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がんの温熱免疫療法-ハイパーサーミック・イムノロジー診断と治療社 | 書籍詳細:がんの温熱免疫療法-ハイパーサーミック・イムノロジー

京都府立医科大学消化器内科学教授

吉川 敏一(よしかわ としかず) 監修

京都府立医科大学消化器内科学准教授

古倉 聡(こくら さとし) 編集

初版 B5判 並製 168頁 2008年09月10日発行

ISBN9784787816658

定価:本体4,500円+税
  

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がんの温熱療法または免疫療法に従事している医師・看護師・技師の方々を対象として,両者を併用する「温熱免疫療法」という新しい治療概念を解説した必読の書.

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目次

がんの温熱免疫療法 
ハイパーサーミック・イムノロジー


序文
執筆者一覧


第1章 温熱療法とは

1 分子レベルでの温熱の作用
 …………………………………………高橋昭久
はじめに
分子間の結合エネルギー
蛋白質の熱変性
脂質の熱変性
核酸の熱変性
まとめ

2 細胞内の情報伝達に対する温熱の影響
 …………………………………………大西 健
はじめに
細胞死に関わる情報伝達
細胞生存に関わる情報伝達
細胞増殖に関わる情報伝達
まとめ

3 細胞レベルでの温熱の作用
 …………………………………………松本英樹,ほか
はじめに
温熱による活性酸素種の生成
温熱による細胞死の誘導
まとめ

4 温熱の生理学―温熱に対する生体の反応―
 …………………………………………長谷川武夫
はじめに
温熱療法の生物学的根拠
血管作用薬剤による温熱治療の増感効果
温熱治療による化学療法の増感
温熱治療増感のための工夫
まとめ

5 温熱療法と化学療法の併用効果
 …………………………………………今田 肇
はじめに
化学療法に温熱療法を併用する利点
臨床成績

6 温熱療法と放射線療法の併用効果
 …………………………………………櫻井英幸,ほか
はじめに
温熱療法と放射線療法の併用理論
温熱療法と放射線療法の併用に関する臨床試験
おわりに

7 癌治療の中での現在の温熱療法の位置づけ
 …………………………………………寺嶋廣美
はじめに
癌治療におけるハイパーサーミアの長所と意義
臨床成績
なぜハイパーサーミアがまだ普及していないか?
まとめと今後の課題

第2章 温熱療法と免疫

1 温熱と好中球の機能
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
異物を処理する好中球の機能
好中球機能に及ぼす温熱の影響
まとめ
    
2 NK細胞に対する温熱の影響
 …………………………………………村上 徹,ほか
はじめに
ナチュラルキラー(NK)細胞
まとめ

3 制御性T細胞と温熱
 …………………………………………照沼 裕
はじめに
Treg発見の歴史
Tregの分類と分化誘導
Tregの機能と癌での集積
Tregへの温熱の作用
Tregと温熱の臨床
まとめ

4 温熱療法時の免疫パラメーターの変動
 …………………………………………宮澤正顯,ほか
はじめに
感染と炎症における全身発熱のしくみ
抗原の侵入からエフェクター細胞の形成まで:生体内における免疫反応の誘導
全身の発熱が免疫応答に及ぼす効果
肝局所温熱治療による全身免疫応答の変化
まとめ

第3章 HSPとは
1 HSPの誘導メカニズム
 …………………………………………水島 徹,ほか
はじめに
ストレス蛋白質
HSPの役割
熱ショック転写因子
ストレスによるHSF1の活性化機構
GGAによるHSPの誘導
まとめ

2 分子シャペロンによる細胞機能制御
 …………………………………………大塚健三
はじめに
熱ショック蛋白質(heat shock proteins:HSPs)
HSPsの分子シャペロンとしての機能
分子シャペロンによる遺伝的変異の緩衝作用
分子シャペロンは蛋白質レベルでの生体防御機構である
分子シャペロン誘導剤について
まとめ

3 プレコンディショニングとHSP
 …………………………………………打波 宇,ほか
はじめに
ストレス応答
プレコンディショニング(前処置)
HSPと虚血耐性
まとめ

4 各臓器のストレス応答とHSP
 …………………………………………大高道郎
はじめに
胃粘膜
大腸、小腸粘膜
膵臓
肝臓
おわりに

5 HSPと腫瘍の発育・転移
 …………………………………………内山和彦,ほか
はじめに
癌の増殖とHSP
癌の転移とHSP
HSPと癌;臨床検討
おわりに

6 HSPと抗癌剤治療
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
HSPと癌治療
抗癌剤によるNF‐kB活性化
Hsp70のNF‐kBの活性化阻害作用
Hsp70によるある種の抗癌剤の抗癌作用の増強
まとめ

第4章 HSPと免疫

1 抗原提示機構におけるHSPの役
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
主要組織適合性複合体(MHC分子)
抗原プロセッシングの細胞内経路
抗原提示細胞
内因性抗原の抗原提示とHSP
外因性抗原の抗原提示とHSP
まとめ

