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書籍詳細

カプセル内視鏡カラーアトラス診断と治療社 | 書籍詳細:カプセル内視鏡カラーアトラス

慶應義塾大学医学部消化器内科

日比 紀文(ひび としふみ) 監修

慶應義塾大学病院内視鏡センター

緒方 晴彦(おがた はるひこ) 編集

昭和大学横浜市北部病院消化器センター

大塚 和朗(おおつか かずお) 編集

初版 B5判 並製 52頁 2007年10月30日発行

ISBN9784787815644

定価:本体3,200円+税
  

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国産初のカプセル内視鏡による正常,病変画像を網羅したカラーアトラス.その性能を遺憾なく発揮した精彩画像により,暗黒大陸と呼ばれた小腸における病変の成因・転帰を詳らかにし,消化器疾患への新しい視点を拓く. その非侵襲性と利便性から,今後の開発・進展に期待が寄せられる診断機器の最新情報.

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目次

総 論
  1 ─カプセル内視鏡とは
  2 ─検査の実際
各 論
小腸正常所見
  1 ─正常粘膜
  2 ─回盲弁と盲腸
小腸症例
  1 ─Crohn病
  2 ─Crohn病疑い
  3 ─限局性強皮症
  4 ─AIDSによる蛋白漏出性胃腸症─非定型抗酸菌感染症
  5 ─原因不明の蛋白漏出性胃腸症
  6 ─非特異性多発性小腸潰瘍症-1
  7 ─非特異性多発性小腸潰瘍症-2
  8 ─非特異性多発性小腸潰瘍症-3
  9 ─NSAIDs起因性小腸病変
  10 ─NSAIDs潰瘍
  11 ─紫斑病
  12 ─血管異形成
  13 ─慢性腎不全合併の小腸顕出血
  14 ─空腸動静脈奇形
  15 ─青色斑
  16 ─消化管悪性リンパ腫


他臓器正常所見
  1 ─食道胃接合部
  2 ─胃
  3 ─十二指腸
  4 ─大 腸
  5 ─リンパ濾胞
他臓器症例
  1 ─食 道
  2 ─胃
  3 ─十二指腸

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序文

序文

 消化器疾患の領域で,小腸疾患は近年最も注目されている分野の一つと言える.その理由は言うまでもなく,カプセル内視鏡とバルーン付小腸内視鏡の登場により,これまで暗黒大陸と呼ばれていた
小腸において血管性疾患・粘膜性疾患・腫瘍性疾患などが予想以上に多いということがわかってきたからである.
 カプセル内視鏡は,内服薬のように口から飲み込まれた後,消化管を通過しながらその内部を撮影することができるカプセル型の小型内視鏡である.従来の内視鏡検査とはまったく検査法が異なり,絶食した被験者が自らカプセル内視鏡本体を飲み込むだけで,消化管内腔をカプセルが蠕動運動に伴って進む間に生理的な状態の消化管,特に小腸を比較的容易に観察することができ,その上被験者にはまったくと言っていいほど苦痛を感じさせることなく検査が施行できる.
 2000年にイスラエルのGIVEN Imaging社により軍事通信技術と電子工学を合体させ世界で初めて開発され,全世界ですでに50万件以上に使用されており,今では小腸疾患の診断手技としてスタンダードな検査となっているが,わが国においては2007年10月1日付けでようやく保険診療が可能となった.一方,これにやや遅れて国内においても改良型のカプセル内視鏡の開発が始まり,画質がより向上したカプセル内視鏡が完成した.本カプセルは現在ヨーロッパ,アジアの一部とオセアニア地域においてすでに導入されており,米国においても2007年10月から販売が開始された.わが国では昭和大学横浜市北部病院と慶應義塾大学病院の2施設において臨床試験を行い,承認申請後の認可待ちである.以上のような状況から,わが国においてカプセル内視鏡の使用経験がある医師は非常に限られていると言えよう.
 そうした環境にあって,これから経験される多くの医師のためにカプセル内視鏡の具体的な使用方法や読影のポイント等を入門的に解説する書籍の必要性を強く感じていた.今回企画した本書は,掲載した症例数や疾患の種類が十分とはいえずいまだ途中経過と言わざるを得ない.しかし,国産メーカーによるカプセル内視鏡画像の第一報であり,これをアトラスとして発行することによりその良質な画像を見て今まで比較的少ないとされてきた小腸疾患に対するイメージを払拭していただき,同時に本書が正しい小腸疾患診断のための斬新なアプローチの一助になり得るものと信じている.
 最後に,本書の完成にご苦労いただいた関係諸氏の皆様に深謝申し上げる.

2007年10月
慶應義塾大学医学部消化器内科
日比 紀文



■出版に寄せて
 小腸は長く内視鏡の光の当たらない,いわば消化管の暗黒大陸とされてきた.
 上部消化管,大腸への内視鏡的アプローチは,ルーチンの外来で低侵襲に行える検査になるとともに,診断の領域を超え,EMRやESDなど内視鏡的手術が行われるまでに進化してきた.
 小腸ではこれまで,平塚による先進的な全小腸内視鏡検査という業績があるが,広く普及しているとは言いがたかった.また小腸には腫瘍性病変が少なく,どうしても小腸を観察しなければならないとする必要性も低かった.
 しかし,この10年のカプセル内視鏡,バルーン内視鏡の開発により,状況は大きく変わりつつある.今まで診断しにくかった疾患がよく見えるようになり,まさに暗黒大陸に光が当たったという状況になった.
 GIVEN Imaging社から発表されたカプセル内視鏡は,まさにこれまでの内視鏡の概念を変えるものである.低侵襲に全小腸観察が可能となるとともに,生理的条件下での検査はこれまでとは異なる新しい画像を見せてくれる.ただ,本邦では認可が遅れたために普及はこれからである.さらに,山本のダブルバルーン内視鏡の開発により,小腸の内視鏡診療が一般臨床のものとなりつつある.そしてダブルバルーン内視鏡から,より簡便なシングルバルーン内視鏡も実用化された.これらのバルーン内視鏡は,小腸における病変も一気に内視鏡治療の対象に変えた.
 最近,国産のカプセル内視鏡が開発され,従来機種に比較し,より精密な画像が得られるようになった.そしてこのたび,その国産のカプセル内視鏡によるカラーアトラスができ上がった.絨毛が腸管内腔に立ち上がっている鮮明な画像は,実際の生体内での状況を如実に示している.本書はそのカプセル内視鏡の治験のなかでの収穫であり,未だ出発点である.これらの所見を参考にしながら,多くの内視鏡医が小腸疾患の領域にどんどん挑戦してもらいたい.そして,小腸の診断学のさらなる新しい知見が重ねられ,この分野がさらに進歩していくことを願ってやまない.

2007年10月
昭和大学横浜市北部病院消化器センター
工藤進英