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酸化ストレスの医学 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:酸化ストレスの医学 改訂第2版

京都府立医科大学 学長

吉川 敏一(よしかわ としかず) 監修

京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 准教授

内藤 裕二(ないとう ゆうじ) 編集

名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学・分子病理診断学 教授

豊國 伸哉(とよくに しんや) 編集

改訂第2版 A5判 上製ソフトカバー,2色刷(一部4色) 456頁 2014年09月01日発行

ISBN9784787821188

定価:本体9,500円+税
  

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本書は2008年の「日本酸化ストレス学会」発足にあたり,酸化ストレス研究の発展を祈念して企画された.それから6年の歳月が経過し,今回,近年飛躍的に進歩した研究成果を新たに臨床に還元すべく改訂することとした.2014年8月現在,日本酸化ストレス学会の会員数は1,000名になろうとしている.本領域の学術研究のますますの発展を祈念する.

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目次

『酸化ストレスの医学』改訂にあたって  吉川敏一 
日本酸化ストレス学会の発足にあたって(旧版より転載)  吉川敏一 
執筆者一覧  


基礎編の序  豊國伸哉  
 1 活性酸素・フリーラジカルと酸化ストレス  安西和紀  
 2 活性酸素生成酵素Nox/Duoxの調節機構と酸化ストレス
  住本英樹/宮野 佳  
 3 生体の抗酸化システム① スーパーオキシドジスムターゼ系
  吉原大作/藤原範子/鈴木敬一郎  
 4 生体の抗酸化システム② グルタチオンペルオキシダーゼ系  高橋和彦  
 5 生体の抗酸化システム③ チオレドキシン系  中村 肇  
 6 生体の抗酸化システム④ チオレドキシン周辺分子  増谷 弘  
 7 Keap1-Nrf2システムによる酸化ストレス・親電子性物質応答機構
  田口恵子/山本雅之  
 8 ヘムオキシゲナーゼ  内藤裕二  
 9 酸化ストレスと細胞内シグナル伝達  近藤 隆/櫻井宏明/田渕圭章  
10 鉄代謝と酸化ストレス  岡崎泰昌/豊國伸哉  
11 ミトコンドリア・アポトーシスと酸化ストレス
  犬童寛子/松井裕史/小澤俊彦/馬嶋秀行  
12 フリーラジカルの測定法  中川秀彦  
13 酸化ストレスのバイオマーカー① 蛋白質カルボニル
  赤川 貢/内田浩二 
14 酸化ストレスのバイオマーカー② 酸化的DNA損傷  及川伸二 
15 酸化ストレスのバイオマーカー③ 血清・尿分子  山本順寛 
16 グリケーション  板部洋之 
17 一酸化炭素とシグナル伝達  末松 誠/山本雄広/梶村眞弓 
18 一酸化窒素・ガス状シグナル分子とチオールバイオロジー
  澤 智裕/赤池孝章 
19 活性酸素による化学修飾とセンサー蛋白質  熊谷嘉人 
20 天然抗酸化物  村上 明 
21 発がんと酸化ストレス  赤塚慎也/豊國伸哉 
22 炎症と酸化ストレス  佐藤英介 
23 放射線と酸化ストレス  山盛 徹/鈴木基史/安井博宣/稲波 修 
24 紫外線と酸化ストレス  安井裕之 
25 虚血再灌流傷害と酸化ストレス  市川 寛 
26 神経変性疾患と酸化ストレス  中別府雄作 
27 酸化ストレス適応応答を標的としたがん治療創薬  永澤秀子 
28 低温大気圧プラズマの医療応用  堀  勝 
29 フリーラジカル,酸化ストレス研究の歴史  二木鋭雄 


