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臨床小児麻酔ハンドブック 改訂第3版診断と治療社 | 書籍詳細:臨床小児麻酔ハンドブック 改訂第3版

神戸大学大学院医学研究科麻酔科学分野教授

前川 信博(まえかわ のぶひろ) 監修

兵庫県立こども病院麻酔科

香川 哲郎(かがわ てつろう) 編集

兵庫県立こども病院麻酔科

鈴木 毅(すずき たけし) 編集

改訂第3版 B5判 並製 420頁 2013年03月05日発行

ISBN9784787820075

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定価:本体6,500円+税
  

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小児麻酔専門医はもちろん,一般麻酔医や研修医,コメディカルまで,小児周術期にかかわるすべてのスタッフを対象に,小児麻酔の現場で幅広く役立つ実践的情報を凝縮した臨床ハンドブック.収録する疾患や術式を増やし,図表や写真を多数掲載,生理学的内容から心臓外科手術をはじめとした各種手術における麻酔方法まで,基礎・臨床の最新知見を網羅した改訂第3版.5年ぶりの全面改訂.

関連書籍

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目次

序 文
編集にあたって
執筆者一覧

I.小児麻酔の基礎知識 
 1.術前の評価と準備  (高辻小枝子)
  術前診察とインフォームドコンセント/ 術前の絶飲食/
  患児の不安軽減とプレパレーション/ 麻酔前投薬/ 麻酔導入時の保護者の同伴/
 2.吸入麻酔薬  (仁科かほる)
  総論/ 亜酸化窒素/ セボフルラン/ イソフルラン/ 
  デスフルラン/
 3.静脈麻酔薬  (仁科かほる)
  総論/ チオペンタール/ プロポフォール/ ミダゾラム/ 
  ケタミン/ デクスメデトミジン/
 4.筋弛緩薬  (古賀聡人)
  総論/ おもな筋弛緩薬/ 導入と気管挿管/ 
  筋弛緩からの拮抗・回復と抜管/
 5.小児麻酔に必要な物品と麻酔回路  (香川哲郎)
  小児麻酔に必要な物品/ 麻酔回路・麻酔器/

II.小児麻酔の手技
 1.導入法・マスク換気  (香川哲郎)
  緩徐導入/ 急速導入/ 迅速導入/ 迅速導入の変法/
 2.気管挿管法  (香川哲郎)
  経口挿管/ 経鼻挿管/ 覚醒挿管/ 困難気道が予想されるとき/
  エアウェイスコープ®・エアトラック®による挿管/
 3.ラリンジアルマスク  (香川哲郎)
  LMAの種類/ LMAの適応と禁忌/ 小児におけるLMA使用の注意点/ 
  麻酔導入とLMAの挿入/ LMAガイド下気管支ファイバースコープ挿管/
 4.血管確保  (池島典之)
  静脈ラインのとり方/ 観血的動脈圧のとり方/ 中心静脈確保/
 5.麻酔中の問題への対応  (香川哲郎)
  呼吸管理/ 循環管理/ 輸液・輸血管理/ 体温管理/ 術後の悪心・嘔吐/
 6.麻酔の維持と麻酔からの覚醒  (香川哲郎)
  麻酔の維持/ 麻酔からの覚醒/
 7.小児における術後鎮痛法①―鎮痛薬の使用―  (鹿原史寿子)
  小児麻酔と術後鎮痛/ 痛みの評価/ 術中から術後につながる鎮痛法/ 
  鎮痛薬の使用法/
 8.小児における術後鎮痛法②―局所麻酔法―  (鹿原史寿子)
  浸潤麻酔/ 仙骨硬膜外麻酔/ 胸部・腰部硬膜外麻酔/ 
  末梢神経ブロック/
 9.蘇生法  (古賀聡人・土居ゆみ)
  呼吸・循環の評価と小児の一次救命処置:PBLS/ 
  小児の二次救命処置:PALS/ 新生児の蘇生:NCPR/ 蘇生後管理/

