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はじめて学ぶ小児血液・腫瘍疾患診断と治療社 | 書籍詳細:はじめて学ぶ小児血液・腫瘍疾患
―To Do & Not To Doで理解する―

国立成育医療研究センター教育研修部・小児がんセンター

石黒 精 (いしぐろ あきら) 編集

国立成育医療研究センター小児がんセンター

加藤 元博 (かとう もとひろ) 編集

国立成育医療研究センター小児がんセンター

松本 公一(まつもと きみかず) 編集

初版 B5判 並製 180頁 2017年11月13日発行

ISBN9784787823359

定価:本体4,800円+税
  

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各種血液検査,画像診断から小児血液・腫瘍疾患を鑑別する方法や治療法など,臨床現場で有用な情報を収載.各項目ごとに重要事項をTo Do,Not To Doでまとめた上,専門医への紹介や患児・保護者への説明のポイントも解説しており,いざというときに役立つ1冊.

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目次

カラー口絵 
執筆者一覧 
序 石黒 精 

Ⅰ 小児血液・腫瘍疾患の「急ぐとき」と「急がなくてよいとき」
小児血液・腫瘍疾患の「急ぐとき」と「急がなくてよいとき」  松本 公一 
 1.小児がんとは? 2.日本における小児がん対策 3.見逃してはいけない「小児がん」
 4.小児がんの早期発見は必要か 5.どんな小児がんが「急ぐ」小児がんか 6.みえない出血は怖い
 7.怖い縦隔腫瘍 8.怖い発熱 9.その他 10.他院への紹介の仕方

Ⅱ こんなとき,どうする? 診断に役立つクリニカルパール
1 白血球数・分画に異常がある  加藤 元博 
 1.白血球数・分画の異常に出会ったら 2.白血球数・分画の異常をきたす疾患
 3.白血球数・分画の異常に出会ったときの対処
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

2 リンパ節が腫大している  松岡 明希菜,森 鉄也 
 1.リンパ節腫大とは? 2.リンパ節腫大に対するアプローチ 3.リンパ節腫大をきたす疾患
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

3 貧血を鑑別したい  白石 暁,石村 匡崇,大賀 正一 
 1.貧血とは? 2.貧血をきたす疾患 3.貧血の鑑別をすすめる
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

4 発熱・疼痛が続く  加藤 元博 
 1.長引く発熱や疼痛に出会ったら 2.長引く発熱・反復する発熱をきたす疾患
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

5 出血症状を鑑別したい  松原 康策 
 1.出血傾向を理解するためには 2.出血症状に出会ったら 3.出血症状をきたす疾患
 4.出血症状に出会ったときの対処
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

6 腹部に腫瘤が触れる  菱木 知郎 
 1.腹部腫瘤を主訴とする患者が来院したら 2.診断のポイントと良性疾患・悪性疾患のおおまかな鑑別方法
 3.腹部に腫瘤を触れる疾患と超音波上の特徴 4.その他の診断に有用な検査
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

7 骨髄検査をしようと思う  富澤 大輔 
 1.骨髄検査とは? 2.骨髄検査を行う目的は? 3.骨髄検査の方法 4.骨髄検査が診断に役立つ疾患
 / 患児・保護者への説明のポイント

Ⅲ 画像で腫瘤がある! 画像が何か変! どうする?
1 脳腫瘍  寺島 慶太 
 1.脳腫瘍を疑う症状 2.脳腫瘍を疑ったときの診察と診断 3.小児脳腫瘍の治療
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

2 縦隔腫瘍  大隅 朋生 
 1.縦隔腫瘍をみつけたら 2.縦隔腫瘍の鑑別と診断法
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

3 脊髄腫瘍  荻原 英樹 
 1.脊髄腫瘍の診断 2.脊髄腫瘍の分類 3.脊髄腫瘍の治療と予後
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

4 実はこんな画像も血液・腫瘍疾患ですよ  宮嵜 治 
 1.腫瘤を形成する白血病:myeloid sarcoma 2.跛行,歩行障害の画像診断:読影の注意点
 3.多彩な顔をもつLangerhans細胞組織球症(LCH)
 4.骨形成不全症? 白血病? 易骨折性を呈する2つの小児疾患
 / こんなときは専門医へ

Ⅳ 小児血液・腫瘍患児への対応法・治療法のクリニカルパール
1 輸血しようと思う  小原 明 
 1.貧血だ,輸血しようと思う 2.出血傾向がある,輸血しようと思う
 3.新鮮凍結血漿(FFP)輸血の適応について考える 4.輸血関連副作用について知っておく
 5.輸血関連感染症について知り,説明と対応ができる
 / 患児・保護者への説明のポイント 参考にすべき書籍と信頼できるWeb情報

2 腫瘍崩壊  山田 悠司,塩田 曜子 
 1.腫瘍崩壊/腫瘍崩壊症候群とは? 2.腫瘍崩壊への対応と予防・治療 3.リスク評価とTLS予防
 / 患児・保護者への説明のポイント

3 発熱性好中球減少症  松井 俊大,宮入 烈 
 1.小児感染症の特徴 2.発熱性好中球減少症(FN)とは?
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

4 免疫性血小板減少症  今泉 益栄 
 1.出血傾向と血小板減少の小児患者をみたら行うこと 2.血液検査所見で確認すべきこと
 3.鑑別診断 4.治療の実際
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

