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書籍詳細

イラストでよくわかる 楽しくはじめる
ダウン症リハビリテーションガイド診断と治療社 | 書籍詳細:ダウン症リハビリテーションガイド

長野医療技術専門学校教務部理学療法学科 副学科長

山本 良彦(やまもと よしひこ) 編集・執筆

靴工房あさひや

朝日 義之(あさひよ しゆき) 執筆者

稲荷山医療福祉センター

竹内 ちさ子(たけうち ちさこ) 執筆者

初版 B5判  100頁 2013年12月25日発行

ISBN9784787820662

定価:本体1,900円+税
  

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ダウン症の人のまわりにいる大人はどのようなサポートができるのか?ダウン症に対する誤解やよく理解されていない部分について知ることからはじめて,どこを伸ばしてあげるのがいいのか?など,よく聞かれる問題に対して,リハビリテーションの専門家である著者の言葉で書かれた本である.「運動」「言語」「食事」など,シーン別にリハビリテーションの実際をイラストで紹介.「すぐにはじめられるリハビリ」をテーマに簡潔にまとめた一冊.

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目次

序 文
執筆者一覧

第1章 ダウン症の基礎知識
A.ダウン症とは 山本良彦
1 染色体について
2 ダウン症の分類
3 ダウン症の原因
B.ダウン症の病態 山本良彦
1 ダウン症の障害像
2 ダウン症の出生頻度
3 身体的な特徴
4 知的・性格的な特徴
C.ダウン症の合併症 山本良彦


第2章 小児期における発達
A.発達の道しるべ(マイルストーン) 山本良彦
1 発達のみかた
2 姿勢と運動の発達
3 あそびの発達
4 ことばの発達
5 社会性の発達
B.ダウン症児の姿勢と運動の発達 山本良彦
1 姿勢発達の特徴
2 移動運動の発達の特徴
C.ダウン症児の言語能力の発達 竹内ちさ子
D.ダウン症児の知能・情緒・社会性の発達 竹内ちさ子
1 知能の発達
2 情緒・社会性の発達


第3章 リハビリテーションの実際
A.リハビリテーション(発達支援)の考え方 山本良彦
1 リハビリテーションとは
2 早期療育〜集中的なリハビリテーションが必要な時期
3 ライフステージに合わせた目標
4 学童期の発達支援
5 学童期以降の発達支援
6 リハビリテーション終了の時期
B.姿勢と運動のリハビリテーション 山本良彦
1 姿勢保持
2 歩行
3 階段昇降
4 運動学習
C.日常生活におけるリハビリテーション 山本良彦
1 食事動作
2 排泄動作
3 あそび
D.ことばのリハビリテーション 竹内ちさ子
1 意味のあることばが出る前の時期
2 意味のあることばが出始める時期
3 文レベル~たくさんお話する時期
E.食べる機能のリハビリテーション 竹内ちさ子
1 哺乳のころ
2 離乳食開始・初期のころ
3 離乳食中期のころ
4 離乳食後期のころ
5 離乳食完了期以降
F.リハビリテーションとインフォームドコンセント 山本良彦
1 保護者への説明
2 リハビリテーションのアドバイス
3 リスク管理


第4章 青年期以降の支援
A.生活の自立に向けての支援 山本良彦
1 何ができたら自立? どこまでできたら自立?
2 生活の場
3 お金の計算
4 時間の管理
B.就労の支援 山本良彦
1 向いている仕事
2 働く場所
3 潜在能力
4 就労による社会参加の例
5 大学で学ぶ
C.退行・加齢に伴う機能低下の予防と支援 山本良彦
1 退行
2 加齢に伴う機能低下


column
1筋緊張 山本良彦
2外反扁平足 山本良彦
3靴と足底板 朝日義之
4ダウン症児の運動能力評価「あんぱんくらぶ」 山本良彦
5人見知り 山本良彦
6出生前診断 山本良彦
7ダウン症の人の高齢化 山本良彦
8障害者差別解消法 山本良彦
9脳における学習 山本良彦

