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小児の発熱AtoZ診断と治療社 | 書籍詳細:小児の発熱AtoZ
診断・治療のTipsとPitfalls

九州大学大学院成長発達医学分野教授

原 寿郎(はら としろう) 編著

初版 B5判 並製 272頁 2012年04月30日発行

ISBN9784787819383

定価:本体5,400円+税
  

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本書の特徴として大きく以下の3点にまとめられる.
①最近明らかになった感染症以外の発熱の原因として自己炎症性疾患などの鑑別診断の項目に最新の知見を加え診断のフローチャートを示した
②診断に非常に大きな意味を持つ小児特有の問診,診察,検査の項目を充実させた
③診断・治療のTipsとPitfallsをできるだけ多く加えた

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目次

序 文
口絵カラー
第1章 体温と発熱 総論
 発熱の原因と診断 /原 寿郎 
   体温調節機構
   発熱の定義
   発熱のメカニズム
   発熱の原因の概要
   発熱の鑑別診断
第2章 発熱の診断
 1.原因不明の急性熱性疾患のアプローチ /岡田雅彦,森内浩幸 
 2.救急受診時のアプローチ 緊急性を要する疾患 /岡田雅彦,森内浩幸
第3章 発熱を起こす疾患
 1.臓器別の発熱を起こす疾患 /楠原浩一
 2.年齢別の発熱を起こす疾患 /楠原浩一 
 3.発疹を伴う発熱疾患 /楠原浩一
第4章 早産児・新生児の発熱 /日下 隆,伊藤 進 
第5章 生後1~3カ月の発熱 /日下 隆,伊藤 進
第6章 不明熱 /岩田 敏
第7章 微熱 /久川浩章,脇口 宏
第8章 感染性疾患
 1.ウイルス感染症,マイコプラズマ・リケッチア・クラミジア感染症
 /吉川哲史 
 2.細菌感染症 /水野由美
 3.真菌感染症 /水野由美 
 4.原虫感染症 /水野由美 
 5.見落としやすい感染症
   中耳炎・副鼻腔炎 /野中 学,田中友佳子
   皮膚の細菌感染症 /赤城邦彦
   腸管・肛門周囲の感染症 /大石智洋,齋藤昭彦
   感染性心内膜炎 infective endocarditis 石和田稔彦
   尿路感染症,性感染症 /大津 寧,伊藤雄平
   結核症 /森 雅亮,原 拓麿
 6.海外旅行者が罹患しやすい感染症 /赤池洋人,尾内一信
第9章 非感染性疾患
 1.リウマチ性疾患にみる発熱 /横田俊平 
 2.その他の自己免疫・免疫関連疾患 /原 寿郎 
 3.川崎病,大動脈炎症候群,その他の血管炎症候群 /小澤誠一郎,濵岡建城
 4.消化器疾患(IBD) /青柳 陽,清水俊明 
 5.内分泌疾患 /三善陽子,大薗恵一 
 6.悪性腫瘍 /河上早苗,石井榮一 
 7.発熱と中枢神経系疾患 /井上裕文,市山高志 
 8.血液疾患 /濱 麻人,小島勢二 
 9.熱中症(Heat illness) /市川光太郎 
 10.薬剤性発熱 /岡田恭典,荒川浩一
 11.詐熱・心因性発熱 /神原雪子,田中英高
第10章 繰り返す発熱・周期性発熱 /野々山恵章
 1.―免疫不全症―複合免疫不全症 /笹原洋二 
 2.―免疫不全症―主として抗体不全を示す疾患 /西田直徳,宮脇利男
 3.―免疫不全症―その他の明確に定義された免疫不全症 /森尾友宏
 4.―免疫不全症―免疫調節障害 /金兼弘和
 5.―免疫不全症―貪食細胞の数・機能の異常 /平田 修,小林正夫
 6.―免疫不全症―自然免疫不全 /高田英俊
 7.―免疫不全症―補体欠損症 /有賀 正,大倉有加
第11章 自己炎症性疾患 総論 /原 寿郎

