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書籍詳細

高血圧診療のすべて診断と治療社 | 書籍詳細:高血圧診療のすべて

日本医師会(にほんいしかい) 編

新小山市民病院 院長

島田 和幸(しまだ かずゆき) 監修

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科循環器内科 教授

磯部 光章(いそべ みつあき) 監修

自治医科大学医学部内科学循環器内科学部門 主任教授

苅尾 七臣(かりお かずおみ) 編集

奈良県立医科大学循環器・腎臓・代謝内科 教授

斎藤 能彦(さいとう よしひこ) 編集

旭川医科大学内科学講座循環・呼吸・神経病態内科学分野 教授

長谷部 直幸(はせべ なおゆき) 編集

弓倉医院

弓倉 整(ゆみくら せい) 編集

初版 B5判 並製 372頁 2013年07月01日発行

ISBN9784787820303

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定価:本体5,500円+税

わが国の高血圧人口は4,000万人を超えると推定される.高血圧は脳,心,腎疾患の主要な危険因子である.本書ではわが国における高血圧診療の現状,問題点を余すところなく捉え,最新の進歩を実地臨床に活かすことを企図している.したがって,本書の目的は高血圧診療に関わるすべての医家にとって患者に最適な診療を提供するための指針となることに加えて,最新知見を紹介することにある.定評ある日本医師会雑誌特別号の一冊.

関連書籍

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目次

カラー口絵─目でみる高血圧
高血圧リスクの分類と層別化   長谷部直幸   
仮面高血圧─早朝高血圧,夜間高血圧,白衣高血圧,昼間高血圧   苅尾七臣   
高血圧性心疾患(HHD)の心電図変化   岡崎 修   
高血圧性心疾患(HHD)の心エコー   長谷部直幸   
冠動脈CT   船橋伸禎,小林欣夫   
高血圧性脳症のMRI   江口和男   
無症候性脳血管病変と脳萎縮   德丸阿耶,櫻井圭太,村山繁雄   
大動脈解離,大動脈瘤,末梢血管障害   新保昌久   
頸動脈エコー   北川一夫   
脈波伝播速度(PWV),血流依存性血管拡張反応(FMD)   冨山博史,斉須智子   
高血圧性眼底所見   石子智士   
腎血管性高血圧   横井良明   
内分泌性高血圧①─原発性アルドステロン症   成瀬光栄,立木美香,津曲 綾   
内分泌性高血圧②─褐色細胞腫   田辺晶代,市原淳弘   
食塩感受性高血圧の機序   藤田敏郎   
交感神経と血圧調節   岸 拓弥,砂川賢二   
レニン─アンジオテンシン(RA)系と降圧薬の作用ポイント   大島弘世,茂木正樹,堀内正嗣   
中心血圧の発生機序と血管スティフネス   橋本潤一郎   

序   横倉義武   
監修・編集のことば   磯部光章   
監修・編集・執筆者紹介   

I 疫学,遺伝
日本人の血圧と循環器疾患   上島弘嗣   
日本人の心血管リスク因子の変遷   清原 裕   
正常高値血圧をどう考えるか   小久保喜弘   
食塩摂取と高血圧   三浦克之   
高血圧関連遺伝子   加藤規弘   

II 新しい病態理解と治療への展望
食塩感受性   藤田敏郎   
レニン─アンジオテンシン(RA)系   大島弘世,茂木正樹,堀内正嗣   
交感神経系   廣岡良隆   
サーカディアンリズム   岡村 均   
肥満,メタボリックシンドローム   宮下和季,伊藤 裕   
慢性炎症   小宮 力,菅波孝祥,小川佳宏   
ストレス─過労死予防の視点から   服部朝美,宗像正徳   

III 高血圧の診断
診断と診療手順   苅尾七臣   
問診の要点   石光俊彦,山口すおみ   
身体所見   佐藤伸之,長谷部直幸   
家庭血圧による高血圧診療   高橋敦彦,久代登志男   
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を取り入れた高血圧診療   苅尾七臣   
仮面高血圧と血圧日内変動   星出 聡   
家庭血圧のエビデンス   浅山 敬,大久保孝義   
24時間自由行動下血圧測定(ABPM)のエビデンス   河野雄平   
中心血圧の臨床的意義とエビデンス   高沢謙二   
心拍数の臨床的意義とエビデンス   山科 章   

IV 臓器障害の病態と臓器連関
高血圧に伴う心不全─拡張不全による心不全の病態と治療   磯部光章   
血管リモデリング   中岡良和,小室一成   
慢性腎臓病(CKD)   伊藤貞嘉   
高血圧性脳血管障害   北川泰久   
高血圧と認知症   中村 毅,松本昌泰   

