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てんかんとイオンチャネル病の基礎知識診断と治療社 | 書籍詳細:てんかんとイオンチャネル病の基礎知識

保健科学研究所

鬼頭 正夫(きとう まさお) 著

初版 B5判 並製 116頁 2013年05月31日発行

ISBN9784787820013

定価:本体3,400円+税
  

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てんかんをイオンチャネル病として捉え,最新の知見とともに,神経生理学,薬理学,分子生物学の基本的事項を簡潔にわかりやすく解説.イオンチャネル病としてのてんかんおよび各種疾患,イオンチャネルからみた抗てんかん薬の作用機序など,てんかんを中心としたイオンチャネル病についての理解を深めることができる.随所に息抜き用のCoffee Breakや重要なポイントをまとめたColumnを挿入.臨床医必読の一冊.

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目次

推薦のことば  渡邊一功
はじめに
本書の使い方

序章 イオンチャネル病
1 イオンチャネルの構造と分類
2 イオンチャネル病

第1章 イオンチャネルの神経生理学,分子生物学
1 活動電位発生機構とてんかん発作の発現機構
2 シナプスの構造と機能
3 イオンチャネルの発見
4 イオンチャネルの構造とイオンチャネル電流の特徴

第2章 抗てんかん薬とイオンチャネル
1 実験の概要
2 フェニトインの作用機序
3 カルバマゼピンの作用機序
4 バルプロ酸ナトリウムの作用機序
5 ゾニサミドの作用機序
6 抗てんかん薬の作用
7 抗てんかん薬の構造から機能を推測する
8 イオンチャネルから抗てんかん薬を分類する

第3章 てんかん症候群と遺伝子異常
1 てんかん症候群と遺伝子異常
2 遺伝子異常とてんかん症候群
3 イオンチャネル遺伝子改変動物によるてんかんの病態解明

終章 イオンチャネルからみた今後のてんかん研究の方向性
1 年齢依存性てんかんの解明
2 テーラーメイド医療への道
3 創薬(新規抗てんかん薬の開発)
4 てんかんのシミュレーション
5 分子生物学と倫理

付録
1 抗てんかん薬一覧
2 薬理学的視点からみた抗てんかん薬使用上の注意点
3 イオンチャネルレベルからみた抗てんかん薬使用上のポイント

参考文献

索引
和文索引
欧文索引

著者略歴

Column
水チャネル(アクアポリン) 
視細胞(桿体細胞)とイオンチャネル 
抗AMPA受容体抗体脳炎,抗GABAB受容体抗体脳炎 
伸展活性化チャネル
遅延整流Kチャネル 
細胞電池
ギャップ結合 
逆行性シナプス伝達 
軸索初節と活動電位発生 
電気生理学的分類
GABAも興奮性伝達物質 
細胞死 
アストロサイトの構造と機能
睡眠・覚醒リズム 
イオンチャネルの自己制限(自己安定化)作用 
活性化チャネルブロックと不活性化チャネルブロック(抗てんかん薬の脂溶性)
炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase)
治験(申請)中の抗てんかん薬
似ていて当然
ピリドキシン依存性けいれん
官能基は分子の顔 
Naチャネルの速い不活性化と遅い不活性化
抗発作薬と抗てんかん原性薬
Mチャネル
GABAB受容体の役割
新分類案
遺伝子異常と抗てんかん薬使用上の注意
遺伝子改変動物の研究の進歩 
STXBP1遺伝子異常,PRRT2遺伝子異常とレベチラセタム


Coffe Break
イオンチャネルの命名
心筋活動電位のシミュレーション
SIDSとLQT
第六感(sixth sense) 
ボツリヌス毒素とシナプス小胞結合タンパク 
跳躍伝導の発見 
ホジキン,ハックスレー以前の神経生理学研究の歴史 
ヤリイカと神経生理学研究
イカの心臓は3つ 
epilepsyの意味 
妻の発症 
ペースメーカーセル
「網状説」と「ニューロン説」
意外な結末 
ヤシか団扇 
電気ウナギの脅威 
イオンチャネルの歴史 
個体発生におけるチャネル変換  
「あら何ともなや 昨日はすぎて ふぐと汁」(松尾芭蕉) 
P型Ca2+チャネルと疾患 
抗グルタミン酸受容体抗体と神経疾患 
若年ミオクロニーてんかんとアポトーシス 
ミトコンドリア保護作用
グルタミン酸の濃度 
グルタミン酸ソーダ 
イオンチャネルの数 
Ca2+でなくBa2+ 
フッ素の驚異 
抗てんかん薬の種類 
光学的測定法 
Ca2+チャネルの発見 
iPS細胞にも影響します 
炭酸飲料が美味しいわけ 
ベンゼン環で癌になる 
芳香族はよい香り? 
遺伝子表記法 
DNAミュージック 
臨床適応 
次世代シーケンサー 
スパコンで創薬
先見の明
遺伝確率 
喫煙と血中濃度 

