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書籍詳細

発達障害の臨床診断と治療社 | 書籍詳細:発達障害の臨床
レッテル貼りで終わらせない よき成長のための診療・子育てからはじめる支援

福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター

横山 浩之(よこやま ひろゆき) 著

 B5 並製 296頁 2020年11月20日発行

ISBN9784787824783

定価:本体5,200円+税
  

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大人になってからの長い時間に社会参加が可能となるための,発達障害をもつ子どもたちに対する薬物療法,心理的介入の実践書.9年ぶりの改訂となる本書では,DSM-5への対応のほか,「個別の指導計画」「個別の支援計画」の立案に必要となる指針など,教育的配慮に必要な情報について多く解説した.わかりやすく具体的な支援方針は,医師のみならず,保育,教育,福祉の現場で患児と向き合う方々にも役立つ一冊となっている.

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目次

はじめに
Unit 1 総 論
 1-1 神経発達症群/神経発達障害群の現状――就労予後改善には自立に向けた支援が必要
 1-2 初診時の情報収集――複数の情報源から子どもの行動を知ろう
 1-3 初診時の行動観察と診察――最初に評価することが大事
 1-4 検査バッテリーを活かす――実態を“知る”ためではなく“確認する”ために
 1-5 検査バッテリー結果の説明――わかりやすさを優先して
 1-6 初診時に保護者に話していること――子育て支援の開始から
 1-7 操作的診断を正しく使おう:AD/HD-SやPARSでは診断できない
 1-8 個別の指導計画および個別の教育支援計画の作成に協力しよう
 1-9 教育目標分類学を利用しよう――「めあて」と「てだて」を区別する
 1-10 就労というゴールを知ろう――福祉的就労の仕組みも知っておこう

Unit 2 疾病編
 2-1 知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)――教育のレディネスを知ろう
 2-2 知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)――知的水準を低さを長所にかえる支援
 2-3 自閉スペクトラム症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)――DSM-5について
 2-4 自閉スペクトラム症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)――質的な障害,共同注意から診断する
 2-5 自閉スペクトラム症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
       ――認知のかたより・ゆがみと行動パターン
 2-6 自閉スペクトラム症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)――就労に向けた支援を考える
 2-7 注意欠如・多動症(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)――DSM-5について
 2-8 注意欠如・多動症(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)の診断
       ――不注意症状の理解と併存診断の大切さ
 2-9 注意欠如・多動症(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)――心理的介入と薬物療法
 2-10 注意欠如・多動症(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
       ――個別の指導計画,個別の教育支援計画を立てる
 2-11 注意欠如・多動症(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)診療の落とし穴
 2-12 LD(Learning disabilities, 学習障害)――定義と症状
 2-13 LD(Learning disabilities, 学習障害)――個別の指導計画,個別の教育支援計画を立てる
 2-14 ITPA 言語学習能力診断検査を用いたLD支援――苦手なところと得意なところを利用する
 2-15 反抗挑発症(反抗挑発症/反抗挑戦性障害)・素行症(素行症/素行障害)――鑑別とマルトリートメント
 2-16 反抗挑発症(反抗挑発症/反抗挑戦性障害)・素行症(素行症/素行障害)への支援
       ――子どもにかかわる全ての職種との連携
 2-17 双極性障害および関連障害群/抑うつ障害群(気分障害)――診断の手がかりと小児期の気分障害
 2-18 認知発達からみる小児の気分障害
 2-19 易刺激性と双極性障害の症状――易刺激性を正しく理解しよう
 2-20 気分障害の治療と支援――指導しないことの大切さ
 2-21 気分障害診療の落とし穴
 2-22 全般性不安障害――特徴,診断,治療
 2-23 社交不安症/社交不安障害
 2-24 反応性愛着障害および脱抑制型対人交流障害――自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症との鑑別

Unit 3 誰にも必要な子育て支援
 3-1 小学校に入るまでにできてほしいこと――就労継続に最低限必要なこと
 3-2 早寝・早起き・朝ごはん――まず身につけさせる生活習慣
 3-3 メディアとのつきあい方――行動異常,メディア依存症への警告
 3-4 お手伝いの指導と絵本の読み聞かせ――「気持ちのやりとり」の体験と「段取り」の学習
 3-5 しつけの3原則――実は一番むずかしい,一番最後に仕上がる
 3-6 マンガでわかるおうちのルール
 3-7 作業記憶への配慮と「ほめてしつける」――行動のレパートリーを考える
 3-8 簡易版ペアレントトレーニング――簡潔に要点を伝える
 3-9 きょうだいや保護者への支援――PTの応用と連携による支援

