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書籍詳細

これでOK! 小児救急ケーススタディ診断と治療社 | 書籍詳細:これでOK! 小児救急ケーススタディ

大阪大学医学部小児科教授

大薗 恵一 (おおぞの けいいち) 編集

関西医科大学医学部小児科教授

金子 一成(かねこ かずなり) 編集

初版 B5判  232頁 2015年03月30日発行

ISBN9784787821270

定価:本体6,200円+税
  

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大阪大学と関西医科大学の小児科学教室とその関連病院が10年近くにわたり行ってきた「OK小児救急症例研究会」における症例検討をまとめた書.読者が小児の救急疾患を系統立てて診断・治療できるようになることを目指し,どのような疾患を考え,どのように鑑別するべきか,そしてたどり着いた診断に対してどのような治療を施すべきか,時系列で学べるように工夫している.

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目次

カラー口絵   
本書の見方・使い方  

Case 1 チアノーゼを主訴として搬送された日齢1男児… 大橋 敦   
Case 2 多呼吸と体幹部の水疱を主訴に搬送された日齢9女児… 辻 章志   
Case 3 発熱,哺乳不良で受診した日齢20男児… 髭野亮太,和田和子  
Case 4 咳嗽が持続する日齢26男児… 五百井彩,和田和子  
Case 5 先天性喘鳴の日齢46男児… 吉村 健,大林奈穂  
Case 6 ‌重症百日咳の経過中に血小板減少と溶血性貧血を合併した日齢48女児… 鳥越史子,塩見正司  
Case 7 発熱を主訴として搬送された日齢51女児… 大橋 敦,山内壮作  
Case 8 黄疸と出血傾向を主訴に来院した日齢59男児… 河崎裕英,平林雅人  
Case 9 ショック症状で搬送された4か月男児… 小垣滋豊  
Case10 頭部腫瘤を主訴とした4か月男児… 杉辺英世,酒井規夫  
Case11 意識障害で搬送された7か月男児… 久保和毅,天羽清子  
Case12 意識障害と横紋筋融解を伴った11か月男児… 大町太一,大橋 敦  
Case13 ‌呼吸困難とけいれんで受診し,肝脾腫と貧血を認めた1歳1か月男児… 宮原由起,酒井規夫  
Case14 ‌解熱発疹期にけいれん,意識障害を認めた突発性発疹の1歳2か月女児… 村上貴孝,笠原道雄  
Case15 急激な腹部膨満を主訴に受診した1歳3か月女児… 橋井佳子  
Case16 発熱とともに全身性強直性けいれんを呈した1歳5か月男児… 大幡泰久,溝口好美  
Case17 急速に進行する下肢麻痺で来院した1歳9か月女児… 大町太一,野田幸弘  
Case18 ピーナッツ摂取後3日目に呼吸困難をきたした1歳9か月女児… 赤川友布子,藤井喜充  
Case19 不機嫌と間歇的啼泣を主訴に来院した1歳9か月男児… 鳥越史子,近藤宏樹  
