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新生児フォローアップガイド改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:新生児フォローアップガイド改訂第2版
健診からハイリスク児の継続的支援まで

はせがわ小児科

長谷川 功(はせがわ こう) 編著

吉田 菜穂子(よしだ なおこ) 著

小谷 裕実(こたに ひろみ) 著

高野(村田) 美由紀(たかの(むらた) みゆき) 著

改訂第2版 B5判 並製 236頁 2007年04月15日発行

ISBN9784787815651

定価:本体4,200円+税
  

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健常児を含めた新生児の健診手順から家族への対応,社会 資源の活用など,小児医療に関わる医師・コメディカルに必 要な知識をまとめた新生児ファローアップのガイドライン.

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目次

目次

第I章 乳児期の診察と発達評価
  A 乳児の診察の手順
  B 1か月児の診察
  C 4か月児の診察
  D 7か月児の診察
  E 10か月児の診察
  F 12か月児の診察

第II章 幼児期の発達評価
  A 幼児の診察の手順
  B 1歳6か月児の診察
  C 3歳児の診察
  D 5歳児の診察(就学前健診)

第III章 運動発達障害児の診断と対応
  A はじめに
  B 運動発達障害の診断
  C 育児体操(ハンドリング)について

第IV章 精神遅滞児の診断と対応
  A 精神遅滞児の診断にあたっての基礎知識
  B 精神遅滞の症状
  C 診断と鑑別診断
  D 対応

第V章 軽度発達障害の診断と対応
  A 軽度発達障害(総論)
  B 高機能広汎性発達障害
   (高機能自閉症,アスペルガー症候群その他)
  C 注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
  D 学習障害(LD)
 
第VI章 理学療法の実際
  A ボイタ法
  B ボバースアプローチ

第VII章 発達検査法の実際と児への対応
    ―発達障害児を中心に―
  A 発達外来について
  B 来院までの流れ
  C 外来における具体的な手順
  D 神経心理学的検査の実際
  E 診断のヒントと対応
  F 社会資源の利用
  G 学童期になってからの外来希望受診
  H 事例紹介

第VIII章 障害児のフォローアップ
  A 周産期医療と障害児
  B フォローアップ外来でよくみる疾患と観察の留意点
  C 重症児に多い合併症
  D 医療的ケア

第IX章 視覚障害・聴覚障害への対応
    ―フォローアップに求められる知識と対応のしかた―
  A 視覚障害と早期の対応
  B 聴覚障害と早期の対応

第X章 他科的疾患の対応
  A 眼科
  B 耳鼻科(難聴)
  C 整形外科
  D 泌尿器科
  E 小児外科
  F 皮膚科

第XI章 疾患別のフォローアップ
  A 超低出生体重児
  B 慢性肺疾患
  C 仮死児
  D 脳室周囲白質軟化症
  E 染色体異常

第XII章 障害児と行政
  A はじめに
  B 障害者自立支援法
  C 療育のための通園施設
  D 身体障害者手帳・療育手帳について
  E 在宅障害児・者に対する福祉サービス
  F 施設入所
  G その他の福祉施設

索引

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序文

序文

 長谷川 功 はせがわ小児科 院長,京都府立医科大学大学
院小児発達医学 客員講師
 私は2年前に大学を離れ,今は小児科開業医をしています.
私が開業医になってまずやってみたかったことの一つが,
“子どもの発達相談に訪れた親の話をゆっくりと,時間を気
にすることなく聞く”ということでした.大学のフォローア
ップ外来では努力してもなかなかそれが実現できません.冬
になればシナジスを接種する子ども達で外来があふれます.
予約の診察時間がずれ込んでイライラしながら診察待ちをし
ている親の雰囲気をカーテン越しに感じながら,積み上げら
れたカルテをひたすらこなしていくことにジレンマを感じて
いました.それでも,不安な,あるいは思い詰めた顔つきで
診察に望んだ母親が,笑顔で帰る場面に遭遇すると医師とし
ての充実感を覚えたものでした.
 初版から3年が経過し,今回本書の改訂の機会をいただき
ました.この間,自立支援法の施行に伴い障害児を取り巻く
環境にも大きな変化が生じています.様々な社会問題に関連
して児と親との心の絆の重要性がさらに注目されてきました.
子どもの成長という,人生でもっとも重要な時期に立ち会う
われわれ小児科医の責任は決して小さなものではありません.
この本はかつての新生児科医が,現在の立場で新生児医療を
振り返りながら執筆したものです.筆者達の新生児医療への
熱い思いが込められています.本書が多くの人に活用され,
育児に不安を持つ母親に笑顔が戻り,それが子ども達の笑顔
へとつながっていくことを心から願っています.