Unit 4 就業を目指した子育て支援―定型発達児の心理発達を発達障害児に活かす
 4-1 イヤイヤ期はいつくるか――幼児期の生理的な反抗と対応例
 4-2 しつけの好期はいつか?――理解が「解釈レベル」にあがるとき
 4-3 イヤイヤ期と神経発達症群――根気よく,ていねいに支援する
 4-4 就学指導と小学校入学への準備――就学指導の実際と入学時の注意
 4-5 小学2年の秋に指導しておくこと――ギャングエイジについて
 4-6 保護者と学校とのトラブル――学級崩壊はどのように起こるか
 4-7 自律と二次反抗期――目をはなさない,しかし手をはなす
 4-8 進路指導と中高生の支援――就業に向けた進路指導

Unit 5 保護者・支援者に対応を教える
 5-1 ペアレントトレーニング技法――どんな子どもにもつかえる対応指針
 5-2 子ども集団とペアレントトレーニング技法――集団統率が個別指導に優先する
 5-3 子ども集団で使えるペアレントトレーニング技法の実際
 5-4 家庭と学校が協力できるソーシャルスキルトレーニング
 5-5 家庭でできる微細運動障害への訓練――フィンガーカラーリング技法
 5-6 ひらがな・カタカナ・漢字の練習――読み方,書き方を教えるタイミング
 5-7 繰り上がりのたし算と算数――「数の固まりの操作」を問題解決レベルで理解させる
 5-8 作文ワークが開いた新しい地平――「写す・あてはめる」ことによる書く力の修得
 5-9 バークレー博士の12の原則――保護者を含むすべての支援者が守りたいこと

Unit 6 薬物療法
 6-1 薬物療法総論――支援を本人に届かせるための薬物療法
 6-2 睡眠障害と薬物療法――睡眠・覚醒記録表と睡眠パターンは大切
 6-3 メラトニン(メラトベル®)
 6-4 ラメルテオン(ロゼレム®)――全てのタイプの睡眠障害に用いる
 6-5 睡眠障害に用いるラメルテオン(ロゼレム®)以外の薬剤
 6-6 注意欠如・多動症と薬物療法――使い分け私案
 6-7 メチルフェニデート徐放剤(コンサータ®)
 6-8 アトモキセチン(ストラテラ®)
 6-9 グアンファシン(インチュニブ®)
 6-10 AD/HD治療薬の中止について――薬剤中止のタイミング
 6-11 AD/HD薬物療法のPIT FALL――薬が効かなくなった?
 6-12 抗精神病薬の基礎知識とハロペリドール(セレネース®)
 6-13 リスペリドン(リスパダール®)
 6-14 アリピプラゾール(エビリファイ®)
 6-15 オランザピン(ジプレキサ®)
 6-16 その他の抗精神病薬
 6-17 気分安定薬――カルバマゼピン(CBZ),バルプロ酸(VPA),ラモトリギン(LTG),リチウム(Li)
 6-18 SSRI/SNRIの基礎知識――うつ病と不安症群の薬剤
 6-19 デュロキセチン(サインバルタ®)
 6-20 フルボキサミン(ルボックス®,デプロメール®)
 6-21 SSRI/SNRI 使用の落とし穴
 6-22 不定愁訴に漢方薬

Unit 7 自閉スペクトラム症に固有の問題
 7-1 自閉スペクトラム症への支援の方針――質的な障害を乗り越える
 7-2 家族が患児の手本になろう――患児が社会に適応する第一歩
 7-3 視線の合わせ方と共同注意を教えよう――患児とコンタクトをとるために
 7-4 小学校入学を迎えるまで――保護者に伝え続けること
 7-5 小学校低学年に身につけさせたいこと――ルールとチャレンジ
 7-6 SPELLの法則を保護者に教える――認知発達治療の考え方
 7-7 30分かかるお手伝いと分業――小学3年生からの目標
 7-8 就労を目指した告知――症状の自覚が何より大切
 7-9 中学校以降のフォローアップ――就労に向けて
 7-10 太田ステージ分類を知る――自閉スペクトラム症独自の発達評価
 7-11 太田ステージを活かす――鑑別と療育に活かす

指導手法に関する参考書
自閉スペクトラム症に関する参考書
付録:各Unitの連関図

索引



CASE・COLUMN

Unit 1 総 論
 CASE1 注意欠如・多動症を疑われて来院(8歳,女児)
 COLUMN1 自分で検査をしてみることが意外に大切
 COLUMN2 保護者の障害受容は,他の障害に比べてASDで進みにくい
 COLUMN3 検査の感度と特異度
 COLUMN4 インクルーシブ教育に関する誤解
 COLUMN5 障害者雇用に関する法制度

