HOME > 書籍詳細

書籍詳細

育てにくさをもつ子どもたちのホームケア診断と治療社 | 書籍詳細:育てにくさをもつ子どもたちのホームケア
家族ができる取り組みと相談のタイミング

鳥取大学地域学部地域教育学科,鳥取大学付属小学校

小枝 達也(こえだ たつや) 監修

あきやま子どもクリニック

秋山 千枝子(あきやま ちえこ) 編集

東京学芸大学教育実践研究支援センター

橋本 創一(はしもと そういち) 編集

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所

堀口 寿広(ほりぐち としひろ) 編集

初版 A5判 並製 112頁 2012年09月30日発行

ISBN9784787819642

定価:本体1,500円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


子どもの「育てにくさ」を感じている保護者から相談される子どもの状態,注意が必要な子どもの状態を99個選び,まず家庭でできる取り組みを実践的でわかりやすくイラストを多用して紹介している.取り組みを行っても改善がみられないときなどは,どの相談機関や医療機関を利用してほしいか,また利用のタイミングを提示し,保護者が自分ひとりで思い悩まずに子育てできることを目的とした保護者支援本.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

推薦の序
監修の序
本書の活用方法について
「育てにくさ」について
執筆者一覧
●6~12ヶ月頃 
【コミュニケーション】
【1】おとなしすぎる
【2】ずっと泣いている
【3】何をしても泣きやまず,何で泣くのかわからない
【4】視線が合いにくい
【行動と遊び】
【5】あまり泣かない・笑わない
【6】要求が極端に少ない
【7】抱っこをせがまない
【8】後追いしない
【9】抱いた時しっかりしがみついてこない
【10】表情が極端に乏しい
【11】ひとり遊びばかりする
【睡眠】
【12】いつも寝てばかりいる
【13】親に関係なく,一人ですぐ寝てしまう
【14】ひどい夜泣きがある
【15】ちっとも寝ない(睡眠時間が短い,細切れにしか寝ない)
【運動】
【16】寝返りの仕方が異常
【17】座位がいつまでも不安定である
【18】おもちゃを持たない
【19】ハイハイの仕方がおかしい
●1~2歳頃 
【コミュニケーション】
【20】人見知りがない,またはひどい
【21】母親べったりで父親になつかない
【22】親の行動や言葉をまねるのが苦手
【23】コマーシャルの言葉ばかり言う
【24】指差しをしない
【25】親が見ている方向,指差された方を見ない
【26】言葉の理解が悪いようである
【27】名前を読んでも知らん顔をする
【28】耳が聞こえないのか心配
【29】言葉の発達が遅い
【行動と遊び】
【30】人より物に興味を示す
【31】人への興味が持続しない
【32】外で迷子になってしまう
【33】ひとり遊びが好き,遊びに介入されるのを嫌がる
【34】ビデオ等の機械の操作が上手
【35】好きなビデオを一日中ずっと見ている
【36】不安が強い
【37】物を一列に並べたり,積んだりして遊ぶ
【38】偏った興味,決め事がある
【39】物を何でも回す
【40】キャラクター・乗り物への執着(極端なこだわり)がある
【41】極端に落ち着きがない
【睡眠】
【42】夜中に起きることが多い
【43】寝つきが極端に悪い
【44】夜泣きがひどい
【運動】
【45】つま先立ちを長くする
【46】歩き方がいつまでもぎこちない
●2~3歳頃 
【コミュニケーション】
【47】自分の思い通りにいかないとすごく怒る
【48】言い聞かせてもわからないことが多い
【49】人の言うことを聞かない
【50】手遊び歌に関心がない
【51】言葉の発達が遅い
【行動と遊び】
【52】特定のものを異常なほど怖がる
【53】慣れない建物には怖がって入れない
【54】初めてのもの,場所を怖がる
【55】妙に神経質である
【56】ごっこ遊びをしない
【57】独特なごっこ遊びをする(相手のいない自分一人だけの世界で遊ぶ)
【58】かんしゃく,パニックを起こすことが多い
【睡眠】
【59】夜中に起きることが多い
【60】寝つきが極端に悪い
【61】夜泣きがひどい
【運動】
【62】ジャンプができない
【63】階段を上がれない
【64】利き手が定まらない
【身辺処理】
【65】トイレに行くのを拒否する
【66】ひどい偏食が出てきた
【67】しつけができない(言い聞かせてもダメ)
【68】食事に極端に時間がかかる
●3~4歳頃 
【コミュニケーション】
【69】ひとり言ばかり言う
【70】おうむ返しの言葉が多い
【71】自分でつくった言葉(造語)を話して喜んでいる
【72】言葉の発達が遅い
【行動と遊び】
【73】友達に興味がない
【74】決まった友達とばかりしつこく遊びたがる
【75】子どもを怖がる
【76】一人で遊んでいることが多い
【77】集団に参加することを嫌がる
【78】人ごみを極端に嫌う
【79】奇妙な癖や動作がある
【80】失敗を極端に恐れて行動しない
【81】気分の変化が大きく,気が散りやすい
【82】順番が待てない
【83】いつでも一番でないとダメで怒る(勝ち負けにこだわる)
【84】数字やアルファベットが好きで覚える
【85】多動(座っていられず動いている)
【86】攻撃的な行動が多い
【睡眠】
【87】眠りが浅くすぐ起きる
【88】寝つきが悪い
【89】夜泣きがひどい
【運動】
【90】丸が書けない
【91】発音が極端に不明瞭
【92】吃音がみられる(言葉の出だしがうまくできない)
【93】手先が不器用
【身辺処理】
【94】同じ服しか着ようとしない
【95】靴下をはかせても必ず脱いでしまう
【96】ウンチをパンツの中でしかしない
【97】偏食がなおらない
【98】食べ物を見た目で判断して食べない
【99】服や手が汚れるのを極端に嫌がる