III.よくある問題と合併症
 1.発熱と呼吸器合併症  (鈴木 毅)
  発熱と上気道感染/ 気管支喘息/
 2.内分泌疾患  (野村有紀)
  糖尿病/ 尿崩症/ 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群/ 
  甲状腺機能亢進症/ 甲状腺機能低下症/ 副腎不全/ 肥満/
 3.血液疾患  (野村有紀)
  白血病/ 特発性血小板減少性紫斑病/ 血友病/ 
  von Willebrand病/ 遺伝性球状赤血球症/
 4.脳性麻痺・発達障害  (野々村智子)
  脳性麻痺/ てんかん/ 自閉症/ 注意欠陥多動性障害/
 5.先天奇形症候群  (野々村智子)
  21トリソミー・ダウン症候群/ 18トリソミー/ 
  ピエール・ロバン症候群/連鎖/ トリーチャー・コリンズ症候群/ 
  ベックウィズ・ウィードマン症候群/ ゴールデンハー症候群/ 
  頭蓋骨縫合早期癒合症/ 先天性多発性関節拘縮症/
 6.悪性高熱症と関連筋疾患  (森下 淳)
  概念/ 疫学/ 診断/ 臨床症状/ 治療/ 
  MH患者およびMHS患者の麻酔計画/ 筋生検の麻酔/ 
  関連疾患/ 今後の対応/
 7.アレルギーとアナフィラキシー  (池田優子)
  アレルギー/ アナフィラキシー/ ラテックスアレルギー/
 8.予防接種と感染症  (香川哲郎)
  予防接種と麻酔/ 感染症と麻酔/

IV.手術別,各科別の小児麻酔
 1.新生児期からの腹部手術・消化管手術の麻酔  (鈴木 毅)
  新生児の麻酔総論/ 気管食道瘻・食道閉鎖症/ 先天性横隔膜ヘルニア/ 
  肥厚性幽門狭窄症/ 十二指腸閉鎖・狭窄/ 小腸閉鎖/ 腸回転異常症/ 
  消化管破裂・穿孔/ 壊死性腸炎/ 消化管重複症/腸管重複症/ 
  ヒルシュスプルング病・類縁疾患/ 直腸肛門奇形・鎖肛/ 
  膀胱外反・総排泄腔外反/ 胆道閉鎖症/ 
  門脈圧亢進・食道静脈瘤・脾機能亢進/ 先天性胆道拡張症/ 
  臍帯ヘルニア・腹壁破裂/
 2.乳児期以降の腹部手術の麻酔  (大西広泰)
  乳児の麻酔総論/ 内視鏡下手術の麻酔/ 鼠径ヘルニア/ 
  陰囊水腫/ 臍ヘルニア/ 急性腹症総論/ 腸重積症/ 
  急性虫垂炎/ メッケル憩室/ 尿膜管遺残/ 胃食道逆流症/ 
  消化管異物/
 3.開胸手術の麻酔  (鈴木 毅)
  分離肺換気(片肺換気,一側肺換気)/ 胸腔鏡下手術/ 
  先天性囊胞性腺腫様奇形/ 肺葉性肺気腫/ 気管支原性囊胞/
  肺分画症/ 乳び胸/ 漏斗胸/
 4.腫瘍疾患の麻酔  (鈴木 毅)
  総論/ 中心静脈カテーテル挿入術/ 縦隔腫瘍/ 腹部腫瘍概論/
  褐色細胞腫/ 神経芽細胞腫/ Wilms腫瘍(腎芽腫)/ 肝悪性腫瘍/ 
  胚細胞腫瘍/ 仙尾部奇形腫/ 横紋筋肉腫/
 5.上気道,気管手術の麻酔  (鈴木 毅)
  気管切開/ 硬性気管支鏡検査/ 気道異物/ 口腔内腫瘍・頚部腫瘍/ 
  頚部の先天性囊胞・瘻孔/ 気管軟化症/ 声門下狭窄症/ 
  先天性気管狭窄症/ 気管腕頭動脈瘻/ 喉頭気管分離術/ EXIT/
 6.眼科手術の麻酔 (高辻小枝子)
  基本方針/ 眼科手術における気道確保法/ 
  斜視手術,眼瞼下垂手術,内反症手術/ 光凝固手術/ 眼内手術/