Unit 2 疾病編
 CASE1 知的発達症 (4歳,女児)
 CASE2 自閉症の疑い (4歳,男児) 最終診断:自閉スペクトラム症 (男児の母)
 CASE3 自閉スペクトラム症 (9歳,女児)
 CASE4 最近暴れ出すようになった (小学4年,男児)
 CASE5 ①注意欠如・多動症 ②双極性障害 (5X歳,女性)
 CASE6 DAMP症候群 (9歳,男児)
 CASE7 注意欠如・多動症 (8歳,男児)
 CASE8 注意欠如・多動症 (4歳,男児)
 CASE9 不注意優性型注意欠如・多動症 抑うつ合併例 (14歳,女子)
 CASE10 注意欠如・多動症の疑い 最終診断:愛着障害,安全基地のゆがみ (4歳,男児)
 CASE11 言語性LD (7歳,男児)
 CASE12 言語性LD (7歳,男児)
 CASE13 注意欠如・多動症,反抗挑発症,素行症,双極II型障害 (10歳,男児)
 CASE14 注意欠如・多動症,抑うつエピソード (6歳,男児)
 CASE15 注意欠如・多動症,不登校,双極II型障害(11歳,女児)
 CASE16 双極II型障害 診断時 16歳,女子 自閉スペクトラム症
 CASE17 重度知的発達症合併の自閉スペクトラム症(16歳,男子)
 CASE18 注意欠如・多動症,不登校 〔14歳(中3),男子,体重55 kg〕
 CASE19 社交不安症 (5歳,男児,体重16 kg)
 CASE20 自閉スペクトラム症(5歳,女児)の弟(2歳,男児)
 COLUMN1 教育のレディネス
 COLUMN2 具体的な行動を聞きとろう
 COLUMN3 LDの国際比較
 COLUMN4 LD指導のピットフォール
 COLUMN5 微細運動徴候の有無
 COLUMN6 身体症状からみる気分障害

Unit 3 誰にも必要な子育て支援
 CASE1 メディア依存による愛着障害 (4歳,男児)
 CASE2 注意欠如・多動症 中学1年生(13歳,男子)
 COLUMN1 子どもにも共通の趣味をもたせる
 COLUMN2 お手伝いが身につかないと……
 COLUMN3 「あいさつをする」と教育目標分類学
 COLUMN4 行動異常がある子どもが,子育てに投げかけている問題

Unit 4 就業を目指した子育て支援-定型発達児の心理発達を発達障害児に活かす
 CASE1 自閉スペクトラム症 (3歳6か月,女児)
 COLUMN1 一次反抗期の最後に
 COLUMN2 せいかつカルタ

Unit 5 保護者・支援者に対応を教える
 COLUMN1 読み・書き・算以外はどうする?

Unit 6 薬物療法
 CASE1 最終診断:①注意欠如・多動症,②双極II型障害 (9歳,女児)
 CASE2 注意欠如・多動症(混合型)(11歳,男児)
 CASE3 社交不安症・不登校 (13歳,男子)
 CASE4 注意欠如・多動症(混合型) 内因性入眠障害型睡眠障害 (10歳,男児)
 CASE5 自閉スペクトラム症,中途覚醒型睡眠障害(8歳,女児)
 CASE6 注意欠如・多動症を疑われた概日リズム障害型+中途覚醒型睡眠障害 (8歳,男児)
 CASE7 中等度の知的能力症を伴う自閉スペクトラム症,概日リズム障害型睡眠障害 (13歳,女子)
 CASE8 言語性LD,中途覚醒型睡眠障害 (6歳,男児)
 CASE9 注意欠如・多動症(混合型) (8歳,男児)
 CASE10 注意欠如・多動症(混合型) (8歳,男児,当科紹介時 25 kg)
 CASE11 注意欠如・多動症 (16歳,男子)
 CASE12 言語性LDの疑い,注意欠如・多動症 (4歳,男児)
 CASE13 注意欠如・多動症 (9歳,男児,体重30 kg)
 CASE14 注意欠如・多動症 (38歳,男性)
 CASE15 注意欠如・多動症 (7歳,男児)
 CASE16 注意欠如・多動症,言語性LD,反抗挑発症(9歳,男児)
 CASE17 重度知的発達症がある自閉スペクトラム症(9歳,男児,体重35 kg)
 CASE18 注意欠如・多動症(混合型) 双極II型障害の合併 (15歳,男子,体重47 kg)
 CASE19 自閉スペクトラム症 双極Ⅰ型障害の合併 (9歳,女児,体重30 kg)
 CASE20 知的発達症を伴わない自閉スペクトラム症,双極II型障害 (8歳,男児)
 CASE21 知的発達症を伴う自閉スペクトラム症(16歳,男子)
 CASE22 自閉スペクトラム症,双極性障害 (8歳,男児)
 CASE23 軽度知的発達症を併せ持つ自閉スペクトラム症,双極性障害 〔18歳,女児(Li使用時)〕
 CASE24 注意欠如・多動症,不登校 (14歳,男子) 全般性不安障害の合併
 CASE25 注意欠如・多動症,言語性LD (25歳,男性) うつ病の合併
 CASE26 自閉スペクトラム症,抑うつエピソード (10歳,女児)
 CASE27 注意欠如・多動症,自閉スペクトラム症,抑うつ状態(紹介元診断) (9歳,男児)
 CASE28 注意欠如・多動症(混合型),言語性LD (17歳,女子)
 COLUMN1 中学校への申し送りやお願い
 COLUMN2 セディール®(タンドスピロン)の頓用療法

