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誘発電位測定マニュアル2019診断と治療社 | 書籍詳細:誘発電位測定マニュアル2019

日本臨床神経生理学会 編集

初版 B5判 並製 124頁 2019年12月15日発行

ISBN9784787824462

定価:本体3,200円+税
  

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Bergerが脳波記録を公表してから90年,様々な進化を遂げた脳波研究の一つである誘発電位に関して,測定指針の改訂を行った.研究や臨床の現状をふまえ,視覚誘発電位,聴性感覚誘発電位,体性感覚誘発電位,痛覚誘発電位,事象関連電位,磁気刺激を含む運動誘発電位の6分野を各分野のエキスパートが解説した.基礎から新知見までを学べる本書は,これから測定を始める方にも,既に携わっている方にも使っていただきたい一冊である.

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目次

刊行にあたって
序 文
誘発電位測定マニュアル 2019 委員一覧

誘発電位とME(医用工学)の基礎知識
A 誘発電位測定機器のシステム構成
B 電極と差動増幅器に由来する雑音
C 差動増幅器と交流雑音
D 信号検出に必要なフィルタ設定と感度
E デジタル技術の基礎
F 誘発電位波形の潜時と振幅

1.視覚誘発電位(VEP)
  1 総 論
A ERG・VEPの概要 
B 視覚の生理学: 並列的視覚情報処理
C ERG・VEP記録の要点

  2 各 論
A ERG
B VEP
C 視機能の電気生理学的診断アルゴリズム
D 多モダリティーVEP

  3 まとめ

2.聴性誘発電位(AEP)
  1 総 論
A 聴性誘発電位(AEP)とは
B 聴性誘発電位の記録方法

  2 各 論
A 蝸電図
B 短潜時成分─聴性脳幹反応(ABR)─
C 中潜時成分─聴性中間潜時反応(MLR)─
D 長潜時成分─頭頂部緩反応(SVR)─
E 小児で記録する場合の留意点

3.体性感覚誘発電位(SEP)
  1 総 論
A 用語の使い方・解剖学的意味
B 検査室の条件
C 刺激選択
D 記録時の被検者の状態
E 一般的な記録条件
F その他(検査の実際)

  2 各 論
A 上肢SSEP:成人
B 下肢SSEP:成人
C 小児のSSEP
D 小児の中潜時SEP
E 術中モニタリング

4.痛覚関連誘発電位
  1 総 論
A 測定の条件
B 記録波形の成分

  2 各 論
A 表皮内電気刺激法(IES)
B レーザー刺激
C thermode(熱極)

  3 C線維刺激
A 表皮内電気刺激法(IES)
B レーザー刺激

  4 臨床応用

  5 脳磁図

5.事象関連電位(ERP)
  1 総 論
A 一般的な測定上の注意

  2 各 論
A P300(P3,P3b)
B ミスマッチ陰性電位(MMN)
C 小児MMN
D N400
E 運動準備電位(BP)
F 随伴陰性変動(CNV)

6.磁気刺激を含む運動誘発電位
  1 総 論
A 用語の使い方・解剖学的意味
B 検査室の条件
C 刺激装置と刺激コイル
D 磁気刺激の種類
E 記録時の被検者の状態
F 一般的な記録条件
G 安全性
H 磁気刺激を実施する検者へのお願い

  2 各 論
A 単発刺激
B 二連発刺激
C 小児への臨床応用

  3 まとめ

   索 引

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序文

刊行にあたって

  日本臨床神経生理学会は,1985 年誘発電位測定指針を作成し,1997 年に誘発電位測定指針を改訂してきました.この度は矢部博興理事を中心とした教育委員会に誘発電位ガイドライン作成ワーキンググループを設置し,未改訂であった誘発電位測定指針の改訂を行いました.対象とする分野には,視覚誘発電位,聴性感覚誘発電位,体性感覚誘発電位,痛覚誘発電位,事象関連電位,磁気刺激を含む運動誘発電位の6 分野が含まれております.現在までもそうでしたが,この指針が日本臨床神経生理学会会員の教育の基礎になったことは間違いありません.
  一方,日本臨床神経生理学会は,最近,教育をさまざまな形で充実させております.誘発電位を学ぶ人や実践している研究者にとって,本指針の改訂が行われ,一冊の本として,発行されたことに大きな意義があると思います.本書は,初版の志である,誘発電位の基礎的知識から最新知識までを理解できるものとして意識され,改訂されたものと考えられます.それゆえに,診療から研究に至るまで幅広い範囲で網羅され,優れた一冊の本としての解説本となっていることであろうと思われます.日本臨床神経生理学会の中での誘発電位の専門家,つまり本邦の中でこれだけの精鋭の先生方から書かれた本はないだろうと思われます.
  本書の改訂をご担当いただいた,教育委員会 誘発電位ガイドライン作成ワーキンググループ委員長 矢部博興理事ならびに委員会の先生方,執筆者の先生方に深謝申し上げるとともに,本書が日本臨床神経生理学会会員ばかりでなく,誘発電位を学ぼうとするすべての医師や臨床検査技師など医療関係者の皆様,さらに多くの誘発電位に興味がある研究者などの皆様にとって,お役に立てる本となると確信しています.
  皆様がお手元にとってお読みいただき,皆様のお役に立てれば誠に幸甚です.