 吉田菜穂子 聖ヨゼフ聖肢園小児神経科 主任医長
 私がNICUの一員として新生児を診るようになったのは,も
う20年以上も前のことです.その頃に比べると,NICUを退院
する赤ちゃん,特に低出生体重児の予後は格段によくなって
いる印象があります.しかし,非常な早産で生まれた赤ちゃ
ん,先天的な異常のある赤ちゃん,様々な理由で低酸素によ
る障害を残した赤ちゃんなどで,哺乳や呼吸にも問題を抱え
て在宅になるケースは決して少なくありません.聖ヨゼフ聖
肢園での仕事もこの春で7年になりますが,この間多くの赤ち
ゃん,そしてご家族に出会いました.聖ヨゼフ聖肢園には重
症心身障害児の入所および通園施設もありますので,成人に
なった重症児とそのご家族とも出会いました.非常に重度な
子どもさんが何年かして見せてくれるようになった笑顔,そ
して大切に慈しんで育てておられるご家族からは,人として
一番大切なこと,元々はあたり前だったはずなのに今の社会
では忘れられていること,あえて言葉にするとすれば“受容
と無償の愛”を深く感じます.医師にとって,的確に診断し,
また状態を改善できる方法を見いだすことは重要なことです
が,この様な親子関係のためには,医師が,子どもさんの変
化や成長に共感することや,ご家族の気持ちを尊重しながら
助言することも非常に重要であると思います.これらは私自
身にとってもまだまだ課題ですが,この本を読まれる方にも
是非心に留めていただきたいと思います.

 小谷裕実 皇學館大学社会福祉部 教授
 その昔,私が研修医としてNICUで勤務していたときに,出
生体重1,000gに満たない何人かの新生児の主治医となった.
その当時,自分の仕事ぶりはいささか条件反射的であり,入
院 ⇒ 治療 ⇒ 退院・・・の繰り返しで,子どもの退院こそ
が目標であると考えていた.それから6年後に,私は某医療
福祉センターに勤務し,発達に課題のある子どもたちの成長
発達を支援する仕事を与えられた.ある日,小学1年生の少女
が母親に付添われ紹介状を持って来院した.目的は,家の近
くであったその病院で,作業療法,理学療法を受けさせてほ
しいということであった.車椅子に乗り,とても厚いメガネ
をかけた小柄な少女であった.ほとんど聞きとれないほどの
小声で話す,うつむき加減で引っ込み思案な姿に,“この子
はどんな育ちをしてきたのだろう”と思いを馳せた.紹介状
をみて,凍りつく思いをした.NICU出身のその少女の主治医
は,なんと私自身であったのだ.NICU退院後の子どもの家庭
生活,学校生活,そこから始まる彼女の人生,そのようなこ
とに思い及ばず仕事をしていた自分を恥じた.彼女は,知的
発達は正常であり,肢体不自由と視覚障害があったが,極度
の引っ込み思案なところが気になった.それから,私の主治
医としての第二章が始まった.作業療法士には,小学生女児
として本来の明るさを取り戻してやって欲しいと依頼した.
現在彼女は高校生,福祉系の大学への進学を希望している.


 高野(村田)美由紀 兵庫教育大学臨床・健康教育学系
(特別支援教育学)講師
 新生児医療に興味を持ちながらも,最近は発達に不安を持
つ幼児と親を対象とした発達相談に時間とエネルギーを費や
しています.発達相談に来る子どもも,新生児と同様に温も
りのある柔らかさを持ち,純粋で魅力が溢れています.その
ため,自然と子どもと時間をかけて遊んだり,子ども達の通
う保育園や幼稚園に出向くことも多くなりました.時間的余
裕はなくなりますが,診断や助言には役に立っています.
 また,親の成長,たとえば不安を抱えている状態から,わ
が子の様子をいとおしそうに語られる変化に出会えると,私
自身の価値観に変化をもたらします.
 今回の改訂において,障害児のフォローアップで子どもの
発達や親を支援するという側面について個人的には三つの点
を意識しながら書きました.一つ目は,早期における関わり
は,子どもにとっては一時的であるが,将来に大きく影響す
るということ.二つ目は,子どもが安心できる環境を作るこ
とが基本であるということ.三つ目は,先を見据えて今すべ
きことを考えるということ.
 これらの視点から,子どもや親から学んだことも多く含め
ることを心がけて執筆したつもりです.お気づきの点があれ
ばご指摘いただければ幸いです.

2007年3月