アレルギー疾患を総合的に捉え,患者教育を担うことができる専任のスタッフとして需要が高まっている,小児アレルギーエデュケーターの資格取得を目指す看護師,薬剤師,管理栄養士に向けた,学会編集による2分冊のテキストの第3版.『基礎篇』では各アレルギー疾患の基礎知識を網羅している.第3版では最新ガイドラインの内容を反映し,食物経口負荷試験などの項目が充実.また新たにアナフィラキシーの章を設けている.
関連書籍
ページの先頭へ戻る
目次
改訂第3 版 刊行によせて
執筆者一覧
第Ⅰ章 アレルギーの基礎知識
1 アレルギーの説明に必要な免疫の知識 下条 直樹
A アレルギーとは
B 自然免疫と獲得免疫
C アレルギーにかかわる細胞や液性因子
2 アレルギーの疫学 吉田 幸一
A アレルギー疾患の発症・寛解
B 疫学調査デザイン
C わが国におけるアレルギー疾患有症率
D アレルギー疾患での死亡
E アレルギー疾患有症率の経年的変化
F 有症率の海外との比較・国内での比較
第Ⅱ章 気管支喘息 亀田 誠
1 病態生理と症状
A 呼吸器の構造と機能
B 喘息の定義と診断基準
C 喘息のメカニズム
D 急性増悪(発作)の強度
E 重症度とコントロール状態
F 合併症と鑑別診断
2 検 査
A スパイロメトリー
B 気道可逆性試験
C 気道過敏性,運動負荷試験
D FeNO(呼気一酸化窒素濃度)測定
E アレルゲンの検索
3 治 療
A 長期治療目標
B 重症度にあわせた標準治療
C 薬物療法
D 吸入療法の種類と特徴
4 悪化因子の対策
A アレルギー的発作誘因(アレルゲン)
B 非アレルギー的発作誘因
C 室内環境の発作誘因への対策
D 運動誘発喘息(exercise-induced asthma:EIA)
5 急性増悪(発作)への対処方法
A 急性増悪(発作)時の観察方法
B 家庭での対応
C 医療機関での対応
D 急性増悪(発作)時の薬物療法
6 発達段階別の喘息の特徴
A 乳幼児
B 学童期
C 思春期
D 成人の場合 岩永賢司,東田有智
第Ⅲ章 アトピー性皮膚炎 飯野(赤澤) 晃
1 病態生理と症状,検査
A 皮膚の構造と機能
B アトピー性皮膚炎の病態
C 症 状
D 定義・診断基準,鑑別診断
E 重症度評価
F 悪化因子
G 合併症
H 検 査
2 治 療
A 原因・悪化因子の検索と対策
B スキンケア
C 薬物療法
3 治療の流れ
4 日常生活管理
5 成人の場合 加藤 則人
第Ⅳ章 食物アレルギー 今井 孝成
1 病態生理と症状
A 定 義
B 発症機序
C 臨床型分類
D 症 状
2 アレルゲン食品
A 食物アレルゲンとは
B 医薬品などに含まれる食物アレルゲン
3 診断と検査
A 診断の流れ
B 病歴の把握
C 血液検査
D 皮膚プリックテスト
E 除去試験
F 食物経口負荷試験
4 治 療
A 食事指導
B アレルゲンの特徴と必要最低限の除去
C 経口免疫療法
D 薬物療法
第Ⅴ章 アナフィラキシー 古川 真弓,今井 孝成
1 病態生理と症状
A アナフィラキシーの定義と診断基準
B 発生機序
C 症状と重症度分類
2 治 療
A 誘発症状への対応
B 治療薬
第Ⅵ章 その他のアレルギー 吉原 重美
1 アレルギー性鼻炎
A 定 義
B 分 類
C 治 療
2 アレルギー性結膜疾患
A 定義,分類
B 特 徴
C 症 状
D 予防,セルフケア
E 治 療
G 合併眼疾患
3 ラテックスアレルギー
4 蕁麻疹
5 アレルギー性接触皮膚炎
6 ハチ毒によるアナフィラキシー
索 引
ページの先頭へ戻る
序文
改訂第3 版 刊行によせて
小児アレルギーエデュケーター認定制度は,2009 年に発足して,まもなく10 年になります.この間にも,アレルギー医療は,大きく変わりました.その中でこれからの大きな足がかりとなるのが,2014 年に「アレルギー疾患対策基本法」が議員立法として成立し,2015 年12 月に施行されたことです.この法律は,多くの国民がアレルギー疾患を有すること,アナフィラキシーや喘息発作など急激な症状の増悪を繰り返すことがあること,国民生活に多大な影響を及ぼしていることなどから,アレルギー疾患対策の一層の充実を図るため,国,地方公共団体,医療保険者,国民,医師,医療関係者,学校関係者がその責務を明らかにし,総合的に推進することを目的としています.
具体的には,アレルギーに関する知識を患者だけでなく広く国民にも普及させること,アレルゲン物質の低減やアレルギー物質の食品表示の充実,アレルギーに関する専門的な知識や技術を有する医師,看護師,薬剤師,栄養士を育成すること,国民が全国どこにいても適切なアレルギー医療を受けられる体制を整備すること(アレルギー医療の均てん化),アレルギー疾患の病態解明,治療法の開発のための疫学研究,臨床研究を推進することになっています.
日本小児臨床アレルギー学会が実施している小児アレルギーエデュケーター制度は,アレルギーを専門とするメディカルスタッフを養成し,学会として認定することでアレルギー医療レベルの改善と全国でのアレルギー医療の均てん化に貢献していきます.
今回の本書の改訂は,一般社団法人日本アレルギー学会,日本小児アレギー学会の刊行する各種アレルギー疾患治療・管理ガイドラインの改訂に合わせて行いました.日進月歩の医療の進歩に,これから小児アレルギーエデュケターの取得を目指す人は,最新の情報で学習を行っていただきたいと思います.またすでに取得している人も最新の情報にアップデートするために見直しを行っていただきたいと思います.本書は,広く医療者向けにできる限りわかりやすく記載していますので,医師向け医学書と違い読みやすくなるように心がけています.多くの皆様のお役に立てることを期待しています.
最後に,本書を制作・改訂するにあたり,多くの専門家のみなさまにご監修いただきました.さらに,初版,第2 版に引き続き,皮膚科領域の執筆協力をいただきました京都府立医科大学大学院医学研究科 皮膚科学教授加藤則人先生に厚く御礼申し上げます.
平成30 年11 月
一般社団法人 日本小児臨床アレルギー学会
理事長 飯野(赤澤) 晃