2 熱ショック蛋白質による免疫制御と癌ワクチン開発
 …………………………………………田村保明,ほか
はじめに
熱ショック蛋白質と免疫誘導
クロスプレゼンテーションの生体防御機構における意義と癌ワクチン療法に与えるインパクト
Hsp90‐抗原複合体によるクロスプレゼンテーション
Hsp90‐抗原ペプチド複合体による免疫誘導と免疫監視機構
HSP‐癌抗原ペプチド複合体を用いた抗原特異的免疫応答増強効果
小胞体局在分子シャペロンORP150(Grp170)によるクロスプレゼンテーションと免疫応答
HSPワクチンの臨床試験の現況
まとめ

第5章 癌の免疫療法

1 癌免疫監視機構のエスケープ機序としてのHLAクラスⅠの発現低下
 …………………………………………平田公一,ほか
はじめに
癌ペプチド抗原作用機構の基本的概念
癌抗原認識からのエスケープ機構
エピジェネティクスによる遺伝子発現抑制機序とは
抗原提示関連分子の発現低下とその原因
エピジェネティクス制御による免疫逃避機構の解除は可能か
他のエピジェネティクス免疫逃避機序と関連知見
おわりに

2 癌患者の制御性T細胞―増加の機序と予後の解析―
 …………………………………………片野光男,ほか
はじめに
Treg細胞の発見
Treg細胞の基本的事項
癌患者におけるTreg細胞増加とその機序
癌患者におけるTreg細胞の増加と予後との関係
おわりに

3 ペプチドワクチン療法
 …………………………………………峯 孝志,ほか
はじめに
癌免疫療法の種類
癌ワクチン
癌ペプチドワクチン
まとめ

4 自家癌ワクチン療法
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
癌ワクチン療法とは
現在の癌ワクチンの種類
まとめ

第6章 癌の温熱免疫療法

1 温熱免疫療法の理論的背景
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
温熱免疫療法の基礎的理論
まとめ

2 温熱とLAK療法の併用
 …………………………………………岡山哲也,ほか
はじめに
温熱療法について
LAK療法について
温熱とLAK療法の併用について
温熱とLAK療法の併用による抗腫瘍効果増強の可能性
最近のトピックス
まとめ

3 温熱とDCの併用
 …………………………………………古倉 聡,ほか
はじめに
DCの抗原捕捉と温熱
DCの所属リンパ節への移行と温熱
DCの成熟化と温熱
DCからのサイトカインの分泌と温熱
DCのナイーブT細胞に対する刺激と温熱
温熱療法とDC細胞療法の併用
まとめ


4 温熱免疫療法が有効であった症例
 …………………………………………武田 力
癌の集学的治療を語るとき温熱療法と免疫療法をかかすことはできない
温熱療法が免疫療法をたかめるメカニズムは?
臨床例について
症例1
症例2
症例3
症例4
まとめ

第7章 生活習慣病の温熱療法

1 生活習慣病と心不全に対する和温療法
 …………………………………………宮田昌明,ほか
はじめに
和温療法の実際
心不全に対する和温療法の効果
和温療法の効果発現機序
生活習慣病に対する和温療法の効果
おわりに

索引

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序文

序文
近年、「癌治療法の進歩によって癌は治る病気になった」と言われることが多い。確かに5年生存率をみると、胃癌では最近20年間で、およそ2倍に延びている。すなわち、治療成績が向上している。しかしながら、癌による死亡者数も増加の一途である。20年前には、日本人の5人に1人が癌で死んでいたのが、今では、3人に1人は癌で命を落とす。したがって、5年生存率が良くなっているのは、必ずしも癌の治療法が改良された結果ではなくて、癌の早期発見のための体制や技術が進歩した結果だと考えられる。進行癌についていえば、「20年前に治せなかった癌は、今も治せない」というのが現状のように思われる。そういった状況の中で、癌治療の3本柱と言われている手術、放射線、抗がん剤で制御不可能となった進行癌の場合、その患者の主治医というより患者自身が、第4、第5の柱として期待されている温熱療法と免疫療法を希望されて私どもの外来に来られる場合が最近増えてきた。温熱療法は、健康保険が適用されており、従来より主に放射線療法あるいは抗がん剤との併用で施行されている。また、免疫療法は、一部の大学附属病院や民間医療機関において、先進医療あるいは自由診療として実施されている。当然のことながら、温熱療法の専門家は免疫療法には精通しておらず、免疫療法の専門家も温熱療法についての知識が豊富でない。ところが、近年の基礎的検討により、これまで、全く異分野の癌治療法と考えられていた温熱療法と免疫療法の併用が相乗的に治療効果を上げる可能性が期待されるようになってきた。また、3本柱での癌治療がうまくいかなくなった患者は、第4、第5の柱である温熱療法と免疫療法の両方を希望されることが多い。そのため、結果的に温熱併用免疫療法(私たちは、温熱免疫療法と称している)を実施し、良好な結果が得られたという症例報告なども増えてきた。そうなると、ますます、温熱療法と免疫療法の両方を希望される患者が増えてくる。
本書は、このような医療現場での状況を踏まえて、温熱療法および免疫療法に従事されておられる医師・看護師・技師の方々を対象として、温熱療法、免疫療法、両者を併用する温熱免疫療法という新しい治療概念の理解のための一助となれば、との思いから企画されたものである。臨床医あるいは研究者として極めて多忙な日々を送られているにも関わらず、御寄稿をいただいた各著者の方々に深く感謝申し上げます。
 また最後に、本書の作成にあたり、御協力いただいた各位に厚く御礼申し上げます。
2008年9月
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科
教授 吉川敏一