HOME > 書籍詳細

書籍詳細

女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針 2018年度版診断と治療社 | 書籍詳細:女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針 2018年度版 電子書籍付書籍

一般社団法人日本女性医学学会

「女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2018年度版」作成委員会 編

初版 A4判 並製 72頁 2018年12月26日発行

ISBN9784787823731

定価:本体4,000円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


好評を博した,「女性医学」の視点で作られたユニークな指針である本書が5年ぶりに全面改訂.「吹田スコアに基づくリスク区分」,新規薬剤を盛り込み,動脈硬化性疾患全般を含むよう内容を拡充.新たに「動脈硬化性疾患と保険診療」の項目も加え,より使いやすくなった.女性ヘルスケア専門医試験の教科書として,臨床現場の頼れる診療ガイドとして,ぜひご活用ください.スマホやタブレットでも閲覧できるオンライン電子版付き.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

本書の刊行にあたって
はじめに
頻出略語一覧
1.動脈硬化性疾患の疫学
  (1)冠動脈疾患
  (2)脳卒中
  (3)その他の疾患
2.動脈硬化性疾患危険因子の特徴
  (1)脂質異常症
  (2)喫煙
  (3)糖尿病
  (4)高血圧
  (5)妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,多囊胞卵巣症候群,子宮内膜症
    1)妊娠高血圧症候群
    2)妊娠糖尿病
    3)多囊胞卵巣症候群
    4)子宮内膜症
3.動脈硬化性疾患危険因子の経年的変化
  (1)脂質異常症
  (2)高血圧
  (3)糖尿病(耐糖能異常を含む)
  (4)メタボリックシンドローム
  (5)喫煙
  (6)慢性腎臓病(CKD)
  (7)高尿酸血症
  (8)睡眠時無呼吸症候群
4.脂質異常症・高血圧・糖尿病と動脈硬化性疾患
  (1)脂質異常症
  (2)高血圧
  (3)糖尿病
5.閉経前女性の脂質異常症
6.周閉経期?閉経後女性の脂質代謝特性
  (1)エストロゲン低下による女性の脂質代謝特性
  (2)TG上昇はLDLを小粒子化し,small dense LDLを増加させる
7.脂質異常症の検査・管理方法
  (1)脂質検査の方法
  (2)脂質異常症の診断基準
  (3)脂質異常症の管理基準とリスク区分別脂質管理目標値
  (4)閉経前脂質異常症の管理
  (5)周閉経期-閉経後脂質異常症の管理
8.脂質異常症の治療
  (1)生活習慣の改善
  (2)薬物療法
    1)HRT
    2)脂質異常症治療薬
    3)併用療法
付 録
付録1.脂質異常症治療薬一覧表
付録2.臨床検査値などの基準
付録3.動脈硬化性疾患と保険診療


索引
電子版の使い方について

ページの先頭へ戻る

序文

本書の刊行にあたって

  心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症リスクは,男女いずれも年齢とともに高くなりますが,女性の場合は閉経後に急増することが知られています.その発症頻度は男性が高率ですが,発症後の死亡率は女性が高いとの報告もあります.女性の場合,心血管疾患の発症には閉経後のエストロゲン減少が密接に関与することがわかっています.動脈硬化性疾患の危険因子の1つに脂質異常症がありますが,脂質代謝はエストロゲン濃度に大きく影響され,閉経後のエストロゲン濃度の低下に伴い,LDLコレステロールが上昇して心血管疾患の発症リスクを高めることはすでに多くのエビデンスで証明されています.また,閉経後は内臓脂肪の蓄積に伴い,中性脂肪も上昇して動脈硬化に促進的に作用する可能性も指摘されています.このように女性の脂質代謝は男性とは異なり,閉経を契機に大きく乱れを生じ,脂質異常症の頻度が上昇します.
  日本女性医学学会は,女性のトータルヘルスケアのためには更年期女性のみならず,思春期から老年期に至る全ての女性の健康管理が必要との考えより,2011年に名称を日本更年期医学会から変更しました.健康寿命の延伸のための心血管疾患の予防医学の確立は,今後,本学会が担うべき領域と考えています.このためには,脂質異常症や高血圧など生活習慣病の検査や診断,さらには実際の管理が必要になってきます.
  日本女性医学学会は日本動脈硬化学会が作成した『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版』に準拠しつつ,『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版』を作成しました.本管理指針は,冠動脈疾患の疫学,危険因子の特徴と経年的変化,脂質異常症と冠動脈疾患との関係,閉経前および閉経後女性の脂質代謝特性,脂質異常症の検査・管理方法・治療について解説されています.とくに管理方法の項には,ホルモン補充療法の脂質代謝改善効果が明記されており,脂質異常症が存在して更年期障害のある症例にはホルモン補充療法が適応とされている点は日本動脈硬化学会のガイドラインとは異なり,女性に特化した管理指針として特記される内容です.今回,日本動脈硬化学会は5年ぶりにガイドラインを改訂し,『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』が作成されましたので,日本女性医学学会は『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版』を,新たなエビデンスを加えて改訂する運びとなりました.
  これからの女性の脂質異常症の管理は心血管疾患の一次予防として産婦人科医師が行うべきです.今回,作成された本管理指針の改訂版が実地臨床の場で広く活用され,女性の健康寿命の延伸やQOL向上につながることを期待したいと思います.

