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書籍詳細

維持透析患者の周術期管理診断と治療社 | 書籍詳細:維持透析患者の周術期管理

札幌北クリニック院長

大平 整爾(おおひら せいじ) 監修

初版 A4変型判 並製 236頁 2007年05月10日発行

ISBN9784787815798

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定価:本体5,500円+税
  

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維持透析療法の延命手段から社会復帰可能な療法への進歩,患者側要求水準の高まりを背景に,透析患者への施術頻度の高い手術や処置と関連諸問題を包括的に詳解.

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目次

目次

序文
 ………………………………………大平整爾

第1章 手術に臨むInformed choiceおよび出血
 維持透析患者に対して施行される手術
 ………………………………………大平整爾・ほか
 手術とInformed choice
 ………………………………………内藤春彦
 維持透析患者の血液学的特性
 ………………………………………秋澤忠男・ほか
 周術期における出血対策
 ………………………………………東 仲宣
 維持透析患者の鼻出血の処置
 ………………………………………野原 修

第2章 透析患者の手術:危険度,麻酔,感染および栄養管理
 維持透析患者の手術危険度把握,特に心機能について
 ………………………………………杉本徳一郎
 維持透析患者の麻酔
 ………………………………………速水 弘・ほか
 維持透析患者の感染症と抗菌薬投与
 ………………………………………原田孝司・ほか
 維持透析患者の補液と栄養管理
 ………………………………………寺岡 慧

第3章 血液浄化法の選択,心肺管理および術後精神障害
 周術期の血液浄化療法の選択と実地法
 ………………………………………平澤博之・ほか
 周術期の心肺管理
 ………………………………………七戸康夫・ほか
 周術期,特に術後の精神障害
 ………………………………………大平整爾・ほか

第4章 消化器系手術および術後の食生活
 消化器外科手術と血液浄化療法
 ………………………………………久木田和丘・ほか
 汎発性腹膜炎手術と血液浄化療法
 ………………………………………川西秀樹
 消化管切除後の食生活
 ………………………………………上泉 洋・ほか

第5章 心血管系手術時・腎移植時の血液浄化法およびPCI
 心臓・血管外科手術と血液浄化療法
 ………………………………………新浪 博・ほか
 維持透析患者のPCI
 ………………………………………小林修三
 腎移植と血液浄化療法
 ………………………………………渡井至彦・ほか

第6章 脳外科および整形外科領域の手術
 脳外科周術期と血液浄化療法
 ………………………………………皆川 信・ほか
 維持透析患者の整形外科疾患に対する周術期管理
 ………………………………………今井 亮・ほか
 整形外科手術後のリハビリテーション―骨折・四肢切断など―
 ………………………………………高木英希・ほか

第7章 血管および腹膜アクセス
 バスキュラーアクセス作製と周術期管理
 ………………………………………神應 裕
 バスキュラーアクセス修復術(殊にインターベンショナルセラピー)と施行前中後管理
 ………………………………………後藤靖雄
 腹膜カテーテル挿入術と周術期管理
 ………………………………………石橋 允

第8章 維持透析患者合併症に対する手術
 副甲状腺摘出術の周術期管理
 ………………………………………安永親生
 手根管開放術の周術期管理
 ………………………………………佐藤純彦・ほか
 糖尿病患者の眼科的周術期管理
 ………………………………………市川一夫
 歯科・口腔外科の周術期管理
 ………………………………………又賀 泉
 維持透析患者における婦人科疾患手術の周術期管理について
 ………………………………………太田博明・ほか
 維持透析患者の妊娠・出産に関わる周産期管理
 ………………………………………久保和雄

第9章 悪性腫瘍と抗癌剤
 維持透析患者の悪性腫瘍(統計と成績)
 ………………………………………海津嘉蔵
 維持透析患者に対する抗癌剤の使用法
 ………………………………………原田孝司

第10章 手術と訴訟および医療保険制度
 手術と訴訟,その対応策
 ………………………………………古川俊治
 維持透析患者と医療保険制度
 ………………………………………太田圭洋・ほか
 腎不全外科の特異性:おわりに
 ………………………………………大平整爾

略語一覧
索引

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序文

医薬の門「維持透析透析患者の周術期管理」の合本完成を祝って

 わが国における維持透析療法は,過去およそ40年間の経験が蓄積されて長足の進歩を遂げた.本療法は単なる延命の手段の枠を越えて,多くの患者にそれぞれの社会復帰を可能にしたのだった.
 維持透析患者の一般状態の向上は,これまでこの患者群では限定されていたVascular accessおよびperitoneal access以外の領域の手術を可能にしてそれなりの成績をあげてきた.それだけに手術に対する諸々の患者側要求水準も次第に高まり,透析医・施術者には多くの留意事項が輻輳して一段と苦労の多い作業となってきた.血液透析にせよ腹膜透析にせよ,生体腎が示す精緻巧妙な機能を100%代替できず腎不全状態は継続的に存在するものであり,したがって維持透析患者は術後に腎機能の回復する腎移植術を除けば,依然として手術対象者としてはhigh risk群に属するものと認識しなければならない.
 手術は病態を考慮し得失を予測して行うものであるが,敢えて生体に侵襲を加える行為であり,既往歴,現症,術式,危険度,術後のADL,QOLなどを総合的に判断することが求められる集学的な共同作業である.手術成績は術中操作の技術に負う割合が大きいが,術前の細心な準備や術後の慎重なケアを看過できない.
 この度「医薬の門」誌に2005年6月~2006年12月にわたり掲載した周術期管理シリーズではこうした背景を勘案しながら,透析患者の受ける頻度の高い手術や処置に関連する諸問題をいろいろな観点から取り上げて経験豊富なエクスパートにご執筆いただいた.維持透析患者に最も頻度の高い手術は血液透析療法に欠かせないvascular accessの新規作製と修復であるが,この分野にはいまだ多くの課題が山積みしている.たとえば,動静脈吻合に起因する動脈化静脈内膜の肥厚・狭窄の解決などは焦眉の急であり,手術はそれに関連する手技の熟達に加えてより本質に迫らなければその成績を一段と向上せしめ得ないものであることを痛感するのである.難易度の高い膵頭部癌に対する膵頭十二指腸切除・再建術などの成功例の報告がある一方で,組織の脆弱性,創傷治癒の遅延,易出血性,易感染症など手術を困難にする最も基本的な諸要因は依然として十二分には解明されていない.透析患者に対する手術経験を集積・分析しながら,これ等に対する解決策を今後も一歩ずつ模索しなければならないであろう.
 今回このシリーズが単行本として世に出る機会が与えられたのは執筆者全ての望外の喜びであるが,何よりも現場の透析スタッフの方々に役立つことを心から願っている.

 2007年4月
 医療法人社会恵水会 札幌北クリニック 院長
 大平 整爾