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書籍詳細

EBウイルス関連胃癌診断と治療社 | 書籍詳細:EBウイルス関連胃癌

国立病院機構関門医療センター

柳井 秀雄 (やない ひでお) 編集

山口大学大学院生体情報検査学

西川 潤 (にしかわ じゅん) 編集

島根大学医学部微生物学

吉山 裕規 (よしやま ひろのり) 編集

東京医科歯科大学再生医療研究センター

清水 則夫(しみず のりお) 編集

初版 B5判 並製 92頁 2016年08月10日発行

ISBN9784787822161

定価:本体3,800円+税
  

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「EBウイルス」は,ほぼすべての成人が保有しさまざまな病態に関与しているが,その消化管における感染の実態や病的意義は,いまだ明らかとされていない.本書では,長年の研究結果をもとに,これまでに解明さしたEBウイルス関連胃癌の病像を,わかりやすく提示した.胃癌の診断治療や病態解明に取り組んでいる臨床医や研究者にぜひ読んでもらいたい一冊.

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目次

カラー口絵
序文 柳井秀雄 
執筆者一覧

1 EBウイルス関連胃癌の発見とその後の研究 髙田賢藏
EBウイルス(EBV)関連胃癌の発見
EBV関連胃癌の疫学
EBV関連胃癌生検組織の解析
上皮細胞へのEBV感染系の確立
EBV関連胃癌におけるEBVの役割
EBV関連胃癌とEBV遺伝子
EBV関連胃癌とピロリ菌

2 EBウイルス感染の基礎知識 清水則夫
EBV発見の経緯と病因的関連
ウイルス粒子・ゲノム構造と遺伝子命名法
EBVの生活環(潜伏感染と再活性化)
EBV関連疾患
EBV感染症の検査法
EBV研究法
治療法

3 EBウイルスによるBリンパ球不死化機構 南保明日香
はじめに
EBVによるBリンパ球不死化
Bリンパ球不死化におけるEBV遺伝子発現
EBVによるBリンパ球不活化機構
おわりに

4 EBウイルスと慢性炎症と腫瘍 柳井秀雄,今井章介
はじめに
EBV感染と炎症・腫瘍
伝染性単核症と慢性活動性EBV感染症
免疫抑制状態に伴うリンパ腫
Burikittリンパ腫
Hodgkinリンパ腫
上喉頭癌
胃癌
自己免疫の関与が疑われる疾患
おわりに

5 EBウイルス関連胃癌の疫学 秋葉澄伯
はじめに
地域分布と経年変化
病理学的特徴
人口学的特徴(性・年齢など)
生活習慣・生活環境などとの関連
移民の研究
ピロリ菌との関連
EBVの感染時期
ウイルスの活性化
ウイルスのサブタイプ

6 EBウイルス関連胃癌研究の最近の動向 飯笹 久,Hyoji Kim,吉山裕規
はじめに
EBV関連胃癌とは何か
EBV関連胃癌細胞株の樹立
EBV由来microRNA miR-BARTsおよびIncRNA BART
EBV関連胃癌の疫学ゲノム解析

7 EBウイルス関連胃癌の病理 阿部浩幸,深山正久
はじめに
臨床的事項,発生部位および肉眼像
組織像
分子病理学的特徴
まとめ

8 EBウイルス関連胃癌の臨床像と上部消化管疾患 柳井秀雄
はじめに
EBV関連胃癌病変におけるEBV感染とリンパ球浸潤癌
EBV関連胃癌とEBV遺伝子抗体系
EBV関連胃癌の存在部位と肉眼像
EBV関連胃癌病変での分化度の低下と内視鏡像
EBV関連胃癌の粘液形質
EBV関連胃癌と背景の慢性萎縮性胃炎
残胃におけるEBV関連胃癌
EBV関連胃癌の予後
非癌胃粘膜におけるEBVとピロリ菌
胃十二指腸の潰瘍性病変とEBV
食道癌・食道胃接合部の癌とEBV
おわりに

9 EBウイルスの胃上皮細胞への感染と不死化
金廣優一,Ricardo Timmy,飯笹 久,吉山裕規
はじめに
上皮細胞へのEBVの感染
EBV陽性胃上皮細胞
組換えウイルスを用いたEBV陽性胃上皮細胞の作成
EBV関連胃癌のはじまり
EBV感染細胞の腫瘍化のメカニズム
おわりに

10 EBウイルス関連胃癌病変における発癌機序 西川 潤
はじめに
胃上皮細胞へのEBV感染の意義
EBV関連胃癌におけるDNAメチル化異常
EBV関連胃癌におけるgenetic alterations
microRNAの関与
EBV潜伏感染遺伝子と胃癌発生の関連
PD-L1,PD-L2 overexpression
PI3K-CA mutation

11 現在の胃癌治療とEBウイルス関連胃癌 柳井秀雄
はじめに
胃癌切除法の展開
胃癌治療と関連するEBV関連胃癌の特徴
EBV関連胃癌と外科手術
EBV関連胃癌と内視鏡的切除
EBV関連胃癌と化学療法
おわりに

12 EBウイルス関連胃癌治療の今後の可能性 西川 潤
はじめに
epigenetic治療
免疫チェックポイント阻害剤
EBV関連胃癌の抗悪性腫瘍薬感受性
EBV遺伝子に対する治療
EBV関連早期胃癌に対する内視鏡治療

索引
奥付

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序文

 本書は,髙田賢藏北海道大学名誉教授のご指導の下での,編集者一同ならびに共同研究者諸氏の,山口大学や北海道大学での20年にわたる「EBウイルス関連胃癌」にかかわる苦しくも楽しい探求の成果を纏めたものです.編集者らの手に余る部分につきましては,各分野の権威の皆様のご助力をいただきました.執筆者の皆様に心より感謝申し上げます.
 去る平成27年11月には,本書の上梓を待たずして,わが国の消化器内視鏡医学発展の功労者の一人であられ,慢性胃炎の本態を「繰り返す表層性変化による萎縮性変化の進展」と喝破されました竹本忠良 山口大学名誉教授がご逝去されました.その表層性変化の正体が,竹本教授ご自身がわが国での研究に先鞭をつけられたピロリ菌による慢性活動性胃炎であることが明らかとなりましたことは,周知の事項です.本書は,この慢性活動性胃炎を舞台として,隠れていたもう一つの新たな役者「EBウイルス」が,胃癌の病態に如何なる役割を演じているのかに迫ったものです.本書を,竹本教授にご笑覧いただくことが叶わなかったことが,残念です.
 EBウイルスは,ほぼすべての成人が保有しさまざまな病態に関与していますが,その消化管における感染の実態や病的意義は,いまだ不明瞭です.胃癌の診断治療や病態解明に日々取り組んでおられる臨床医や研究者の皆様にとりましても,EBウイルス関連胃癌は,興味はあるものの少し取りつきにくい対象であったかと思われます.本書により,読者の皆様へ,これまでに解明されましたEBウイルス関連胃癌の病像を,わかりやすくお示しできれば幸いです.
 編集者一同,本書の上梓が,多くの優れた臨床医・研究者の皆様のEBウイルス関連胃癌研究への参入の呼び水となり,皆様のお力で,EBウイルス関連胃癌のみならず現時点でEBウイルスの関与が不明瞭ないくつかの消化器疾患の病態の解明や治療法の進歩が得られますことを,心より期待しております.
 最後に,本書の作成に多大なご協力をいただきました,診断と治療社の皆様に,厚く謝意を表します.

2016年7月
編集者を代表して:
国立病院機構関門医療センター臨床研究部
柳井秀雄