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周産期医療にかかわる人のための
やさしくわかる胎盤のみかた・調べかた診断と治療社 | 書籍詳細:やさしくわかる胎盤のみかた・調べかた
-わかりやすい検査・診断チャート付-

国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター

左合 治彦 (さごう はるひこ) 監修

北里研究所病院病理診断科/国立成育医療研究センター研究所

松岡 健太郎 (まつおか けんたろう) 著

大阪府立母子保健総合医療センター病理診断科

竹内 真(たけうち まこと) 執筆協力

初版 B5判 並製 126頁 2016年05月20日発行

ISBN9784787822529

定価:本体7,800円+税
  

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胎盤診断のスペシャリストが満を持してまとめあげた胎盤診断の集大成.300点余の画像を厳選し,簡潔にして的を射た解説.検査・診断の流れが一目でわかるチャート,実践にすぐに役立つFAQも必読.胎盤診断の手順書・参考書として,患者さんへ説明するときのアトラスとして,診断書の書き方のテンプレート集として,様々な目的に応える,周産期医療にかかわる医療者必携の一冊.

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目次

監修にあたって
はじめに   
 
Ⅰ章 胎盤検査の目的・手順・考え方                         
 1.なぜ,胎盤を調べるのか
     ◎胎盤診断チャート
 2.胎盤検査の進め方,診断の考え方
  1 検査の進め方―胎盤検査フローチャート
  2 胎盤診断の考え方―胎盤診断フローチャート
      ◎単胎胎盤検査フローチャート
      ◎双胎胎盤検査フローチャート
      ◎胎盤診断フローチャート
 3.胎盤の発生と発達
  1 妊娠産物と胎盤
  2 胎盤の発生と発達
  3 胎盤の機能
      a.呼吸・循環    b.栄養代謝    c.ホルモン産生 
 
Ⅱ章 単胎胎盤の調べ方
     ◎単胎胎盤所見記載用紙
 1.臨床情報
       a.記載日,分娩日,分娩形式    b.分娩週数    c.母の年齢,分娩歴 
      d.児の性別,体重,APGARスコア    e.臨床診断    f.提出状態 
 2.臍帯
  2-1)臍帯の肉眼所見
      a.臍帯の有無    b.臍帯付着部    c.臍帯の回転    d.臍帯血管数 
      e.臍帯の長さ    f.結節    g.浮腫    h.変色    i.その他 
  2-2)臍帯の病理所見  26
      a.臍帯炎    b.その他 
  ■臍帯検査のポイント
 3.卵膜
  3-1)卵膜の肉眼所見
      a.卵膜の有無    b.卵膜の損傷・破膜部    c.羊膜?離    d.肥厚 
      e.変色・混濁 
  3-2)卵膜の病理所見
  ■卵膜検査のポイント
 4.胎盤
  4-1)胎盤の肉眼所見
      a.胎盤のサイズ・重量
        病態ミニ解説① 胎児発育不全(FGR)
      b.胎盤の形状・辺縁 
      c.画縁胎盤・周郭胎盤 
       [画縁胎盤] [周郭胎盤]
      d.胎盤胎児面 
[色調・混濁] [絨毛膜下フィブリン・絨毛膜下血腫] [扁平上皮化生・羊膜結節] [嚢胞] [その他]
      e.胎盤母体面 
[損傷] [石灰化] [白色調部] [胎盤後血腫] [辺縁凝血]
      f.胎盤割面 
[色調・うっ血] [絨毛間フィブリン] [絨毛間血腫・血栓] [梗塞]
    4-2)胎盤の病理所見  
      a.羊膜・絨毛膜板 
[胎便] [胎脂] [ヘモジデリン沈着] [胎児腹壁破裂]
      b.絨毛発育とその評価 
      c.syncytial knots (合胞体結節/シンシチウム結節) 
      d.梗塞 
        病態ミニ解説② 妊娠高血圧症候群(PIH)
      e.絨毛間腔フィブリン沈着 
      f.絨毛実質 
[絨毛線維化] [胎児絨毛血栓性血管症]
        病態ミニ解説③ 死産・子宮内胎児死亡
[chorangiosis・血管腫] [その他血管腫以外の腫瘍性病変] [胎児有核赤血球]
      g.絨毛浮腫・胎児水腫 
      h.絨毛膜羊膜炎 
[細菌感染症]
      i.慢性絨毛炎 
[感染性絨毛炎] [villitis of unknown etiology:VUE]
      j.脱落膜 
      k.平滑筋付着 
[癒着胎盤]
      l.その他 
[自己免疫性疾患合併妊娠] [絨毛性疾患]
    ■胎盤検査のポイント  
 
