HOME > 書籍詳細

書籍詳細

発作時脳波からみた小児てんかん診断と治療社 | 書籍詳細:発作時脳波からみた小児てんかん CD

順天堂大学医学部小児科准教授

奥村 彰久(おくむら あきひさ) 監修

岡崎女子短期大学人間福祉学科特任教授

根来 民子(ねごろ たみこ) 監修

名古屋大学大学院医学系研究科小児科学准教授

夏目 淳(なつめ じゅん) 監修

愛知淑徳大学健康医療科学部医療貢献学科教授

渡邊 一功(わたなべ かずよし) 監修

初版 AB判 並製 164頁 2011年05月28日発行

ISBN9784787818799

定価:本体7,500円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


発作時脳波の知識から判読のコツ,ビデオ脳波同時記録の記録法まで詳細に解説.さらに,改訂された新しいてんかん発作の分類についても詳述している.付属のCD-ROMには,様々な発作型の症例をビデオ脳波同時記録で収録.パソコン上で発作時脳波と発作像を同時に再生することができ,書籍の発作時脳波所見とあわせて,てんかん発作の診断能力の向上を目指す医師,実際の発作を見る機会の少ない一般臨床医にも役立つ.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

◆口絵カラー

序 
謝辞
執筆者一覧

巻頭 
 CD-ROMの使い方 


第1章 総論
1 発作時脳波はなぜ必要か
a.非てんかん性発作
b.発作型の診断
c.微細発作,subclinical seizures(SCS)の捕捉
d.ビデオ脳波同時記録(VEEG)の有用性
e.てんかん外科における術前評価

2 ビデオ脳波同時記録の記録法
a.名古屋大学医学部附属病院におけるビデオ脳波同時記録の歴史
b.名古屋大学医学部附属病院のビデオ脳波同時記録の実際
c.発作時脳波記録時の注意点
d.表面筋電図の有用性
 
3 てんかん発作・症候群の分類2009年試案
1.発作の発現様式と発作の分類
(Mode of seizure onset and classification of seizures)
2.基礎原因(病因)の種類
(Underlying type of cause〈etiology〉)
3.脳波臨床症候群およびその他のてんかん
(Electroclinical syndromes and other epilepsies)

4 発作時脳波判読のコツ
a.リフィルタリング
b.リモンタージュ
c.発作の起始の確認 
d.発作間欠期の突発波と発作時の突発波


第2章 発作時脳波所見 
様々な発作型における発作時脳波所見
* 症例1  強直間代発作 / 若年ミオクロニーてんかん
* 症例2  定型欠神発作 / 小児欠神てんかん
* 症例3  非定型欠神発作 / West症候群から未決定てんかんに変容
* 症例4  ミオクロニー発作 / 良性乳児ミオクロニーてんかん
* 症例5  ミオクロニー脱力発作 / ミオクロニー脱力(旧用語:失立)発作を伴うてんかん
* 症例6  ミオクロニー強直発作 / 小児ミオクロニーてんかん
* 症例7  間代発作 / 症候性全般てんかん
* 症例8  強直発作 / Lennox-Gastaut症候群 
* 症例9  運動徴候を伴う焦点性発作 / 潜因性前頭葉てんかん 
* 症例10 運動徴候を伴う焦点性発作 / 外側側頭葉てんかん 
* 症例11 反応性低下を伴う焦点性発作(複雑部分発作) / 良性乳児部分てんかん 
* 症例12 二次性全般化発作 /前頭葉てんかん
* 症例13 てんかん性スパズム / West症候群 
* 症例14 非てんかん性発作 / 乳児自慰 
* 症例15 非てんかん性発作 / 痙性麻痺に起因する四肢の硬直 
* 症例16 脱力要素を伴う非定型欠神発作 / 徐波睡眠時に持続性棘徐波をもつてんかん(CSWS)の関連疾患 
* 症例17 陰性ミオクローヌス(脱力発作) / 非定型良性部分てんかん 
* 症例18 運動徴候(強直要素)を伴う焦点性発作 / West症候群から前頭葉てんかんに変容
* 症例19 短い強直発作 / 症候性全般てんかん
* 症例20 ミオクロニー発作とてんかん性スパズム /小児ミオクロニーてんかん


