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書籍詳細

めまい改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:めまい改訂第2版

慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科専任講師

國弘 幸伸(くにひろ たかのぶ) 監訳

国際医療福祉大学教授

神崎 仁(かんざき じん) 監訳

慶應義塾大学名誉教授

五十嵐 眞(いがらし まこと) 監訳

慶應義塾大学客員教授

Thomas Brandt(とーます・ぶらんと) 原著

1版 A4変形判 上製 516頁 2003年11月10日発行

ISBN9784787804358

定価:本体24,000円+税
  

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臨床症候,発症機序から病理生理を含むめまいの全貌を学際的に詳述し,信頼性の高い,診断,治療,予後の記載へと至る.めまい研究の集大成.好評の初版の全面改訂.大幅増頁.

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目次

翻訳者一覧
凡  例
監訳者序文…國弘幸伸/神崎 仁/五十嵐 眞
改訂第 2 版への原著者によるまえがき…松永達雄 訳
初版への原著者によるまえがき…松永達雄 訳
謝  辞…松永達雄 訳
用語解説(Glossary)…松永達雄 訳

Section A めまい――症状,症候群,疾患
 Chapter 1 序  論…松永達雄 訳
 Chapter 2 患者へのアプローチ…林 裕次郎/國弘幸伸 訳
 Chapter 3 めまい患者の管理…林 裕次郎/國弘幸伸 訳
Section B 前庭神経および迷路の障害
 Chapter 4 前庭神経炎…東野一隆/國弘幸伸 訳
 Chapter 5 Meniere病…斉藤 昌/國弘幸伸 訳
 Chapter 6 外リンパ瘻…五島史行/國弘幸伸 訳
 Chapter 7 末梢性前庭発作症(無力性頭位めまい症)…五島史行/國弘幸伸 訳
 Chapter 8 両側性前庭機能障害…飯田政弘 訳
 Chapter 9 その他の前庭神経,迷路障害…武井泰彦/國弘幸伸 訳
Section C 中枢性前庭障害
  ■…厚東篤生 訳
 Chapter 10 ロール面における前庭症候群…厚東篤生/森田陽子 訳
 Chapter 11 ピッチ面における前庭症候群…厚東篤生/森田陽子 訳
 Chapter 12 ヨー面における前庭症候群…厚東篤生/森田陽子 訳
 Chapter 13 前庭皮質――その局在,機能および疾患…濱田潤一/武田英孝 訳
 Chapter 14 前庭てんかん…濱田潤一/武田英孝 訳
 Chapter 15 その他の中枢性前庭疾患…濱田潤一/武田英孝 訳
Section D 頭位性および頭位変換性めまい
  ■…國弘幸伸 訳
 Chapter 16 良性発作性頭位めまい症…倉島一浩/國弘幸伸 訳
 Chapter 17 クプラ・内リンパ液間の比重の差による頭位眼振/めまい(浮力仮説)
       …國弘幸伸 訳
 Chapter 18 中枢性頭位眼振…國弘幸伸 訳
Section E 血管性めまい
  ■…厚東篤生/高橋一司 訳
 Chapter 19 脳卒中とめまい…厚東篤生/高橋一司 訳
 Chapter 20 片頭痛とめまい…濱田潤一/武田英孝 訳
 Chapter 21 高粘稠度症候群とめまい…濱田潤一/武田英孝 訳
Section F 外傷性めまい
  ■…神崎 仁 訳
 Chapter 22 頭頸部外傷…神崎 仁 訳
 Chapter 23 気圧外傷によるめまい…神崎 仁 訳
 Chapter 24 医原性前庭障害…神崎 仁 訳
Section G 遺伝性前庭障害と小児のめまい
  ■…上村隆一郎 訳
 Chapter 25 家族性周期性運動失調/めまい(発作性運動失調)…上村隆一郎 訳
 Chapter 26 小児期のめまい…上村隆一郎 訳
 Chapter 27 回転性めまい,めまい感と高齢者の転倒…神崎 仁 訳
Section I 薬物とめまい
 Chapter 28 薬物とめまい…神崎 仁 訳
Section J 非前庭性(感覚性)めまい症候群
  ■…國弘幸伸 訳
 Chapter 29 視性めまい(動作とバランスの視性制御)…國弘幸伸 訳
 Chapter 30 体性感覚性めまい…五島史行/國弘幸伸 訳
Section K 心因性めまい
 Chapter 31 精神疾患とめまい…中川敦夫/大野 裕 訳
 Chapter 32 恐怖性姿勢めまい…中川敦夫/大野 裕 訳
Section L 生理学的めまい
  ■…中川敦夫/大野 裕 訳
Chapter 33 動揺病…斉藤 晶/國弘幸伸 訳
Index
 和文索引
 欧文索引

