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小児の検尿マニュアル診断と治療社 | 書籍詳細:小児の検尿マニュアル
学校検尿・3歳児検尿にかかわるすべての人のために

日本小児腎臓病学会(にほんしょうにじんぞうびょうがっかい) 編

初版 B5判 並製 132頁 2015年03月29日発行

ISBN9784787821409

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定価:本体3,200円+税
  

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現在その実施方法や判定基準が全国的には統一されていない小児の検尿システム.本書は日本小児腎臓病学会が学校検尿・3歳児検尿システムのレベルアップを目指して提案するもので,検尿の意義や正しい採尿方法,各種検査の基準値、検尿有所見者にまず何をすべきか,専門医への紹介はどうするかなど,全編Q&A方式で具体的に解説.全国都道府県・市町村の医師会や保健所・保健センターの関係者,かかりつけ医など,検尿にかかわるすべての人に役立てていただきたい一冊.

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目次

学校検尿フローチャート
3歳児検尿 フローチャート,参考資料
はじめに/本田雅敬
編集委員一覧
用語&略語一覧
Chapter 1 フローチャート解説
Q1 一次,二次検尿異常の基準は1+以上になっていますが,なぜですか?
Q2 精密検診の目的と最低限行うべき検査項目は何ですか?
Q3 精密検診はどこが行っていますか.また,A方式・B方式とは何ですか?
Q4 精密検診の問診で注意することは何ですか?
Q5 暫定診断とは何ですか?
Q6 学校生活管理指導表はどのようにつけますか?
Q7 精密検診での検査値はどのように判断しますか?
Q8 学校検尿における小児腎臓病専門施設への紹介基準は何ですか?
Q9 小児腎臓病専門施設受診の紹介基準に満たない場合,どのように定期受診すればいいですか?
Q10 緊急受診が必要な基準は何ですか?
Q11 一次,二次検尿異常の基準は蛋白尿のみで±となっていますが,なぜですか?
Q12 一次精密検診で最低限行うべき検査項目は何ですか?
Q13 二次精密検診で行うべき検査項目は何ですか?
Q14 3歳児検尿における小児腎臓病専門施設への紹介基準は何ですか?
Q15 小児腎臓病専門施設とは何ですか?
Chapter 2 検診の意義
Q16 慢性腎臓病とは何ですか?
Q17 学校検尿は何のために行っていますか.また,どのような異常がみつかりますか?
Q18 学校検尿の成果は上がっていますか?
Q19 3歳児検尿は何のために行っていますか.また,どのような異常がみつかりますか?
Q20 3歳児検尿システムの現状と展望はどうなっていますか?
Chapter 3 検尿方法
Q21 オムツの場合,どのように尿を採りますか?
Q22 学校検尿で当日尿を忘れた場合,どのように対応しますか?
Q23 学校検尿で採尿する場合,注意することは何ですか?
Q24 月経と重なる場合,どのように対応しますか?
Chapter 4 検尿異常
Q25 検査偽陽性,偽陰性の原因と防止法は何ですか?
Q26 見落としやすい重い疾患は何ですか?
Q27 腎生検の適応基準は何ですか?
Q28 学校検尿において血尿単独で異常があった場合,どのような疾患がありますか?
Q29 学校検尿において蛋白尿単独で異常があった場合,どのような疾患がありますか?
Q30 学校検尿において血尿・蛋白尿合併で異常があった場合,どのような疾患がありますか?
Q31 体位性蛋白尿とは何ですか.また,どのように診断しますか?
Q32 3歳児検尿において蛋白尿で異常があった場合,どのような疾患がありますか?
Chapter 5 各種検査の基準値
Q33 日本人小児のクレアチニンの基準値,または計算方法を教えてください
Q34 日本人小児の糸球体濾過量の基準値を教えてください
Q35 小児の血圧の基準値を教えてください
Q36 小児の血圧計に使うマンシェットの大きさを教えてください
Q37 尿蛋白/尿クレアチニン比の基準値を教えてください
Q38 学校検尿における超音波の必要性,判断基準を教えてください
Q39 3歳児検尿における超音波の必要性,判断基準を教えてください
Chapter 6 管理
Q40 検尿有所見者の食事管理はどのようにしますか?
Q41 検尿有所見者の運動制限はどのようにしますか?
学校検尿,3歳児検尿の現状の問題点/本田雅敬
付録
横断的標準身長・体重曲線
平均体重・標準偏差
索引
編集後記/松山 健

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序文

 学校検尿は1974年にはじまり,小児期やあるいは成人の検尿受診世代の,特に糸球体腎炎による末期腎不全を著しく減少させるなど大きな成果を上げてきました.これは,慢性糸球体腎炎の治療の進歩によるところが大きいといえるでしょう.一方,3歳児健診における検尿は1961年にモデル的に開始され,こちらも先天性腎尿路奇形(CAKUT)や腎炎の発見,治療に役立っています.
 学校検尿の方法は,一次検尿方式,二次検尿方式,暫定診断,精密検診など,ある程度システム化されています.しかし,はじまって40年を経過した今でも,各市町村や学校でのシステムは様々です.学校検尿のマニュアルを作成している九州や愛知,静岡など10以上の県や市では,検尿有所見者への対応が優れていますが,マニュアル自体がないところも多くあります.また,3歳児検尿では学校検尿のようなシステムも存在せず,各市町村での検尿後の精密検診の方法も明確でないまま行われています.さらに,腎不全による原因疾患の変化により,現在,小児腎不全では最大の頻度を占めるCAKUTが見逃されている,という問題も生じています.治療が必要な子どもが見逃されている,あるいは過剰な検査や管理を強いられている可能性もあることから,各都道府県,市町村,学校での一定のシステムの確立が必要です.
 そこで,日本小児腎臓病学会の小児CKD対策委員会で全国共通で使用できるマニュアルを作成し,それを各地のシステム確立に役立てたい,と考え企画されたのが本書です.すでに『CKD診療ガイド2012』『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013』『血尿診断ガイドライン2013』(いずれも日本腎臓学会編)などが出版されていますが,検尿に特化したものではなく,またスクリーニングに必要な項目やその意義も,一般小児科医や多くの検尿スクリーニングにかかわる方々にとってわかりやすい方法が示されてはいません.
 本書は,全国都道府県および市町村の医師会,教育委員会の学校保健,行政の母子保健担当者,行政の学校保健・母子保健担当者,保健所・保健センターの関係者,各かかりつけ医などの医療機関の方に役立てていただくために作成したものです.ガイドラインとは異なりますので,難しい説明はできるだけ避け,実際の現場で使いやすいものを意識して,最初にフローチャートを掲載し,その後に各解説を記載しました.関係者の皆様には,少しでも検尿有所見者を見逃さない,あるいは過剰診療をしないために,各地域で参考にしていただければ幸いです.
 なお,本書は腎疾患の早期発見についてのマニュアルのため,尿糖には触れていないことをあらかじめ申し上げておきます.尿糖については,2011年に発行された日本糖尿病学会/日本小児内分泌学会編『小児・思春期糖尿病管理の手引き』67〜71ページを参照してください.
 現在,母子保健,学校保健の現場では,食物アレルギーや発達障害,不登校,予防接種,感染症など様々な課題が載積します.しかし,成人での腎不全による透析患者は2011年に30万人を超え,さらに年々増加しています.小児期に発見して治療できれば,成人になってからの生活は改善し,医療経済的にも相当に役立ちます.ぜひ腎疾患の早期発見の大切さもご考慮いただけるよう,本書がその一助になることを祈念しております.

 2015年2月
編集主幹
日本小児腎臓病学会 前理事長
本田雅敬