Ⅲ章 多胎胎盤の調べ方
     ◎双胎胎盤所見記載用紙
 1.多胎胎盤妊娠の所見のとり方
     1 臨床情報
         病態ミニ解説④ 膜性と卵性
    2 双胎の臍帯  
    3 双胎の卵膜  
    4 分離膜  
    5 双胎の胎盤  
         病態ミニ解説⑤ 血管吻合
 2.双胎間輸血症候群と無心体
    1 双胎間輸血症候群  
        a.定義    b.病態    c.双胎間輸血症候群の関連病態 
        d. 双胎間輸血症候群に対する治療と胎盤所見 
    2 無心体/twin reversed arterial perfusion(TRAP)sequence  
 3.その他の多胎胎盤
    1 一絨毛膜一羊膜胎盤  
    2 三胎以上の多胎胎盤  
    3 その他の多胎胎盤の検索  
 ○多胎胎盤検査のポイント
 
Ⅳ章 胎盤の病理検査
 1.単胎胎盤の肉眼検査,切り出し
  1 胎盤の保存  
  2 胎盤の検体処理  
  3 胎盤の切り出し・病理標本作成  
 2.双胎胎盤の肉眼検査,切り出し,血管吻合検索
  1 双胎胎盤の肉眼診断時の注意点  
        a.児の区別    b.臍帯・卵膜の採取    c.分離膜の採取    d.双胎胎盤の計測 
  2 血管吻合検索マニュアル
        a.色素注入法 
  1)準備 2)チューブのセット 3)色素注入 4)観察 5)写真撮影および保存
        b.樹脂注入法 
  1)準備 2)チューブのセット 3)樹脂注入 4)組織溶解 5)洗浄
        c.色素樹脂併用法 
 3.胎盤病理標本の見方と特殊染色,免疫染色
  1 HE染色  
  2 特殊染色  
        a.PAM染色   b.Masson trichrome染色 
  3 免疫組織化学(免疫染色)  
        a.Cytokeratin    b.Vimentin    c.HCG    d.CD34/CD31 
        e.CD68    f.D2-40 
  4 その他の検査  
 4.胎盤病理診断文の書き方

参考文献  

FAQ―よくある質問

索引

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序文

監修にあたって

 この度、松岡健太郎博士による本書が上梓されることになった。著者は現役の病理診断医として、小児・胎児・胎盤の病理に造詣の深いスペシャリストとして活躍中である。病理診断学はありとあらゆる分野に及ぶが、やはり成人の疾患を対象とした病理診断医が多く、小児・周産期領域、特に胎児や胎盤の診断できるスペシャリストは希有の存在である。本書はその著者の臨床・研究の集大成としての胎盤学を1冊の本にまとめたものである。

国立成育医療研究センター(成育医療センター)は旧国立大蔵病院と旧国立小児病院が統合して、わが国唯一の小児・周産期医療を行う国立高度専門医療センターとして2002年に開院した。著者は国立小児病院研究検査科(病理)を経て開院当初から成育医療センターの病院検査部(病理)そして病理診断部病理診断科医長として、小児・胎児・胎盤病理に従事されてきました。この間私は一緒に仕事をさせていただいた。私のライフワークは胎児治療であり、2003年から双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー凝固術をはじめた。はじめの頃はいつも著者と一緒に一絨毛膜双胎の胎盤の検討を行った。臍帯血管から色素を入れて胎盤吻合血管の観察と検討を行った。この経験によって実際の手術において胎盤吻合血管の正確な同定と凝固が可能になった。著者は双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー凝固術を陰で支えていたといえる。「双胎胎盤の調べ方」を一つの章をして取り上げているのは著者にもこのような思い入れがあるからである。