ページの先頭へ戻る

序文

推薦の序
親に寄り添い子の幸せを開く

 子育ての時に,「大丈夫かしら」と親,特に母親が不安を感じることは珍しくありません.上の子や近所の子に比べて,育児書を読んでなど,そのきっかけはいろいろですが,不安のもとになる理由も多彩です.食べない,寝てくれない,夜中に泣きやまない,こだわりが強すぎるなど,親達の生活そのものを大きく乱すこともあり,子育てに拒否的になる危うさも生じかねません.
 この本は,多数の親が訴える不安や困惑に対応してきた専門家達が,よくある不安や育てにくさの内容を6ヶ月から4歳台の4つの年令群から選び,それぞれについて解説したものです.
 この書を楽しく,読みやすくしているのは,とり上げた各項目ごとにかわいいイラストが示されていることです.親が感じてきた不安や問題について,まず家庭で親が子にどう対応したらよいか,判り易くユーモラスに画かれています.そして,その結果でよくなればよし,もし十分ではないと思われたら,適切な時期に次の相談に移り,その経験を親から相談者に話すことになりましょう.この本に記されている他の項目についてもその子がどんな様子か知ることはとても有意義と思います.もし,同一年齢に記されている他の項目にも気になる内容があると判断されたら,相談に当った専門家は次の対応に何が必要かを速やかに判断する参考にするでしょう.
 執筆者の豊富な経験と実践的な視点が調和し,「発達の支援」に役立つ名著と感じます.
 2012年9月
 東京都立東部療育センター 院長
 有馬正高


