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書籍詳細

進行性腎障害診療指針シリーズ

エビデンスに基づく多発性囊胞腎(PKD)診療ガイドライン2014 準拠
多発性嚢胞腎診療ガイドQ&A 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:多発性嚢胞腎診療ガイドQ&A 改訂第2版

名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授

松尾 清一 (まつお せいいち) 監修

順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学教授

堀江 重郎(ほりえ しげお) 編集

改訂第2版 B5判 並製 184頁 2015年02月10日発行

ISBN9784787821515

定価:本体4,600円+税
  

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厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業の「進行性腎障害に関する調査研究班」により策定された「エビデンスに基づく多発性嚢胞(PKD)診療ガイドライン2014」の内容を,臨床の場でより活用できる必携書.研究班メンバーを中心としたエキスパートの執筆陣により,日常診療でよく聞かれる内容をQ&A形式で詳細に解説した全面改訂版.ガイドラインのダイジェスト版も掲載,理解を助けるコラムも満載され,PKD関連の様々な疑問が解決できる.

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目次

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって /松尾清一
多発性囊胞腎診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって /堀江重郎

エビデンスに基づく進行性腎障害診療ガイドライン2014
多発性囊胞腎(PKD)診療ガイドライン2014 ダイジェスト版

多発性囊胞腎診療ガイドQ&A 改訂第2版
第Ⅰ部 ADPKD(常染色体優性多発性囊胞腎)
第1章 疾患概念と定義
Q1 ADPKDの遺伝形式について説明してください. /望月俊雄
Q2 ADPKDでは子ども全員に遺伝するのですか?
 両親がADPKDでなくても発症するのですか? /望月俊雄
Q3 ADPKDの原因遺伝子,PKD1遺伝子とPKD2遺伝子について教えてください. /望月俊雄
Q4 ADPKDの発症機序,特に体細胞変異について教えてください. /望月俊雄
Q5 ADPKDでは,いつ頃からどのようにして囊胞ができるのですか? /望月俊雄
Q6 ADPKDの家系は皆同じような経過をたどるのですか? /望月俊雄

第2章 診断基準
Q7 わが国の診断基準と海外の診断基準の違いは何ですか? /武藤 智
Q8 実際はどのように診断されることが多いのでしょうか?
  診断に必要な検査のなかで優先度の高いものを教えてください. /武藤 智
Q9 画像検査(超音波検査・CT・MRI)ではどのような所見が認められるのですか?  /武藤 智
Q10 腎臓や囊胞の大きさは腎機能と関連しますか?  /武藤 智
Q11 頭部MRアンジオグラフィではどのような所見になるのですか? /武藤 智
Q12 ADPKDの診断に際して除外すべき疾患について教えてください. /武藤 智
Q13 子どもは検査したほうがいいのでしょうか?
   小児・若年者での診断について教えてください. /望月俊雄
Q14 ADPKDの遺伝子診断は可能ですか? 
   その有用性についても教えてください. /望月俊雄

第3章 疫学
Q15 実際にわが国のADPKD患者はどのくらいいるのですか?
   海外との比較を含めて教えてください. /奴田原紀久雄

第4章 臨床的特徴
Q16 自覚症状で気をつけることは何ですか? /成田一衛
Q17 腎機能はいつ頃からどのように低下するのですか?
   他の慢性腎臓病と比較して特徴はありますか? /成田一衛
Q18 腎機能を悪化させる要因とそれに対する対策を教えてください. /成田一衛
Q19 ADPKDにおける腎代替療法について教えてください.
   腹膜透析・腎移植も可能ですか? /成田一衛

第5章 治療
(1)ADPKDに対する臨床治験
Q20 バソプレシンV2受容体拮抗薬の作用について教えてください. /西尾妙織
Q21 バソプレシンV2受容体拮抗薬の臨床試験について教えてください.  /河野春奈・堀江重郎
Q22 バソプレシンV2受容体拮抗薬が適する症例を教えてください. /望月俊雄
Q23 バソプレシンV2受容体拮抗薬を服用するときの注意を教えてください. /武藤 智
Q24 その他,新しい薬剤の展望を聞かせてください./武藤 智
(2)進行を抑制する治療
Q25 飲水について教えてください./土谷 健
Q26 ADPKDによる腎不全に対する蛋白制限食について教えてください. /土谷 健