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序文

推薦のことば

 私は,二十数年前に鬼頭正夫先生が名古屋大学小児科の大学院に入学した当時の指導教授です.その当時の小児科神経研究室の主要テーマのひとつは小児てんかんの研究でした.それまでの研究は臨床研究でしたが,その当時,神経研究室の教官であった前原光夫先生が,神経細胞膜興奮性の調節異常を根底にもつてんかんの病態を,当時開発されたパッチクランプ法で研究できないか,てんかんをチャネル病のひとつとして確立できないか,神経細胞の興奮性に対し抗てんかん薬がどのような作用を示すか,をイオンチャネルから検討することを提案し,鬼頭先生がその研究に着手しました.彼は,小児科免疫研究室の先生に神経芽腫の継代培養を教えてもらい,すぐにテクニックを覚えて神経細胞の培養を軌道に乗せました.さらに,生理学教室の徳納博幸先生にパッチクランプ法を教えてもらい,種々の生理学的実験のテクニックを習得し,熟達し,小児科神経研究室にそれらを導入しました.彼は前原先生とともに,小児科神経研究室の片隅にシールドルームを作り,必要な実験設備を設置し,その中でイオンチャネルに関する実験を熱心に行っていました.その知見が本書の第2章で紹介されています.その後,彼は大学院を修了して一般病院に赴任しましたが,この時の経験が本書を著すもとになったと思われます.現在,てんかんの多くがイオンチャネル病であることが判明しましたが,いち早くイオンチャネルに着目した前原,鬼頭らの先見の明に敬意を表したいと思います.
 本書の内容を見ますと,イオンチャネル病の概念,てんかんを含むイオンチャネル病の概要,イオンチャネルの構造,生理学,分子生物学に始まり,イオンチャネルからみた抗てんかん薬の作用機序,てんかんの遺伝子異常,イオンチャネルからみた今後のてんかん研究の方向性などについて幅広く,しかし基本的事項のみが簡潔にわかりやすく解説されています.重要事項はColumn欄で解説してあり,基礎医学の教科書を紐解く必要がないようになっています.随所にCoffee Breakとして面白い話が挿入されており,難しい神経生理学についても肩を凝らずに読めるようになっています.さらに,付録として役立つ事項が掲載されていますが,なかでもイオンチャネルレベルからみた抗てんかん薬使用上のポイントは,本書ならではの記述だと思います.
 本書は,イオンチャネル病としてのてんかんおよび各種疾患,イオンチャネルからみた抗てんかん薬の作用機序などについて臨床医の立場から平易に解説しており,てんかんを中心としたイオンチャネル病についての理解を気軽に深めることができます.てんかんの診療に従事する医師のみならず,他科の医師,薬剤師にもお薦めしたいと思います.

 2013年5月
名古屋大学名誉教授
愛知淑徳大学健康医療科学部教授
渡邊一功



はじめに

 みなさんこんにちは,保健科学研究所の鬼頭正夫と申します.
 今やてんかんもイオンチャネル病の概念が定着して,てんかんはイオンチャネルを抜きにしては語れなくなってきました.学会発表や専門誌には,イオンチャネルの構造や遺伝子が並び,遺伝子操作をした実験用動物も登場します.ところが,これまでのてんかん診療における臨床症状,脳波,画像診断などからアプローチしていた方々は,この変化に,少し戸惑っておられるのではないかと思われます.
 本書では,いまさら聞けない神経生理学,薬理学,分子生物学の知識をそっとお教えしようと企画いたしました.最近のてんかん学の理解の参考になり,さらに臨床医学における基礎医学の重要性を知っていただければ望外の幸せです.

 出版にあたり,臨床てんかん学が主流だった教室で基礎てんかん学をご指導いただき,また本書に推薦のことばを賜りました名古屋大学名誉教授,愛知淑徳大学健康医療科学部教授渡邊一功先生,てんかんの「イオンチャネル病」の概念をいち早く推察し,ご指導いただきましたまえはらこどもクリニック 前原光夫先生,イオンチャネル実験をご指導いただきました元名古屋大学医学部細胞情報医学専攻・細胞科学講座・細胞生理学分野助教 徳納博幸先生に深謝いたします.
 診断と治療社のみなさま,特に堀江康弘様,川口晃太朗様,小林雅子様には,大変お世話になりました.ありがとうございました.

 2013年5月
保健科学研究所
鬼頭正夫