HOME > 書籍詳細

書籍詳細

進行性腎障害診療指針シリーズ

エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014 準拠
IgA腎症診療ガイドQ&A 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:IgA腎症診療ガイドQ&A 改訂第2版

名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授

松尾 清一 (まつお せいいち) 監修

藤田保健衛生大学医学部腎内科学教授

湯澤 由紀夫(ゆざわ ゆきお) 編集

改訂第2版 B5判 並製 148頁 2015年02月06日発行

ISBN9784787821522

定価:本体4,200円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業の「進行性腎障害に関する調査研究班」により策定された「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014」の内容を,臨床の場でより活用できる必携書.研究班メンバーを中心としたエキスパートな執筆陣により,日常診療でよく聞かれる内容をQ&A形式で詳細に解説した全面改訂版.ガイドラインのダイジェスト版も掲載,理解を助けるコラムも満載され,IgA腎症関連の様々な疑問が解決できる.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって 松尾清一
IgA腎症診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって 湯澤由紀夫
執筆者一覧
エビデンスに基づく進行性腎障害診療ガイドライン2014
IgA腎症診療ガイドライン2014  ダイジェスト版
IgA腎症診療ガイドQ&A 改訂第2版

第1章 疫学
Q1 IgA腎症の発症率,有病患者数はどのくらいですか? 後藤雅史
Q2 IgA腎症の自然経過はどのようになっていますか? 後藤雅史
Q3 IgA腎症の治療指針の変化に伴う予後の変遷について教えてください. 後藤雅史
Q4 初診時または診断時に予後と関連する要因を教えてください. 安田 隆
Q5 予後と関連する経過中の判定指標を教えてください. 安田 隆
Q6 尿所見が改善したと判定する方法とその意義を教えてください. 安田 隆
Q7 IgA腎症患者の経過観察方法を教えてください. 安田 隆 

第2章 成因・進展因子
Q8 IgA腎症はどのように定義されますか? 富田 亮・高橋和男
Q9 IgA腎症と遺伝の関係について教えてください. 高橋和男
Q10 IgA腎症に認めるIgA分子の異常について教えてください. 高橋和男
Q11 IgA腎症の発症にかかわる抗原にはどのようなものがありますか? 高橋和男
Q12 IgA腎症と粘膜免疫のかかわりについて教えてください. 高橋和男
Q13 IgA腎症ではなぜメサンギウム領域にIgAが沈着するのでしょうか? 高橋和男
Q14 IgA腎症ではどのように糸球体障害は進展するのでしょうか? 高橋和男

第3章 診断・病理
Q15 IgA腎症の診断について教えてください. 片渕律子
Q16 IgA腎症に特徴的な臨床症状・身体所見について教えてください. 藤垣嘉秀
Q17 IgA腎症で認める顕微鏡的血尿の特徴を教えてください. 藤垣嘉秀
Q18 血尿陰性のIgA腎症が存在するかどうかを教えてください. 藤垣嘉秀
Q19 IgA腎症で認める肉眼的血尿の特徴を教えてください. 藤垣嘉秀
Q20 IgA腎症の診断に役立つバイオマーカーについて教えてください. 藤垣嘉秀
Q21 IgA腎症は遺伝するかどうかについて教えてください. 藤垣嘉秀
Q22 血尿単独でIgA腎症が疑われる場合の腎生検の適応について教えてください. 藤垣嘉秀
Q23 血尿陽性,蛋白尿陽性でIgA腎症が疑われる場合の腎生検の適応について教えてください. 藤垣嘉秀
Q24 腎機能低下症例でIgA腎症が疑われる場合の腎生検の適応について教えてください. 藤垣嘉秀
Q25 小児期発症の特徴について教えてください. 漆原真樹
Q26 IgA腎症に認める糸球体病変の光顕所見の特徴を教えてください. 北村博司
Q27 IgA 腎症に認める尿細管間質病変と血管病変の光顕所見の特徴を教えてください. 北村博司
Q28 IgA腎症における蛍光抗体法と電顕所見の特徴について教えてください. 北村博司 

第4章 分類
Q29 IgA腎症のおもな組織分類について教えてください. 片渕律子
Q30 IgA腎症のOxford分類について教えてください. 片渕律子
Q31 「IgA腎症診療指針−第3版」について教えてください. 片渕律子
Q32 IgA腎症の特殊型として取り上げられている病態にはどのようなものがあるのですか? 片渕律子 

