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書籍詳細

トータルケアで進める
子どもの摂食嚥下サポートガイド診断と治療社 | 書籍詳細:子どもの摂食嚥下サポートガイド
「食べる」を育む40のポイント

さぽーとぴあ診療所長・昭和大学医学部小児科学講座客員教授

田角 勝(たつの まさる) 著

初版 B5判 並製 192頁 2019年09月30日発行

ISBN9784787824219

定価:本体3,200円+税
  

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子どもの「自分で食べたい」意欲に基づいた支援が好評を博した旧版を改訂.自分で「食べる」経験を生活の場面で積み重ねながら食行動の発達を促す「トータルケア」の考え方を40のポイント別に解説.行動・心理的要因から先天性の障害や重篤な疾患まで,様々な原因から生じる摂食嚥下障害を抱える子どもと保護者に向けて状態に合わせた対処や支援を提案.「腸内環境を整える」など新項目も追加.

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目次

Contents
はじめに
Aトータルケアの考え方
ポイント1 トータルケアについて理解しよう
ポイント2 トータルケアで大切なことを覚えておこう

B食べる機能の獲得と栄養・食行動
子どもの成長・発達
ポイント3 食べる行動と機能の獲得を理解しよう
Column① 子どもの発達と指しゃぶり
ポイント4 乳児期の摂食嚥下機能の発達過程を理解しよう
Column② おしゃぶり
ポイント5 哺乳から離乳への進め方を知ろう
Column③ 電解質バランス
ポイント6 口腔内の構造の発達を理解しよう
ポイント7 基礎疾患を理解して発育を評価しよう
栄養
ポイント8 栄養摂取基準を知り,栄養について理解しよう
Column④ 水分の必要性と水分補給
ポイント9 重症心身障害児の栄養必要量と注意したい点を知ろう
食行動
ポイント10 おいしく食べるための要因を理解しよう
Column⑤ 幼児期の間食
ポイント11 食欲のメカニズムを理解しよう
ポイント12 食行動を引き出すために腸内環境を整えよう
ポイント13 脳でコントロールされる摂食嚥下を理解しよう
ポイント14 食行動の発達と食習慣について理解しよう
ポイント15 食事にかける時間の重要性について理解しよう
ポイント16 食事(食生活)に影響するさまざまな要因を理解しよう
ポイント17 食行動の確立に重要なことを知ろう
ポイント18 食物の好き嫌いを理解しよう
Column⑥ 味覚と咀嚼の発達

C摂食嚥下障害の原因
ポイント19 子どもと大人で異なる摂食嚥下障害を理解しよう
Column⑦ よだれ(流涎)とその対応
ポイント20 摂食嚥下障害の原因によって異なる対応を知ろう

D摂食嚥下障害の評価と具体的な対応法
ポイント21 食べる機能を評価しよう
ポイント22 嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査について知ろう
ポイント23 胃食道逆流症の評価と対応について知ろう
ポイント24 経管栄養と胃ろうについて知ろう
ポイント25 誤嚥性肺炎を予防しよう
ポイント26 口腔ケアの必要性とその方法を理解しよう
Column⑧ 口腔ケアとしての歯磨きの確立
ポイント27 食べる姿勢と介助の方法について理解しよう
ポイント28 色々な食形態を経験させよう
Column⑨ 自分で食べることを学ぶ乳児期の食形態
ポイント29 食具の選択と自分で食べる機能を育てることの大切さを理解しよう
Column⑩ 歯ブラシの選び方と歯磨きペーストの使い方

E基礎疾患・合併症とリスク管理
ポイント30 全身状態の問題や呼吸障害がある場合の対応を理解しよう
Column⑪ 異常呼吸の種類 
ポイント31 フロッピー(筋緊張低下)インファントへの対応法を理解しよう
ポイント32 摂食嚥下障害をきたす染色体異常や先天異常を知ろう
Column⑫ 小児外科疾患と摂食嚥下障害
ポイント33 重症心身障害児の合併症への対応を理解しよう
ポイント34 行動・心理的問題による乳幼児食行動発達障害について理解しよう
ポイント35 薬物と摂食嚥下障害の関係を理解しよう
Column⑬ 薬物投与の工夫 
ポイント36 摂食嚥下障害のリスク管理について理解しよう

Fトータルケアとしての摂食嚥下障害の対応
ポイント37 トータルケアの基本的な考え方のまとめ
Column⑭ トータルケアからみた食環境・食内容,訓練法の概要と注意点
ポイント38 摂食嚥下障害の支援を行うための準備をしよう
ポイント39 摂食嚥下障害への対応の開始時期と目標設定を理解しよう
ポイント40 摂食嚥下障害への支援をどのように行うか理解しよう
Column⑮ チームアプローチとその問題点
Index

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序文

はじめに

 赤ちゃんの食事は,生まれてすぐに母乳を飲むことから始まります.そしてその後の経験により自分で食べるための食行動と機能を獲得します.乳幼児にとって食べることは生活の中心であり,親にとって食べさせることが育児の中心になります.食事は栄養摂取であるとともに,食べるという楽しい経験を通して,運動機能,感覚機能,コミュニケーションや社会性などの発達が促されます.
 食事は生きていくために欠かせないものであり,食事をおいしく食べられるかどうかは,健康のバロメータになります.その食べる機能に困難が生じた場合は,コミュニケーションや社会性を学ぶための“食事の時間や場所”が奪われる可能性もあり全ての生活に影響します.そのため支援においては,食べる機能の障害だけではなく生活や育児を含めて考える必要があります.
 食べる機能に障害がある子どもを支えるためには,原因,病態,合併症や全身状態の把握もしなければならず,医療や生活面の対応に大変な苦労と努力を要します.そこには多くの職種が関わり,専門性やチーム医療が考えられ,摂食嚥下リハビリテーションとしての対応が広く行われています.しかしこのような中で,いつの間にか少しでも多くの食物を子どもに食べさせるための戦いになっている状況もみてきました.食事がそのような時間や場所となっては,よい結果が得られるはずがありません.
 そこで考えるべきことは,子どもの食行動を考えて支援する“トータルケア”です.トータルケアは食行動の原点にある“食事を楽しく,自分で食べる”ということを引き出すための支援です.
 このような考えから,2013年に「子どもの摂食嚥下リハビリテーション」を執筆しました.しかし,トータルケアに基づいた考え方の支援は十分に浸透しているとはいえません.こうした現状をふまえて,子どもの食行動から食べる機能の発達を促す支援について新たに整理するとともに,最近の知見を加えて改訂しました.本書では,正常の発達や離乳食の話も多くあり,繰り返し説明しているところもあります.読む人によっては,当たり前と感じるかもしれませんが,あえて書くのはそのようなことが食行動を踏まえたトータルケアに欠かせないと考えるからです.反対に訓練法について知りたいという人にとっては,内容が不十分と思われるかもしれません.それは本書が乳幼児の食事は訓練ではなく,食行動から食べる機能を引き出すことと考えているからです.
 筆者としては,本書をさまざまな職種の方々に参考にしていただければと考えています.そして,子どもの食行動を考えることが,一人ひとりの子どもへの支援につながってほしいと思います.

2019年8月
田角 勝