第6章 合併症とその対策
(1)高血圧
Q27 高血圧はいつから認められるのですか?その頻度に男女差はありますか? /土谷 健
Q28 なぜ血圧が上がるのですか? /土谷 健
Q29 ADPKDの高血圧治療に関するエビデンスがあれば教えてください./土谷 健
Q30 ADPKDに適した降圧薬を教えてください./土谷 健
(2)肝囊胞
Q31 肝囊胞の特徴について教えてください./花岡一成
Q32 肝囊胞に対する治療はいつ頃から考えたほうがいいでしょうか? /花岡一成
(3)脳動脈瘤
Q33 ADPKDにおける脳動脈瘤の特徴について教えてください.
   なぜできやすいのですか? /武藤 智
Q34 どのくらいの間隔でどのような検査を受ければいいですか?
   何度もできるのですか? /武藤 智
Q35 脳動脈瘤があると言われました.どうすればいいのでしょうか? /武藤 智
Q36 脳動脈瘤の治療(クリッピングやコイル塞栓)の後遺症について教えてください. /武藤 智
(4)囊胞感染
Q37 肝・腎囊胞感染について教えてください.どこから菌が入ってくるのですか?  /諏訪部達也・乳原善文
Q38 囊胞感染の画像所見(超音波・CT・MRI等)について教えてください. /西尾妙織
Q39 再発性や難治性の?胞感染の場合の対策を教えてください. /諏訪部達也・乳原善文
(5)囊胞出血
Q40 囊胞出血の画像所見(超音波・CT・MRI)について教えてください. /西尾妙織
Q41 囊胞出血に有効な治療はありますか?  /西尾妙織
(6)尿路結石
Q42 尿路結石はなぜできやすいのですか? その対策についても教えてください.  /奴田原紀久雄
(7)疼痛
Q43 疼痛に対する治療を教えてください. /河野春奈・堀江重郎
(8)その他の合併症
Q44 その他の合併症は検査したほうがいいでしょうか?
   頻度などについても教えてください. /花岡一成
(9)妊娠
Q45 ADPKD患者での妊娠・出産の特徴ならびに注意点について教えてください.  /花岡一成
(10)合併症に対する特殊治療
Q46 腎動脈塞栓療法の方法・有効性・合併症・注意点などについて教えてください.  /諏訪部達也・乳原善文
Q47 肝動脈塞栓療法の方法・有効性・合併症・注意点などについて教えてください.  /諏訪部達也・乳原善文
Q48 肝囊胞開窓術・肝切除術,肝移植・腎移植について教えてください. /武藤 智

第7章 予後,予後判定基準など
Q49 ADPKDの生命予後について教えてください. /奴田原紀久雄

第8章 遺伝相談
Q50 ADPKDにおける遺伝カウンセリングはどのように行われるのですか? /花岡一成
Q51 出生前診断は可能でしょうか? /望月俊雄

第Ⅱ部 ARPKD(常染色体劣性多発性?胞腎)
第1章 疾患概念と定義
Q52 ARPKDにおいて?胞ができる機序について教えてください. /中西浩一

第2章 診断
Q53 ARPKDの鑑別診断として念頭におくべき代表的疾患について教えてください.  /中西浩一
Q54 ARPKDの遺伝子診断は可能でしょうか? その有用性についても教えてください.  /中西浩一
Q55 ARPKDの原因遺伝子,PKHD1遺伝子について教えてください. /中西浩一

第3章 疫学
Q56 実際にわが国ではどのくらいの患者がいるのですか? /中西浩一

第4章 臨床的特徴,病理
Q57 ARPKDに必要な検査ならびにタイミングについて教えてください. /中西浩一

第5章 合併症とその対策
Q58 高血圧はなぜ認められるのですか? /中西浩一
Q59 肝臓に線維化を起こすメカニズムを教えてください.
   門脈圧亢進はいつ頃から出現してくるのですか? /中西浩一

第6章 治療
Q60 腎移植ならびに肝移植はどのくらい行われていますか? /中西浩一

第7章 予後
Q61 ARPKDの予後ならびに予後規定因子について教えてください. /中西浩一

略語一覧
索  引

COLUMN 目次

遺伝性疾患とは?─遺伝因子と環境因子について─ /望月俊雄
陽性予測値,陰性予測値とは? /武藤 智
MRIが施行できないケースについて /武藤 智
腎容積の測定について /武藤 智
画像検査の頻度(検査の間隔)について /武藤 智
運動・仕事などの生活 /土谷 健
HALT-PKD研究 /土谷 健
ADPKDに適した食品(カフェインや大豆など) /土谷 健
常染色体優性多発性囊胞肝(ADPLD) /望月俊雄
新しい塞栓物質について /西尾妙織
遺伝カウンセリングに参考になるwebサイト /花岡一成
ARPKDにおける着床前診断 /望月俊雄
繊毛病とは? /中西浩一
ARPKDにおける遺伝相談  /中西浩一
年長者ARPKDの特徴 /中西浩一
低ナトリウム血症や発達遅延はなぜ認められるのか? /中西浩一
肺低形成について /中西浩一

