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消化器疾患鑑別のための 
分光画像内視鏡カラーアトラス診断と治療社 | 書籍詳細:分光画像内視鏡カラーアトラス

分光画像内視鏡研究会(ぶんこうがぞうないしきょうけんきゅうかい) 編集

河野 辰幸(かわのたつゆき) 著

初版 B5判 並製 144頁 2010年10月11日発行

ISBN9784787817976

定価:本体7,000円+税
  

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画像強調診断技術FICE(Flexible spectral Imaging Color Enhancement)による内視鏡症例集.第I章総論ではFICEによる分光画像内視鏡の基本原理を解説.第II章各論では経鼻内視鏡を含む60症例の画像を掲載.早期胃癌など初期病変を中心に,FICE画像には撮影時の波長セットを添え,通常内視鏡や染色法との組み合わせによる拾い上げのポイントやコツを記載した.

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目次

執筆者一覧
推薦の辞
序文

第I章 総論
1.分光画像内視鏡とは
 a FICEの開発経緯とその特長
 b 分光画像内視鏡の基礎とFICE
2.FICEを用いた分光画像内視鏡の実際
 a FICEの使用法-機器と操作方法-
 b 部位・疾患別のFICE推奨波長
 参考文献

第II章 各論〈症例カラーアトラス〉
1.咽喉頭
 a 軟口蓋,乳頭腫…〈症例1〉 乳頭腫
 b 中咽頭癌…〈症例2〉 中咽頭癌(上皮内癌):0-IIb, Tis
 c 喉頭癌…〈症例3〉 喉頭癌
 d 下咽頭癌…〈症例4〉 下咽頭癌:0-IIa, T2

2.食 道
 a 食道静脈瘤…〈症例5〉 食道静脈瘤:Cb,F2,RC3
 b 再発食道静脈瘤…〈症例6〉 再発食道静脈瘤:Cb,F1,RC3
 c Barrett食道-1…〈症例7〉 Barrett食道(SSBE)
 d Barrett食道-2…〈症例8〉 Barrett食道(LSBE)
 e 頸部食道癌…〈症例9〉 食道表在癌(残食道癌):0-IIc,T1a-EP
 f 胸部食道癌-1…〈症例10〉 食道表在癌:0-IIb,T1a-EP
 g 胸部食道癌-2…〈症例11〉 食道表在癌:0-IIc,T1a-LPM
 h 胸部食道癌-3…〈症例12〉 食道表在癌:0-IIc,T1a-LPM
 i 胸部食道癌-4…〈症例13〉 食道表在癌:0-I+IIc,T1b(SM2)
 j 胸部食道癌-5…〈症例14〉 食道表在癌:0-III,T1b(SM2)
 k 胸部食道癌-6…〈症例15〉 食道表在癌(表層拡大型):0-IIc+0-IIa,T1b(SM2)
 l 腹部食道癌…〈症例16〉 食道表在癌(Barrett食道癌):0-Is+0-IIa,T1b(SM2)

3.胃・十二指腸
 a 慢性萎縮性胃炎…〈症例17〉 慢性萎縮性胃炎(胃粘膜萎縮境界)
 b 胃発赤びらん…〈症例18〉 胃発赤びらん
 c NSAIDs胃潰瘍瘢痕…〈症例19〉 NSAIDs胃潰瘍瘢痕
 d 胃静脈瘤…〈症例20〉 胃静脈瘤:Lg-f,F3,RC1,UI(+)
 e 胃腺腫…〈症例21〉 胃腺腫
 f 早期胃癌-1…〈症例22〉 早期胃癌:Type 0-IIa(M),tub1
 g 早期胃癌-2…〈症例23〉 早期胃癌:Type 0-IIa(M)
 h 早期胃癌-3…〈症例24〉 早期胃癌:Type 0-IIa(M)
 i 早期胃癌-4(びらんを伴う例)…〈症例25〉 早期胃癌:Type 0-IIa
 j 早期胃癌-5…〈症例26〉 早期胃癌:Type 0-IIc,UL-IIs(M),tub2>tub1
 k 早期胃癌-6…〈症例27〉 早期胃癌:Type 0-IIc
 l 早期胃癌-7…〈症例28〉 早期胃癌:Type 0-IIc
 m 早期胃癌-8…〈症例29〉 早期胃癌:Type 0-IIc,T1(M),tub1
 n 早期胃癌-9…〈症例30〉 早期胃癌:Type 0-IIc,T1(M),sig
 o 早期胃癌-10…〈症例31〉 早期胃癌:Type 0-IIc,T1(M),tub1
 p 早期胃癌-11…〈症例32〉 早期胃癌:Type 0-IIc,T1(M),sig
 q 早期胃癌-12…〈症例33〉 早期胃癌:Type 0-IIc,T1(M),tub1
 r 早期胃癌-13(重複胃癌)…〈症例34〉 早期重複胃癌:Type 0-IIc,0-IIc
 s 早期胃癌-14…〈症例35〉 早期胃癌:Type 0-I+IIa(M),tub2
 t 早期胃癌-15…〈症例36〉 早期胃癌:Type 0-IIc(SM1),tub2
 u 早期胃癌-16…〈症例37〉 早期胃癌:Type 0-IIc(SM1),tub1
 v 早期胃癌-17…〈症例38〉 早期胃癌:Type 0-IIc+III,T1(SM),sig
 w 進行胃癌…〈症例39〉 進行胃癌:Type 0-IIc(MP),por
 x 十二指腸癌…〈症例40〉 十二指腸癌:Type 0-IIa+IIc