監修の序
 私の大好きな絵本の一つに,いとうひろし作「だいじょうぶ だいじょうぶ」という本があります.世の中のことが少しずつ見え始めたボクは,日常的な出来事にさえも不安を抱き,自分はやっていけるのかしらと臆病になります.でも,かならずそばにおじいちゃんがいて,手を握りながら「だいじょうぶ だいじょうぶ」とおまじないのように声をかけてくれるのです.するとボクは安心することができて,いろんな経験を重ねていきます.やがて「世の中,そんなにわるいことばかりじゃないんだ」ということがわかってくるというお話しです.
 子育てをしている最中の親御さんは,このボクのような存在だと思うのです.赤ちゃんを授かり,嬉しさでいっぱいの時期を過ぎるころに,子育てのいろいろな不安が芽生えてきます.周りの子やきょうだいと比べてみると,どうも不安といったことが日常的に起きてきます.ですから,そのときにそばにいて「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかけてくれるおじいちゃんのような存在が必要なのだと思うのです.
 しかし,「だいじょうぶと言われたって不安です」あるいは「どのようにだいじょうぶなの?」と言いたくなるのが親御さんの本音でしょう.
 本書では,日常の子育てで「あらっ」と気になる出来事を取り上げて,1ページごとにわかりやすい挿絵とともに解説してあります.そして何に着目すればよいのかというチェック項目が載せてあります.こうした具体的でわかりやすい情報は,日常的な出来事で不安になりがちな親御さんに大きな安心感を与えてくれるでしょう.本書が,子育てに不安になりがちな親御さんにとって「だいじょうぶ だいじょうぶ」と語りかけるおじいちゃんのような存在になることを願っています.
 また,本書をきっかけとして医療機関や相談機関を利用し,診断がつくということもあると思います.そうしたきっかけになることも本書の願いの一つです.そしてたとえ診断がついても「だいじょうぶ」ということもお伝えしたいのです.かかりつけ医や住んでいる市町村の保健師,あるいは専門の教育相談や福祉相談機関など,多くのサポーターがいます.安心して大いに活用してください.きっと前向きな気持ちになり,積極的に子どもと関わることができるようになると思います.
 絵本の最後は,大きくなったボクが,年をとって病気で臥せっているおじいちゃんの手を握り「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかけるシーンで終わります.本書を読んで安心感を得た親御さんが,今度はだれかに「だいじょうぶ」と言ってあげられるようになるといいな,と思っています.
 2012年9月
 鳥取大学地域学部 教授
 鳥取大学附属小学校 校長
 小枝達也



本書の活用方法について
 本書は,保護者が子育てのなかで遭遇する「何でだろう」「心配だなあ」「理解できない」といった子どもに向ける感情が,ネガティブな方向に向かってしまい,子育てしにくさに発展しないようにするための,いわば“攻略本”です.
 構成として,
 1.こんな場面はありませんか?
 2.家庭でできる取り組み
 3.相談を利用するタイミング
 となっています.
 まずは,子どもの気になる姿に対する「なぜ?」を読み解いていきます.
子どものできない/やらない姿には3つが考えられます.
①できない~(本人の現在の実力では無理かもしれない)
②やらない~(やりたくない/思わずいけないことをやってしまう)
③やっている/ちゃんとしているつもり~(本人はそのつもりでやっているができない)
 子どもの気持ちや子どもの困っている感に,親が気づいてあげましょう.そして,発展途上のうまくやれない姿を,深刻にならずに受けとめてあげましょう.
 次に,そのまま放置するのではなく,親子で一緒に取り組んでいきます.
key wordsは,『安心させる』『楽しさの体験』『少しずつ慣れていく』『落ち着いた環境』『経験を積んでいく』『やりとりしながら』『わかるように説明する』『橋渡ししてあげる』『拒否感を減らしていく』『気持ちを言葉にしてあげる』『励ましながら』『挑戦する』『褒めてあげる』『無理強いしない』『教えていく』『(見本を示して)まねをさせる』『気分転換する』などです.本書には,こうした親子の取り組み例をたくさん掲載しています.
 親子共々に,苦手な場面を悩んだり避けているばかりでなく,誰かに相談してみると,とても楽になることが多くあります.
 親子で取り組んでみよう!と前向きになった時の“ワンポイントアドバイス”は,魔法のように誰にでも効いたりします.親として,子として,自分に自信がもて,充実した生活を送ることができるでしょう.
 すると,今まで嫌だったり,避けていた場面でも,主体的にかかわろうとする原動力をうみ,できないことや嫌なものを,逆に,上から目線で楽しく眺めることができるかもしれません.
 賢い子育てでいきましょう.「賢い」とは,あたたかい心と冷たい頭のことです.子どもを前に,愛情と気持ちを込めるだけのがむしゃらな子育てだけではなく,戦略的で効果的なハウツーを用いてみましょう.
 子どもの年齢や気になる場面に応じて,該当するところを読み,保護者や子どもの性格・特徴,生活環境等に応じて,できることから少しずつ試してみて下さい.
 橋本創一