する放射線療法 /  c 各進行度における化学/放射線療法の位置づけ,現状 /
  d 今後の展望 

E ステント挿入 了徳寺大郎/永井 鑑
  a 食道内メタリックステント挿入術 /b 気道狭窄に対する気管・気管支ステント挿入術 /c その他大動脈ステント挿入術 /d 良性狭窄に対する食道ステント挿入術 

第Ⅳ章 管理
A 食道癌手術の麻酔 中澤弘一
  a 術前評価 /b 麻酔の実際 /c 術中モニタリング /d その他の注意点 /e 輸液管理 

B 食道癌患者の周術期管理 中島康晃
  a 術前管理 /b 術中管理 /c 術後管理に影響を与える術中操作 /d 術後管理 /e まとめ 

C 術後の管理
 1 食道癌切除再建術における術中・術後の合併症,後遺症
了徳寺大郎/東海林裕
  a 術中・術後の合併症とその対策 /b 主な後遺症とその対策 

 2 食道癌患者の術後フォローアップ 太田俊介/川田研郎
  a 根治切除後のフォローアップ /b 内視鏡治療後のフォローアップ 

D 包括医療 藤原直人/三宅 智
  a 疼痛 /b QOL低下に対して /c 高カルシウム血症 /d 骨転移 /e 脳転移 /f 精神症状,心理面ケア 

第Ⅴ章 成績
A 食道癌の治療成績 河野辰幸/中島康晃

 索引
 あとがき

Column 河野辰幸
・医療と理論
・医療と想像力
・修練におけるプラトーと次の進歩
・名人か,チーム医療か
・ソフトバルーン法
・食道癌の進行度と治療選択
・リスペクト
・緩急のある食道癌手術操作
・食道表在癌に対するStep-up戦略
・開胸時のポイント
・カウンタートラクション
・鏡視下操作による開胸や開腹の回避と侵襲低減効果
・嚥下機能
・胸腔内での縫合・結紮が必要になった際の腔内結紮のコツ
・電気メスと鋸
・カフテクニック
・不必要な組織損傷は避ける
・ESDに用いるTxHood
・食道癌手術の指導―私がイライラするとき
・TxHoodを用いたESD手技
・多数より1例と理論
・なぜ手術は早く終えなければならないか
・術後管理における優先度
・再発時食道癌進行度分類
・常に‘一歩でも前進’を

・本書において「食道癌診断・治療ガイドライン」は「食道癌診断・治療ガイドライン2012年4月版」を,「食道癌取扱い規約」は「臨床・病理 食道癌取扱い規約【第10版補訂版】」をさす.
・また「教室」は「東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科」をさす.

ページの先頭へ戻る

序文

序―遠藤光夫先生の姿を偲びつつ―

 最も治療が難しい消化器癌の一つと言われ続けた食道癌の診療も1980年から90年代に大きな転機を迎えました.表在癌の診断が著しく進歩するとともに早期癌の概念が確立され,並行して新内視鏡的治療法の開発,胸腔鏡下切除術の導入,化学/放射線療法の進歩などが急速に進んだことです.今や食道癌は治る癌の一つに挙げられますが,進行癌の治療成績はなお不良であり,技術の高度化,精密化は食道癌診療の一層の特殊化をもたらしつつあります.
 科学技術はその質の向上とともに容易化,普遍化により人々に利益をもたらします.医療の実践とは技術の提供であり,社会性の高いものですから,均てん化が常に考慮されなければなりません.故遠藤光夫名誉教授は東京医科歯科大学第1外科で私どもの指導を行いつつ,食道癌に対する様々な新技術・新治療概念を創出するとともにその技術の容易化と普及に尽力されました.それが遠藤先生の退職後も東京医科歯科大学の食道癌診療成績が向上し続けている理由の一つと思われます.
 医学部附属病院に所属する私どもは,組織として常に最高度の医療技術を提供する義務があるとともに知識と技術の継承者をつくり続けなければなりません.本書は東京医科歯科大学における食道癌診療の質を保ちつつ,食道癌の専門家を志す若手外科医が一刻も早く確実な診療ができるよう,食道癌診療の基本をマニュアルとして記したものです.著者のほとんどは外科専門医取得後に学位研究を行いつつ食道癌診療を第一歩から学んでいる卒後10年以内の医師で,基本的な事項も多く記載されています.食道癌診療を数多く経験することの難しい多くの臨床医にとって,有益な情報源になると思われます.
 食道癌診療は極めて広範な学問体系を基盤とし,その技術は非常に応用範囲の広いものです.食道癌診療では,独立した専門家がそれぞれの立場から協力するmulti-disciplinaryな視点とともに,今後は種々の専門技術を一体として運用するcross-disciplinaryな取り組みが重要になると考えています.次なる目標は,患者へより良い医療を提供するための努力を続ける中で,予防医学や緩和医学までをも包含する食道癌の包括的腫瘍学(comprehensive oncology)を確立することです.なお不備の少なくない本書ですが,食道癌診療を担当する多くの医師に紐解いていただきご批判をいただければ編者望外の喜びです.

2012年6月
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科食道・一般外科学分野
教授 河野辰幸
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科臨床腫瘍学分野
教授 三宅 智