Case20 発熱・けいれん発作を呈し,急激な経過をたどった1歳10か月男児… 野田幸弘  
Case21 著明な陥没呼吸を伴う呼吸困難で緊急搬送された1歳11か月女児… 髭野亮太,小垣滋豊 
Case22 熱源精査にて発見された左上腹部囊胞の2歳男児… 藤井喜充,北尾哲也,吉村 健  
Case23 ‌二相性反応をきたしたアナフィラキシーショックの2歳男児… 鷲尾隆太,笠原道雄,辻 章志  
Case24 発熱,呼吸困難で発症し,左無気肺がみられた3歳男児… 東浦壮志,塩見正司  
Case25 インフルエンザウイルス感染症で人工呼吸管理を要した3歳男児… 天羽清子,木村貞美  
Case26 発熱と間歇的腹痛で入院となった3歳男児… 皆川 光,橋井佳子  
Case27 吸気性喘鳴を呈し反復する呼吸不全をきたした3歳女児… 吉村 健,外山有加  
Case28 高熱を認め脳症を疑った意識減損発作重積の3歳女児… 新谷 研,青天目 信 
Case29 意識障害を主訴に救急搬送された4歳女児… 加藤正吾,野田幸弘  
Case30 貧血を伴い呼吸不全症状を呈した肺炎の4歳男児… 吉村 健,八十嶋さくら,野田幸弘  
Case31 失神を繰り返した5歳男児… 吉村 健  
Case32 腹痛と嘔吐を主訴に受診した6歳男児… 辻 章志,木全貴久,田邉裕子  
Case33 下肢紫斑出現後に腹部疝痛発作をきたした6歳男児… 今井雄一郎,藤井喜充  
Case34 嘔吐と腹痛を訴えて受診し筋性防御が認められた6歳男児… 阪上美寿々,別所一彦  
Case35 嘔吐,意識障害から全身性けいれんを起こした6歳女児… 村上貴孝  
Case36 間歇的腹痛をきたした6歳男児… 山室美穂,窪田拓生  
Case37 腹痛と嘔吐が持続する8歳男児… 酒井絵美子,溝口好美  
Case38 輸液開始後,急速にショック状態に陥った8歳男児… 岡村隆行,小垣滋豊 
Case39 強い倦怠感を主訴に独歩で受診した8歳女児… 石井 円,小垣滋豊  
Case40 けいれんで救急外来に搬送された9歳男児… 神尾範子,青天目 信  
Case41 ‌‌B型インフルエンザ罹患後に突然の下肢痛と立位困難を認めた10歳男児… 村上貴孝,加藤正吾  
Case42 インフルエンザ感染後に異常行動が遷延した12歳男児… 河崎裕英,峰 研治  
Case43 発熱と多呼吸,呼吸困難を認めた13歳男子… 河崎裕英,峰 研治  
Case44 インフルエンザ罹患後,上腕の痛みを発症した13歳男子… 村松 岳,難波範行  
Case45 意識障害をきたした14歳女子… 柳本嘉時,石崎優子  
Case46 腹部打撲の1か月後に心窩部痛と頻回嘔吐を認めた14歳女子…加藤正吾,藤井喜充 
Case47 非典型的な急性腹症で診断に苦慮した14歳女子… 波多野麻依,近藤宏樹  
Case48 Basedow病に対する内服薬治療中に発熱を呈した15歳女子… 橘 真紀子,三善陽子  
Case49 イレウスをきたした17歳男子… 小泉眞琴,別所一彦  
Case50 呼吸障害を主訴とした27歳男性… 木野仁郎,野田幸弘  