臨床編の序  内藤裕二 
 1 脳神経疾患と酸化ストレス  福井浩二 
 2 Parkinson病と酸化ストレス  斎藤芳郎/野口範子 
 3 眼疾患と酸化ストレス  野田航介/石田 晋 
 4 呼吸器疾患と酸化ストレス  井上健一郎/高野裕久 
 5 心疾患と酸化ストレス  佐藤公雄/下川宏明 
 6 心不全と酸化ストレス  井手友美/砂川賢二 
 7 動脈硬化症と脂質酸化  吉田康一 
 8 肥満・エネルギー代謝と酸化ストレス  大和真由実 
 9 Helicobacter pylori感染症と酸化ストレス  平田賢郎/津川 仁/鈴木秀和 
10 非ステロイド系抗炎症薬による小腸粘膜傷害と酸化ストレス  松井裕史
11 炎症性腸疾患と酸化ストレス  髙木智久/内藤裕二 
12 NAFL/NASHと酸化ストレス  今 一義/渡辺純夫 
13 C型肝炎における肝発がんと酸化ストレス  原 裕一/日野啓輔
14 急性臓器不全と酸化ストレス  高橋 徹 
15 腎疾患と酸化ストレス  平山 暁 
16 糖尿病と酸化ストレス  井口登與志 
17 婦人科疾患と酸化ストレス  山下依子 
18 特発性大腿骨頭壊死症と酸化ストレス  市堰 徹/松本忠美 
19 がん予防と酸化ストレス  大島寛史/三好規之/伴野 勧 
20 歯科・口腔疾患と酸化ストレス  李 昌一 
21 運動と酸化ストレス  青井 渉/高波嘉一 
22 エイジングと酸化ストレス  小島隆史/坪田一男 
23 放射線障害予防と酸化ストレス  小澤俊彦 
24 自己免疫疾患と酸化ストレス  藤井順逸 

索引  

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序文

『酸化ストレスの医学』の改訂にあたって

 2014年3月に第17回国際フリーラジカル学会が京都で開催された.京都では1988年,2000年に次いで3回目の開催となった.豊國伸哉 先生(名古屋大学)と内藤裕二 先生(京都府立医科大学)を議長として開催され,国際プログラム委員会の準備もよく,御高名な研究者の方々が手弁当で駆けつけていただき,会を大いに盛り上げていただいた.臨床的にもそれぞれの疾患病態における酸化ストレス,フリーラジカルの最新研究が発表され,大変有意義な学会となった.
 このような最先端のご講演を聞いていると,6年前に発刊した『酸化ストレスの医学』の内容も随分と古いものになっていることに気づいた.国際学会をまとめた書物の出版予定はないため,本書を改訂することで2014年の記念にしたいと考えた.両先生にお願いして改訂版を世に出すことにした.現在,日本酸化ストレス学会の会員数も1,000名になろうとしている.この領域の学術研究のますますの発展を祈念している.
 最後に,本書の発刊にあたりお世話になった診断と治療社の編集部の方々に深謝申し上げる.

2014年8月
京都府立医科大学 学長
吉川敏一



日本酸化ストレス学会の発足にあたって(旧版より転載)

 日本過酸化脂質・フリーラジカル学会は,1977年6月12日,早石 修(京大医化学),吉川政己(東大老年医),山川民夫(東大生化学),山村雄一(阪大内科),八木国夫(名大生化学),五島雄一郎(慶大内科)の6教授を発起人とする「過酸化脂質研究会」発起人会に端を発する.第1回研究会は同年9月27日,八木会頭のもと名古屋で開催されている.過酸化脂質に関連する諸問題の研究の発展,向上を図り,研究者相互の連絡および親睦を深めることを目的とし,過酸化脂質の測定法・生成機構・生物学的意義・臨床疾患との関わりをおもなテーマとして発展してきた.その後,過酸化脂質生成メカニズムにおけるフリーラジカル反応の重要性が指摘され,1987年10月より「日本過酸化脂質・フリーラジカル学会」と改名し,現在に至っている.2003年より小生が会長の任を執っている.
 また,日本フリーラジカル学会は,国際フリーラジカル学会(Society for Free Radical Research;SFRR)の下部組織としての日本支部として1988年日本で開催された国際フリーラジカル学会を契機として設立されたものである.その後「磁気共鳴医学会」と2001年に合併し,現在に至っている.2002年より,小生がその会長の任にあたっている.現在,2年に1度の国際学会年次総会,アジア支部総会,SFRR AustralasiaとのJoint Meeting,年に一度の年次学術大会などの活動を行ってきた経緯がある.
 数年来,両学会に共に所属する評議員の方々より,“両学会を基盤として合併し,発展的新学会を設立してはどうか”との意見が寄せられ,数年にわたる討議の結果,両学会より選出された合併検討委員会が設立された.合併検討委員会(小澤俊彦委員長)で議論の末,以下のような理念,方向性で新学会設立を図ることとなった.


[理  念]
 新学会の設立により,新たな研究分野を取り込み,活性酸素,活性窒素,フリーラジカル,酸化ストレス,レドックス,ガスバイオロジーなどを研究テーマとするわが国を代表する学会となること.

[若手の教育]
 学会として積極的に教育セミナーなどを通して,若手研究者の育成を図る.

[学際的交流]
 癌,生活習慣病,アンチエイジングなどに対する画期的予防・治療法の確立に向けて学術的な共同研究を目指す.

[学会組織(基盤)の充実]
 組織的,学術的に確固とした組織を形成し,本分野における社会貢献にもつとめる.
 
