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書籍詳細

発達障害医学の進歩25診断と治療社 | 書籍詳細:発達障害医学の進歩25

青山学院大学教育人間科学部教育学科

古荘 純一(ふるしょう じゅんいち) 編集

日本発達障害福祉連盟(にほんはったつしょうがいふくしれんめい) 企画

初版 B5判 並製 96頁 2013年04月01日発行

ISBN9784787820082

定価:3,850円(本体価格3,500円+税)

発達障害ではライフステージごとに特有の問題が生じるため,これをふまえた支援が必要となる.本書では思春期・青年期を中心に,日常および非常時のアプローチを取り上げた.具体的には,①誰でも体験する日常的な問題(思春期・青年期における医療の継続,受験や大学生活,恋愛から子育て)と,②非日常的な問題(災害時の対応,施設で暮らすことを余儀なくされた場合,ひきこもり,逸脱行為となった場合)に分けて述べている.

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目次

■発達障害と思春期・青年期―古荘純一,磯崎祐介
思春期・青年期とはどのような時期か  
医学的にみた思春期・青年期  
発達障害の人の思春期・青年期  
当事者としての思春期・青年期  
思春期以降に初めて発達障害と診断される事例  
発達障害の人の生活の質(QOL)  
支援者に求められること  

■教育と地域連携の支援―高田 哲
発達障害とその成長に伴う変化  
発達障害のある子どもの思春期における認知特徴  
その他の問題  
ライフステージを結ぶ継続的な支援  
あじさいキャンプ  
思春期の子どもたちと中学校・高等学校  
思春期の子どもと発達障害者支援センター  
思春期の子どもを対象とした相談・居場所作り  
おわりに  

■発達障害のある児童生徒の受験と就労
 ―特にLD(学習障害)児を対象として―宇野 彰
発達障害に関する法律  
LD(学習障害)の定義  
事例提示  
発達障害の人の大学入試  
おわりに  

■大学学生相談室における支援―松嵜くみ子
大学生活に起こる“困りごと”の生じやすい状況  
起こりやすい“困りごと”とその背景,および支援に向けての着眼点  
対応,支援における基本的な考え方  
対応,支援が有効な場合の共通要因  
おわりに  

■災害時の発達障害児への支援
 ―東日本大震災の経験から―福地 成
すべての子どもにみられた反応  
発達障害児にみられた反応  
事例提示  
実際の対応  
避難所の問題  
地域との繋がり  
発達障害の事例化  
おわりに  

■ADHD治療薬の継続治療―思春期にリタリン®から
 コンサータ®へ切り替えた事例を中心に
 ―久場川哲二,古荘純一
対象と方法  
事例提示  
考  察  
おわりに  

■発達障害のある人の子育て支援―石川道子
成人期の発達障害の現状  
発達障害の人にとって学習しにくいこと  
発達障害の人の子育ての問題点  
ペアレントトレーニングの意義  
生涯支援の視点  
育児行動支援プログラムの必要性  

■児童養護施設における思春期の発達障害児への支援
 ―治療指導員へのインタビューを手がかりとして
 ―大塚 類
児童養護施設と発達障害  
A学園における支援  
思春期の発達障害児をさらに支援するために  
謝辞・補遺  

■ひきこもりの支援―齊藤万比古
ひきこもりとは何か  
発達障害当事者のひきこもり  
おわりに  

■非行事例の支援―藤川洋子
少年犯罪,発達障害それぞれの現況  
少年事件はどのように処理されるか  
事例提示  
精神医学的,臨床心理学的治療の工夫  
英国自閉症協会(NAS)の5つの原則  
スウェーデンのエルヴァン・メソッド  
おわりに  

■付録―発達障害の人の大学入試(資料)―
図1 受験特別措置内容一覧(発達障害の部分を抜粋)  
図2 受験特別措置申請様式―診断書(発達障害関係1)  
図3 受験特別措置申請様式―状況報告・意見書(発達障害関係2)  

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序文

 私は,小児科医として発達障害の人に対して診療機関で医学的支援を開始し,継続的に関わりをもち,現在成人期に達した人を何人も診ています.その経験から,発達障害の人は幼児期,学童期,思春期,青年期,そして成人期に各年代に特有の問題が生じ,それをふまえた支援ニーズがあることを学びました.同時に,発達障害の人は小児期から思春期以降の長期展望を見据えた医学的支援の必要性を強く感じています.小児期の,学校現場での集団適応や学習対策への支援は一時的な対策に過ぎず,思春期以降の生活の質(quality of life;QOL)も改善しうるのかどうか疑問に思うこともあります.
 発達障害の人の困難さは子どものときだけではなく,青年期以降成人期にも持続します.学童期までは何とか対応できていても,思春期・青年期になって直面する様々な悩みには,なかなか適応できにくいという特徴があります.特に最近の社会情勢や災害等自然環境の急激な変化に適応できず,様々な相談機関を訪れる人も多いと思います.一方,サポートの面では,学童期までは学校や小児医療機関で専門的な相談を受けることは比較的容易なのですが,思春期から青年期になると,学校や医療機関のみならず,就労,日常生活,社会参加などの問題で相談機関も多岐にわたり,相談を受けにくいのが現状です.さらに,わが国における児童青年精神医学領域は,患者さんやご家族などの支援者のニーズと,それにお応えすべき医師のアンバランスが極めて大きな問題です.わが国では認定医制度が発足していますが,小児科サイドの認定医は300人弱,精神科サイドの認定医は200人弱,この両者を合わせもっている医師もいますので,実際には400人程度の認定医しか存在しません.私は,その10倍の4,000人程度の専門医が必要ではないかと考えています.
 このような現況をふまえて,『発達障害医学の進歩25集』では,“思春期から青年期における支援―日常から非常時まで”と題して,豊富な経験や研究成果をおもちの先生方に,それぞれについてまとめていただきました.
 内容は大きく2つに分かれています.①誰でも体験する日常的な問題.思春期・青年期における医療の継続,受験や大学生活,そして恋愛から子育てについて,発達障害の人にはどのような問題が存在し,どう接するのか? ②非日常的な問題.災害時の対応,施設で暮らすことを余儀なくされた子どもの問題,ひきこもりの問題,発達障害の人の対人面や行動面の問題が時として逸脱行為に展開することなどについてです.今まであまり取り上げられていなかった内容,限られた時間のなかで相談できなかったことも含まれているかと思います.
 本書が,発達障害のある子どもとご家族への支援に日々ご尽力されている方々に,少しでもお役に立てれば幸いと思っております.
     2013年3月
 青山学院大学教育人間科学部教育学科 古荘純一