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書籍詳細

診断と治療社 内分泌シリーズ

原発性アルドステロン症診療マニュアル 改訂第3版診断と治療社 | 書籍詳細:原発性アルドステロン症診療マニュアル 改訂第3版

国立病院機構京都医療センター臨床研究センター

成瀬 光栄(なるせ みつひで) 編集

先端医療振興財団・先端医療センター病院

平田 結喜緒(ひらた ゆきお) 編集

国立国際医療研究センター病院糖尿病内分泌代謝科

田辺 晶代(たなべ あきよ) 編集

改訂第3版 B5判  220頁 2017年04月25日発行

ISBN9784787822420

定価:本体5,500円+税
  

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アルドステロンに関する成因から診断,治療まで,内分泌専門医が知っておくべきさまざまな情報を検査種類別,疾患別に解説しわかりやすくまとめた好評書.今回の改訂第3版では,2016年に日本内分泌学会から発表されたコンセンサス・ステートメントに沿って解説を追加・更新するなど最新情報を盛り込みつつ,必要情報に絞って徹底的にコンパクトを実現.新しい画像診断・手術,新薬などの情報をトピックスとして盛り込んだ.

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目次

口絵
推薦のことば 猿田亨男
『内分泌シリーズ:原発性アルドステロン症診療マニュアル』改訂第3版発刊にあたって 成瀬光栄
改訂第2版序文 成瀬光栄
初版序文 成瀬光栄
執筆者一覧
用語一覧

Ⅰ 基礎編
 1 アルドステロン発見の歴史 平田結喜緒他
 2 アルドステロンの合成 柴田洋孝
 3 生体リズム異常と原発性アルドステロン症 岡村 均他
 4 アルドステロンの分泌調節 宮森 勇
 5 ミネラルコルチコイド受容体の活性化 柴田洋孝他
 6 アルドステロンの腎作用 瀬田公一
 7 アルドステロンの心血管作用 吉本貴宣他
 8 アルドステロンの非ゲノム作用 西山 成他
 9 心血管アルドステロン合成系 武田仁勇他
10 アルドステロン・ブレイクスルー 田辺晶代他
11 アルドステロンによる心血管障害のメカニズム〜MRノックアウトマウスの表現型解析から〜 横田健一

Ⅱ 臨床編
第1章 総論
 1 原発性アルドステロン症発見の歴史と変遷 平田結喜緒
 2 疫学・頻度 上芝 元
 3 原発性アルドステロン症の病型 立木美香他
 4 原発性アルドステロン症の成因 馬越洋宜他
 5 原発性アルドステロン症における異所性受容体 横本真希他
 6 原発性アルドステロン症の関連病態(薬剤性を含む) 横本真希他
第2章 診療ガイドライン
 1 日本内分泌学会 PA診療のコンセンサス・ステートメント 成瀬光栄他
 2 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014) 成瀬光栄他
 3 米国内分泌学会ガイドライン2016 柴田洋孝
第3章 診断
A スクリーニング法
 1 スクリーニングの対象と方法 成瀬光栄他
 2 アルドステロン・レニン比 田辺晶代他
 3 降圧薬服用時の注意 立木美香他
 4 アルドステロン・レニン測定法 とアルドステロン・レニン比 大村昌夫他
B 機能確認検査
 1 機能確認検査 総論 成瀬光栄他
 2 フロセミド立位試験 橋本重厚
 3 カプトプリル試験 成瀬光栄他
 4 生理食塩水負荷試験 南方瑞穂他
 5 経口食塩負荷試験 柴田洋孝
 6 フルドロコルチゾン食塩負荷試験 柴田洋孝
 7 デキサメタゾン抑制迅速ACTH試験 曽根正勝
C 画像診断
 1 画像診断の実際 桑鶴良平
 2 CTの診断的意義①:CTで腫瘍を確認できる場合 田辺晶代他
 3 CTの診断的意義②:CTで腫瘍を確認できない場合 武田彩乃他
 4 副腎シンチグラフィ 田辺晶代
D 副腎静脈サンプリング
 1 総 論 田辺晶代他
 2 内科医からのアドバイス 田辺晶代他
 3 放射線科医からのアドバイス①:副腎静脈サンプリングを成功させるためのポイント 姫野佳郎
 4 放射線科医からのアドバイス②:手技のポイント 高瀬 圭
 5 循環器内科医からのアドバイス①:左右副腎静脈カテーテル挿入のポイント 藤井雄一
 6 循環器内科医からのアドバイス②:副腎静脈サンプリングの手順およびカテーテル操作のコツ 亀村幸平
 7 ACTH負荷の目的と意義 田辺晶代他
 8 点滴法と静注法の比較 田辺晶代他
 9 術中迅速コルチゾール測定の臨床応用 米田 隆他
10 術中迅速コルチゾール測定の臨床応用―標準的な判定法 成瀬光栄他
第4章 治療
A 薬物治療
 1 薬物治療 谷 祐至他
 2 アルドステロン拮抗薬の適応 佐藤敦久
B 外科治療
 1 外科治療の現状 滝澤奈恵他
 2 手術前後の注意(内科から) 立木美香他
 3 ミニマム創内視鏡下副腎摘除 木原和徳他
 4 手術効果の判定方法と影響する因子 栗原 勲他
第5章 病理
 1 原発性アルドステロン症の病理の最近の進歩 笹野公伸他
 2 原発性アルドステロン症の質的病理診断 相羽元彦他
 3 アルドステロン合成酵素の免疫染色 によるPAの病理学的確定診断法から病態解明へ 西本紘嗣郎他
第6章 合併症・予後
 1 合併症・予後①:原発性アルドステロン症の心血管系合併症 田辺晶代他
 2 合併症・予後②:心血管疾患,腎障害および糖脂質代謝異常 武田仁勇他
 3 Masked chronic kidney disease in primary aldosteronism(masked CKD) 髙橋克敏
 4 特殊な条件下における原発性アルドステロン症①:妊娠 立木美香他
 5 特殊な条件下における原発性アルドステロン症②:小児 天野直子
 6 特殊な条件下における原発性アルドステロン症③:腎疾患合併例 瀬田公一
 7 特殊な条件下における原発性アルドステロン症④:睡眠時無呼吸症候群(SAS) 工藤正孝他