第5章 治療
(1)ステロイド療法,扁摘+ステロイドパルス療法,免疫抑制療法
Q33 各種治療の適応について教えてください. 山本陵平
Q34 副腎皮質ステロイド薬の適応について教えてください. 山本陵平
Q35 扁桃摘出術+ステロイドパルス療法の適応について教えてください. 佐藤光博
Q36 扁桃摘出術の適応について教えてください. 佐藤光博
Q37 免疫抑制薬の適応について教えてください. 山本陵平
Q38 小児症例に対するカクテル療法の効果について教えてください. 漆原真樹
(2)補助,支持療法
Q39 RA系阻害薬の適応について教えてください. 山本陵平
Q40 抗血小板薬と抗凝固薬の適応について教えてください. 山本陵平
Q41 n-3系脂肪酸(魚油)の適応について教えてください. 山本陵平
(3)食事療法と運動量の調節・制限
Q42 食塩摂取制限のエビデンスを教えてください. 安田宜成
Q43 蛋白摂取制限の意義についてエビデンスを教えてください. 安田宜成
Q44 肥満の影響と実践的な指導法を教えてください. 安田宜成
Q45 腎障害患者が運動する場合にはどのような点に注意すべきか教えてください. 安田宜成
Q46 禁煙の意義と実践的な指導方法を教えてください. 安田宜成
(4)副作用
Q47 IgA腎症の治療に伴う副作用にはどのようなものがありますか? 小松弘幸


略語一覧
索  引


COLUMN 
IgA腎症の発症になぜ地域差,人種差が存在するのか? 高橋和男
血尿の多くみられる症例は予後がいいの?悪いの? 安田 隆
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版 小松弘幸
IgA腎症の病因仮説:Multi-hit mechanism 高橋和男
IgA1 ヒンジ部糖鎖構造にかかわる糖転移酵素群 高橋和男
IgA腎症と病巣感染症 佐藤光博
腎専門医へのコンサルトのタイミング 藤垣嘉秀
細胞性半月体と上皮過形成 北村博司
光顕診断と糸球体数 北村博司
Oxford分類改定の動きについて 片渕律子
「IgA腎症診療指針−第3版」とOxford分類をどう使い分けるか? 片渕律子
研究デザインに基づいた研究報告のガイドライン 山本陵平
腎病理組織学的所見は副腎皮質ステロイド薬の腎保護効果を予測するか? 山本陵平
日本のガイドラインとKDIGOのガイドラインの治療適応の違い 山本陵平
口蓋扁桃摘出術の安全性と合併症 小松弘幸

ページの先頭へ戻る

序文

進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版の刊行にあたって

 2008年4月から2010年3月まで私が研究代表者をつとめた厚生労働省厚生科学研究費補助金難治性疾患克服事業進行性腎障害に関する調査研究班では,一般社団法人日本腎臓学会との密接な連携のもと,対象とする4つの疾患,IgA腎症,急速進行性糸球体腎炎,ネフローゼ症候群,多発性囊胞腎につき,2010年度に腎臓専門医のコンセンサスをまとめて診療指針を作成し公表した.この指針をさらにわかりやすく解説してQ&Aとしてまとめたものを株式会社診断と治療社から「進行性腎障害診療指針シリーズ(初版)」として発行し,多くの関係者に広く利用していただいているところである.2010年4月から私が引き続き研究班の代表をつとめることとなり,その事業の柱の一つとして,初版を改訂してエビデンスに基づく正式な診療ガイドラインを作成する作業を行った.その成果として2014年7月に上記4疾患に関する「エビデンスに基づく診療ガイドライン2014」を公表したところである.このガイドラインの特徴は,最新のエビデンスを盛り込むことはもちろんのこと,治療に関する項目をClinical Question (CQ)方式として,課題とそれに対する記述を明確にしたことである.これにより治療上問題になっている項目を具体的に取り上げて,エビデンスのグレーディングに基づいた記載(推奨度)を行った.その後,腎臓学会はもとより,関係学会などの意見聴取も実施し,公表に至った.標記4疾患に関するエビデンスに基づく診療ガイドラインの作成はわが国で初めてのものであり,研究班ならびに日本腎臓学会としては臨床の場での活用を大いに期待している.
 私たちはこれらの診療ガイドラインを一層普及させるために,より踏み込んだ解説書が必要と考え,再び株式会社診断と治療社にお願いして,「進行性腎障害診療指針シリーズ改訂第2版」として前回同様Q&A方式での普及版の出版をお願いしたものである.執筆にあたっては,厚生労働省研究班のガイドライン作成にあたっていただいた先生方にお願いすることとした.初版同様,多くの皆様がこのシリーズを活用していただくことを望んでいる.
 一方で,これら4疾患の診断や治療においては,まだまだエビデンスが十分でない課題も多く存在しており,専門医によるコンセンサスにゆだねた事項も少なくない.特に日本人のエビデンスは限られていることから,これらは今後のエビデンスの創出を待ち,次回以降の改訂に反映させていきたいと考えている.
 最後に,研究班でガイドライン作成に関わっていただいた関係者の皆様,また本書の作成に関わっていただいたすべての皆様に深い感謝の意を表するものである.

