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書籍詳細

養護教諭のための
発達障害児の学校生活を支える教育・保健マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:発達障害児の学校生活を支える教育・保健マニュアル

静岡大学 教育学部

鎌塚 優子 (かまづか ゆうこ) 編集

筑波大学 人間系 障害科学域

柘植 雅義 (つげ まさよし) 編集

大阪大学大学院 医学系研究科

永井 利三郎 (ながい としさぶろう) 編集

畿央大学 教育学部

古川 恵美(ふるかわ えみ) 編集

初版 B5判 並製 184頁 2015年01月05日発行

ISBN9784787821386

定価:本体2,800円+税
  

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発達障害児とかかわることの多い養護教諭に必携の一冊.場面ごとに,発達障害児の支援における養護教諭の役割,かかわり方について,具体的事例をあげ解説.学校内外の様々な職種,機関との連携や支援についても,具体的事例に基づき紹介.養護教諭だけでなく,学校関係者,学校医にもぜひ手に取っていただきたい一冊.巻頭見返しカラー「発達障害児の学校生活を支えるネットワーク」図掲載.

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目次

発達障害児の学校生活を支えるネットワーク
はじめに … 永井利三郎
執筆者一覧

総 論
 ① 発達障害児の学校生活を支えるために養護教諭ができること … 鎌塚優子
 ② 発達障害の疾患概要とその特徴,対応の基本 … 永井利三郎
 ③ 発達障害と自尊感情 … 古荘純一
 ④ 障害者差別解消法の成立とその影響 … 柘植雅義
 ⑤ ペアレントトレーニングとティーチャートレーニング … 岩坂英巳

各論1 イベント別事例
1.定期健康診断にて
 ① 定期健康診断 … 矢野潔子
2.応急処置
 ① けがの手当て … 鎌塚優子
 ② 熱・腹痛などのよくある症状への対応 … 鎌塚優子
3.保健室にて
 ① 保健室登校 … 鎌塚優子
 ② 健康相談 … 下村淳子
 ③ 友だちとのトラブル … 下村淳子
 ④ 虐 待 … 鎌塚優子,岡野陽一
 ⑤ いじめ … 鎌塚優子,岡野陽一
4.授業にて
 ① 普段の授業 … 濵﨑年久
 ② 保健指導(学級活動,集団)… 古角好美
 ③ 給 食 … 磯崎祐介,古荘純一
 ④ 席替え … 磯崎祐介,古荘純一
5.課外活動にて
 ① 修学旅行・集団宿泊 … 永井利三郎
 ② 遠 足 … 森 瞳子
6.イベントにて
 ① 運動会 … 三上眞美
 ② クラブ活動(小学校) … 古川恵美
7.緊急時
 ① 感染症対応 … 古藤雄大
 ② 大規模災害時の地域連携 … 鈴木由佳理
8.保護者対応
 ① 健康相談 … 元木千賀子,古川恵美

各論2 学校内外との連携,養護教諭のコーディネーター的役割について
 ① 入学前,卒業後の「引き継ぎ」 … 鎌塚優子
 ② 医療機関 … 永井利三郎
 ③ 社会福祉・保健機関 … 小野尚香
 ④ 親の会,障害者団体など … 内藤孝子
 ⑤ 発達障害児者支援にかかわる法の枠組みと行政機関の役割 … 菅 玲子
 ⑥ 発達障害者支援センター … 堀内 桂
 ⑦ 教育相談員(教育センター) … 大谷和夫
 ⑧ スクールカウンセラー … 国重浩一
 ⑨ 巡回相談 … 長谷川陽一
 ⑩ 担 任 … 今川惠美子
 ⑪ 特別支援教育コーディネーター … 伊藤由美,柘植雅義
 ⑫ PTA,学校評議員 … 古川恵美,岡本啓子

コラム:発達障害のある子どもやその家族への支援・指導をしているおもな医療専門職 … 古川恵美,永井利三郎
索 引

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序文

 落ち着きのなさやこだわりなどがあり,発達障害が疑われ,その学校生活に配慮が必要な児童生徒は,2012年の文部科学省の報告において,通常の学級に6.5%いるとされている.この報告の中で,小学1年生では約10%いるとしており,これらの児童生徒への対応はこれからの大きな課題である.
 2006年に国連総会で承認された「障害者権利条約」は,障害に基づくあらゆる差別を禁止することや,障害者の社会参加を促進することを定めていて,これまでに140か国・機関が批准したが,日本は国内の法律が整備されていなかったため批准に至っていなかった.
 2013年(平成25年)6月26日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(通称:障害者差別解消法)」がようやく公布された.施行は2016年(平成28年)4月1日である.この制定により,2014年(平成26年)1月20日に,「障害者権利条約」をようやく批准することができた.
 発達障害を含む,すべての障害者に対して,「合理的な配慮」をしないことも差別であることが明記されている.施行日までには合理的な配慮を行える準備をし,施行日からは確実に配慮をしないと法に触れるということである.「合理的配慮」とは,「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し,又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって,特定の場合において必要とされるものであり,かつ,均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう」とされている.
 学校は,すべての子どもたちにとって,「心のよりどころ」であり,「強い心をはぐくみ,人生の師や友と出会う場」である.人や物の環境になじむことが苦手な発達障害児にとって,学校生活を有意義なものにしていくためには,適切な支援が欠かせない.養護教諭は,これらの発達障害児を客観的に観察し,評価し,教員の教育活動を支える大きな役割をもっている.そしてまた養護教諭は,医療的な学外の支援を得るための重要な窓口でもある.
 養護教諭は,これからの発達障害児への対応において,核となっていく職種であり,その役割が期待されている.子どもたちの学校生活を支える先生方に本書が少しでもお役に立てば幸いである.

2014年12月
永井 利三郎