Unit 7 自閉スペクトラム症に固有の問題
 CASE1 自閉スペクトラム症 (告知時12歳,男児)
 CASE2 自閉スペクトラム症 (25歳,女性,体重45 kg)
 CASE3 最終診断:注意欠如・多動症(混合型),言語性LD (3歳,男児)
 CASE4 自閉スペクトラム症 (9歳,女児)
 COLUMN1 心の理論:サリーとアンの課題
 COLUMN2 目を合わせる練習の動機づけに
 COLUMN3 趣味は,大人のための感覚統合療法
 COLUMN4 強度行動障害
 COLUMN5 好ましい絵カードの使い方
 COLUMN6 構造化は手段でしかない

※本書に掲載の症例は,仮想症例である.

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序文

はじめに

 「本書は専門書ではない.専門書を,読めるようになる準備のための本である.」と,本書の初版(2005年発行)の序文に書いた.それから15年が経ったが,発達障害に関して本書レベルの知識でさえも普及しているとは言いがたいようだ.改訂第3版となる今回の改訂では,DSM-5への対応と教育的配慮に必要な情報を詰め込むことに重点をおいた.
 子どもたちの未来には大人になってからの長い時間がある.その時間に社会参加が可能となるための薬物療法や心理的介入,さらに文部科学省がいう「個別の指導計画」と「個別の支援計画」の立案に必要な指針を示したつもりである.もちろん,評価基準は「就労」である.いかに学校での適応が良くても,大人になってからの社会適応が悪ければ,何にもならないと私は考えるからだ.
 医師である私は,ひとりひとりの患児に向き合えるのは,せいぜい月1回でしかないが,保育・教育・福祉の現場の方々は毎日向き合っている.だから,保育・教育・福祉の方々にも役立つように介入方針を示した.加えて,ここ数年の間に発達障害児に対して保険適応がある薬剤が急増したので,背景にある知識や使用法についても,私案をまとめた.この結果,本著は驚くほどのページ数にふくれあがったため,環境因子による行動異常については当初の予定を変更して割愛した.割愛した内容については,本書の姉妹書の形で世に問えたらと思っている.
 本書をご編集いただいたのは柿澤美帆氏と清水伶美氏だ.新型コロナウイルスのため,テレワークをしながら作業を進めてくださった.
 本書の執筆を支えてくれたのは,もちろん,一緒に仕事をしている仲間たちだ.東北大学小児科神経グループ(四季会)の先生方や福島県小児科医会の先生方だ.特に,福島県小児科医会の先生方には,どう書いたら理解しやすいかを直接教えていただいた.また,虐待に関して公立黒川病院小児科の岩城利充先生,児童精神科学に関していしい醫院・児童精神科の石井玲子先生にも,ご指導をいただいた.
 教育書を執筆させてくださった明治図書の樋口雅子先生,小学館の白石正明先生.本書で引用させていただいた文献や書物を執筆なさった先生方.特に,田中康雄先生.大森修先生.
 私が東北大学に知的発達支援外来を作りたいと考えたときに,即座にご許可くださり,援助してくださった飯沼一宇名誉教授.私を教えつづけてくださった国立仙台病院名誉院長の故白橋宏一郎先生.
 そして,私の患者さんたち,保護者をはじめとした支援者の皆様方にも,この場を借りて,深謝したい.誰一人欠けても,本書はなかった.ありがとう.

2020年10月
横山浩之