INDEX
文献一覧
あとがき

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序文

序 文

 ダウン症は,染色体異常の中ではもっとも頻度が高い疾患の一つであるといえます.誰にでも起こる可能性があり,とくに高齢のお母さんから生まれる頻度が高いことは多くの人々が知っています.しかし,自分の家族に起こるとは誰も思っていません.ダウン症児を授かったことを知った家族は,それが出産前でも出産後でもショックを受け動揺します.その要因の一つに,一般的な子どもの成長・発達とは異なることが強調され,育児への不安を高めるネガティブな情報が多いことが挙げられます.しかし,その子の命と付き合ってみると,この事実は想像していたほどには悲惨ではないことがわかります.
 平成25年4月から,一定の制限のもとに新しい出生前診断が実施されるようになり,胎児のうちに比較的安全に,そして高い確率で「ダウン症候群(21トリソミー)」「エドワーズ症候群(18トリソミー)」「パトー症候群(13トリソミー)」の3つの染色体異常の診断を行うことができるようになりました.この出生前診断によって精神的,経済的,環境的に準備をする時間的余裕が得られることは明らかです.診断結果を受けて育てる決断をするのか,育てることをやめる決断をするのか,それは両親や家族がさまざまな背景の中で悩み,決めることですので選択に良いも悪いもありません.
 しかし,誤解や先入観だけで妊娠中絶を選択してしまう人もいます.出生前診断の検査結果が「陽性」であれば「妊娠中絶」という短絡的な考えに至る理由は,「ダウン症はどのような障害なのか」「ダウン症の人はどのように生きているのか」を想像できないことによります.「染色体異常」という診断名から抱くイメージはたぶんネガティブなものです.「こんな困ったことがあるけど,こんな方法で解決できるよ」という情報があれば,出生前診断の持つ意味もポジティブにとらえられるのではないでしょうか.
 本書はダウン症児の家族や,リハビリテーション専門職の入門者のために支援における糸口となることを願いながら書きました.そして,難しい説明はできるだけ省いて大切な部分をイラストや表を用いてわかりやすく示すことを心がけました.ここに書かれているリハビリテーションの内容は,ただ筋力を強くしたり,できない動作を繰り返して練習したり,単語をたくさん覚えさせるというものではなく,全項を通して「学習理論」「環境における動作や行為」「経験を裏付けとした言葉」などを重視し,機能や能力だけで子どもを見ないように配慮しています.また,ダウン症の人々は発達の経過に個人差が大きく,「何歳何カ月でこんな発達です」と言えないことが多いので,「いつできるか」ということよりも「何ができるか」という視点で発達をとらえるようにしました.
 本書を手にされた方々は「支えてくれる人たちがたくさんいる」「ダウン症で生まれても育てていける」という想いになっていただけることを心より願っております.本書のタイトルにもあるように「リハビリテーション(全人間的復権)」の「ガイド(手引書)」として活用していただければ幸せです.
 2013年11月
 山本良彦



あとがき

 「ダウン症」をインターネットで検索すると,数え切れないほどの情報が見つかります.ダウン症のお子さんを持つご家族のブログや経験談など,とても役に立つ内容のものが多いのですが,中にはダウン症の人を誹謗中傷するような心ないコメントや,偏見による間違った情報も目に付きます.本書のねらいは,ダウン症の人の生活をリハビリテーションの側面から紹介することにあります.それによってダウン症についての理解を広げ,偏見や思い込みを少しでもなくし,出生前診断の結果を前向きにとらえる材料にしてもらうことができるようになればよいと思っています.
 それでは,本書の内容について簡単にご説明いたします.
 第1章はダウン症についての基礎的な知識を確認しています.ダウン症の全体像,病態,合併症などに関して解説しています.第2章は子どもの一般的な発達と,ダウン症児の発達を,姿勢・運動,言葉,知能・情緒・社会性という側面から説明しています.第3章はリハビリテーションの実際について,是非知っておいていただきたいことに関して内容をできるだけ絞って取り上げました.第4章は青年期以降の支援についてです.社会参加をするダウン症の人が増えている一方で,加齢に伴う機能低下によって適応障害を生じる人も増えています.最後は9つのコラムです.やや専門的な内容も含まれますが,知っておくとためになる情報を集めました.
 本書の内容はダウン症の人のごく一部分にしか過ぎず,まだまだ十分とは言えません.また,今までのダウン症に関する書籍とは,違う切り口で書いたつもりでおりますので,不十分な内容やお気付きの点がありましたら,是非ともご指摘くださいますようお願いいたします.そうやってこの本を育てていただけると本当にありがたく思います.
 そして最後に,この本を出版する機会を与えてくださった診断と治療社の堀江康弘編集部長,土橋幸代部長代理に感謝いたします.また執筆に先立ち実施したアンケートに快く回答してくださった「ひまわりの会」の皆様,高齢ダウン症の方の取材でお忙しい中にも関わらず面談に応じていただいたご家族の方々に感謝いたします.
 また,この本はイラストが命なのですが,ぼんやりとした説明にも関わらず適切なイラストを描いていただき,さらに度重なる修正にも応じていただいたイラストレーターの松永えりかさんに深く感謝いたします.そして,原稿の遅れを根気強く待ち,執筆の後半で内容に自信をなくしてしまった私を励まし,力と勇気を与えてくださった診断と治療社の寺町多恵子さんに心から感謝いたします.
 そして,ダウン症の皆さん,これからも一緒に楽しくリハビリしていきましょう.

 山本良彦