HOME > 書籍詳細

書籍詳細

「ちょっと困った」から「発達障害かな?」まで
トリプルP 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:トリプルP 改訂第2版
~前向き子育て17の技術~

十文字学園女子大学教育人文学部幼児教育学科

加藤 則子(かとう のりこ) 編集

南紀医療福祉センター小児科

柳川 敏彦(やながわ としひこ) 編集

あきやま子どもクリニック

秋山 千枝子(あきやま ちえこ) 編集

札幌医科大学保健医療学部看護学科

澤田 いずみ(さわだ いずみ) 編集

香川大学医学部公衆衛生学教室

鈴木 裕美(すずき ひろみ) 編集

フラハ大阪心理発達研究所

白山 真知子(しろやま まちこ) 編集

福岡女学院大学人間関係学部子ども発達学科

藤田 一郎(ふじた いちろう) 編集

特定非営利活動法人 TripleP ジャパン 理事

松岡 かおり(まつおか かおり) 編集

第2版 B5判 並製 152頁 2022年05月02日発行

ISBN9784787825391

定価:2,970円(本体価格2,700円+税)
  

立ち読み機能は、ただ今準備中です  


電子版はこちらからご購入いただけます.
※価格は書店により異なる場合がございます.


(外部サイトに移動します)

(外部サイトに移動します)

日常のさまざまな子育ての状況に対応するスキルや保護者の自信を育てる実践的なプログラム「トリプルP」は,世界25か国で導入されており,科学的にも有効と証明されている.日本でも約15年前の団体設立当初より,認知行動療法と豊富な臨床経験に基づいた5段階でコミュニケーション方法,問題行動対応が高く評価されている.今回の改訂では,子育てにおける実際の問題場面を示したイラスト・解説を漫画形式にするなど刷新した.また,トリプルPを実施した専門職・保護者の体験談も新たに追加し,より多様な例を盛り込んだ.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

執筆者一覧
序文
第Ⅰ部 子どもとの関わり方がよくなる17の技術

1 トリプルPとは   加藤則子
2 子育てが前向きであるということ   加藤則子
 1 子育ての肯定的側面
 2 前向き子育ての5原則
3 子どもの問題行動の原因は?   加藤則子
 1 もって生まれた行動
 2 伝わった情報に反応して起こる行動
 3 とかく起こりがちな行動
 4 気分や体調の影響
4 子どもの発達を促す10の技術   加藤則子
 1 子どもとの建設的な関係をつくる
 2 好ましい行動を育てる
 3 新しい技術や行動を教える
5 問題行動に対応するための7の技術─単独で使うものではありません   加藤則子
6 17の技術を有効に使う   加藤則子
 1 技術の応用こそトリプルPの底力
 2 ロールプレイの魔力
 3 テーラーメイドの育児技術
7 子育てをもっと楽しくするために─アドバイスのポイント   秋山千枝子
 1 アドバイスの際の立ち位置
 2 アドバイスの伝え方
 3 「気づき」について
 4 相談を継続してもらうために
 5 連携をするということ
 6 アドバイスの最後に


第Ⅱ部 やってみよう「前向き子育て」

1 トリプルPがもたらすさまざまな変化─保護者の声
 A トリプルPグループワークを体験した保護者の声   澤田いずみ
  1 7年続けて感じた「前向きな気持ち」のもつ力 ~長女と一緒に前向き子育て~
  2 子育ては大変だ! みんなの支えとトリプルPで取り戻した娘の笑顔
  3 困難だった海外生活 自分の軸となり家族を支えた前向き子育て
 B トリプルPを体験した保護者の気づきと成長   鈴木裕美
  1 セッション1で行う「行動日記」を実践して
  2 セッション2で行う「子どもと話す」「子どもを褒める」を実践して
  3 セッション3の「はっきりと穏やかな指示を与える」を実践して
  4 前向き子育て5原則の「親としての自分を大切に」を実践して
  5 発達障害をもつ子どもとトリプルP
  6 HSCとトリプルP
2 トリプルPのやってよかった体験談─専門家の声
 1 臨床心理士の立場から   白山真知子
 2 小児科医の立場から   藤田一郎
 3 看護職(教員)の立場から   澤田いずみ
 4 地域での子育て支援実践を通じて   松岡かおり
3 ファシリテーターからの声   白山真知子
 1 親も子どもも前向きな成長ができるトリプルP
  「前向き子育てPirina」
 2 ライフワークとの出会い
 3 地域でつながる
 4 行政でプログラムを続けることの喜び


第Ⅲ部 いろいろなペアレンティングプログラムのなかで

1 ペアレンティングの支援   加藤則子
 1 さまざまなプログラム
 2 ペアレントトレーニングのなかで
 3 地域ベースの多段階介入
 4 評価指標をもつ
 5 特化型トリプルP
2 質の保証されたデリバリー   加藤則子
 1 トリプルPの子育て技術
 2 ファシリテーターになるためには
3 予防に力点─地域に浸透してこそ有効という考え方   加藤則子
 1 地域で活用されるトリプルP
 2 日本の地域での5段階介入の導入にあたって
 3 トリプルPの予防効果
 4 前向き子育てと自己統制