 さて,本誌は「日本酸化ストレス学会」の発足にあたって,現時点での問題点を整理し,本学会の発展を祈念して企画されたものである.極めて多忙な研究生活を送っているにも関わらず,ご寄稿をいただいた各著者の方々に厚く御礼申し上げます.
 最後に,本書の制作にあたり,御協力いただいた各位に深く御礼申しあげます.
 
2008年6月
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
日本酸化ストレス学会 理事長
吉川敏一



基礎編の序

 日本酸化ストレス学会の設立に機を合わせて企画された本書『酸化ストレスの医学』の初版からはや6年が経過した.この6年間には,リーマンショック,民主・社民・国新連立政権の樹立,東北地方太平洋沖地震・福島原発事故,北京・バンクーバー・ロンドン・ソチオリンピック,アベノミクス,理化学研究所STAP細胞問題など様々な出来事があった.1980年代に産声をあげた「酸化ストレス」は,1990年代に入りシグナル伝達などポジティブな作用が明らかとなり,現在もなおその研究人口は増え続け,生命科学の諸分野において大きな広がりを見せつつある.そして,酸化ストレスはその程度に応じて,毒にも薬にもなるという考え方も浸透してきている.
 私たちは酸素なしには5分と生存することができない.太陽系に地球ができたのが46億年前であり,37億年前に生命が誕生したとされる.地球上で酸素濃度が増加してきたのは20億年ほど前のことである.当時の生命体にとって,酸素は現在の排気ガスのような疎まれる存在であったであろう.しかし,その酸素を電子の媒体として使いこなした種が,今の地球上で最も繁栄しているのも事実である.
 わが国の平均寿命は第二次世界大戦後に伸び続け,現在では女性が86才,男性が80才となっている.これには,結核のような主要な感染症が抗生剤の発見により克服された効果が大きい.現代の日本人の主要な死因は,がん,心筋梗塞,脳血管障害である.いずれも,酸化ストレスがその病態に深く関与している.
 本書の主要な目的は,酸化ストレスの初学者に,専門家から正しい最新の知識をわかりやすい形で提供することである.今回は,新たにチオールバイオロジー,低温大気圧プラズマ,そして研究の歴史の項目を設け,すべての項目で大幅な改訂を行なった.
 本年の3月には,内藤裕二・豊國伸哉の2名が中心となり,第17回国際フリーラジカル会議を京都で主催した.本書が,大学生,若手研究者や医療関係者を酸化ストレスの世界へいざなうきっかけとなれば,編者として望外の喜びである.

2014年8月
名古屋大学大学院医学系研究科生体反応病理学・分子病理診断学
豊國伸哉



臨床編の序

 「日本酸化ストレス学会」の発足以降,臨床医学領域における酸化ストレス研究はますます重要となってきている.疫学研究,疾患感受性遺伝子に関わる研究から酸化・抗酸化の新たな分子機構が解明されつつある.私自身は長年消化器領域における酸化ストレス研究を推進してきたが,腸管粘膜上皮においても活性酸素産生システム,抗酸化システムが密接に関わりながら腸管機能の恒常性維持に努めていることが明らかとなっている.さらに,腸管の中には100兆個を超える腸内細菌の存在が遺伝学的に確認されてきており,この腸内細菌の作用抜きに腸管内環境を考えることは不可能であり,さらには腸内環境が全身の他の臓器である肝臓,心臓,脳などに大きな影響を与えることも明らかとなりつつある.腸内環境の整備が健康長寿の達成に重要な要因として位置づけられつつあるようである.
 ウイルス性肝疾患,脂肪肝の進展,発がんにおいて鉄代謝・酸化ストレスの重要性が明らかとなり,非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis;NASH)に対するビタミンE療法も世界的規模で開始され有効な成績が得られている.急性脳梗塞に対するラジカルスカベンジャーの静脈内投与は一般的医療として定着した.加齢黄斑変性症などの眼疾患に対する抗酸化剤の治療も一般化しつつある.遺伝学的解析からビリルビンの抗酸化作用が注目され糖尿病患者合併症進展抑制なども期待されているようである.
 本書の初版は2008年に発行したが6年目を迎え,今回大幅な改訂を企画させていただいた.多忙な臨床や研究のなか,また短期間での要請にもかかわらず御執筆をお引き受け頂いた諸先生方に厚く御礼申し上げたい.今後も,基礎医学分野の研究者だけでなく,多くの臨床家に愛される一冊であってほしいと考え,編集のお手伝いをさせていただいた.

2014年8月
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
内藤裕二