 2019 年11 月

日本臨床神経生理学会 理事長
正門由久



序 文

  Hans Berger が,1924 年にヒトの脳から初めて脳波(Electroencephalography, EEG)を記録し,それを1929 年に公表してから90 年目となりました.この間,脳波研究は,さまざまな進化の道を歩んできたといえます.その一つが,何らかの刺激による脳反応を効果的に抽出する方法の開発の道です.これは,1947 年にDawson が重ね合わせによる誘発反応の検出法を見出したことから始まりました.さらに1950 年代からは,コンピュータ技術の浸透により,今日用いられている平均加算Average 法(Dawson,1954)による誘発電位法が登場しました.この手法は,刺激に対して一定の時間的関係を持つ微小な脳内現象を捉えることを可能にし,視覚誘発電位(visual evoked potentials,VEP),聴性誘発電位(auditory evoked potentials, AEP),体性感覚誘発電位(somatosensory evokedpotentials, SEP)などの研究分野を生み出しました.これらはやがて,1960 年代以降には,脳内の認知情報処理過程を反映する随伴陰性変動(contingent negative variation, CNV),後期陽性成分のP300,ミスマッチ陰性電位(mismatch negativity, MMN)などの事象関連電位研究(event - related potentials,ERP)を生み,さらには痛覚関連電位(pain - related evoked potentials, PREP),磁気刺激を含む運動誘発電位(motor evoked potentials, MEP)などへの研究へとつながっていったのです.
  さて1970 年代に入ると,欧米では誘発電位のガイドラインが多数発行されるようになりました.日本でも1980 年代に入って,誘発電位や事象関連電位の研究が盛んになり,1985 年には日本脳波・筋電図学会(現日本臨床神経生理学会)の誘発電位検査法委員会により,誘発電位測定指針が発表されました.その後1997 年2 月誘発電位検査法委員会を引き継いだ誘発電位の正常値に関する委員会(下河内稔委員長)が設置され,改訂作業が行われました.この誘発電位測定指針では,視覚誘発電位,聴覚誘発電位,短潜時体性感覚誘発電位,事象関連電位の測定指針が改訂されました.
  2016 年3 月,日本臨床神経生理学会(旧日本脳波・筋電図学会)の飛松省三前理事長と正門由久現理事長のもと,矢部を委員長とした教育委員会は誘発電位ガイドライン作成ワーキンググループを設置し,1997 年から20 年以上未改訂のままであった誘発電位測定指針またはガイドラインの改訂を行い,出版することとなりました.対象とする誘発電位の分野は,誘発電位の研究や臨床の現状を勘案し,視覚誘発電位,聴性誘発電位,体性感覚誘発電位,痛覚関連誘発電位,事象関連電位,磁気刺激を含む運動誘発電位の6 分野としました.ワーキンググループのメンバーは委員一覧に掲載しているように,各分野のエキスパートにご担当いただきました.2019 年春にはすべての原稿が揃いましたが,同分野の執筆者間で意見の相違が認められた場合は,どちらかに統一するよりも併記する選択をいたしました.2019 年5 ~ 6 月まで学会会員のホームページ上に公表してパブリックコメントも募集いたしました.内容は当初からエキスパートオピニオン水準にすることとしていたことや寄せられたパブリックコメントも踏まえ,本書の名称は,「誘発電位測定マニュアル2019」といたしました.本書は,診断と治療社から出版されることになりました.編集作業にあたりましては,志賀哲也先生に加えて,同社の柿澤美帆さま,清水伶美さまの多大なるご協力を得ましたことに深謝申し上げます.
  本書を初めて手に取って研究や臨床を始められる方々の手引きとして,または長年にわたって誘発電位計測の研究や臨床に携わってこられた方々にとっても確認の書として,皆様の座右の書となることを願っております.本書が今後の誘発電位研究や臨床の発展を促し,脳や心の謎の探求や人々の病の克服に貢献できることが,執筆者一同の心からの望みです.

 2019 年11 月

日本臨床神経生理学会 教育委員会委員長
誘発電位ガイドライン作成ワーキンググループ
矢部博興