*  *  *

❖self assessment
  問題  
  解答と解説  
❖基準値一覧  

索引 

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序文

 本書は,関西医科大学と大阪大学の小児科学教室およびその関連病院が10年近くにわたり行ってきた「OK小児救急症例研究会」における症例検討の結果をまとめたものであります.OKというのは,大阪大学と関西医科大学の頭文字を表すとともに,大薗恵一と金子一成先生の頭文字も表しています.すなわち,OKという言葉は大学の枠を超えた共同作業のシンボルとなっています.さらに,本書を学ぶことで,小児救急に関しOKといえるようになることを目指していますが,小児救急は範囲が広く,しかも日進月歩の分野であるので,すべてを網羅した完全版とはとてもいえない点はご容赦ください.また,紙面の都合上,説明と同意について触れていないので,実地臨床上はその点に注意を払って,診療していただくようお願いいたします.
 小児救急の現場では完璧をめざすよりも,トリアージ的な対応を求められることも多く,初期対応とその後の対応を再検討して改善していくという意味でも,本研究会は役立ってきました.外科など他分野も含めて,より専門性の高い医師の応援を仰ぐのかどうか,初期対応として重要な判断であると思います.また,時間をかけた経過観察でよいのか,緊急に対応しないといけないのか,この判断を的確に行うようにするのが,小児救急分野の中心課題の一つと思います.問診や身体所見の取り方も重要でありますが,近年では,いかに画像診断や迅速診断を取り入れ,正確に判定するかという点も重要となっています.
 本書をまとめるうえでは,いろいろと苦労がありました.10年近くの歴史がありますので,その当時の治療などが現在の標準的な方法と合わないということも起こりました.本書では,最先端の知見を盛り込む努力は行っていますが,初期対応として,どのように考え,どのように対応するのが大事であるということを優先しました.より専門性の高いことは文献や成書を参考にしてほしいと思います.画像についても印象に残るようなものを掲載しましたが,紙面の関係で割愛せざるを得なかった画像も多くありました.用語についても課題が残りました.用語集は古くなっていく現状をみると,決定版とはいえず,できるだけ2大学で共通して使用されていて,一般的に通用する用語を使用することにしました.それぞれのケーススタディの執筆者の努力に対しては当然ですが,本書をまとめあげるのに時間をかけて意見調整を行った,編集協力者各位に感謝したいと思います.本書が皆様のお役に立てば幸いです.
2015年2月
大阪大学医学部小児科教授
大薗恵一



 本書「これでOK!小児救急ケーススタディ」は,大阪大学・関西医科大学の小児科学教室と,その関連病院の小児科医が約7年間,継続してきた「OK小児救急症例研究会」での報告症例を整理して症候学的にまとめたものです(「OK」の名称の由来については,大阪大学 大薗先生の序文をご覧ください).症候学,すなわち患者の示す症候(様々な訴えや診察所見)を定義・分類して意味づけを与え診断に到る方法論は,臨床医学の醍醐味です.小児科は症候の多さ,情報蒐集(問診や診察所見の取り方)の難しさから,症候学のレベルとしては上級クラスではないでしょうか.中でも時間的制約も加わる救急分野は最難関分野です.
 本書は小児科医が小児の救急疾患を系統立てて診断・治療できるようになるための学習教材を目指しました.つまり様々な症状で救急外来を受診した小児を診るときに,どのような疾患を考え,どのように鑑別するべきか,そしてたどり着いた診断に対してどのような治療を施すべきか,時系列で学べるように工夫しました.前述のように本書の症例のほとんどは,年に2回開催される「OK小児救急症例研究会」で発表された症例です.この研究会では,まず両大学の関係施設で経験された小児救急症例が,主治医から参加者(両大学の小児科学教室とその関連病院の小児科医で,毎回約50~60人)に供覧されます.その後,その診断プロセスや治療内容について,参加者が疑問点を質問し,誤りや誤解を指摘し,意見の相違点について熱く議論します.発言は年齢も役職も関係なく,自由かつフランクに行われます.そのような議論を十分に重ねた症例の中から選りすぐりの症例を抽出し,さらに時代性を考慮して加筆修正を加えた症例集が本書です.したがって小児の救急症例を学ぶ書籍としては比類ない物になったと自負しております.
 本書をまとめるうえでの様々な苦労は,大薗先生の序文に詳しいですが,私が感じたのは,「これほど情報化社会になっていても,二つの伝統ある大学の小児科学教室の間で,治療方針や検査の優先順位に違いがある」ということでした(些細な点ではありますが).それがいわゆる「教室の伝統」といわれるものなのかもしれません.読者の方々にとって,両大学の小児科学教室のそれぞれの「伝統」を探していただくのも本書の楽しみ方の一つかもしれません.一方で,本書をまとめあげるためには,「教室の伝統」による違いを摺り合わせなければなりません.時間をかけて両大学の意見調整を行ってくれた編集協力者の先生方の尽力に感謝の意を表したいと思います.
 本書が小児の救急診療という厳しい臨床現場で活躍される先生方のお役に少しでも立てば,望外の喜びです.
2015年 早春
関西医科大学医学部小児科教授
金子一成