第12章 自己炎症性疾患 各論
 1.家族性地中海熱(Familial Mediterranean Fever:FMF) /八角高裕,平家俊男
 2.高IgD症候群(Hyperimmunoglobulinemia D and Periodic Fever
Syndrome:HIDS) /八角高裕,平家俊男
 3.TRAPS TNF受容体関連周期熱症候群 /楠原浩一 
 4.Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS) /原 寿郎 
 5.Majeed症候群 /谷内江昭宏 
 6.DIRA(インターロイキン1受容体アンタゴニスト欠損症) /谷内江昭宏 
 7.NLRP12異常症 /今井耕輔 
 8.中条―西村症候群 /金澤伸雄 
 9.Blau症候群(MIM #186580) /西小森隆太,井澤和司 
 10.PFAPA(Periodic fever, aphthous stomatitis,
pharyngitis and cervical adenitis) /村田卓士
第13章 持続ウイルス感染
 1.慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV) /大賀正一
 2.小児HIV感染症における免疫再構築症候群 /外川正生,天羽清子 
第14章 小児の発熱の治療 禁忌事項 /唐澤直希,中原彰彦,布井博幸
 
索 引

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序文


 小児の発熱はもっとも頻度が高くかつ重要な主訴の1つである.小児の発熱の原因としては,感染症の占める比率が非常に高いのが特徴である.いわゆる“風邪”は,しばしば発熱を主訴とし,ウイルス感染が原因であることが多く大部分は自然治癒するが,時に重症化する場合がある.これらの感染症の多くは適切な診断・治療により,比較的短期間で軽快する.
 しかし,発熱は感染症以外のさまざまな疾患の初期症状,主症状の場合があり,その原因は軽症の疾患から重篤な疾患まで多彩である.一部には風邪に類似したほかの疾患の場合があり,“風邪は万病のもと”とも言われている.そのため種々の疾患の中から重篤な疾患を見逃さずに正しく診断・治療を行うことが日常診療上きわめて重要である.
 それゆえ,小児科医は発熱の生理学的意義,正確な体温測定法と年齢別の基準値,発熱の原因,病態,鑑別診断などを理解している必要がある.

 小児科医にとくに必要な知識として,
①小児の発熱の原因の特殊性
 発熱を惹起する遺伝的な疾患(原発性免疫不全症,自己炎症性疾患など)の存在,
②小児の発熱の診断上の特殊性
 たとえば新生児・低出生体重児,体温調節中枢に障害がある中枢神経疾患患者では発熱が起こらず場合によっては逆に低体温になる場合があること,乳幼児では重症感染症に伴って発熱が起こり,急激に重症化する場合があること,年齢別の発熱の基準値の違いがあること,
③小児の発熱の治療上の特殊性
 解熱薬で成人では起こらないような副作用が起こる場合があるため,使用が禁忌の薬剤があること,などがある.しかし,小児科医のための発熱に関する専門書は見当たらないため,今回小児の発熱の診断・治療が正確に見落としなくできるような包括的な本を企画した.

 この本の3つの特徴は小児の発熱において
①最近明らかになった感染症以外の発熱の原因として自己炎症性疾患などの鑑別診断の項目に最新の知見を加え診断のフローチャートを示したこと,
②診断に非常に大きな意味を持つ小児特有の問診,診察,検査の項目を充実させたこと,
③診断・治療のTipsとPitfallsをできるだけ多く加えたことである.

 以上のように本書では小児科研修医から専門医,また小児を診る機会がある内科医まで幅広く役に立つ内容に構成した.この本を熟読していただけば,小児の発熱に対してどのように考え,どう対処していくか,どのように保護者に説明して理解と協力を得ていくかが自然に理解いただけるものと信じる.

 2012年4月
 九州大学大学院成長発達医学分野教授 原 寿郎