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書籍詳細

はじめての血友病診療実践マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:はじめての血友病診療実践マニュアル

国立成育医療研究センター 教育研修部

石黒 精(いしぐろ あきら) 編集

奈良県立医科大学 小児科

嶋 緑倫(しま みどり) 編集

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科

瀧 正志(たき まさし) 編集

国立成育医療研究センター 総合診療部

中舘 尚也(なかだて ひさや) 編集

聖路加国際病院 小児科

真部 淳(まなべ あつし) 編集

初版 B5判 並製 136頁 2012年04月27日発行

ISBN9784787819543

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定価:本体2,500円+税
  

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血友病の初期診療に対応できるよう,診断から治療までの道筋をわかりやすくまとめた入門書.専門性の求められる血友病診療に出会う可能性の高い,第一線病院で働くスタッフの強い味方となる内容としている.また,血友病患者のライフステージを軸とし,整形外科・歯科・リハビリテーション科などの各診療科との連携や協力,血友病患者への指導や支援などの項目を設け,血友病患者に役立つ情報も取り上げている.

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目次

目 次
執筆者一覧 
序文   
略語一覧  
プロローグ ―
 1 血友病かもしれない?―あなたならどうする―   /石黒 精 
 2 血友病患者のライフステージと支援   /小川千登世  
A 診断 ― 
 1 臨床症状から診断にいたるまでのわかりやすい道筋   /酒井道生 
   血友病典型例の特徴  
   出血傾向が疑われてから診断に至るまでの過程  
   具体的な症例呈示  
 2 検査結果を理解するために   /野上恵嗣  
B 止血治療 ― 
 1 出血時のケアと補充・止血療法   /岡 敏明  
   出血した際の基本対応(病院に来る前に)
   補充・止血療法の実際 
 2 外科的手術や重篤な出血への対応   /長江千愛,瀧 正志 
C 定期補充療法―関節障害を予防するために―   /瀧 正志 ―
   新たな考え方に基づいた治療法  
   定期補充療法の種類とその定義  
   定期補充療法の具体的な方法   
   定期補充療法のエビデンス  
   わが国の定期補充療法の現状  
   わが国の定期補充療法の研究   
   定期補充療法の課題  
D 通常の補充療法が効かなくなったら   /嶋 緑倫 ― 
   インヒビターとは  
   インヒビターの止血治療  
   インヒビターをなくす治療   
E 注射が難しいとき―中心静脈カテーテルの適応,挿入,管理―   /鈴木信寛 ― 
   CVCの適応  
   CVCの種類と特徴  
   CVCの挿入  
   CVCの使用・管理  
   CVCの抜去 
F 遺伝カウンセリング ―
 1 保因者診断から分娩まで   /田中一郎   
   血友病の遺伝形式  
   保因者診断   
   出生前診断   
   保因者の周産期管理  
   保因者から出生した新生児の管理   
 2 遺伝子解析の現状と方向性   /篠澤圭子   
G 診療科を越えた連携と協力 ―
 1 整形外科の診断と管理   /竹谷英之  
 2 整形外科的治療   /田中康仁  
 3 口腔衛生管理と外科的歯科処置   /松本宏之  
 4 リハビリテーション   /牧野健一郎   
 5 内科への橋渡し   /小阪嘉之  
H 指導と支援 ― 
 1 指導と支援の実際   /花房秀次  
   患者・家族への指導と支援  
   幼稚園・学校生活への指導と支援  
 2 看護師による幼稚園・学校生活への指導と支援   /和田育子 
 3 血友病の公費補助制度(医療費助成制度)  /伊賀陽子   
 4 患者会・親の会   /小倉妙美,堀越泰雄   
 5 小児血友病診療ネットワーク   /嶋 緑倫  
 6 役立つ情報の入手法   /瀧 正志  
I 患者との絆を深めるために ― 
 1 患者支援の実際   /真部 淳  
   患者と家族にどのように説明するか   
   患者と家族のストレスを減らす   
   よりよい患者さんになっていただくために  
   よい子育て,健康とは何か  
 2 よくある質問への答え方   /中舘尚也  
   血友病(の疑いがある)と診断されたとき,患者(の保護者)がまず知りたいこと   

Column
         ライオニゼーションと血友病  
         NSAIDs含有の経皮用剤などについて  
         遺伝子解析を希望するとき   
         ネットワーク案内  


血友病の治療製剤一覧 
索引  

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序文

序 文
 あなたは,地域の第一線病院で働いています.熱心に診療にあたり,患者さんからも病院の仲間からも信頼されています.小児科医かもしれませんし,総合内科医,家庭医かもしれません.たった一人の当直医として病院を守っているかもしれません.出血の止まらない子どもが,急にあなたの病院にやってきたらどうしますか.血友病患者さんの数多く通院している病院に勤め,同僚や上司に血液疾患の専門医がいるのなら何も困りません.しかし,血友病の診療をしたことがなく,どのように診断すればよいかわからないことも多いと思います.
 血友病は生まれつき血液の固まりにくい病気です.昔から王家の病気といわれ,英国ヴィクトリア女王に端を発するヨーロッパ王族の血友病は歴史的に有名です.女王の曾孫,ロシアのアレクセイ皇太子が血友病Bと判明したのは2009年と最近の話です.血友病は日本で年間50~60人が発症するといわれています.大きな紫斑や,手足の関節が赤く腫れあがるなどの症状で始まります.
 血友病の医療は大きく進歩してきました.患者さんは重い出血症状からほとんど解放されるようになりました.質の高い診療体制のために,血友病診療には専門性が強く求められ,血友病専門施設を中心とした診療ネットワークをつくることが時代の要請となっています.一方では,患者さんが最初にやってきたり,救急車で担ぎ込まれたりするのは,地域の第一線病院です.ここで適切な対応をとれるかどうかが,患者さんの今後に大きく影響するのです.
 本書をあえて「はじめての血友病診療実践マニュアル」と銘打ったのは,第一線病院で働く人たちの強い味方になってほしいからです.最悪の条件を想定してみましょう.あなたは,12月30日に一人で当直しているとします.救急外来にぐったりとして吐き続ける6カ月の男の子がやってきました.大泉門は張っています.頭部のCTを撮影したら脳内に出血していました.血液検査をしたところ血小板数とプロトロンビン時間(PT)は正常でしたが,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長していました.年末のために,血液疾患に詳しい医師にはあいにく連絡がとれませんでした.この絶体絶命のピンチに,あなたはどう対応したらよいでしょうか.本書にはこのような状況から出発し,診断をつけて治療を始めるまでの道筋が,わかりやすくまとめてあります.本書の内容を身につければ,血友病の初期診療に立ち向かっていけるはずです.
 本書の特徴として,患者さんやその家族の方々からよく受ける質問と答え方の例も示してあります.本書が,研修中の医師や看護師,薬剤師などの医療関係者だけでなく,血友病患者さんやその家族の方々を含め,広い分野の方々のお役に立てば幸いです.

2012年3月
編者代表 石黒 精