第3章 発作の鑑別 
 発作時脳波と発作症状に基づく発作の鑑別 ―2009年の発作型分類に基づいて― 
 1.強直間代発作
 2.定型欠神発作 vs 非定型欠神発作
 3.ミオクロニー発作 vs ミオクロニー脱力発作 vs ミオクロニー強直発作
 4.ミオクロニー発作 vs 間代発作 
 5.ミオクロニー発作 vs てんかん性スパズム
* 症例21 同一発作内に焦点性発作とスパズムが混合するてんかん性スパズム 
 6.てんかん性スパズム vs 強直発作
 7.強直発作 vs 焦点性発作の強直要素
 8.発作時脳波に基づく偽発作と真のてんかん発作との鑑別 


 索引
 あとがき


◎取扱説明書  
 『発作時脳波からみた小児てんかん』付属CD-ROM 簡易取扱説明書ニューロポータビュー

ページの先頭へ戻る

序文


てんかんの診断にあたって,発作症状の把握が最も重要であることはいうまでもない.発作がてんかん発作なのか非てんかん性発作なのか,てんかん発作とすればどういう発作型なのかを診断するのであるが,医師が発作そのものを目撃できる機会は限られているので,まずは目撃者への問診によって発作症状を明らかにしていく必要がある.多くの場合,目撃者は動転しており十分発作を観察できていないことが多い.それでも発作頻度が多ければ比較的正確に発作症状を描写できるが,問診する医師に発作を直接観察した経験が少ないと目撃者の描写の解釈を誤ることがある.たとえば,目撃者が「患者が両手を握って手足を硬くしていた」といった場合,担当医は「全身性強直性痙攣」と記載していることが多い.しかし実際にはそれは全般発作ではなく,筋緊張亢進を伴う複雑部分発作だったということがしばしばある.このようなことは発作を多く観察しビデオ脳波同時記録の経験をつんだ医師には容易に理解できることである.発作症状から明らかにてんかん発作と考えられる場合はもちろん,発作症状が十分把握できない場合でも,次に発作間欠期脳波を行うことになる.発作間欠期脳波で突発性異常が記録された場合,発作症状との整合性を確認する必要がある.突発性異常があったからといって問題の発作がてんかん発作とは限らないからである.また突発性異常と誤認されやすい波形も多いので発作間欠期脳波の解釈には慎重を要する.一方,てんかんでも発作間欠期脳波で突発性異常が記録されない場合がある.この場合は脳波検査を繰り返すとともに発作症状を詳細に検討し,必要に応じ心電図などの他の検査も行い非てんかん発作を除外する必要がある.てんかん発作かどうか確定できない場合,てんかん発作ではあるが発作型がわからない場合,発作症状が発作間欠期脳波と合わない場合,てんかん発作の焦点を確定する必要がある場合などにはビデオ脳波同時記録を試みる.てんかん発作型が明確であると思われる場合でも発作頻度が多い場合にはビデオ脳波同時記録を行ったほうがよい.問診や通常の観察のみでは気づかなかった思わぬ発作型が捕捉されることがあるからである.しかしビデオ脳波同時記録は発作頻度が少ない場合は困難であり,目的に応じて記録時間を設定することになる.また,ビデオ脳波同時記録でてんかん発作の理解を深めることによって,発作頻度の少ない発作の臨床診断がより正確にできるようになると思われる.
名古屋大学附属病院小児科においては1979年からビデオ脳波同時記録を行ってきた.本書は,そのうちデジタル記録が行われるようになった最近の症例の中から小児のてんかん発作の診断に有用と思われる症例の記録を選び解説を加えたものである.しかし,本書ではてんかん外科の術前評価としての頭蓋内電極を用いた発作時脳波は取り上げていない.発作時脳波は,多くの場合発作間欠期脳波とは異なった波形を示すので,判読にはその特徴をよく知ることが必要であり,発作時脳波所見とともに判読のコツについても記載されている.てんかん発作においては,臨床発作像は類似するが発作型が異なることがしばしばあり,それらの鑑別についても取り上げられている.また,最近,新しいてんかん発作・症候群の国際分類が提案されており,旧分類と対比しつつ解説されている.また本書の特徴のひとつはCD-ROMにより発作時脳波のみでなく発作像も供覧したことである.これにより実際の発作を見る機会が少ない一般臨床医にも有用なものになっている.本書が,てんかん発作の診断能力の向上に少しでも寄与することができれば幸いである.

2011年4月

愛知淑徳大学健康医療科学部医療貢献学科教授 渡邊一功