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小児腹部エコーマスターガイド診断と治療社 | 書籍詳細:小児腹部エコーマスターガイド
急性腹症診断スキルアップ

社会保険徳山中央病院小児科部長

内田 正志(うちだ まさし) 著

1版 A5判 並製 116頁 2005年05月10日発行

ISBN9784787814210

定価:本体4,500円+税
  

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小児科の日常診療で腹部エコーを使いこなすことは『急性腹症』の 診療に革新的進歩をもたらす.エコー所見の『なぜ』と『なに』を 実症例の写真に沿って具体的に解説する.

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目次

第1章 腹部エコー上達のコツ“急がば廻れ”
A.なぜ腹部エコーは難しく感じるのか?
B.小児の腹部エコー実施時に知っておきたいこと
 1.超音波検査の利点と欠点
 2.腹部エコー上達のコツ
C.正常像の把握と腹部臓器のスクリーニングのポイント
 1.正常像の把握(実質臓器から消化管へ)
 2.なぜ消化管エコーは難しいのか?
 3.スクリーニングのチェックポイント
D.正常像との比較により一目でわかる重要な疾患
─ぜひ覚えておきたいチェックポイント
 1.正常肝門部とその異常
 2.正常腎臓とその異常
 3.正常子宮と卵巣嚢腫茎捻転
 4.正常胃前庭部とその異常
 5.正常腸管とその異常
 6.正常右下腹部と虫垂腫大

第2章 小児の急性腹症について
A.急性腹症とは?
B.小児急性腹症と腹部エコー
C.急性腹痛の診断上の変化
D.腹部エコーからみた急性腹痛の原因
E.救急に役立つ小児急性腹症の超音波診断

第3章 便秘の診断に対するエコーの役割
A.たかが便秘,されど便秘
B.便塊エコーの描出法
C.腹痛のスクリーニング時の便塊エコーの考え方
D.エコーが便秘の診断と治療に有用で示唆に富む症例

第4章 急性胃粘膜病変
A.急性胃粘膜病変とは?
B.胃前庭部の描出方法
C.典型例の内視鏡所見とエコー所見
D.急性胃粘膜病変20例のまとめ
E.最近経験した年少児2例
F.急性十二指腸粘膜病変と思われる2例

第5章 腸重積症とエコー下整復
A.診断における腹部エコーの役割
 1.まずは腸重積症の疑いをもつことが重要
 2.腹部エコーで確定診断した腸重積症60例(70回)の臨床像
 3.間歇的腹痛が最重要の症状
 4.targetsign(標的像)を描出すること
 5.targetsign以外で注意すべきエコー所見
B.エコー下整復術
 1.整復術の選択:X線透視下かエコー下か?
 2.実際の手技と特徴的なエコー所見
 3.整復時の注意点と整復不能例の検討
 4.エコー下整復不能例の5例

第6章 急性虫垂炎
A.エコーによる術前診断
B.急性虫垂炎のエコー診断はなぜ難しいか?
C.急性虫垂炎エコー診断上の疑問点
D.エコー実施後手術した急性虫垂炎100例の検討
 1.臨床像について
 2.血液検査所見について
 3.腹部エコー所見と手術所見について
E.右下腹部エコーの正常像
F.プローブの選択
G.典型例のエコー所見
H.非典型例のエコー所見

第7章 腸間膜リンパ節炎と急性腸炎・急性胃腸炎
A.急性虫垂炎のエコー診断の副産物!
B.腸間膜リンパ節炎とは?
C.腸間膜リンパ節炎の典型例の呈示
D.腸間膜リンパ節炎と急性虫垂炎の臨床像とエコー所見の比較
E.腸間膜リンパ節腫大の描出法
F.急性腸炎・急性胃腸炎におけるエコー検査の意義
G.急性腸炎・急性胃腸炎の代表的なエコー所見
 1.腸管壁の肥厚症例
 2.腸管への液の貯留症例

第8章 その他の疾患
A.先天性胆道拡張症
B.胆嚢壁肥厚・胆嚢腫大
C.肝外門脈閉塞症
D.外傷性腎損傷
E.卵巣嚢腫の茎捻転
F.急性陰嚢症
G.中腸軸捻転
H.血管性紫斑病

索 引

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序文

 超音波検査(エコー)は小児の腹部領域でもかなり普及してきて
いるが,腹部の聴診器のように使いこなしている小児科医はまだ少
ないように思う.
 日常診療では腹部エコーを使いこなせるか否かによって,消化器
疾患の診断の正確さや迅速性に大きな差が生じる.腹部エコーを使
いこなすためにはできるだけ多くの症例を経験する必要があるが,
他の診療科に比べて検査症例が少ないのが実情である.しかし,一
旦『腹部エコーのコツ』をつかみさえすれば症例を積み重ねること
によって次第に実力をつけていくことができる.『腹部エコーのコ
ツ』を習得するための最短かつ確実な方法は『コツ』を会得してい
る経験豊かな指導医に手取り足取り教えてもらうことであるが,指
導者の数や時間的制約の関係で現実には容易ではない.なかでも本
書で取り扱う『急性腹症』の多くを占める消化管疾患のエコーは最
も難しい.しかし,逆に考えると『消化管エコーのコツ』をつかめ
ば診断にとって有用な情報が得られることになり,『急性腹症』の
診療に大きな変化が起きることはまちがいない.すなわち,お腹の
中にどのような変化が起きているのかがほとんどわからない状況で
診断し,治療しているところに,エコー所見(胃粘膜肥厚,腫瘤,
虫垂腫大,腸間膜リンパ節腫大,腸管壁の肥厚,腸管への液貯留,
便塊,腹水)が加味されると,診断はより正確になり,治療もより
的確にできるようになるであろう.
 昨年来,「小児腹部エコーの実際」,「腹部エコーの活用で日常
診療はどのように変化するか?」,「小児急性腹症の超音波診断」
などのタイトルで講演を依頼されることが多くなった.それは小児
科医の間にも腹部エコーに対する関心が高まっていることの表れと
感じている.また,数年来,日本外来小児科学会のワークショップ
で腹部エコーを取り上げ,急性腹症を中心に参加者とともに勉強を
重ねてきたことがこれらの講演にも大いに役立っていると感じてい
る.
 腹部エコーはどのような場合に最も役立つかと問われれば,私は
迷わず『急性腹症』と答えるようになった.
 このたび徳山中央病院での10年間の経験を『小児科診療』(診断
と治療社)に連載した小児腹部超音波シリーズ『小児科医のための
腹部エコーのコツ』に加筆し,『急性腹症』を中心にまとめる機会
を得た.提示した症例はすべて当院で経験した症例であり,私の経
験をただまとめたものである.したがって,重要な疾患が抜けてい
るかもしれないし,文献的考察は不十分であることをお断りしてお
く.しかしながら,この経験が必ず役立つと確信している.この本
が小児の診療に携わる小児科医を始めとする多くの医師や超音波検
査士の方々に少しでも役立ち,こども達のよりよい診療の一助とな
れば幸いである.
 最後に,こども達のために日夜ともに奮闘している当院小児科の
スタッフの協力・支援に感謝する.また,このような機会を与えて
いただいた診断と治療社の久次武司氏に記して深謝する.

平成17年3月
著者