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かかりつけ医のための認知症診療テキスト診断と治療社 | 書籍詳細:かかりつけ医のための認知症診療テキスト
実践と基礎

順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学講座 客員教授

田平 武(たびら たけし) 編著

初版 B5判 並製ソフトカバー,2色刷 160頁 2014年06月10日発行

ISBN9784787820297

定価:本体3,800円+税
  

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“認知症800万人時代”の到来に伴い,かかりつけ医による認知症診療は一層盛んになっていくものと予想される.本書はそういった先生方の入門書として企画された.認知症に関わる基礎と臨床の知識が絶妙なバランスで盛り込まれており,認知症を学びたい誰にとっても有益な書である.日々多忙な先生にはまず「実践編」を,そして詳しく知りたい事柄については「基礎編」を読んでいただき,理解を深められるよう構成されている.

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目次

推薦の序  
まえがき  
著者略歴  


実践編
第1章 認知症診療の実践―総論
A 認知症における包括的医療,ケアのための医師の役割 
B 認知症とは 
C 「認知症」という言葉 
D 認知症の初期が疑われる症状 
E 認知症の中核症状 
1 記憶障害  
2 失  語  
3 失読,失書  
4 失  行  
5 失  認  
6 構成障害  
7 注意,意欲,判断障害  
8 実行機能障害  
9 感情,情動障害  
10 社会認知障害  
F 認知症の行動・心理症状(BPSD) 
1 おもなBPSD  
2 BPSDの悪化要因  
MEMO BPSD①─要約  
G せ ん 妄 
MEMO せん妄─要約  
H 認知症の生活機能障害 
I 認知症の診察 
1 問 診 票  
2 病歴聴取  
3 一般理学的診察  
4 神経学的診察  
J 認知症の検査 
1 認知機能検査  
2 抑うつ状態の評価  
3 一般検査  
4 画像検査  
K 認知症の診断 
1 診断基準  
L 認知症の告知 
M BPSDの対応 
1 BPSDの一般的アプローチ  
2 BPSDの個別的アプローチ―家族へのアドバイスを中心に  
MEMO BPSD②─予防のための一方策  
MEMO BPSD③─対応方針  
3 BPSDの薬物療法  
N せん妄の治療 
1 誘発因子の除去  
2 せん妄の薬物療法  
O 認知症患者,家族に対する指導 
P 認知症かかりつけ医,認知症サポート医の役割 
1 認知症かかりつけ医の役割  
2 認知症サポート医の役割  

第2章 認知症診療の実践―各論
A おもな認知症疾患 
1 アルツハイマー型認知症(AD)  
MEMO イクセロン®パッチの使用経験  
2 若年性アルツハイマー型認知症(若年性AD)  
3 他疾患の合併  
4 非定型アルツハイマー型認知症(非定型AD)  
5 血管性認知症(VaD)  
6 レビー小体型認知症(DLB)  
7 前頭側頭葉変性症(FTLD)  
8 進行性核上性麻痺(PSP)  
9 大脳皮質基底核変性症(CBD)  
10 嗜銀顆粒性認知症(AGD)  
11 神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)  
12 特発性正常圧水頭症(iNPH)  
MEMO ADとiNPH  
B 「主治医意見書」の書き方 
1 「主治医意見書」記載の準備  
2 「主治医意見書」記載の実際  

第3章 認知症診療の実践―症例
症例 1 休養のみで軽快した老年症候群としてのせん妄(86歳,男性) 
症例 2 SPECTが早期診断に有用であった症例(55歳,女性) 
症例 3 進行が早い若年性AD(51歳,男性) 
症例 4 ADの治療①(73歳,男性) 
症例 5 ADの治療②(76歳,女性) 
症例 6 ADの治療③(85歳,女性) 
症例 7 薬剤誘発性せん妄を示したDLB(76歳,女性) 
症例 8 急激な幻視の悪化をきたしたDLB(84歳,女性) 
症例 9 認知症の進行に伴うBPSDの治療(90歳,女性) 
症例10 メマリー®が著効したADのFTDバリアント(84歳,女性) 
症例11 性的逸脱行動の治療(76歳,女性) 
症例12 帰宅願望に対して生活指導が有効であった症例(87歳,男性) 
症例13 BPSDの強いVaD(83歳,女性) 
症例14 失語症が強いAD(59歳,男性) 
症例15 大脳皮質基底核症候群 (CBS)-AD(77歳,男性) 
症例16 ADとの鑑別を要したタウオパシー(80歳,男性) 
症例17 後部皮質萎縮症(PCA)の症例(63歳,女性) 
症例18 正常圧水頭症(NPH)を合併したAD(82歳,男性) 
症例19 進行性核上性麻痺(PSP)が疑われたAD(84歳,女性) 
症例20 もの忘れで発病した脳腫瘍(64歳,女性) 