Ⅲ トピックス
 1 18-オキソコルチゾール 手塚雄太他
 2 新たな画像診断法 成瀬光栄他
 3 調選択的副腎静脈採血(SS-AVSまたはS-AVS) 大村昌夫他
 4 新規抗アルドステロン薬 平田結喜緒
 5 新しい手術法 副腎部分切除 大村昌夫他

索 引

Column
・草創期の原発性アルドステロン症 吉永 馨
・福地総逸先生を偲ぶ―原発性アルドステロン症の診断と治療にささげた生涯 橋本重厚

【略語一覧】
本書では,以下の用語について,英語名のフルスペルを省略し掲載した.

和文名 略 英語名
アンジオテンシン変換酵素 ACE angiotensin converting enzyme
副腎皮質刺激ホルモン ACTH adrenocorticotropic hormone
アルドステロン産生腺腫 APA aldosterone-producing adenoma
アンジオテンシン受容体拮抗薬 ARB angiotensin type 1 receptor blocker
活性型レニン濃度 ARC active renin concentration
アルドステロン・レニン比 ARR aldosterone to renin ratio
副腎静脈サンプリング AVS adrenal Venous Sampling
本態性高血圧 EH essential hypertension
家族性高アルドステロン症 FH familial hyperaldosteronism
特発性アルドステロン症 IHA idiopathic hyperaldosteronism
ミネラルコルチコイド受容体 MR mineralcorticoid receptor
原発性アルドステロン症 PA primary aldosteronism
血漿アルドステロン濃度 PAC plasma aldosterone concentration
血漿レニン活性 PRA plasma renin activity