 7.耳鼻科手術の麻酔  (大西広泰)
  基本方針/ 扁桃・アデノイド摘出術/
  鼓膜切開術,鼓膜換気チューブ挿入術/ 
  鼓膜形成術,鼓室形成術/ ラリンゴマイクロサージェリー/
 8.形成外科手術の麻酔  (上北郁男)
  基本方針/ 口唇裂,口蓋裂/ 頭蓋骨縫合早期癒合症/ 四肢の形成/ 
  耳介形成/ 熱傷/
 9.歯科治療に対する麻酔  (高辻小枝子)
  基本方針/ 麻酔管理/
 10.脳神経外科手術の麻酔  (大西広泰)
  解剖学的・生理学的特徴/ 麻酔管理の基本的事項/ 水頭症/ 
  二分脊椎/ キアリ奇形/ 脳腫瘍/ もやもや病/ 
  動静脈奇形/ 神経内視鏡(脳室鏡)/ 頭部外傷/ 
  頭蓋内圧モニター挿入/ 頭蓋骨縫合早期癒合症/
 11.泌尿器科手術の麻酔  (上北郁男・岡田雅子)
  包茎/ 尿道下裂/ 膀胱尿管逆流/ 停留精巣/ 
  急性陰囊症(特に精巣捻転)/ 経尿道的手術・検査の麻酔/ 
  水腎症,水尿管症/ 精索静脈瘤/ 腎生検の麻酔/ 
  腹膜透析用カテーテル挿入の麻酔/ 腎移植の麻酔/
 12.整形外科手術の麻酔  (鹿原史寿子・高辻小枝子)
  小児整形外科手術の一般的注意事項/ 発育性股関節形成不全/ 
  ぺルテス病/ 大腿骨頭すべり症/ 先天性内反足/ 症候性内反足/ 
  扁平足/ 脚長差/ 側弯症/ 筋性斜頚/ 外傷/
 13.心臓外科手術の麻酔:総論  (池島典之・大西広泰)
  先天性心疾患の術前評価と麻酔プラン/ 開心術の麻酔の準備/ 
  経食道心エコー/ 軽症例に対する開心術の手順と麻酔管理/ 
  高肺血流性疾患の新生児・乳児の管理/ 心臓カテーテル検査の麻酔/ 
  先天性心疾患患者の非心臓手術/
 14.心臓外科手術の麻酔:各論①―疾患別麻酔管理―
 (香川哲郎・野々村智子・土居ゆみ)
  心房中隔欠損/ 部分肺静脈還流異常/ 心室中隔欠損/ 房室中隔欠損/ 
  動脈管開存/ 大動脈縮窄/ 大動脈弓離断/ 大動脈弁狭窄/ 
  大動脈弁上狭窄/ 大動脈弁下狭窄/ ファロー四徴/ 
  肺動脈閉鎖・心室中隔欠損/ 両大血管右室起始/ 三尖弁閉鎖/ 
  肺動脈閉鎖・正常心室中隔/ 肺動脈狭窄/ 総動脈幹症/ 
  大動脈肺動脈窓/ 単心室/ 完全大血管転位/ 修正大血管転位/
  総肺静脈還流異常/ 三心房心/ 左心低形成症候群/ Ebstein奇形/
  血管輪/
 15.心臓外科手術の麻酔:各論②―術式別麻酔管理―  (香川哲郎・野々村智子)
  Blalock-Taussigシャント(BTシャント)/ 
  BTシャント以外の体肺動脈短絡術(SPシャント)/ 
  肺動脈絞扼術/ Glenn手術,TCPC手術/ Jatene手術・動脈スイッチ手術/ 
  Rastelli手術/ Norwood手術(RV-PAシャントによる方法)/ 
  Ross手術,Konno手術,Ross-Konno手術/ ペースメーカー植え込み術の麻酔/
 16.検査の麻酔  (香川哲郎)
  手術室外での鎮静総論/ MRI検査/ 消化管内視鏡検査/ 血管造影/ 
  ガンマナイフ治療/ 病棟での全身麻酔/
 17.日帰り手術の麻酔  (高辻小枝子)
  日帰り手術の概要/ 長所と短所/ 日帰り手術の対象/ 
  日帰り手術の麻酔/