基 礎 編
第1章 認知症診療の基礎―総論
A 老  化 
1 老化の定義  
2 加齢と老化  
3 老化の学説  
MEMO 世界一長生きした人  
4 遺伝的早老症  
5 脳の老化  
MEMO HMさん  
6 老化のメカニズムとアンチエイジング  
B 老年医学 
1 高齢者医療の特徴  
2 老年症候群  
3 認知症高齢者に合併しやすい精神・神経症状,身体症状  
4 高齢者の検査値の変化と意義  
5 高齢者の栄養  
6 高齢者医療における生活機能障害  
MEMO CGAを利用した包括的全人的医療の例  
7 高齢者の薬物療法  

第2章 認知症診療の基礎―各論
A 認知症診療の評価スケール 
1 認知機能の評価  
2 記憶機能の評価  
3 遂行機能の評価  
4 日常生活動作(ADL)の評価  
5 BPSDの評価  
6 意欲の評価  
7 介護者の介護負担感の評価  
8 うつの評価  
9 アルツハイマー型認知症(AD)の重症度の評価  
B 認知症診断に用いる特殊検査 
1 FDG/PET  
2 MIBG心筋シンチグラフィ  
3 アミロイドイメージング  
4 タウイメージング  
5 血液検査,髄液検査  
6 脳波検査  
C DSM-5における認知症の新たな診断基準 
1 認知症の新たな診断基準―定義と分類  
2 大認知症と軽度認知症の新たな診断基準  
3 アルツハイマー型認知症(AD)の新たな診断基準  
D 社会資源 
1 介護保険制度  
2 施  設  
3 介 護 職  
4 介護サービス  
5 介護予防サービス  
6 成年後見制度  
7 施  策  
E 認知症認定看護師の使命 
F 認知症疾患 
1 アルツハイマー型認知症(AD)  
2 血管性認知症(VaD)  
3 レビー小体型認知症(DLB)  
4 前頭側頭葉変性症(FTLD)  
MEMO ピック病  
5 進行性核上性麻痺(PSP)  
6 大脳皮質基底核変性症(CBD)  
7 嗜銀顆粒性認知症(AGD)  
8 神経原線維変化型老年期認知症(SD-NFT)  
9 石灰沈着を伴うびまん性神経原線維変化病(DNTC)  
10 特発性正常圧水頭症(iNPH)  
11 ハンチントン病  
12 クロイツフェルド・ヤコブ病(CJD)  
13 神経梅毒(進行麻痺)  
14 単純ヘルペス脳炎  
15 非ヘルペス性辺縁系脳炎  
16 脳 腫 瘍  
17 慢性硬膜下血腫  
18 アルコール関連障害  
19 海馬硬化症性認知症(HSD)  
20 頭部外傷による認知症 
21 認知症との鑑別が必要な高齢者の精神疾患  

文  献  
あとがき  

和文索引  
欧文-数字索引

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序文

推薦の序

 「新たなタイプの本が出た!」.これが本書読了後の第一印象である.近年は認知症関連の成書がとても多いのだが,これなら誰が読んでもそれぞれに面白いに違いない.なぜなら認知症学に関わる基礎と臨床の知識が絶妙のバランスで盛り込まれている上に,臨床脳科学のトピックスに関するわかりやすい記載までがあるからだ.認知症に関わる学問の基盤には,神経内科学,精神医学,老年医学,神経心理学に加えて,基礎医学としての神経病理学や脳科学がある.これらが田平先生の語り口で,万遍なく講義するかのように緻密に表現されている.そして何より,本書は全てが一人の筆者によって書かれているだけに認知症学としての一貫性があり,並みの医学者には到底及ばない著作に仕上がっている.
 そこで改めて筆者である田平 武先生の学術的な個人史を振り返ってみた.というのは,評者は田平先生と同郷であり,20年来その学問的背景を存じ上げているからである.九州大学医学部ご卒業のあと,同大学の神経内科で初期トレーニングを積まれ,中枢神経系免疫疾患を中心に研究生活に入られた.アメリカ留学から帰国され,30代半ばにして現在の国立精神・神経医療研究センターの神経研究所の部長に就任される.そこでは免疫疾患ばかりでなくアルツハイマー病の基礎研究にも邁進された.とくにアミロイドワクチンの開発には心血を注がれ,世界のトップレベルと目されている.その後は国立長寿医療センターの研究所長を経て,順天堂大学で認知症の基礎研究に加えて第一線の臨床活動も続けてこられた.しかもその臨床が大好きで,疑問に思われたら直ちに質問メールが私にも飛んでくる.このような特殊な経歴と才能・努力があってこそ本書が完成したと思う.
 あなたが初学者か基礎医学者なら,本書は認知症学の入り口から中級レベルまで一気に導いてくれるだろう.専門家なら,今さら人に聞けない基礎医学の知識や希少疾患の概要がスイスイと頭に入ってくる醍醐味を体験されることだろう.加えて本書では,老年医療の基本知識,介護保険制度まで紹介されている.このように,本書は認知症を学びたい誰にとっても有益なテキストに仕上がっている.認知症学における座右の書として,ぜひともお勧めしたい.