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序文

推 薦 の こ と ば

 SimpsonとTaitとによりアルドステロン(A)が分離同定された僅か1年後の1955年にConn教授により,原発性アルドステロン症(PA)の初例が報告されてから60年が経過した.PAの初例が報告された当時はAの測定は困難で,限られた施設からの症例に限られたこともあって,PAは大変稀少な疾患と考えられていた.
 しかし,その後Aなどのホルモンの測定法や画像検査法の進歩により,PAの発見頻度は少しずつ多くなってきたが,画期的な変化は,2003年にStowasser教授らがA/レニン比がPA診断のスクリーニング法として極めて有用なことを報告されてからである.
 Stowasser教授らの報告後,日本をはじめ世界各国で急速にPAの発見頻度が多くなり,低K血症等,PAに特有な所見の出現前に発見されることが多くなった.またAの増加している高血圧症では,本態性高血圧症よりも脳・心血管疾患を発症しやすいことも判明し,PAの早期発見・治療の重要性が強調されるようになった.
 以上述べてきたようなPAに関する研究の進歩により,PAが二次性高血圧症の中で最も頻度が多い高血圧症(5〜10%)であり,日常臨床上極めて重要な疾患であることが明らかにされてきた.このような状況下で,日本内分泌学会でこの領域をリードしてこられた成瀬光栄先生と平田結喜緒先生が編集責任者となり,この領域の研究グループの先生方の協力と,「診断と治療社」の支援により,2007年11月に「PA診療マニュアル」が発刊された.
 当時PAに関するしっかりしたテキストがなかったことから,この診療マニュアルは高い評価を受けた.その後,Aの合成機序や作用機序,PAの病態,診断と治療法および合併症等に関して新知見がみられたことから,2011年にPA診療マニュアルの改訂版が発刊された.さらにその後の5年間にPAの成因に関してかなりの新知見がみられ,体細胞のKチャネルの遺伝子変異の存在や家族性高A症の病態が明らかにされた.またAの合成酵素の免疫染色によるPAの病理学的診断法の進歩がみられ,PAのより詳細な診断法や治療法が開発されたこともあり,今回再度改訂版が発刊されることになった.
 今回の改訂版では,PA診療マニュアルの本文中で説明された注目すべき手術法,特殊なPAの画像所見や病理所見,さらに診断法等を最初に口絵として呈示した後,Aの合成機序や分泌調節機序およびAの作用機序を基礎編として記載し,次いでPAの臨床として診断や治療法の進歩が記載されている.マニュアルの内容もかなり整理され,これまで以上に読みやすく,理解しやすくなっている.
 PAは今なお日常臨床上極めて重要な高血圧疾患であり,日常臨床の第一線で活躍されている先生方や研修医の方々に,このPA診療マニュアルを是非お読みいただきたいと願っています.

2017年3月
 慶應義塾大学名誉教授
 日本臨床内科医会 会長
 猿田享男


『内分泌シリーズ:原発性アルドステロン症診療マニュアル』
改訂第3版発刊にあたって

 原発性アルドステロン症(PA)は近年,最も注目された代表的な内分泌疾患の一つである.1955年のConn博士による最初の発表以後,現在までの論文数をPubMedで検索すると,1970年から1980年ごろのFirst peak後,いったんは減少した論文数がその後現在まで経年的に増加しSecond peakを示しているのが分かる(図).このPAに関する研究の増加には3つの背景がある.第1は,高血圧におけるスクリーニングにアルドステロン・レニン比(ARR)が導入され,疾患の頻度がそれまで想定されていたよりはるかに高いことが明らかにされたこと,第2は,アルドステロンが古典的な腎臓への作用に加えて心血管系に対する直接的な作用を有し,それに伴う心血管系合併症が多いと報告されたこと,第3は各国で診療ガイドラインが発表されたことである.
 わが国でも本疾患の再啓発が普及し,診療に従事する医師も経験される患者数も飛躍的に増加したことから,PAに関する実践的なマニュアルとして本書『原発性アルドステロン症診療マニュアル』が企画・発刊された.アルドステロンに関する基礎的事項から診断,治療に関する多様な情報をコンパクトにまとめた書籍である.2007年11月に初版を発刊後,2010年改訂第2版を発行したが,この数年間でPAの診断,治療が飛躍的に進歩したことから,今回,改訂第3版を発行されることになった.機能診断,副腎静脈サンプリング,免疫組織染色,成因と密接に関連する各種の遺伝子変異などにおける進歩を追加するとともに,2016年に日本内分泌学会から発表された新たな診療指針「わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメント」を踏まえた解説を随所に追加した.本改訂版が今後さらにわが国のPAの診療に役立つことを期待している.また,改訂に際してご無理をお願いした多数の執筆者の先生方に誌面を借りて改めて深く御礼申し上げる次第である.
2017年3月