V 高血圧性臓器障害─どこまで評価するか?
検査の基本方針   髙橋伯夫   
必須検査   安藤 孝,市原淳弘   
心電図による高血圧性心疾患(HHD)の評価   岡崎 修   
心エコーとMRIによる高血圧性心疾患(HHD)の評価   長谷部直幸,坂本 央,赤坂和美   
頸動脈エコー   北川一夫   
脈波伝播速度(PWV)   冨山博史,山科 章   
血流依存性血管拡張反応(FMD)   諸岡俊文,野出孝一   
冠動脈CT   船橋伸禎,小林欣夫   
大動脈瘤と大動脈解離のCT診断   林 宏光   
末梢動脈疾患─足関節上腕血圧比(ABI)の重要性と画像診断   新保昌久   
頭部MRIとMRアンギオグラフィー(MRA)   櫻井圭太,德丸阿耶   
認知機能と脳萎縮   櫻井 孝   
高血圧性眼底所見   廣川博之,石子智士   
アルブミン尿と推算糸球体濾過量(eGFR)   渡辺 毅   
腎の画像診断   柏原直樹,桑原篤憲,浪越為八   
レノグラム   柏原直樹,春名克祐,藤本荘八   
バイオマーカー   下澤達雄   

VI 高血圧治療の実際
基本方針   島本和明   
薬剤投与方法の工夫   宮川政昭   
白衣高血圧と仮面高血圧に対する治療方針   江口和男   
降圧治療のエビデンス   神出 計,樂木宏実   
生活習慣修正のエビデンス   安東克之   
減塩療法の実際   佐藤敏子   
運動療法の実際   長田尚彦,三宅良彦   
睡眠改善の実際   鈴木貴浩,金野倫子,内山 真 
合併症のない高血圧患者の薬物療法   橋本達夫,梅村 敏   
合併症を有する高血圧患者の薬物療法
糖尿病合併例の血圧管理   片山茂裕 
慢性腎臓病(CKD)合併例の血圧管理   木村玄次郎 
脳卒中急性期の血圧管理   豊田一則 
脳卒中慢性期の血圧管理   棚橋紀夫 
心不全の血圧管理   筒井裕之 
冠動脈疾患の血圧管理   長谷川 洋,小林欣夫 
心房細動の血圧管理   村越伸行,青沼和隆 

VII 降圧薬のエビデンスと使い方
レニン─アンジオテンシン(RA)系抑制薬─ARBとACE阻害薬   大蔵隆文,檜垣實男   
カルシウム(Ca)拮抗薬   甲斐久史   
利尿薬   森 崇寧,内田信一   
合剤   小原克彦   
β遮断薬   菅原政貴,中坊亜由美,増山 理   
α遮断薬,その他の交感神経遮断薬   齊藤郁夫   
抗アルドステロン薬   佐藤敦久   
直接的レニン阻害薬   光山勝慶   

VIII 特殊な対象者の降圧治療
超高齢者の高血圧   宮城島 慶,神﨑恒一   
小児の高血圧   内山 聖   
妊娠と高血圧   鈴木佳克,松浦綾乃,山本珠生   
更年期の高血圧   鈴木洋通   
透析と高血圧   井関邦敏   

IX 二次性高血圧─疑うポイントと専門医紹介のタイミング
睡眠時無呼吸症候群(SAS)   百村伸一   
腎実質性高血圧   宇津 貴   
腎血管性高血圧   佐々木 彰,木村健二郎   
原発性アルドステロン症   成瀬光栄,津曲 綾,立木美香   
褐色細胞腫   田辺晶代,市原淳弘   
Cushing症候群   柴田洋孝   
薬物誘発性高血圧   藤村昭夫   

X 治療抵抗性高血圧
診断と薬物療法   ?橋卓也   
腎デナーベーション   苅尾七臣   

XI 高血圧緊急症
高血圧緊急症   伊佐勝憲,大屋祐輔   

XII 日常診療の実際
日常診療の実際   弓倉 整   

XIII トピックス
災害高血圧   星出 聡   
ITを用いた血圧管理   西澤匡史   
起立性低血圧と起立性高血圧   小原克彦   
J曲線現象   植田真一郎   
抗血栓療法時の血圧管理   古賀政利,豊田一則   
血圧変動性   大石 充,樂木宏実   
血圧モーニングサージ   苅尾七臣   
圧受容体刺激療法   細川和也,安藤真一   
新規降圧薬   斎藤能彦   
慢性腎臓病(CKD)におけるnon-dipper型血圧日内リズム   福田道雄   
家庭血圧による夜間血圧測定   苅尾七臣   
レニン─アンジオテンシン(RA)系抑制薬の心血管保護作用   桑島 巌   
高血圧ワクチンの開発   森下竜一,中神啓徳   