2014年6月

筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学 教授
朝田 隆



まえがき

 わが国の認知症患者数は,1970年代終わりから1980年代初めにかけての調査に基づき,65歳以上の高齢者の6.7%と推計されてきた.そして,それをもとに推計された2013年時点の認知症患者数は約185万人であった.しかし,2013年6月に厚生労働省から発表された「認知症有病率等調査」の結果は「高齢者の約15%,推計462万人」というものであり,驚かれた方も多いと思われる.
 それに比して,2013年12月時点の日本認知症学会の認知症認定専門医は840名,日本老年精神医学会の高齢者のこころの病と認知症に関する認定専門医は880名であり,合計1,720名に過ぎない.そして,この一部は重複するため,実際には1,500名程度であろう.これは,専門医1人につき3,000人あまりの認知症患者を担当する計算になる.また,これとは別に軽度認知障害(MCI)の人が約400万人いると推計されている.これを含めると,専門医1人につき5,700人あまりを担当しなくてはならない.仮に1人の専門医が月曜日から金曜日まで毎日10人の新患を診たとしても,全員を診るのに2年以上かかる計算になり,現実には不可能な数字である.したがって,今後は「かかりつけ医」,「認知症サポート医」が果たす役割が極めて重要になる.診断や治療・ケアがむずかしい症例は専門医に委ねるとしても,典型的な症例や診断・治療が容易な症例は始めからかかりつけ医,サポート医に委ねられる.また,専門医が診断した患者の日常診療を受けもつことも期待される.
 このような状況にあって,これからはかかりつけ医,サポート医に対する認知症専門研修がますます盛んになるものと予想される.本書はそういった先生方のための入門テキストとして書かれた.また,これから認知症専門医の資格をとろうと考えている研修医にも役立ち,さらには認知症認定看護師養成のための認知症病態論のテキストとしても利用できる.
 日ごろ多忙なかかりつけ医,サポート医の先生にはまず「実践編」をお読みいただき,自信をもって認知症患者を診ていただきたい.そして,より詳しく知りたい事柄については「基礎編」を読んでいただき,さらに理解を深められるよう構成した.最近は家族がインターネットを利用してかなり詳しい情報を仕入れてくる.かかりつけ医といえども一定の知識を身につけておく必要があろう.そのための知識として,本書では「患者対応の方法」だけでなく,ある程度踏み込んだ専門的知識も「基礎編」に取り入れている.避けては通れない「老化」と「アンチエイジング」,「老年医学」にも言及した.
 なお,「認知症の人」という言い方は社会生活のうえでは妥当と考えられるが,筆者は認知症をあくまでも病気として捉えており,認知症を有する人は医療行為の対象になると考えている.したがって,本書では「認知症の人」と「認知症患者」を使い分けている.また,治療薬は一般名のみで記すと実際に処方する際に戸惑いが生じるため,できるだけ商品名を記すようにした.同じ薬品でも多数の商品があり,すでにジェネリック品が販売されている薬もある.本書では,筆者が日頃使用している薬を中心に記載した.

2014年6月

順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学講座 客員教授
岐阜カワムラメディカルソサエティ河村病院 認知症診断・予防・治療センター長
田平 武



あとがき

 本書を出版するにあたり,多くの患者さんから沢山のことを学ばせていただいたことにまず感謝したい.これは言うまでもなく,多くの患者さんを診察する機会を与えていただいた順天堂医院脳神経内科 服部信孝教授,河村病院 河村保男前理事長,河村信利理事長によるものであり,心から感謝申し上げる.また,多くの画像に関してご指導をいただいた国立精神・神経医療研究センター 松田博史先生,今林悦子先生,困った症例について親切にご指導いただいた筑波大学精神医学 朝田 隆教授,病理学の面でいつもご指導をいただいた上越総合病院の巻渕隆雄先生に心からお礼申し上げる.さらに認知症問診票,FAST問診票を御提供いただいた船橋医療センターの安間芳秀先生,唐沢秀治先生に感謝する.ここには表れていないが,筆者の時間の半分は今なおアルツハイマー病のワクチン開発を主とする研究に割かれており,研究を推進している松本信英助教,研究スペースを提供していただいている順天堂大学精神医学 新井平尹教授に心から感謝する.さらに岐阜での診療にあたり毎週行動をともにし,私の世話だけでなく音楽活動を通して介護施設や病院の質向上に貢献している田平洋子さん,もの忘れ外来を一手に引き受けている上村さとみ看護師,「DT Navi」を行っている大野順子さん,出版にあたり丁寧なご指導を賜った診断と治療社の相浦健一さんに心から感謝申し上げる.

2014年6月

順天堂大学大学院医学研究科認知症診断・予防・治療学講座 客員教授
岐阜カワムラメディカルソサエティ河村病院 認知症診断・予防・治療センター長
田平 武