V.付 録
 1.コンパクトデータ集  (似内久美子・池島典之・古賀聡人)
  基本となる気管チューブのサイズと深さ/
  小児の平均体重,平均身長,気管チューブ・LMAのサイズ/
  声門マーカーの位置/ 麻酔器具の準備/ 前投薬の例/
  術前経口摂取制限時間/ 小児の心拍数,血圧/ 小児の呼吸回数/
  小児のHb,Hct/ 体重に対する体内水分の割合/ 循環血液量/
  血液ガス/ 許容出血量/ Hbを1g/dL上昇させる赤血球濃厚液投与量/
  濃厚血小板輸血により上昇する血小板数/ 中心静脈カテーテルの挿入長の目安/
  維持輸液量/ 輸液量(小手術用)/ カテコラミンの希釈法/
  局所麻酔薬使用量/ 循環作動薬一覧表/ 発育期の分類/
  早産児・低出生体重児の分類/ 保険点数(平成24年度)/
 2.心臓外科略語集  (似内久美子)
 3.おもな先天奇形症候群一覧  (香川哲郎・高辻小枝子・野々村智子・山長 修)

VI.索 引
和文
欧文
数字・ギリシャ文字

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序文

序 文

 前回の改訂から今回の改訂第3版までに,5年が経過した.5年はそれほど長期間とは思わないが,この間において,新しい吸入麻酔薬・静脈麻酔薬・鎮静薬や筋弛緩拮抗薬,各種の声門上気道確保器具および硬性ビデオ喉頭鏡の臨床導入など,主にテクノロジーの進歩による薬物や器具の開発・応用が進んだ.また,発達期の脳に対する麻酔薬の影響といった小児麻酔・小児医療の根幹に関わる問題への精力的な取り組みも開始され,緩和医療に集学的かつチーム医療として取り組むことや,ERAS(Enhanced Recovery After Surgery)プロトコールにみられるような,術後早期回復をエンドポイントとした周術期管理を行うといった医療システムの質的変化も始まっている.今回の改訂では,このような進歩や知見もできるだけ反映するように努めた.
 本書の特色は,実際に日々の臨床において「すぐに役立つ」ことだと思う.そのため,記述は具体的で,非常に多くの図表や写真も掲載されている.小児麻酔を専門に行う人だけでなく,小児麻酔に触れる機会が少ない麻酔科医にとっても(少ない人だからこそ)有用であろう.しかしながら,単にWhat to doやHow to doを羅列したマニュアル本ではなく,できるだけWhatやHowの根拠としてのWhy to doについても記述することを目指した.これは,「なぜ」と問い続けることが学問を進歩させる原動力だと信じるからで,日々の臨床麻酔を通じてそのような姿勢が身につくことを目論んだ.ただ,あくまで現時点におけるWhat・How・Whyであるので,読者は盲信することなく自分自身で納得できるまで疑問点を追求して欲しい.個人的には教えられたことの半分は嘘だったと思っている(ということは,今私が教えていることの半分も嘘になるなぁ).
 その半分の嘘になるかもしれないが,次回改訂時の予言(?)をしておく.現状では,「みんなで」見ながら(確認しながら)超音波ガイド下に神経ブロックや血管穿刺を行うことがほぼスタンダードである.次回改訂時までには,同様のことが気道確保において起こるだろう.すなわち,本文中でも新規に記載されている硬性ビデオ喉頭鏡が,従来の直達喉頭鏡に取って代わりスタンダードになるだろう.硬性ビデオ喉頭鏡は,いわゆる喉頭展開を必要としない(だからこそ挿管困難症に有用なのだが)だけでなく,さらに気管挿管操作を「みんなで」見ながら(確認しながら)行うことを可能にする.したがって,気道確保困難症対策アルゴリズムに組み込まれる(これはこれで非常に有用)だけでなく,外部出力機能を利用すれば録画記録やリモートメディカルコントロールをも可能にし,何よりもリアルタイムに「みんなで」見ながら(確認しながら)行えるという,まさに気道確保におけるパラダイムシフトが起こるだろう.
 医療の最終目標は,医療を受ける側とそれを供給する側の両者にとっての「安全,安心,満足」である.本書がそのための一助になれば幸いである.

 2013年2月
神戸大学大学院医学研究科麻酔科学分野教授 
前川信博  



編集にあたって

 本書の第2版が出版されてから5年が経過したが,この間の麻酔科学領域の進歩は著しいものがある.特に静脈麻酔薬を中心とした各種の新しい薬剤,超音波ガイド下の神経ブロックや血管穿刺,輸液や循環血液量評価のためのモニタリングなどは成人領域を中心に現在進行形で進歩し,日常のプラクティスを大きく変えてきた.小児医療においても生存限界が伸び,新しい術式や器具が開発され,また重症児への積極的な介入が行われるようになり,麻酔科医にもそれに対応するだけの知識・技量・準備が求められていると感じている.
 そうした中,第3版ではこの間の知見もある程度盛り込み,研修医やコメディカルから専門医までが現状の全体を俯瞰できるようにした.現場で幅広く役に立つよう,収録する疾患や術式を増やし,解説を加えた.そして多忙な臨床の合間に薬剤や道具を準備し,麻酔計画を立てるために役立つよう配慮した.しかし,より専門的な内容や先進的な分野については当然ながら本書のみでは不十分であり,それぞれの成書や論文を参照していただくようお願いしたい.

 最後に,専門的な立場からご助言をいただいた兵庫県立こども病院の三好麻里(小児科),川崎圭一郎(血液腫瘍科),横井暁子,中尾 真,荒井洋志,尾藤祐子(外科),松久弘典(心臓外科),大山知樹(形成外科),大津雅秀(耳鼻科),小林大介(整形外科),中川賀清(泌尿器科),野村耕治(眼科),河村淳史(脳神経外科),曽根由美子(歯科)(敬称略)の諸氏に感謝したい.

 2013年2月
香川哲郎・鈴木 毅