4.小 腸
 a 小腸毛細血管拡張…〈症例41〉 小腸毛細血管拡張症
 b 小腸NSAIDs潰瘍…〈症例42〉 小腸NSAIDs潰瘍
 c 濾胞性リンパ腫…〈症例43〉 濾胞性リンパ腫
 d 原発性蛋白漏出性胃腸症…〈症例44〉 原発性蛋白漏出性胃腸症
 e 小腸型クローン病…〈症例45〉 小腸型クローン病
 f 小腸びらん…〈症例46〉 薬剤起因性小腸粘膜障害
 g Henoch-Schonlein紫斑病…〈症例47〉 Henoch-Schonlein紫斑病

5.大 腸
 a 大腸ポリープ…〈症例48〉 腺腫
 b 大腸腺腫…〈症例49〉 大腸側方発育型腫瘍,腺腫
 c 早期大腸癌-1…〈症例50〉 早期大腸癌:隆起型
 d 早期大腸癌-2…〈症例51〉 早期大腸癌:表面隆起型(側方発育型腫瘍・非顆粒型)
 e 早期直腸癌-1…〈症例52〉 早期直腸癌:表面隆起型(側方発育型腫瘍・顆粒型・結節混在型)
 f 早期直腸癌-2…〈症例53〉 早期直腸癌:Type 0-IIa+IIc,mod, SM(1,400μm)
 g 直腸腺腫…〈症例54〉 管状絨毛状腺腫

6.経鼻内視鏡とFICE
 a 食道入口部のValsalva法による観察…〈症例55〉 異常なし
 b 胃腺腫…〈症例56〉 胃腺腫
 c 早期胃癌-1…〈症例57〉 早期胃癌:Type 0-IIc(M),tub1
 d 早期胃癌-2(微小胃癌)…〈症例58〉 早期胃癌:Type 0-IIc,tub1
 e 早期胃癌-3…〈症例59〉 早期胃癌:Type 0-IIa+IIc,sig
 f 良性びらん…〈症例60〉 過形成ポリープ

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序文

■ 推薦の辞

 FICE(Flexible spectral imaging color enhancement)は千葉大学と富士フイルム株式会社(当時はフジノン株式会社)が共同して実用化した新しい分光情報処理技法に基づく内視鏡画像診断法である.われわれの教室も2004年に実用化されたFICEシステムを搭載した内視鏡装置を用いる機会に恵まれ,さまざまな消化管疾患に対するその有用性を検討してきた.その特徴は,通常観察から拡大観察まで途切れることなく白色光から分光画像観察に瞬時に移行できること,任意の波長やそのゲインの組み合わせが可能なため,目的とする病変の視認性を高めるのに最適な波長の組み合わせを自由に選択できるという柔軟性を有する点である.しかし,後者の利点は,逆に膨大な波長とゲインの組み合わせが可能なため目的とする病変に対する最適な設定を決定するのが容易ではなく,手探り状態でその探求が行われてきたことは否めない.しかし,本書では,多数の経験から得られた血管情報や表面構造など解析対象となる目的に応じた現時点での経験則に基づく波長やゲインの組み合わせが,初期設定としてあらかじめデフォルトとして用意されているため,いまから分光画像観察を始める場合にも,それに基づく標準的な観察が直ちに可能となっている.このような分光画像診断と拡大観察を用いることにより色素法は不要となるという考え方もあるが,本書にみるようにルゴール染色や,インジゴカルミン染色と組み合わせてさらに視認性を高め,診断の確度を上げることの有用性が明らかにされてきており,これらもFICEシステムの柔軟性や拡張性を示すものであると考えられる.また開発当初の機器(VP-4400, Sapientia)の画質は必ずしも満足できない印象を持っていたが,最近の機器(VP-4450, Advancia)の画質は向上して説得力も増している.今後も画質については一層の飛躍が期待できよう.
 このように,FICEシステムによる内視鏡診断はまだ発展途上の技術であり,今後も様々な展開が期待される.たとえば近赤外光を用いる粘膜下層情報の取得,色素吸収能等を用いる機能診断への展開などはその一例である.
 本カラーアトラスに提示されている画像は,千葉大学光学医療センターの故神津照雄教授が創始され,現在東京医科歯科大学の河野辰幸教授が代表世話人を務めておられる分光画像内視鏡研究会に参加しているわが国の卓越した内視鏡経験と技術を有する研究者によって提供されたものである.これらの画像は,優れた内視鏡医が詳細な通常観察で疑わしい病変を拾い上げ,それをFICEや拡大によって確認するという作業プロセスを繰り返すことによって得られたものであり,さまざまな病態生理,病理学的変化に関する広範な知識を体系的に持ち,それが実際どのような内視鏡所見として認められるのかについて絶え間ない修練と努力に基づいていることを忘れてはならない.すなわち,的確な内視鏡診断には日常的な心がけが重要であり,分光画像観察はその代替となるわけではないことに留意すべきである.しかし,本書で示されている画像を吟味し,熟達者による解説や診断のポイント等と十分に対比することによって,FICEの初学者であってもFICE画像を実地臨床の鑑別診断に用いることが容易になるであろう.
 本書でも紹介されているように,経鼻内視鏡にもFICEは搭載されており,本年,分光画像観察に対する保険適用も新設された.今後カプセル内視鏡にもFICE技術が応用される可能性があり,FICE研究に携わる研究者だけでなく,内視鏡診断全般に携わる医師にとってFICEの基本的な原理と特徴を理解しておくことはますます重要となるであろう.
 このような趨勢を考えると,本書の刊行は極めて時宜を得ており,臨床的に有用性の高い情報が満載されている.ぜひ多くの方々が本書を利用され,日常臨床に分光画像診断を活用されることを期待している.