2015年1月
厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班班長
名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授 
松尾 清一



IgA腎症診療ガイドQ&A 改訂第2版の出版にあたって

 IgA腎症は最も高頻度な原発性糸球体腎炎で,末期腎不全から透析療法に導入される代表的な原因疾患であり,わが国に高率に認めることから治療の確立が強く望まれている.1995 年に,厚生労働省特定疾患進行性腎障害に関する調査研究班と日本腎臓学会の合同委員会により,初めて「IgA 腎症診療指針」が公表され,次いで 2002 年に,その一部が修正された「IgA 腎症診療指針-第2版-」が提示された.さらに2011年には,「IgA 腎症診療指針-第3版-」において,厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する調査研究班IgA腎症分科会が主体となって行った多施設共同研究によって集積されたデータが解析され,組織学的重症度に臨床的重症度を加味した新たな予後分類(透析導入リスクの層別化)が提唱された.これらの診療指針は,予後判定基準を明確化し,その基準に従った治療指針を提示しており,臨床や病理診断の場で広く活用され,わが国におけるIgA腎症の診断・治療に大きく貢献してきた.
 一方,国際的には,2011年にKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)より糸球体腎炎のための臨床ガイドラインが発表された.このガイドラインでは,報告された臨床試験の体系的なレビューにより推奨レベルが示され,その推奨強度決定の基礎になるエビデンスの質も明記され,IgA腎症についてもChapter 10にて述べられた.しかしわが国のIgA腎症の特徴として,健診による早期発見例が多いこと,予後分類では「IgA 腎症診療指針-第3版-」に基づき多くがなされていること,治療においては口蓋扁桃摘出術が多く施行されていること等があげられ,KDIGO診療ガイドラインがそのままあてはまるかは慎重な判断を要した.そのため,わが国独自のIgA腎症の診療ガイドラインの設定が望まれた.この動きを受けて,厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班と日本腎臓学会は,「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014」を作成することを決定し,IgA腎症診療ガイドライン作成ワーキンググループを設置した.
 「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014」は,腎臓専門医が日常診療でIgA腎症の診療を行っていくうえでの疑問(CQ: Clinical Question)に回答する形で作られた.それぞれの回答はステートメントという形で示されており,治療に関するステートメントにはエビデンスレベルに基づいた推奨グレードが明記された.治療では,現在までのおもなランダム化並行群間比較試験の研究報告をIgA腎症診療ガイドライン作成ワーキンググループにおいて独自に評価し,腎機能障害の進行抑制を目的とした治療介入の適応の提示がなされた.概念,診断,病理,疫学等はテキスト形式で記載し,積極的にわが国のデータが図,表を用いて提示された.病理分類においては国内における「IgA 腎症診療指針-第3版-」に基づいた分類に加え,Oxford分類についても表を用い詳細に提示された.
 本書は,読者がこの「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014」をより深く理解できるように,IgA腎症診療ガイドライン作成ワーキンググループ作成委員の先生方に分かりやすく解説していただいたものである.本書が,IgA腎症を単独に対象としたガイドラインとして世界初の試みとなった「エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014」のよりよい理解に役立ち,臨床の現場で大いに活用されれば幸いである.

2015年1月
藤田保健衛生大学医学部腎内科学 教授
湯澤由紀夫