5 血友病の関節内出血と緊急の病態  石黒 精 
 1.緊急に対応が必要な病態と初期対応 2.関節が腫れて痛がる血友病患者に出会ったら
 3.血友病を理解しよう 4.治療 5.よくある合併症の病態生理とその診断・治療・予防 6.予後
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

6 小児がん・造血幹細胞移植治療終了後の一般外来  清谷 知賀子 
 1.退院後の注意事項 2.一般外来での対処 3.トランジション
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

Ⅴ 役立つ知識
1 血算の見方  石黒 精 
 1.血算を解釈するための基本 2.赤血球の異常をどうみるか 3.白血球の異常をどうみるか
 4.血小板の異常をどうみるか 5.汎血球減少症をどうみるか
 / こんなときは専門医へ 患児・保護者への説明のポイント

2 主な抗腫瘍薬  加藤 元博 

3 専門医への紹介の仕方と全国の専門施設  石黒 精 
 専門医への紹介先をどう選ぶか

索引

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序文

 小児の血液・腫瘍疾患は比較的まれな疾患ですので,地域医療を担われている実地医家の先生や地域の中核病院の総合診療医,あるいは臨床研修医の先生方・看護師さんをはじめとするスタッフの皆さんにとっては,出会った経験が少ないかもしれません.学生のころから血液や腫瘍疾患は,よくわからないし,苦手という方も多いことでしょう.まして,「血液細胞なんて,みても全然わからないし…」という先生がほとんどでしょう.
 そんなあなたにぴったりの本を作ってみました.表題の「はじめて学ぶ小児血液・腫瘍疾患」から連想して「はじけっしゅ」とでも呼んでください.「けっしゅ」は血液腫瘍の「けつ」と「しゅ」を取りました.「はじけっしゅ!!」と,炭酸飲料の泡が「はじける」ように,読んで元気になる本をイメージしました.読むと頭の中に出血して血腫「けっしゅ」ができるわけではありませんのでお間違いなく.まして,血腫「けっしゅ」が,はじけて大出血になるわけでは,決してありません.
 「普通のプライマリ・ケア医のところには血液・腫瘍疾患の子どもなんて来やしない.せいぜい鉄欠乏性貧血くらいにしか会わないよ」と,仰りたいのはごもっともです.でも,考えてみてください.血液検査は毎日のようにしていますよね.検査結果を毎日のように判断していますよね.そんなとき,軽い異常だけれど,よくわからないと思ったことはありませんか? 新生児や乳児では検査値の基準範囲が成人とは違うことはよく知っているので,成人値からみたら軽い異常だけれど,多分心配ないと済ませてはいませんか?
 まれといわれる血液・腫瘍疾患は,本当にまれでしょうか? それとも気付いていないだけでしょうか? なにせ,グルコース—6—リン酸脱水素酵素(G6PD)異常症は,世界中に4億人以上いるといわれているのです.ひょっとして見逃しているだけかもしれません.軽い貧血があって,血清鉄は正常なのに,平均赤血球容積(MCV)がすごく小さい患者さんに出会ったことはありませんか? 国際化の進んだ現代ではサラセミアかもしれません.熱が続いているのに,白血球がなぜか少ない患者さんに出会ったことはありませんか? ひょっとしたら白血病かもしれません.足の関節が何度も腫れて,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が基準範囲上限付近の患者さんに出会ったことはありませんか? ひょっとしたら軽症の血友病かもしれません.きょうだいがりんご病(伝染性紅斑)になったときに,急に顔色が真っ白になった患者さんに出会ったことはありませんか? 溶血性貧血の患者さんがヒトパルボウイルス感染のために赤血球ができなくなった赤芽球癆かもしれません.
 この本には,プライマリ・ケア医として見逃してはならない疾患であり,初期対応の知識が必要なものに限って集めてあります.必要に応じて,適切なタイミングで専門施設に紹介できるように具体的に書いています.また,親御さん・患者さんにお話しするポイントも示しています.このように,プライマリ・ケアに従事する先生方および小児に関連する看護師さんなどに役立つように,より実践的で役立つ情報を具体的かつコンパクトに表すように工夫しました.血液・腫瘍疾患が疑われる子どもが実際に外来を訪れたときに,自信をもって次の行動に踏み出す,ピンときたらこの本の記述をざっと確認する,といった使い方ができるような本に仕上げました.この本では“To Do”および“Not To Do”などのクリニカルパールをわかりやすくまとめるとともに,必要最小限の知識を“Essence”として提示し,ヒントやお役立ち情報を“Memo”として随所にちりばめています.急ぐときは,本文をすっ飛ばして,この部分だけを読んでも役立つことでしょう.また,拾い読みもできるように,「暇なときに寝転んで読む」だけで,頭の片隅に残るような,持っても腕が疲れないような本にしたつもりです.
 この本はしばしば出会う子どもの血液・腫瘍疾患と血液検査値の異常に焦点を当てています.誰もができる医療面接と身体診察,臨床検査だけから出発して,適切な評価と管理に向けて少しでも迫れるようにやさしく道案内します.この本を傍らに置いて,勇気をもって血液・腫瘍疾患に挑戦してみましょう.

2017年9月
編集者一同
代表
 石黒 精
国立成育医療研究センター教育研修部・小児がんセンター