 国立病院機構京都医療センター
 臨床研究センター 特別研究員
 成瀬光栄


改訂第2版 序文

 内分泌疾患は多様な臓器の多様な疾患を包含するが,個々の疾患はたとえば糖尿病などの代謝疾患と比較して頻度が少ないことから,臨床医学の現場においてその重要性が必ずしも十分に認識されているとはいえない.しかし,内分泌疾患の診断の遅延は生命にかかわる深刻な影響を及ぼすことがあり,また血圧,糖・脂質,骨代謝などの慢性的な異常を介する標的臓器障害を招来することもある.それゆえ,適切な早期診断と治療が肝要で,そのためには十分な症例の経験と疾患に対する知識が必須である.しかしながら,内分泌疾患に関する系統的な書籍は従来と比較して激減しているのが現状である.このような背景から実地臨床の視点に立って企画・刊行されているのが診断と治療社の「内分泌シリーズ」である.編者らはこれまで,『内分泌代謝専門医ガイドブック』『原発性アルドステロン症診療マニュアル』『褐色細胞腫診療マニュアル』『わかりやすい原発性アルドステロン症診療マニュアル』『クッシング症候群診療マニュアル』『甲状腺疾患診療マニュアル』『内分泌機能検査実施マニュアル』『内分泌性高血圧診療マニュアル』の企画・編集を行ってきた.
 原発性アルドステロン症(PA)は近年,最も注目されている内分泌疾患の一つである.従来考えられてきたよりも頻度が高いこと,適切な診断・治療により治癒可能であること,標的臓器障害が少なくないこと,などが注目される背景である.本疾患の診療に従事する医師も増加し,診断例も飛躍的に増加している.『原発性アルドステロン症診療マニュアル』はPAに関する実践的なマニュアルで,アルドステロンに関する基礎的事項から診断,治療に関する多様な情報をコンパクトにまとめた書籍である.本書は2007年11月に発刊後,大変多数の先生方に活用いただいてきたが,この分野での進歩が著しいことを考慮して,この度,さらに内容を充実させるために改訂第2版を発行することになった.今回の改訂では全体的なフォーマットの統一に加えて,副腎静脈サンプリングの項で,各施設の相違点を明確に整理するとともに,各種学会ガイドラインや各施設でのPA診療手順とその比較についても解説を追加した.本改訂版が今後さらにPAの診療に役立つと信じている.誌面を借りて,改訂に際してご無理をお願いした執筆者の先生方に改めて深く御礼申し上げる次第である.

 国立病院機構京都医療センター
 内分泌代謝高血圧研究部 部長
 成瀬光栄


初版 序文

 Conn博士により原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)が報告されてから50年が経過する.その間,レニン,アルドステロンの測定法の確立とCTを主とする画像診断法の進歩により,内分泌の専門施設でなくても診断が可能となった.同時に,その頻度が当初に想定されたよりもはるかに低いとされたことから,“特殊な内分泌疾患”として,日常診療における注目度は必ずしも高くはなくなっていた.しかし,近年になり①PAの頻度が予想以上に高いこと,②脳梗塞や心肥大などの臓器障害の合併が少なくないことが報告されたのに加えて,アルドステロンの研究が進歩し,新規のアルドステロン拮抗薬エプレレノンが臨床応用されたことから,PAの診断と治療が再び脚光を浴びている.
 高血圧と低カリウム血症を合併し,内分泌学的にレニンの抑制,アルドステロンの高値が明らかで,副腎CTで明確な腫瘍を認める典型例の診断は容易である.しかしながら,血清カリウムが正常,レニンの抑制程度が弱い,アルドステロン増加が軽度,副腎CTで明確な腫瘍を確認できないなど,機能面,形態面で典型的所見を呈さず,診断に苦慮する症例も多数経験されてきている.PAに対する注目が高まるのと平行して,その診断の各ステップと治療における種々の問題点が浮き彫りにされてきたといえる(図).通常,1)低カリウム血症の有無にかかわらず,すべての高血圧患者において,少なくとも一度はPRA, PAC測定によるスクリーニングを実施,2)陽性であれば,アルドステロンの自律性かつ過剰分泌を証明する機能的確認検査を実施,3)陽性であれば副腎CTによる局在診断,4)腫瘍を確認できない場合は,副腎静脈サンプリングを実施する一側性病変であることが確認できれば,積極的に内視鏡的副腎摘出術を検討する.しかしながら,スクリーニング法のカットオフ値,機能的確認検査の組み合わせとカットオフ値,副腎CTの撮影条件,副腎静脈サンプリングの適応と実施方法,カットオフ値,長期予後からみた手術と内科的治療の予後比較など,種々の点の詳細は必ずしもコンセンサスがないのが現状である.
 本書は高血圧の日常診療においてPAを的確に診療できることを目的として,PAの診断と治療に関する最新の知識,動向を網羅すると同時に,その中から今後解決すべき様々な課題が明らかになることも意図して企画した.執筆者としては本分野でわが国を代表する諸先生方にお願いさせて戴いた.本書がわが国のPAの診療水準の向上に役立てば幸いである.

 国立病院機構 京都医療センター
 内分泌研究部 成瀬光栄