第Ⅳ部 トリプルPの予防効果

1 子ども虐待予防とトリプルP   柳川敏彦
 1 子ども虐待とは
 2 子ども虐待と発達障害
 3 ペアレンティングの必要性
 4 トリプルPの実践
 5 トリプルPの評価(効果判定)方法
 6 トリプルPの科学的根拠に基づく研究評価
 7 トリプルPに参加するために
 8 トリプルPの長所
2 非認知能力向上・ネット依存症予防   鈴木裕美
 1 非認知能力とは
 2 安定した愛着のつくり方
 3 愛着形成とトリプルP
 4 非認知能力とトリプルP
 5 ネット依存症とは
 6 トリプルPがネット依存症対策としてできること

索 引

ページの先頭へ戻る

序文

 本書の初版を上梓してから早くも11年半がたちました.その間多くの保護者にトリプルPを届け続け,前向きな気持ちになっていただくお手伝いができたことを,とてもうれしく思っています.おかげさまで本書も好評のうちに在庫が品薄となり,幸いにも,増刷の機会に改訂をすることのご提案をいただきました.
 その間の進展は何といっても,多くのファシリテーターの心強い活躍ぶりです.そして多職種から成る専門家が,精力的にトリプルP活動を進め,見識を深めてきています.トリプルPを受講した保護者の皆さんからも,子育てが楽しくなったなどの,多くの声が寄せられました.改訂においてはこういった蓄積を反映することに,力を入れました.
 最近の保護者の声に関しては,新たに澤田いずみ先生と鈴木裕美先生に執筆をお願いしました.小児科医の立場からは,新たに藤田一郎先生に,地域の子育て支援実践の専門家として,松岡かおり先生に執筆に加わっていただきました.臨床心理士の白山真知子先生,看護職で大学教員の澤田いずみ先生は,専門家としてかつてお書きくださった内容を一新してくださいました.白山真知子先生は,現在鋭意活躍中のファシリテーターの皆さんを選りすぐって声を集めてくださいました.鈴木裕美先生は,新しい項目として,非認知能力の向上やネット依存の予防にもトリプルPが役立つことをお書きくださいました.
 初版発行後,トリプルPの様々なオプションが新たに導入されましたが,その際,柳川敏彦先生が科研費を取得するなど,その翻訳にご尽力くださいました.柳川先生はNPO法人Triple P Japanの理事長の任にもあられます.
 コロナ影響下で,親子の関わりがより難しくなっているなか,オンラインを活用しつつ感染予防にも配慮しながらトリプルPを効果的に届けていく必要を痛感しているところです.
 末筆になりましたが,改訂に関するご労を取ってくださいました,担当の寺町多恵子さん,桐生智子さんに深謝申し上げます.


令和4年 4月吉日
十文字学園女子大学教育人文学部幼児教育学科 加藤則子



 2010年9月の本書の発刊から10年以上が経過しました.トリプルP関係諸氏のたゆまぬ努力とトリプルPのプログラムに参加いただいた養育者,保護者の方に心からお礼を申し上げたいと思います.
 プログラムを通して,お母さん,お父さん,そして健やかに成育する子どもたちの笑顔に触れ,まさに「親が変われば子どもも変わる」というトリプルPの合い言葉を日々実感することができ,私たちが日本に導入したトリプルPが多くの方によい影響をもたらしていることを大変うれしく思っています.
 初版発刊時点では,日本に初めて導入したグループトリプルPの他に,レベル3のプライマリケアトリプルP(1対1の個別),レベル4のステッピングストーンズ・グループトリプルPが展開できていましたが,初版の発刊以降,地域での子育て支援を充実できるように,トリプルPの5段階レベルをできるだけ多く日本に導入したいと考え,レベル2のトリプルPセミナー,ティーントリプルPセミナーを加え,さらに新型コロナウイルス感染症の感染予防としてパソコン,タブレット,スマホでも学べるトリプルPオンラインの導入にも力を入れてきました.
 多段階のレベルが導入できたことは,養育者のニーズに応えたいという強い気持ちからですが,地域において「すべての親」というポピュレーションアプローチによって,日本の子どもの「心の育ち」を期待し,安心感(私は守られているから大丈夫),自己肯定感(私は自分が好き),人への信頼感(人とつながることは楽しい)という3つの「生きる力のエッセンス」が得られるのではという大きな個人的な夢へとつながります.
 第2版の発刊を支持してくださった「診断と治療社」様には,心から感謝を申し上げ,今後の子どもたちへのさらなる笑顔を求めたいと思います.


令和4年 4月吉日
南紀医療福祉センター小児科 柳川敏彦