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腎臓病小児のマネジメント 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:腎臓病小児のマネジメント 改訂第2版
実践のための数学的アプローチ

日本赤十字豊田看護大学専門基礎(臨床医学)教授

上村 治(うえむら おさむ) 著

改訂第2版 A5判 並製 146頁 2016年07月06日発行

ISBN9784787822512

定価:本体3,000円+税

京都大学理学部出身の著者が名古屋市立大学医学部に入り直し,腎臓専門医として歩んだ30有余年の知識と経験を若い医師のためにわかりやすくまとめた好著.独自の理論を実践(NCKiDs)の中で検証しながら,患者家族会とのつながりを通して患児の健全な社会人としての「自立/自律」支援活動にも参画してきた成果を集大成した.

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目次

Clip 1腎機能,原尿,糸球体濾過量,濃縮について
Clip 2一個体で血清クレアチニン値とGFRは反比例する
Clip 3各種腎機能マーカー基準値とGFR推算式
Clip 4小児末期腎不全の時期予測に血清クレアチニン値の逆数は使えるか?
Clip 5各月齢,年齢のGFR基準値
Clip 618歳Cr-based eGFRは小児式と成人式で異なるか?
Clip 7糸球体濾過量やクリアランスをもう少し理解するために
Clip 8摂取蛋白量の変化と尿素窒素(UN)
Clip 9腎機能変化と血清クレアチニン(s-Cr)
Clip 10さまざまな条件下のイヌリンクリアランス
Clip 11尿中物質濃度評価とクレアチニン比
Clip 12まったくの無尿と血清クレアチニン値
Clip 13イヌリンクリアランス─血清イヌリン濃度をstableに保つ意味と利点
Clip 14クレアチニンクリアランスと小児の腎機能評価
Clip 15輸液製剤の組成と水の体内分布─5%アルブミン,リンゲル液,維持輸液
Clip 16ネフローゼ症候群による特発性急性腎不全(NSAKI)
Clip 17良性家族性血尿(BFH)とAlport症候群
Clip 18起立性蛋白尿の見分け方─自宅採尿による評価法
Clip 19尿蛋白の評価─早朝尿と随時尿の違いと尿蛋白/尿Cr比の重要性
Clip 20ACE-I,ARBと慢性糸球体腎炎急性期の治療
Clip 21小児の血圧測定と基準値
Clip 22腎動脈狭窄と血漿レニン活性
Clip 23ナトリウムと水のバランス─体液量調節系と浸透圧調節系
Clip 24腎機能悪化状態におけるrenal CCrとrenal KT/V ureaの関係
Clip 25小児の生理的体重増加に必要なカロリー(BMR)
Clip 26体表面積と体重との関係
Clip 27総コレステロール値と尿蛋白
Clip 28尿路異常を持つ児の腎機能予後予測
Clip 29Tidal Peritoneal Dialysis(TPD)と小児の腹膜透析管理
Clip 30膿尿のない尿路感染症
Clip 31膀胱のはたらきとトイレットトレーニング
Clip 32単一症候性夜尿症は治療すべきか?
Clip 33アレルギー性紫斑病と副鼻腔炎
Clip 34アレルギー性紫斑病の腎炎発症予測
Clip 35成人移行支援と自尊感情

おわりに
さくいん

more Clip
シュワルツの式 
年齢とともに素のGFRが増えるのは なぜか? 
尿毒素の分布容積 
糸球体濾過物質と尿細管処理物質 
必要透析量 
腎臓の寿命と腎疾患 
基底膜病と糸球体の寿命 
FMDとWilliams 
起立性蛋白尿と腎炎 
香港スタディの問題点 
包茎に対して用手的包皮剥離や拡張は必要か? 

心のClip
人を診る 
動的平衡 
論文の読み方 
文化,文明と進化 
正直であること

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序文

遡ること5年前,本書「腎臓病小児のマネジメント──実践のための数学的アプローチ」の初版を上梓しました。ネフローゼ症候群をはじめすべての腎臓病に対する筆者の治療戦略の基礎となる理論を大急ぎでまとめたものでした。それまで各所にテーマ別の論文を発表したり共同執筆した経験は何度もありましたが,個人としてその基本的な考え方をまとめることは魅力的である反面,それを出版するということについては不安の塊のような状態でした。思い入れの強さから難解になった部分も多く,急いでまとめたための単純な間違いも少なからずありました。常々改訂の機会を待ち望んでいましたが,このたび「第51回日本小児腎臓病学会学術集会」の大会長を仰せつかり,このチャンスに積年の思いを果たすことにしました。
医者になって3年目に初めてネフローゼ症候群の患者に出会って以降,安静の問題,ステロイド依存性の問題,それに伴う骨粗鬆症や易感染性の問題など,子どもの慢性腎疾患に対応すべく努力を重ねてきました。そうして導き出された治療戦略は,基本的にすべての腎臓病に運動制限はまったく行わないこと,可能な限り外来治療を行うこと,ステロイドや免疫抑制剤を使用する場合には麻疹・水痘のワクチンを接種しておくことなど,当時(昭和60年頃)は決して一般的とは言えないものでした。
30年来の活動が少しずつ実り,運動制限も徐々に緩和されつつあります。慢性腎臓病を患う子ども達の腎機能を評価するためのdeviceも作製することができました。こうした子ども達の生涯を考え,精神面・社会面にも配慮した移行支援の活動(彼らの自立/自律を目指したもの)のスタートしています。しかし,まだまだ筆者の考えるところまでは至っていない現状です。われわれ医療者は,患者・家族の主観的な幸せを支える技術者として,しかし,間違っても人として優れているなどと驕ることなく,粛々と日常診療あるいは研究に邁進することが重要な時代になっていると,自らに言い聞かせる毎日です。
本書は,筆者ら(NCKiDs:下記参照)の考える腎臓病の治療戦略の理論的基盤をわかりやすくまとめたものです。初版以降,新しく発表した論文も踏まえて基礎データのアップデートもはかっています。また,気軽に手に取っていただけるように判型を小さくする一方で内容の充実に腐心しました。
なによりも,不要な安静や運動制限が避けられ,小児慢性腎臓病患者の健全な社会人への成長を願って執筆しました。小児腎臓を学ぼうと思っている若い先生方の刺激になれば幸せです。

2016年6月
上村 治