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序文

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって

 2008年4月から2010年3月まで私が研究代表者をつとめた厚生労働省厚生科学研究費補助金難治性疾患克服事業進行性腎障害に関する調査研究班では,一般社団法人日本腎臓学会との密接な連携のもと,対象とする4つの疾患,IgA腎症,急速進行性糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,多発性囊胞腎につき,2010年度に腎臓専門医のコンセンサスをまとめて診療指針を作成し公表した.この指針をさらにわかりやすく解説してQ&Aとしてまとめたものを株式会社診断と治療社から「進行性腎障害診療指針シリーズ(初版)」として発行し,多くの関係者に広く利用していただいているところである.2010年4月から私が引き続き研究班の代表をつとめることとなり,その事業の柱の一つとして,初版を改訂してエビデンスに基づく正式な診療ガイドラインを作成する作業を行った.その成果として2014年7月に上記4疾患に関する「エビデンスに基づく診療ガイドライン2014」を公表したところである.このガイドラインの特徴は,最新のエビデンスを盛り込むことはもちろんのこと,治療に関する項目をClinical Question (CQ)方式として,課題とそれに対する記述を明確にしたことである.これにより治療上問題になっている項目を具体的に取り上げて,エビデンスのグレーディングに基づいた記載(推奨度)を行った.その後,腎臓学会はもとより,関係学会などの意見聴取も実施し,公表に至った.標記4疾患に関するエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成はわが国で初めてのものであり,研究班ならびに日本腎臓学会としては臨床の場での活用を大いに期待している.
 私たちはこれらの診療ガイドラインを一層普及させるために,より踏み込んだ解説書が必要と考え,再び株式会社診断と治療社にお願いして,「進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版」として前回同様Q&A方式での普及版の出版をお願いしたものである.執筆にあたっては,厚生労働省研究班のガイドライン作成にあたっていただいた先生方にお願いすることとした.初版同様,多くの皆様がこのシリーズを活用していただくことを望んでいる.
 一方で,これら4疾患の診断や治療においては,まだまだエビデンスが十分でない課題も多く存在しており,専門医によるコンセンサスにゆだねた事項も少なくない.特に日本人のエビデンスは限られていることから,これらは今後のエビデンスの創出を待ち,次回以降の改訂に反映させていきたいと考えている.
 最後に,研究班でガイドライン作成に関わっていただいた関係者の皆様,また本書の作成に関わっていただいたすべての皆様に深い感謝の意を表するものである.

2015年1月
 厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班班長
 名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授 
 松尾 清一



多発性囊胞腎診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって

 多発性囊胞腎は従来から国が定める難病とされている.難病とは,発病の機構が明らかでなく,治療方法が確立していない希少な疾病であって長期の療養を必要とするものと定義されている.平成26年に新たに「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が制定され,厚生労働省難治性疾患克服研究事業研究班においてこれまで収集された情報を基に,多発性囊胞腎を含む110の疾患が,医療費助成の対象となる「指定難病」に選定された.難病の定義をより細かく見ると,原因遺伝子などが判明している場合であっても病態の解明が不十分な場合,あるいは対症療法や症状の進行を遅らせる治療方法はあるが,根治のための治療方法はないことが,「治療方法が確立していない」ことに該当する.さらに長期の療養を必要とするとは,基本的には発症してから治癒することなく生涯にわたり症状が持続もしくは潜在する場合があてはまる.指定難病の要件としては患者数がわが国において一定の人数(人口の0.1%程度以下)に達しないこと,および客観的な診断基準が確立していることとされた.また指定難病に対する医療費助成は,「日常生活又は社会生活に支障がある者」を対象とするが,この内容についてはCKD分類など臓器領域等ごとに作成されている重症度分類や,治療効果を勘案して,疾患ごとに重症度を設定することとなった.ADPKDでは腎容積が一定より大きく,進行性に増大する場合に腎不全の進行リスクが高いことがわかっており,また慢性腎臓病ではKDIGOの定める重症度分類が普及している.重症度に応じて,多発性囊胞腎は医療費助成を受けることが可能になった.
 くしくも同年,多発性囊胞腎の治療には大きな変化が生じた.バソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンが常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)の腎容積の増加と腎機能の低下を抑えることが国際共同治験で示され,トルバプタンがADPKDに対する治療薬として保険収載されることとなった.これまで進行性腎障害の進行を抑える有効な治療を待ちわびてきた患者と家族には,大きな喜びとなった.
 治療に対する助成の確立と治療薬の保険承認により,今後,多発性囊胞腎の患者さんに臨床の場で遭遇することは多くなることが予想される.本書は腎臓専門医のみならず,広くプライマリーケアに従事する医療関係者,医育機関,研修医,学生および患者と家族を対象として多発性囊胞腎診療のエッセンスを,厚生労働省研究班で作成した多発性囊胞腎診療ガイドライン2014に準拠してわかりやすく解説した.本書が多くの方の目に触れて,多発性囊胞腎について理解が深まることを期待する.

2015年1月
 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授
 堀江 重郎