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書籍詳細

チームで取り組む職場のメンタルヘルス診断と治療社 | 書籍詳細:チームで取り組む職場のメンタルヘルス

産業医科大学名誉教授

永田 頌史(ながた しょうじ) 監修

産業医科大学産業生態科学研究所精神保健学

廣 尚典(ひろ ひさのり) 編集

産業医科大学産業生態科学研究所精神保健学

真船 浩介(まふね こうすけ) 編集

初版 B5判 並製 184頁 2011年05月20日発行

ISBN9784787818584

定価:本体2,800円+税
  

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職業中のメンタルヘルス不調者は年々増えていく傾向にある.各事業場では,その予防や職場復帰にかかわるさまざまな取り組みが必要とされている.本書は,医師だけでなく,すべての産業保健スタッフそれぞれの役割を,立場別,事業場の大小,管理体制別にわかりやすく解説.基本から応用までの対応を詳細に解説した.

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目次

執筆者一覧
監修の言葉
本書の利用法

Chapter 1 総論
1職場の実態を把握する
 労働者の評価方法  /廣 尚典
 職場の評価法 /真船浩介
2メンタルヘルス不調者を同定し,支援する
 代表的なツール   /真船浩介
 事後措置とその留意点  /廣 尚典
 専門医への紹介の手順と工夫  /森田哲也
 職場におけるフォローアップのしかた  /鈴木貴代美
3メンタルヘルス不調者の職場復帰を支援する  /廣 尚典
 休業中の支援―主治医および家族との連携  /白川千恵
 職場復帰の判定  /廣 尚典
 職場復帰後のフォローアップ  /廣 尚典
 受け入れ職場への支援  /白川千恵
4職場のストレスを軽減する
 職場改善の手順  /真船浩介
 管理監督者教育のすすめ方  /池上和範
5メンタルヘルス対策を評価する  /島津明人
6メンタルヘルス対策に関わるスタッフ等の役割とチームワーク  /永田頌史

Chapter 2 好事例
 小規模分散型(本社主導型)  /大﨑 陽平
 小規模事業場  /森田哲也 
 中規模事業場(看護職主導型)一次予防を中心としたメンタルヘルス活動  /栗岡住子
 大規模事業場(製造業―グループ会社型)  /秋山ひろみ
 大規模事業場(製造業―労働安全衛生マネジメントシステム運用型)  /昇 淳一郎
 大規模事業場(若年者が多い職場)  /尾久征三
 EAP活用型  荒薦優子
 社内の健康管理体制を立ち上げる  /山田達治
Chapter 3 補遺
1特殊な状況への対応
 災害発生時の対応  /永渕啓子
 自殺者発生後の対応  /永渕啓子
2労災認定の動向  /黒木宣夫

付録
INDEX

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序文

監修の言葉


 近年の産業経済のグローバル化や景気変動に伴い,企業間競争は激化し,生産性や経営効率を高めるためのダウンサイジングや成果主義の導入,情報化・コンピュータ化などにより労働環境は大きく変わり,管理監督者,一般労働者を問わず働く人々の心理的負担は増えています.また,個人主義傾向と人間関係の希薄化による社会的支援や適応力の低下などの精神的環境の変化なども加わって,多くの職場で,うつ病や適応障害などのメンタルヘルス不調者は増加しています.
 このような状況から,メンタルヘルス対策は産業保健における最重要課題の一つとなっており,多くの事業場で産業医や保健師,看護師,衛生管理者等の産業保健スタッフ,人事労務管理者,職場の管理監督者ともに,その対策に多くの時間を取られています.このような背景から厚生労働省は2006年に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を公表し,対策の枠組みと方向性を示しました.しかし,この指針には具体的な対策の内容や方法論,ノウハウは示されていません.多数の関連図書が出版されていますが,まだまだ産業現場で役立つ情報が不足しています.
 本書は,さまざまな業種や規模の職場や発生した問題内容に応じて活用できるメンタルヘルス対策のノウハウが実践例を基に述べられています.また,メンタルヘルス対策を効率よく推進する上で必要な,産業保健スタッフ内のチームワーク,人事労務担当者や職場の管理監督者,一般労働者との役割分担や連携の実際についても述べられています.執筆者は,職場のメンタルヘルス対策の実践経験が豊富な産業医,保健師,心理職,および精神法医学者です.
 Chapter1では,労働者個人のメンタルヘルス評価や職場のストレス状況の実態把握の方法,メンタルヘルス不調者の早期発見からフォローアップの方法,職場復帰支援,メンタルヘルス不調者の発生を予防するための職場環境改善対策の評価法,担当者間の役割分担と連携協力等について述べられています.
 Chapter2では,事業場の規模や分散型事業場など事業場の特性に応じたメンタルヘルス対策の進め方について好事例を挙げて解説されています.
 Chapter3では災害や自殺発生時の危機管理,精神障害の労災認定の動向などに関して,最新の知見やツールを含め,具体的に解説されています.
 産業医,保健師,看護職,心理職,産業カウンセラー,衛生管理者,人事労務担当者,メンタルヘルス推進担当者等が,必要な時に必要な項目を読むことによって,すぐに産業保健活動に役立つ実践的な内容になっています.本書が多くの方に活用されて,働く人々の心の健康の保持増進に少しでも役立てば幸いであります.本書出版の趣旨を理解され,御執筆に御協力いただいた著者に心から御礼申し上げます.
 
 2011年4月
産業医科大学名誉教授 永田頌史


本書の活用法


 本書は,職場の第一線で,労働者のメンタルヘルス対策の実務に関与している産業医,看護職,衛生管理者等の産業保健スタッフの方々に向けて編んだ解説書です.産業医科大学産業生態科学研究所精神保健学研究室の同門会会員が総力を結集した単行本の第2冊目にあたります.全国の事業場で産業保健活動に従事している産業医等の同門会会員に加え,3名の非常勤講師の先生方にも,一部専門箇所のご執筆をいただいています.
 職場のメンタルヘルス対策は,事業場外のいわゆる「専門機関」に多くを委ねるのではなく,他の産業保健活動にも従事している産業保健スタッフが核となり,あるいは縁の下の力持ちとなって,事業場全体で盛り上げていくべきものであると,私たちは考えています.何か特別なものではなく,あくまで産業保健活動の一環として,他の活動と関連づけながら推進し,どうしても事業場内だけでは不足してしまう部分についてのみ,目的を明確にして外部の資源を活用していくという考え方をとるのがよいというのが,私たちの一致した意見です.専門家をひとり配置すれば,休業者の減少や職場の活性化といったよい結果が得られるようなものではないはずです.本書のタイトルにはそうした思いが込められています.
 執筆者の全員が,現場でのメンタルヘルス対策を日々実践していますので,内容に虚妄や建前論に終始しているところはないと思いますし,類書の切り貼りにもなっていないはずです.
 構成は,どこからでもお読みいただけるよう心がけました.今後の計画を策定するために参考になりそうなところを拾い読みしていただくのもよいでしょう.また,目の前の事例に対応するに当たって注意事項を確認するために使われるのも結構です.
 多くの実務家の方々が本書を手に取ってくださり,メンタルヘルス対策の一助にしていただけたならば,私たちによって,望外の喜びであります.
 

 2011年4月
産業医科大学産業生態科学研究所精神保健学 廣 尚典