こうした経験で培った著者の胎盤学がここに1つの本となった。写真が多くみやすく、またその内容は簡潔にして明瞭である。胎盤に関する知恵がつまっている本である。産婦人科医、小児科医、病理医のみならず助産師や検査技師にとってもきわめて有益な本である。胎盤を扱う際や胎盤に関しての知識を得たい際の最新でわかりやすいテキストブックである。 

2016年4月

国立成育医療研究センター副院長/周産期・母性診療センター長
左合治彦



はじめに

胎盤の調べ方,所見のとり方がむずかしい,よくわからないと感じている方は少なくないようで,それらのことについて様々な方から質問を受けます.筆者は“胎盤学”といったようなものを系統的に学んだことがあるわけではありませんが,国立成育医療研究センターで希少な症例を経験することができたとともに,内外の胎盤病理の専門家に胎盤診断を学ぶ機会がありました.この本は私のささやかな経験を,日常診療のなかで胎盤を扱ったり,調べたりする機会の多い周産期医療にかかわっている医療者,すなわち産科医,助産師,新生児科医,母性内科医,病理医さらには産科学,発生学の研究者など,胎盤にかかわる医療者,研究者に役に立てていただきたいと考えて執筆しました.
本書では,胎盤の調べ方すなわち胎盤診断の流れを理解しやすいように,いくつかのチャートを作成しました.また,単胎胎盤、多胎胎盤の章ではそれぞれの所見記載用紙を掲載しています.これらのチャートや記載用紙を念頭に読み進めていただければ,胎盤検査の入門書として通読していただけるのではないかと思います.たとえば,以下のようにご利用いただくのはいかがでしょうか.
産科医,助産師,新生児科医,母性内科医は,
・胎盤の所見をとるときのハンドリングの手順書として.
・周産期病態を胎盤所見から知るための参考書として.
・患者さんへ説明するときのアトラスとして.
病理医は,
・胎盤診断の手順書として.
・診断書の書き方テンプレート集として.

「病態ミニ解説」では,周産期用語の定義について病理所見もあわせて簡単に説明しています.また,「病理医コラム」では周産期医療に携わる病理医として考えたことを述べています.巻末に「FAQ(よくある質問)」をあげておきましたので,ぜひご一読ください.
「胎盤学」の教科書として手に取られた方には,本書の内容は少し物足りないかもしれませんが,それぞれの病態の詳細について興味のある方は巻末に掲載した参考文献をお読みいただき,不足を補ってください.

本書に用いた画像は300点余りありますが,そのほとんどは,国立成育医療研究センターで十二年余りの間に筆者が経験し,記録したものです.画像の利用については国立成育医療研究センター倫理審査委員会による審査にて承認されています(「胎盤病理診断手順書の作成のための調査研究」承認番号936).
最後になりますが,胎盤病理診断をご教授いただいた,カリフォルニア大学サンディエゴ校のKurt Benirschke先生,慶應義塾大学医学部病理学教室の先輩の藤倉敏郎先生,さらには貴重なご助言,ご指導ご協力いただいた国立成育医療研究センター周産期センターの先生方,慶應義塾大学医学部病理学教室の川井田みほ先生をはじめとした先生方,獨協医科大学越谷病院病理診断科の先生方,さらに,執筆にあたり様々なアイディアと励ましをいただいた,診断と治療社の柿澤美帆様には,この場をお借りして深く御礼申し上げます.

2016年4月

北里研究所病院病理診断科医長/
国立成育医療研究センター研究所小児血液・腫瘍研究部共同研究員
松岡健太郎