2010年10月
日本消化器病学会理事長
自治医科大学医学部内科学講座 主任教授
菅野健太郎



■ 序文

 科学は絶え間なく進歩し,次々と新しい技術が誕生します.医学・医療の世界も同様で,すべて人々の健康維持・増進に寄与することを目的としています.しかし,たとえ優れた技術であっても,研究と臨床段階の評価に耐え,患者への利益が実証され定着するのは意外に難しく,時の流れとともに関係者の記憶から遠ざかっていくことも珍しくありません.その意味で,新しい技術を生み出すことと同様に,あるいはそれ以上に,それを医療現場へ活かすための工夫や情熱が,新しい医療技術を真に患者のためのものにするためには重要です.
 本アトラスは分光情報推定技術を応用した新しい画像強調内視鏡診断法のひとつであるFICE(Flexible spectral Imaging Color Enhancement)の基礎と臨床について,症例を中心にまとめたものです.白色光をフィルターにより狭帯域化して主に血液/血管を強調表示するNBI(Narrow Band Imaging)とともに,粘膜表層に関する内視鏡的精密診断能を向上させるものと大きな期待が寄せられています.FICEでは得られた白色光情報(通常画像)から任意の波長情報を取り出し画像化するため,目的とする情報を最も効果的に表現する波長やゲインの組み合わせが重要なポイントとなります.従って,その組み合わせを臨床現場で標準化し,あるいは研究の目的に合わせて特化していく作業が必要で,ユーザーサイドからメーカーへの働きかけがこの技術を活かすためには必要不可欠です.
 FICEは千葉大学とフジノン株式会社(現富士フィルム株式会社)により実用化された技術ですが,三宅洋一教授(千葉大学フロンティアメディカル光学研究開発センター)と故神津照雄教授(千葉大学医学部附属病院光学医療診療部)が極めて大きな役割を果たしてこられました.分光画像内視鏡研究会はこのお二人を顧問とし,FICEをより高いレベルで応用するための臨床的,基礎的検討を行うことを目的に2008年に設立されたものです.分光画像技術を応用するすべての内視鏡診断に関する研究を視野に入れていますが,現時点におけるFICEの推奨波長セットを研究会で取りまとめることができたのを機会に本書を出版することにしました.
 本カラーアトラスに掲載された症例のすべてがFICEの潜在力を十分に引き出しているとは言い難いところもありますが,FICEの有用性と可能性の一端を示していることは間違いありません.FICEはなお発展段階の技術であり,それだけ更に大きくその役割を拡げるものと期待されます.推奨波長セットによる実臨床でのFICE活用においてはもちろん,ユーザーの一人ひとりが日々の診療における臨床研究のツールとして役立てていただくために,本書が一つの道標となれば編著者一同望外の喜びです.

2010年10月
分光画像内視鏡研究会 代表世話人
東京医科歯科大学大学院 食道・一般外科学分野 教授
同医学部付属病院 食道・胃外科長,光学医療診療部長
河野辰幸