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序文

監訳者序文

 本書は、ミュンヘン大学神経内科Thomas Brandt教授により執筆された“Vertigo ; Its Multisensory Syndromes”(2nd Edition)の日本語全訳である.原著が出版されたのは1999年であり,それからすでに4年が経過した.また,本書(日本語版)の企画が開始されてからも,間もなく3年が経とうとしている.本書の出版が遅れたために関係者に多大なご迷惑をおかけしたことを監訳者として深くお詫びしたい.
 原著第2版では、第1版の内容に大規模な加筆がなされている.したがって,判型も大きくなり,ページ数も大幅に増えた.特に“Section C 中枢性前庭障害”や“Section D 頭位性および頭位変換性めまい”,“Section G 遺伝性前庭障害と小児のめまい”の部分は最新の知見を取り入れて大幅に書き改められ,極めて詳細な記述がなされている.また“Section F 外傷性めまい”のなかの《医原性前庭障害》は第 2版で新たに追加された項目である.原著者も自ら述べているとおり,第 2 版を通読すると原著者の意欲がひしひしと伝わってくる.また,視性めまいや体性感覚性めまいなどの非前庭性めまい,そして心因性めまいなどについても体系的に記述されている点は他書にみられない本書の特徴といえる.
 原著は神経内科医であるBrandt教授がただひとりで執筆したものであるが,書かれている内容は極めて多岐にわたる.したがって,翻訳にあたっては,耳鼻科,神経内科,精神科領域の数多くの専門家の御協力を仰いだ.各Chapterの翻訳担当者はContents(目次)に掲げたとおりである.大変な作業を御快諾賜ったことに,この場を借りて改めて深く感謝申し上げる次第である.
 本書は日常臨床においてめまいを扱う幅広い領域の臨床家を対象としてわかりやすく書かれている.ただし書かれている内容は高度なものであり,必ずしも誰でもが容易に理解できるものではないかもしれない.しかし,臨床に直結する内容も多量に記載されており,本書を座右に置き目を通していただければ,必ずや第一線でめまいの診療に従事する臨床家の方々のお役に立つものと確信している.
 最後になるが,本書の出版が大幅に遅れたのにもかかわらず忍耐強く本書の完成を見守ってくださった原著者のBrandt教授,そして原著の出版元であるSpringer-Verlag社に深く感謝の意を表したい.そして,本書の企画の段階から我慢強くわれわれを励まし,お骨折りくださった(株)診断と治療社の小岡明裕氏に心からお礼を申し上げたい.

2003年10月
國弘幸伸/神崎 仁/五十嵐 眞


改訂第2版への原著者によるまえがき

 このモノグラフはめまい患者の治療に関わる臨床家と,空間識,運動認知,眼球運動,姿勢制御に関与する多感覚運動メカニズムに特に興味を有する科学者のために書かれた.正確な診断を下すことが特に強調されており,また特異的な治療に関する詳細な推奨意見が述べられている.
 1990年代のわれわれの前庭機能と障害に対する理解の劇的な広がりにより,第2版はほぼ完全に新しい本となった.いくつかの関連する例として,クプラ結石症に対して管結石症という新しい概念がまずあげられる.両者とも典型的な後半規管および水平半規管性の良性発作性頭位めまい症の原因として確立されている.家族性反復性失調症1型と2型は遺伝性チャネル病として同定された.耳石器症候群は半規管症候群とは別の種類として認識された.いくつかの新しい中枢前庭性症候群の記述,局在決定がなされ,原因となっている前庭経路と中枢がつきとめられた.前庭-眼反射の三つの主要な作用平面に基づいた新しい分類が,中枢前庭症候群に対して可能となった.そして多感覚性前庭皮質の局在と機能の謎がゆっくりと解かれつつある.
 本書が他の臨床テキストと異なるのは,一方で解剖と生理,他方で疾患という二つの部分に分かれていない点である.前庭症候群,その診断と治療のいくつかの側面についての序論ののちに,個々の疾患についての記述に焦点を当てたSectionとChapterが続く.解剖と生理に関してはメカニズムの理解に重要となるときにのみ論じられている.
 関心をもつ,ある特別の疾患について私よりもよく知っているこの領域の専門家は多数いるが,私はそれでも二つの理由から,あえてこの学際的な本を一人で書いた.第一に,統一した記述によって読者の利用を容易にするため,第二に,他人の研究を学ぶことで私自身のめまい患者の治療能力を向上させるためである.本書は,異なる疾患で認められる典型的な症状を有するがゆえに,神経内科医,耳鼻咽喉科医,内科医,精神科医の間を頻回に往復させられる患者に焦点を当てている.


初版への原著者によるまえがき

 めまいは驚くほど診断が容易で,かつ大部分の症例では効果的に治療がなされうる様々な症候からなる.しかしその治療には,通常特定の領域を専攻するように訓練されている臨床家にとって患者に対するなじみのない学際的なアプローチを必要とする.感覚運動生理はめまいの病因を理解するための鍵であり,注意深い病歴の聴取と神経耳科学的検査は診断の鍵である.
 本書は,末梢迷路疾患(M始i俊e病,前庭神経炎,外リンパ瘻),中枢前庭疾患(前庭てんかん,下眼瞼向き/上眼瞼向き眼振),頭位性,血管性,外傷性,家族性めまい,小児のめまい,そして薬物に関連しためまいを含む,めまいの主たる個々の領域を網羅したSectionによって構成されている. 各Sectionは,たとえば血管性めまいの Sectionのなかの「片頭痛とめまい」といった,特定の領域を取り扱うChapterにさらに細分化されている.それぞれの疾患の臨床的特徴と診断手順の十分な記述(要旨の表が付されている)があり,治療とその基礎となる病態との間の関係が特に強調されている.
 似通った徴候と症状を呈する病態の鑑別診断を容易にするために,大部分の疾患はいくつかの異なる Sectionにおいて言及されている.多感覚性相互作用から生じるめまいの Sectionでは,視性めまい,頸性めまい,そしてより重要といえる心因性めまい症候群(これは神経内科医が診察する患者のなかで三番目に頻度の高いめまいの原因である)などの非前庭性めまい症候群を取り扱う.
 本書はめまいと平衡障害を患う患者の診断と治療の向上に役立つであろう.本書のさらに高度の目的は,生理学者と臨床家が空間識,眼球運動と姿勢制御の,興味深いメカニズムに関する共同研究を開始する足場を築くことであり,そして究極的にはめまい患者の助けとなることである.