  本管理指針の改訂にあたり多大なるご指導を賜りました,日本動脈硬化学会副理事長・脂質異常症診療ガイド2018年版編集委員長の荒井秀典先生(国立長寿医療研究センター 病院長)に深甚なる謝辞を申し上げます.

 2018年11月
一般社団法人 日本女性医学学会理事長
若槻明彦



はじめに

  日本人がどのような原因により死亡するかを明らかにしているのが厚生労働省の人口動態統計であり,毎年6月上旬に前年調査の概数が,9月上旬に確定数が公表されている.2017年における日本人の全死亡数は1,340,397人であり,今や出生数946,065人の1.42倍に達している.死因第1位は悪性新生物373,334人,第2位は心疾患204,837人,第3位は脳血管疾患109,880人である.以下,第4位が老衰,第5位が肺炎,第6位が不慮の事故であり,日本人の約60%は悪性新生物・心疾患・脳血管疾患・肺炎のいずれかで亡くなる.男性では死因第1位悪性新生物の220,398人に対して第2位心疾患と第3位脳血管疾患とを併せた心血管疾患は149,507人で約2/3に過ぎないが,女性では第1位悪性新生物の152,936人を心血管疾患の165,210人が上回っている.さらに,女性の心疾患死亡の約30%が急性心筋梗塞またはその他の虚血性心疾患であり,脳血管疾患死亡の約60%が脳梗塞である.これらの大部分を占めるアテローム動脈硬化の制圧は,世界に冠たる女性長寿社会である日本における最大の課題の一つである.女性の冠動脈疾患による死亡率が性成熟期には男性に較べて著しく低いにもかかわらず,閉経後に急増して老年期後期には男性と同等になることからも,女性のアテローム動脈硬化発症にエストロゲン欠乏が関与することは明らかである.肥満・糖尿病・高血圧などおよそすべての心血管疾患リスクがエストロゲンと何らかの関連を有することが知られているが,エストロゲン低下による肝性リパーゼ活性亢進と肝LDL受容体減少・活性低下を背景とする閉経後の高LDLコレステロール血症は,特に重要な危険因子である.
  早くからそのような問題意識をもたれ,閉経後女性に対するホルモン補充療法による脂質異常症の改善等に関して世界的な業績を上げられてきた若槻明彦日本女性医学学会理事長は,女性ヘルスケア専門医が独自の立場から動脈硬化性疾患発症予防という役割を果たすべしという信念のもとに,日本動脈硬化学会による『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』の2012年改訂を契機として,日本女性医学学会編集による『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版』出版を主導された.日本女性医学学会はそれまでにも『更年期医療ガイドブック』(初版2008年)や『ホルモン補充療法ガイドライン』(初版2009年)を出版していたが,女性ヘルスケア専門医はエストロゲン欠乏関連疾患のプライマリケアにも責任を有する,という女性医学の思想が投影されている点で,『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版』は画期的な一冊となったといえるだろう.
  時は流れ,日本動脈硬化学会は昨年『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』を発刊した.2012年版まで基礎データとして用いられていたNIPPON DATA 80から吹田研究によるスコア化への変更など,われわれ動脈硬化性疾患のプライマリケアを担当する女性ヘルスケア専門医にとっても重要な改訂点があり,若槻理事長は日本女性医学学会としても『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針』を遅滞なく改訂する必要がある,と判断された.
  このような経緯から,今回の改訂は基本的に『女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2013年度版』の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版』に基づくアップデートという性格を有しているが,さらに以下の諸点をも意識している.
 (1)冠動脈疾患だけでなく,動脈硬化性疾患全般についてもなるべく触れる
 (2)脂質異常症だけでなく高血圧・糖尿病についてもなるべく触れる
 (3)女性医学的な観点から,多?胞卵巣症候群・妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病等についてもなるべく触れる

  また,付録3.として「動脈硬化性疾患と保険診療」を新設し,実務的な面において注意を払うべき点を列挙することにした.
  多忙の折,短い執筆期間にもかかわらず改訂に心血を注いでくださった委員の先生方お一人お一人に感謝するとともに,本指針が女性ヘルスケアの現場で存分に活用され,女性ヘルスケア専門医が日本人女性の健康長寿実現の一翼を担うと自他共に認める日が来ることを念じてやまない.

 2018年11月
一般社団法人 日本女性医学学会
「女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2018年度版」作成委員会委員長
寺内公一