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頭痛クリニック1診断と治療社 | 書籍詳細:頭痛クリニック1
臨床医のための頭痛診療攻略本

寺本神経内科クリニック院長

寺本 純(てらもと じゅん) 著

初版 B5判 並製 116頁 2007年02月25日発行

ISBN9784787815385

定価:本体3,000円+税
  

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初心者,中堅医師を対象に,日頃疑問に感じていることや, もっと効率的かつ的確に診療を行えないかなど,種々の卑近 な問題点を洗い出し,とっておきのスペシャルテクニックを 詳解した.シーリーズ第一弾.

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目次

はじめに
著者紹介

総論―診療前に知っておくこと
 A 頭痛診療のすすめ
 B 診断の目安をつけるためのアプローチ法

各論―各種頭痛の診療テクニック
 A 片頭痛
 B 緊張型頭痛
 C 群発頭痛
 D 頭部神経痛
 E 低髄液圧性頭痛
 F 頭頸部ジストニーによる頭痛
 G 特定動作による頭痛,外的刺激による頭痛
 H 薬物乱用頭痛

付録―読者への呼びかけのページ
 
索引
 和文索引
 欧文索引

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序文

はじめに 

 最近のトリプタンの売り込みを狙った啓蒙活動のおかげで,
頭痛にはすっかり興味を失ってしまった医師が多いようだ.従
来は医師会の講演会などでは,頭痛は人気のあるテーマの一つ
であったはずである.どうしてそうなってしまったのかという
点については後述するが,やっかいなことをしてくれたもので
ある.
 本書は,本格的に頭痛の診療技術を伝授し,頭痛医療に対す
る興味と意欲を呼び起こすために作成したものである.従来の
悪影響で頭痛にうんざりしてしまった層ははっきりいってどう
でもよい.どうせ安易に頭痛の知識を獲得しようとしたから安
易にうんざりしているに違いないからだ.もっと余命も長く,
長期的な探究心を期待することのできる40歳未満くらいの若い
医師層に対して,将来に向けて頭痛診療を始める起爆剤として
活用してもらうのが最大の目的である.
 頭痛にはいくつもの種類があるが,完全に自らの観察力と知
識で診断し,さらに経験と知恵で治療法を選択していくことが
できる.自らの力量のみで診療が進められる数少ない魅力的な
領域の一つである.
 水揚げのためとしか思われないような多くの医療機器,チー
ム医療の名のもとにコメディカルや事務屋が大きな顔をしたり,
診療内容より採算性ばかりに目を向ける病院管理者,過剰権利
意識ばかりの患者などに囲まれた昨今の退廃気味の大規模医療
機関の窮屈な医療から飛び出してみたいと考える医師に頭痛診
療を勧める.医師の自由業としての裁量権,軽装備の診療,専
門性の発揮など大規模施設では幻になってしまった特長がまだ
残っている点に目を向けてもらいたい.頭痛患者数は小回りの
きく小規模医療機関であるからこそ雲泥の差で多くなるうえに,
専門性が生かせる質の高い頭痛診療が実施しやすいという点が
頭痛について知れば知るほどわかるはずである.
 
 さて上記で約束したようになぜ頭痛・頭痛診療の評判が悪く
なったかについてふれておくことにしよう.
 それは,トリプタンの売り込みを画策するメーカー,これを
契機に頭痛専門家としてヒエラルキーを確立したい医師を中心
として演じられた啓蒙活動は,誰がみても製薬会社のサポータ
ーを演じているにすぎないことが見抜かれていたからである.
当然のことながら片頭痛のみに限局しており,治療も当然のこ
とながらトリプタンに帰着するような一定の発想に偏り,かつ
これらの手法が朱子学的であったからである.
 臨床現場の医師へは,上意下達のごとく診断基準,診断ツー
ル,頭痛日記,ガイドラインが紙の爆弾のごとく大量に配付さ
れた.筆者もその異常さを文献なども含め指摘していたが,現
在になってみると,これらの啓蒙活動は率直にいってオウンゴ
ールに近いものであったと思われる.現在,ほとんどの施設で
それらの配付物は放置されるか,すでに捨て去られており,製
薬会社のプロモーションマネーの投入と売り上げ実績の対応が,
従来の他剤に比べて極端に悪いなど,結果は惨憺たるものであ
ったといえるからである.フィードバックのない朱子学的手法
の欠点をさらけ出したのである.結果的にそれは幸運であった
とすらいえる.偏ったマインドコントロールが広がらなかった
ことはまだ健全な知識の啓蒙できる素地が残っているといえる
からである.
 だいたい特定の頭痛だけでうまく事を運ぼうとする発想が間
違いである.筆者も随所でこれらの問題点を指摘したが,“片
頭痛だけであっても啓蒙活動をするのは間違いですか”などと
すごんだり,開き直った医師や製薬会社の社員に何人にも出く
わした.筆者はこれは間違いであると断言して憚らなかった.
頭痛を確立した診療領域とするつもりならば,もっとすべての
頭痛に対する広い知識を蓄えてから実施しなければうまくいく
はずがない.片頭痛にのみ偏った知識は他の頭痛を診断すると
きにかえって障害になることは,きちんと頭痛診療を実施して
いる医師にとっては実によくわかる話であるからだ.
 
 本書ではオーソドックスな診断・治療の記事を紹介しており,
ほとんどの外来頭痛患者に対応できるように配慮してあるが,
終始本書だけで診療に対応しようとするべきではない.本書を
診療がブレないための軸として活用していただき,さらにわが
国,外国の成書や文献で知識を獲得しつつ,微妙な工夫を加え
ながら診療を確立していただきたいと思う.本書の内容を着実
に実施するならば,少なくとも現在認定されている平均的な頭
痛専門医の医療水準を確実に凌駕することができるはずである.
本書は,そこまでのレベルを十分クリアする内容となっている
と自負するものである.
 さらに,本書が単なる頭痛診療の入門・底上げだけでなく,
そういった方向を本格的に目指す医師が増加する契機になれば
望外の喜びでもある.

2007年2月
寺本神経内科クリニック院長
寺本 純 識