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ケトン食の基礎から実践まで 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:ケトン食の基礎から実践まで 改訂第2版
ケトン食に関わるすべての方へ

滋賀県立小児保健医療センター

藤井 達哉(ふじい たつや) 編集

桃山学院教育大学教育学部

永井 利三郎(ながい としさぶろう) 編集協力

第2版 B5判 並製 224 2018年04月24日発行

ISBN9784787823205

定価:4,620円(本体価格4,200円+税)
  

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難治てんかん,GLUT1欠損症などに有効な「ケトン食」について,医師・栄養士をはじめとした治療に携わる者に必須の情報をすべて盛り込んだ,基礎から実践までをカバーする実用書.レシピや食品交換表など,患者家族が実践する上で参考になる内容も掲載している.改訂第2版では、最新の知見を盛り込み,日本食品標準成分表2015年版に対応.また、患者家族のためのQ&Aを充実させた.

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目次

改訂第2版によせて
初版 はじめに

第1章 ケトン食:総論
A ケトン食とは
 1 歴史
 2 ケトン体の生化学
 3 ケトン比とは
 4 ケトン食の適応疾患と効果
 5 ケトン食の禁忌
 6 副作用
B 種々のケトン食療法の概略
 1 古典的ケトン食
 2 MCTケトン食
 3 修正アトキンズ食
 4 低グリセミック指数食

第2章 ケトン食:各論
A 古典的ケトン食
 1 導入
 2 維持
 3 中止
 4 合併症
 5 評価(モニターすべき評価項目・検査項目)
 6 乳児期のケトン食
B MCTケトン食
 1 特徴
 2 メリットと限界
 3 適応と禁忌
 4 計算
 5 開始
 6 調整
 7 古典的ケトン食からMCTケトン食への変更
 8 終了
C 修正アトキンズ食
 1 概念
 2 導入
 3 維持
 4 合併症
 5 評価
D 低グリセミック指数食
 1 概念
 2 導入
 3 維持
 4 合併症
 5 評価
E 各種ケトン食の比較と使い分け
 1 各種ケトン食の有効性と副作用の比較
 2 各種ケトン食の特色を活かした使い分け

第3章 疾患ごとのケトン食
A てんかん
 1 適応基準
 2 ケトン食の抗けいれん作用
 3 抗てんかん薬との相互作用,併用の注意点
 4 効果に関する最新の知見
 5 ケトン食療法の継続期間
 6 抗てんかん薬の減量・中止
B GLUT1欠損症
 1 GLUT1欠損症とは
 2 ケトン食の実施
C ピルビン酸脱水素酵素複合体欠損症
 1 ビタミンB1大量療法
 2 ジクロル酢酸ナトリウム(DCA)
 3 ピルビン酸
 4 ケトン食
D ケトン食が有効とされるその他の疾患
 1 脳の悪性腫瘍
 2 糖原病
 3 アルツハイマー病,パーキンソン病,脳卒中などを原因とする脳神経細胞障害の進行抑制
 4 偏頭痛

第4章 ケトン食の献立の実践と対応の実際
A 難しくないケトン食
 1 ケトン食とは
 2 簡単です?~ケトン比の算出方法~
 3 どれくらいの栄養が必要なの?
 4 何を準備したらよいの?
 5 ケトンフォーミュラ?,MCTオイル(中鎖脂肪酸オイル)ってなに?
 6 ケトン比を気にせずに簡単に使える食品はあるの?
B おいしい献立
 1 初級編
 2 中級編~食品構成表をもとに献立を作る~
 3 応用編~市販の加工食品や菓子などを利用したい場合~
 4 おいしくする工夫
 5 修正アトキンズ食によるケトン食の1例
 6 低GI食によるケトン食の1例
 7 古典的ケトン食,修正アトキンズ食,低GI食のレシピ集(献立)
C 家族と違うメニューを特別に作ることの工夫
 1 1人だけさらに別の調理をする面倒をなくす工夫
 2 自分だけ違うものを食べることをどう納得させるか
D 外食するときの工夫(旅行も含む)
 1 外食のときの下調べ
 2 旅行のときの工夫
 3 修学旅行・宿泊学習などの対応
E 給食への対応
 1 弁当のみの場合
 2 一部給食を利用する場合
F 体調不良時の対応
 1 この問題に関する研究
 2 外来での診療方針
 3 救急外来・入院での診療方針
 4 重症化したとき,絶食時
 5 その他,気をつけるべきこと
G 処方された薬の糖分について
 1 熱量の測定方法について
 2 薬剤投与量の記載方法
 3 表の活用方法
 4 各薬効別薬剤処方の注意点

第5章 Q&A/付録
Q&A

付録

索引

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序文

改訂第2版によせて

 本書の初版が出版されてから早7年が経ちました.本書は,ケトン食治療の適応判断・導入・管理を行う医師,医師のケトン食処方のもとにレシピを作成し栄養指導を行う栄養士,そしてその指導に従って日々様々な状況のもとでケトン食を調理しケトン食治療を実践する患者・患者家族,これら3者のいずれにも役立つ本格的な専門書を目指して作成されました.しかし出版から7年の間に,ケトン食治療の効果発現メカニズムの解明,適応疾患の選択に関する研究,より適切かつ実践しやすい治療方法に関する研究など,ケトン食治療に関する基礎および臨床の研究はめざましく進歩しています.一方で,近年ダイエットを目的としたケトン食への注目が高まり,ネット上で減量目的のケトン食治療の情報や本の宣伝を目にすることが非常に増えてきました.しかしこれらの情報にはエビデンスの乏しいものも少なくなく,ケトン食治療を必要とする患者・患者家族がこういった情報だけを参考に安易にケトン食を開始し,その結果,場合によっては重大な健康被害を受けることも懸念されるようになりました.このような状況のもと,最新の知見を盛り込んだ本書の改訂版発行の必要性は非常に高くなったと考えられ,ここに改訂第2版を刊行いたします.
 今回の改訂では,主として医師を対象として書かれたケトン食各論の内容を最新の知見や医療状況を鑑みて大きく改訂しました.また今回はQ&Aを充実させるため,glut1異常症患者会に依頼し,ケトン食に関する多岐にわたる多くの質問を新たに集めていただきました.これらの質問は医学的なことだけでなく,実践的な内容も多く,質問を分類・編集した上で本書の執筆者達による回答を掲載いたしました.
 冒頭に述べましたように,本書は医師,栄養士,患者・患者家族の3者を対象とした本ですので,患者・患者家族の方々には前半の医師・栄養士向けの内容は難しいと感じられるかもしれません.しかしこれらの部分も,執筆者はケトン食に関しては初心者である医師・栄養士を想定して記載しております.従いまして,ご自身が現在受けている種類のケトン食や治療対象の疾患について目を通していただくと参考になると思いますので,是非一度お読み頂ければと存じます.この改訂版が我が国のケトン食治療の正しい理解と普及に役立つことを,執筆者を代表して願います.

2018年3月  藤井達哉