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書籍詳細

基礎疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック診断と治療社 | 書籍詳細:基礎疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック

大阪大学名誉教授/プール学院大学短期大学部教授

永井 利三郎 (ながい としさぶろう) 編集

田辺こどもクリニック理事長

田邉 卓也 (たなべ たくや) 編集

福岡市立心身障がい福祉センター長

宮崎 千明(みやざき ちあき) 編集

初版 B5判 並製 152頁 2015年10月27日発行

ISBN9784787821669

定価:本体3,800円+税
  

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基礎疾患をもつ子どもの予防接種について,実地に向けた考え方をわかりやすく解説したガイド書.専門領域以外の小児科,また一般内科医やその他かかりつけ医にとって臨床現場で役立つ一冊.
予防接種に関する一般的解説だけではなく,「予防接種ガイドライン」(予防接種リサーチセンター)で予防接種要注意者として扱われる基礎疾患をもつ小児における予防接種の重要性をふまえた解説を記載.臨床現場で出やすい疑問をQ&A形式で解説している.

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目次

刊行にあたって
序文
執筆者一覧
略語一覧

第1章 わが国の予防接種の現状
1 わが国の予防接種の歴史と今後の課題
2 定期接種
3 定期外接種(任意接種)
4 ワクチンの開発動向

第2章 予防接種の種類と安全性の確保
1 生ワクチンと不活化ワクチン
2 ワクチンの成分と管理
3 接種時の注意点と接種不適当者・接種要注意者

第3章 予防接種の安全な進め方
1 予防接種の副反応と有益性の考え方
2 副反応の種類とその対応,および救済制度
3 接種スケジュールから外れた場合の対応
4 同時接種実施のポイント
Q&A

第4章 基礎疾患をもつ小児への予防接種対応ガイド 
1 心臓血管系疾患
Q&A
2 腎臓疾患
Q&A
3 悪性腫瘍
Q&A
4 先天性免疫不全
Q&A
5 HIV感染
Q&A
6 重症心身障害
Q&A
7 低出生体重児
Q&A
8 固形臓器移植・造血細胞移植
Q&A
9 アレルギー
Q&A
10 熱性けいれんの既往
Q&A
11 てんかんの既往
Q&A
12 発達障害
Q&A

Appendix
1 予防接種スケジュール
2 予防接種関連ウェブサイト一覧
3 海外でのハイリスク児への対処法の例
4 予防接種絵カード

Column
先天性サイトメガロウイルス感染症
小児循環器専門医へのアンケートにおける,ワクチン同時接種に対する考えについて
低出生体重児におけるB型肝炎母子感染予防について

索引

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序文

刊行にあたって

 基礎疾患のある児への予防接種に関する我々の取り組みは,厚生労働省の通称「ワクチン班」のなかに設置された「ハイリスク児・者に対する接種基準作成に関する研究グループ(代表 前川喜平)」における取り組みに始まります.その後,「前川・粟屋班」に引き継がれ,予防接種リサーチセンターの採択研究として取り組まれました.この間の研究成果は,『神経疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック』として,2007年に,診断と治療社から刊行されました.
 この間の研究の取り組みは,前川喜平先生の指導のもと,故粟屋 豊先生の強力な推進力を背景に行われてきました.本研究の取り組みのその後の進展と,さまざまな成果は,粟屋先生なくしては得ることができなかったものであり,ここに,急逝された粟屋先生に深く感謝と敬意の思いを表するものです.
 この研究班は,その後さらに,宮崎千明先生,次いで永井が引き継ぎ,2014年度まで同様の研究班として,調査研究を継続して行ってきました.そして,2014年度末に永井が大阪大学を退官するに際し,とりあえず終了することになりました.しかし,新しい予防接種もまた開始されてきており,今後もこのような基礎疾患のある児に対する予防接種の実際に関する研究は継続されていくべき大切なものであると考えています.
 永井が本研究を引き継いでから,基礎疾患として発達障害,特に「自閉スペクトラム症(ASD)」を加えました.ASDは予防接種要注意者としては取り上げられていないものですが,特別支援学校の生徒への調査研究のなかで,ASD児の保護者が,予防接種の実施に困っていることが明らかになってきたことを理由に基礎疾患として加えました.
2014年度の本研究においては,対象の基礎疾患として神経疾患,さらにはアレルギーや心疾患を加えました.これは前述のようにワクチンの種類が増加してきたため,その注意点を明確にしておく必要性があり,各専門の学会でも見解がまとめられつつあることから,取り上げておく必要性が強く認識されたことによります.
 本書の刊行に大きなご尽力をいただいた,田邉卓也先生,宮崎千明先生に深謝します.
本書が,日常診療のなかで予防接種を多数行っている第一線の先生方や,保護者の対応にあたっておられる,保健師,看護師,そして行政など,関係の皆様のお役に少しでも立つことができれば幸いです.

2015年10月
大阪大学名誉教授
プール学院大学教授
永井利三郎



序文

 適切な時期にワクチン接種を行うことは,すべての子どもにとって必要なことです.何らかの慢性的な基礎疾患があり,継続して治療や経過観察を受けている子どもの場合でも,変わることはありません.ただし,基礎疾患がある場合,ワクチン接種に一定の注意を要することがあります.どうしても,接種時期を遅らせざるを得ないことがありますが,その判断は適切に行われているでしょうか.漠然とした不安により,何となく接種が回避されていることがないとはいえないのではないでしょうか.医療者側の不安は,患者側の不安にもつながります.結果として,ワクチン接種忌避につながってしまう可能性があるでしょう.
 本書では,予防接種リサーチセンター発行の「予防接種ガイドライン2015年度版」に記載されている,基礎疾患を有する児(予防接種要注意者)に対する接種基準を基本的な方針として示しました.それに対し,それぞれの分野の専門家の先生に,詳細な解説やその根拠となった論文の紹介などをしていただいております.さらにQ&Aを加えることにより,具体的なリスクとその対処法の理解がより深まることを期待しております.結果として,すべての子どもたちが基礎疾患の有無にかかわらず,それぞれの適切な時期にワクチン接種が遅滞なく行われ,健康に成長することがわれわれの願いであります.
 本書は,『神経疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック』(診断と治療社,2007年)をいわば発展させたもので,厚生労働科学研究事業「ハイリスク児・者に対する接種基準と副反応に関する研究班」(前川・粟屋班)の流れを受け継いだものとなっております.故粟屋 豊先生が心血注いで完成された熱性けいれんに対する接種基準は,私も参加させていただきました日本小児神経学会の「熱性けいれん診療ガイドライン」策定委員会による接種基準に差し替えさせていただきました.これは,「2~3か月の経過観察期間」を必須とはせず,けいれん後のより早い時期に接種できるようにしたものであります.粟屋先生に札幌市で開催された第54回日本小児神経学会総会(平成24年)で最後にお会いしたときにいただいた,「ガイドラインというものは変えられるべきものなのです.遠慮せずにどんどん改定してください」というお言葉が,本書完成の想いと重なります.
 最後に,お忙しいなか快く執筆をお引き受けくださいました先生方に,深く感謝申し上げます.

2015年10月
医療法人あゆみ会田辺こどもクリニック理事長
田邉卓也