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書籍詳細

食物アレルギーのすべて診断と治療社 | 書籍詳細:食物アレルギーのすべて
基礎から臨床・社会的対応まで

あいち小児保健医療総合センター 副センター長・総合診療科部長

伊藤 浩明(いとう こうめい) 編集

初版 B5判 並製 376頁 2016年10月21日発行

ISBN9784787822789

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定価:本体7,000円+税
  

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第1章では食物アレルギーを巡る動向とその歴史からはじまり,診断,予防と関連因子について解説する.第2章では各アレルゲンについて最新研究を紹介したうえで、第3章ではそれらアレルゲンに対する臨床現場での対処法を示す.第4章ではアナフィラキシーなど特に重要な課題を考察し、第5章では患者が社会の中で直面する問題についても詳細に解説する.複雑さを増す食物アレルギーを巡る状況に本質から迫る一冊.

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目次

序 
執筆者一覧 

Ⅰ 食物アレルギー総論
A 食物アレルギーを巡る国際的な動向 海老澤元宏   
B 日本における食物アレルギーの歴史 栗原 和幸  
C 食物アレルギーの疫学・病型 今井 孝成  
D 食物アレルギーの免疫学 善本 知広  
E 食物アレルギーと遺伝 広田 朝光,玉利真由美  
F 食物アレルギーと環境因子 井上祐三朗  
G 感作の成立と予防対策 福家 辰樹  
H 食物アレルギーの診断 漢人 直之  

Ⅱ 食物アレルゲン
A アレルゲンの構造と機能 伊藤 浩明  
B 鶏卵・魚卵・鶏肉 山田千佳子,和泉 秀彦  
C 牛乳・牛肉 松原  毅,岩本  洋  
D 小麦・ソバ・穀物 横大路智治,松尾 裕彰 
E 種子(大豆・ピーナッツ・ナッツ類・ゴマ) 丸山 伸之 
F 魚類・甲殻類・軟体類 板垣 康治,塩見 一雄 
G 果物・野菜 成田 宏史,岡崎 史子 

Ⅲ 食物アレルギーの臨床各論
A 卵アレルギー 杉浦 至郎 
B 牛乳アレルギー 川本 典生 
C 小麦アレルギー 長尾みづほ 
D ピーナッツ・ナッツ類アレルギー 北林  耐 
E 大豆・ゴマアレルギー 中川 朋子 
F 魚・甲殻類アレルギー 中島 陽一,近藤 康人 
G 果物アレルギー 夏目  統 
H その他の食物アレルギー 千貴 祐子,森田 栄伸 

Ⅳ 食物アレルギーの臨床的課題
A アナフィラキシー 柳田 紀之,海老澤元宏 
B 食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA) 福冨 友馬 
C 新生児—乳児消化管アレルギー 鈴木 啓子,野村伊知郎 
D 成人の食物アレルギー 中村 陽一 
E 栄養・食事指導 楳村 春江 
F 経口免疫療法 佐藤さくら,海老澤元宏 

Ⅴ 食物アレルギーに関連する社会的諸問題
A 給食・外食産業 林  典子 
B 患児・保護者への生活指導 岡藤 郁夫 
C 保育園・幼稚園・学校に対する情報提供 吉原 重美 
D インシデント(ヒヤリ・ハット)事例から学ぶ安全対策 佐々木渓円 
E アレルゲン食品の表示 藤森 正宏 
F 患者会・NPO法人による地域づくり 中西里映子 
G 食物アレルギーサインプレート 服部 佳苗 
H 行政・専門学会の動向 赤澤  晃 

付録
A アレルゲン一覧  
B アレルゲンエキス一覧  
C 食物アレルギー関連ガイドライン・手引き等 一覧  
D 保育所生活管理指導表  
E 学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)  
F 緊急時の対応フローチャート  

索 引

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序文

 IgE抗体が発見されてからちょうど50年.食物アレルギーの研究や診療は,長足の進歩を遂げてきました.しかし,食物アレルギーという疾患はそれを追い越すかのように進化を続け,診療で直面する課題も社会的対応も,複雑さを増しています.
 診断と治療社の川口さんから「食物アレルギーの新しい本を作りませんか」とお話をいただいたのが,ちょうど1年前.基礎から臨床・社会的諸問題まで網羅的に集大成したボリューム感のある本,という構想を合意したところで,本書の内容は迷うことなく決まりました.私の贅沢なわがままをすべて受け入れていただき,意中にあった全国の先生から快く執筆をお引き受けいただいて,本書は発刊に至りました.
 冒頭を飾って,日本の小児アレルギー界の双璧である海老澤先生と栗原先生に,グローバルな視点と歴史的な視点から,現在の私たちの立ち位置を示していただきました.それに続く基礎・臨床医学の総論では,各分野のトップリーダーの先生から,最先端の情報を盛り込んだ迫力ある解説をいただきました.
 私が“趣味”とする食物アレルゲンでは,「分子レベルの情報を遠慮なく書いてください」という意図を見事に汲み取って,食品科学における各分野のスペシャリストに,アレルゲン分子の本質に迫る記述をしていただきました.
 臨床面では,現在診療・研究の第一線で活躍している医師と栄養士の皆さんが,臨場感溢れる解説を書いてくれました.アレルギーの診療に必要な知識やノウハウだけでなく,患児の生活や成長と共に歩む心意気を綴ってくれています.
 最後に,アレルギーは本質的に社会に根ざした疾患であり,他のどんな疾患よりも社会制度と密接な関わりがあります.アレルギーの診療に携わる医療者は,その仕組みを知るだけでなく,積極的に病院から出て社会に関わることが求められます.医療者のアイデンティティーを持って病院から外に出ることは,大きなやり甲斐のある仕事です.
 折しも本書は,日本小児アレルギー学会が改訂発行する「食物アレルギー診療ガイドライン2016」と時期を同じくして発刊されます.ガイドラインでも,食物アレルギーの診療は,アレルゲンを除去して安全を保障する守りの姿勢(管理)から,少しでも食べられる方向に患者を導く攻めの姿勢(治療)に向かって,舵を切ったように思われます.本書はさらに,ガイドラインには書ききれない詳細な情報や,「本音」に溢れています.両者が同時に作成されていた経過上,一部の内容や言葉使いに齟齬が生じているところがあるかもしれません.その責は編者の私にあるとして,迷ったらガイドラインを正解とお考え下さい.
 本書全体を通して,食物アレルギーに関する知識を得るだけでなく,その奥深さに迫ろうとする各執筆者の「気迫」を感じ取って頂けたら,望外の喜びです.

 2016年10月吉日
伊藤浩明