索引

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序文



 高血圧は患者数の最も多い生活習慣病である.また,高血圧は脳血管障害,心疾患,腎疾患,血管疾患などの重要なリスク因子でもある.したがって,その管理は社会的,医療経済的にもきわめて重要といえる.一方,高血圧診療における大きな課題として,降圧治療を必要とする患者の約半数が治療を受けておらず,また治療を受けている患者の約半数は降圧目標を達成できていないことがあげられる.さらに,わが国では急速な高齢化によって加齢に関連する高血圧の増加が懸念されており,その対応も急がれる.
 そのような背景から,一般臨床医にとって,高血圧は日常診療で遭遇する頻度の最も高い疾患の1つであり,すべての臨床医がその診療に関する基礎的知識・技術をもつことが望まれている.一方,高血圧診療の技術や知見は日々進歩しており,最新情報を得ることは高血圧診療に携わる一般臨床医にとってもきわめて重要である.近年の高血圧に関わる診断技術,薬物療法などの著しい進歩には分子生物学的研究・知見が多分に関わっているが,これらを臨床現場にフィードバックする知識が必要である.
 本書は,高血圧診療に必要な知識と技術を最新知見も含めて網羅し,第一線で活躍される実地医家の先生方の日常診療にすぐに役立つことを目的としている.多くの会員の先生方が最新の知識と技術を吸収され,日々の臨床に役立てていただければ,本書の目的は達成される.本書を診療室の机に置いていただき,適切な診療を行う際の一助としていただければ幸いである.
 最後に,本書の刊行にあたって,監修・編集の労をおとりいただいた先生方,日常臨床や研究などご多忙にもかかわらずご執筆くださった多くの先生方に対して,心より感謝を申し上げる.

 平成25年6月
日本医師会会長
横倉義武

監修・編集のことば

 わが国の高血圧人口は4,000万人を超えると推定されている.言うまでもなく,高血圧は脳血管疾患,心疾患,腎疾患の主要な危険因子である.無症候性であり,かつ長期間にわたって徐々に病態が進展することで主要臓器の機能障害をもたらす.脳卒中や心筋梗塞,急性心不全などのように,突然の合併症をもたらすことも少なくない.また,血圧が高いほど循環器疾患の罹病率,死亡率は高くなる.国民医療費においても主要な部分を占めており,医療経済といった面からも重要な疾患である.したがって,その予防と治療は国民的な課題と言って過言ではない.
 日本国民の血圧水準は20世紀後半に大きく低下した.これに伴って脳卒中死亡率も減少している.これには塩分摂取の多い食生活の改善が寄与していると考えられるが,今なお,高食塩摂取は大きな問題である.さらに,内臓肥満,運動不足などに起因するメタボリックシンドロームや糖尿病は急激に増加している.また,慢性腎臓病(CKD)も増加している.このように,血圧管理を取り巻く環境は,現代においても大きく改善しているとはいえない.
 一方,分子生物学的病態の解明やIT技術を活用した画像診断,新しいデバイス治療は著しく進歩した.さらに新たな薬理作用に基づく新薬が開発されるなど,診療の環境は大きく変貌しようとしている.
 このような背景の下,本書では現代のわが国における高血圧診療の現状,問題点を余すところなく捉え,高血圧診療に関する最新の進歩を実地臨床に活かすことを企図し,「高血圧診療のすべて」として編集された.したがって,本書の目的は,高血圧診療に関わるすべての医家にとって,高血圧診療に際して患者に最適な診療を提供するための指針となることに加えて,最先端の知見を紹介することにある.本書の中核となっているのは,病態の理解と診断,治療やフォローアップの実際の進め方,そしてこれらの注意点である.それぞれの領域で,わが国の第一線で活躍される専門家の方々にご執筆いただいた.治療の中心となる薬物療法については特に大きくページを割いて多くのエビデンスを紹介し,実際の診療に即した記述をお願いしている.最新のトピックスについても多数の解説記事を掲載した.なお,本書の内容には執筆者の個人的見解も一部に含まれており,日本医師会や監修・編集者の見解とは異なる部分,あるいはガイドラインと一致しない部分もあることをお断りしておく.
 読者諸兄におかれては,「高血圧診療のすべて」を座右の書として,新情報の収集のみに活用するだけでなく,知識の整理や再確認にもご活用いただければ幸甚である.
 本書が高血圧診療に関わる多くの先生方に活用され,高血圧治療の進歩,ひいては国民の福祉に寄与するところがあれば,監修・編集者としてこれにすぐる喜びはない.最後に,ご多忙のなか,編集,執筆にご尽力いただいた先生方に深謝いたします.

 平成25年6月
監修・編集者を代表して
磯部光章